著者
堀本 ゆかり 山田 洋一 山下 淳一 丸山 仁司
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.303-310, 2022 (Released:2022-06-20)
参考文献数
16

〔目的〕本研究では,管理業務に携わる理学療法士のコンピテンシー要素を明らかにし,理学療法士のための臨床管理能力尺度の信頼性と妥当性を検証することを目的とした.〔対象と方法〕対象は,臨床業務に従事し,管理業務に携わる理学療法士200名とした.方法は自由参加によるWebアンケートで,基本属性および「看護管理能力を発揮するために必要なスキルと行動特性」68項目を用いた.〔結果〕管理業務に携わる理学療法士のコンピテンシー要素は,「組織開発力」,「管理者としての人柄」,「批判的視点」,「部門管理力」,「専門職観」,「状況対応力」が抽出され,信頼性と妥当性が確認できた.〔結語〕本研究では,理学療法士の管理業務に必要なコンピテンシー要素を臨床管理能力尺度として示し,信頼性と妥当性を検証した.
著者
山田 洋一 堀本 ゆかり 丸山 仁司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.589-595, 2013 (Released:2013-11-09)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

〔目的〕理学療法非熟達者の視線を測定することで,動作探査能力を分析し技能指標の手がかりを模索する.〔対象と方法〕対象は養成校4年生12名.腱板断裂術後の肩挙上を投影し,プロフィール告知前後の停留点の測定と,「疾患名」「注目点」「注目点の変化」「動作分析の注目点」を回答させ視線特性を検討した.〔結果〕疾患名の正答者は1名で,告知前後の停留回数は肩関節・肩甲骨周囲・肘部で有意な差があった.注目点は,全員が肩関節,肩甲骨周囲を注目していると回答し,計測による結果と一致していた. 告知後,視点ポイントが変化したと回答した者は,停留点が絞られ,停留回数は減少していた.〔結語〕非熟練者にとって容易な課題を提示することで,視線は分析に必要なポイントに視点をコントロールでき,情報収集が可能になると考える.
著者
山田 洋一 丸山 仁司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.385-389, 2012 (Released:2012-09-07)
参考文献数
3
被引用文献数
4 2

〔目的〕理学療法士の育成課題を抽出するため,理学療法士の自己認識を分析した.〔対象と方法〕静岡県内の医療施設に勤務する理学療法士67名とした.「自己認識質問紙」を用い調査を行い,解析した.〔結果〕「一人前」に到達するまでの年数は平均9.98±4.24年であった.「治療技術」と「学術」の重要度では,経験年数が低いほど「治療技術」の修得を必要と感じている者が多く,自身の達成度や組織の満足度に課題のあることが示された.〔結語〕臨床における業務の中心は,患者と向き合い,理学療法を通して,医学的側面から患者の社会適応性を高めることである理学療法士としての現在の自分の達成度が30.6±19.0%という状況をみると,組織や個人の需要に応じた職業支援に加え,自身のキャリア向上に向けたプログラムの開発が望まれる.
著者
堀本 ゆかり 山田 洋一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.G0043, 2007

【目的】<BR> 理学療法士の需要拡大に伴い、養成校は急増している。判によると臨床能力は知識・情報収集能力・総合的判断力・技能・態度とある。卒前教育の流れをよくし、臨床実習を経て、臨床能力のある理学療法士を育成することが早急に望まれる。そこで、特に認知領域に着目し、学力の定着に寄与する性格的指標を検討する目的で、主要5因子性格検査を用い、学力テストの総合得点から傾向を分析したので報告する。<BR>【方法】<BR> 対象は常葉学園静岡リハビリテーション専門学校1期生(2クラス編成)84名(男性46名・女性38名)平均年齢19.6±3.0歳とクラス担任2名(男性2名・平均年齢41.5歳)である。<BR> 方法は各クラスで一斉に主要5因子性格検査を実施した。また、各クラス担任は受け持ちクラス全員に対して同様の検査を実施し、いずれも5因子ごとに総点を算出し比較した。また、学力テストの総合得点と5因子の関係の検討を行い、特性を検討した。<BR> 統計解析は日本科学技術研修所製 JUSE-StatWorks/V4.0を用いて処理した。<BR>【結果】<BR>1.学生自己評価とクラス担任の評価の相関関係<BR> 学生の自己評価とクラス担任の評価という2変数間の相関係数では外向性0.788・協調性0.719・勤勉性0.779・情緒安定性0.652・知性(開放性)0.709と5因子いずれも高い相関が得られた。<BR>2.学力テスト総合得点に影響を及ぼす因子<BR> 次に数量化1類を用い、学力テスト総合得点に影響を及ぼす変数を抽出したところ重相関係数0.709で外向性と勤勉性が選ばれた。特に勤勉性は5因子の中でも分散比が大きく特に強い影響を示している。また、主成分分析でも総合得点と勤勉性は関係が強いことがわかった。<BR>3.勤勉性を修飾する因子<BR> 勤勉性では、気まぐれ-計画性のある・いい加減-徹底的・怠惰-勤勉・浪費的-節約的といった項目が特に勤勉性を強く修飾していた。<BR>【考察】<BR> 情意領域・精神運動領域・認知領域をリンクさせた問題解決手法の導入に先立ち学生の性格を把握し、学力を定着させることは重要である。主要5因子性格検査は、文章の意味が大体理解できれば実施できる評価ツールであるため性格の基本的な特徴が把握し、学生指導に用いるには簡便といわれている。<BR> 今回の調査で学生の自己評価とクラス担任の評価の強い相関は、担任の評価にある程度の信頼がおけることがわかる。また、学力テスト総合得点に関しては、勤勉性・外向性の影響が強く、情緒安定性・協調性・知性に関係はなかった。この結果より学生は主体性を持ち計画性のあるくり返し学習を徹底的に行うことが重要であると思われる。<BR> 本校ではこの傾向を臨床実習の情報提供や縦割り少人数授業(ゼミ授業)活用している。<BR><BR>
著者
岡田 隆太 吉越 章隆 寺岡 有殿 神農 宗徹 山田 洋一 佐々木 正洋
出版者
公益社団法人 日本表面真空学会
雑誌
表面科学学術講演会要旨集 第32回表面科学学術講演会
巻号頁・発行日
pp.28, 2012 (Released:2012-11-28)

Ge低指数面の中で電子移動度に優れる(111)は、電界効果トランジスタのチャンネルとして検討され、その酸化機構の解明は重要である。本研究では異なるEkによる表面酸化物の違いを放射光XPSにより調べた。Ek増加による酸素吸着量増加とそれに対応したGeの酸化成分の変化を発見した。吸着酸素の増加がGe3+形成に対して1.0 eVにエネルギー閾値を持つ活性化反応に起因することが分かった。
著者
吉越 章隆 岡田 隆太 寺岡 有殿 山田 洋一 佐々木 正洋 神農 宗徹
出版者
公益社団法人 日本表面真空学会
雑誌
表面科学学術講演会要旨集 第32回表面科学学術講演会
巻号頁・発行日
pp.27, 2012 (Released:2012-11-28)

電界効果トランジスタの新チャネル材料として、Siよりもキャリア移動度等で優れたGeが注目され、Ge酸化物とその生成機構の解明が重要となっている。本研究では、代表的な低指数面であるGe(100)-2×1表面の超音速酸素分子線(2.2eV)とバックフィリングによる室温酸化を放射光XPSで比較した。分子線による吸着曲線の変化、吸着酸素量の増加と関連する吸着サイトの違いを明らかにしたので報告する。
著者
堀本 ゆかり 山田 洋一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.G3P1576, 2009

【目的】学力向上は理学療法実践能力の獲得のために必要不可欠な要因である.先の報告で、学生の認知領域を修飾する要因は勤勉性であり,学習にあたっては抑うつが伴うが,効率を高めるためには活力が必要であることがわかった.今回は,Goldbergのチェックリストより勤勉性を観測変数として構造方程式モデリングを用い,関係の深い性格的特性の抽出を目的に分析したので報告する.<BR>【方法】対象は本校在学生290名で,平均年齢は20.69歳(±2.78)である.今回は特にI期生75名のデータを中心に解析した.<BR> 知識・技能面の指標は定期試験総合得点とし,情意領域の指標はGoldbergのチェックリストを使用し,共分散構造分析を実施した.情動の指標は気分プロフィール検査(POMS),抑うつに関する指標はSDSを使用した.<BR> 対象には、研究の主旨・方法について事前に説明し、同意を得た上で調査を開始し,統計処理に関しては個人情報の扱いに十分留意した.<BR> 統計処理は日本科学技術研修所製 JUSE-StatWorks/V4.0 SEM因果分析編を使用し解析した.<BR>【結果】まず、POMSデータより各学年の項目の分布と、4年生の定期試験成績が上位・中位・下位に分類し同様に分布を確認したところ,抑うつが高く,活力が低い傾向を示した.成績分類下位群は抑うつが高く,特に活力が低い傾向がみられた.<BR> 次にI期生のデータより観測変数である勤勉性に対するチェックリスト7項目(プラス方向の形容詞を採用)を指標として因子構造を分析した.カイ二乗検定での検定推定値は17.29,P値は0.24である.作成されたパス図の適合度判定ではAGFI0.88,CFI0.97,RMSEA0.06と比較的良好な適合度が得られた.直接効果を示すパラメータ推定値は勤勉0.84,計画性のある0.69,徹底的0.62,責任感のある0.61は比較的大きな値を示したため,最終学年への進級群と非進級群で同様にパス図を作成した.結果,勤勉は両群とも最も高い関係性を示した.進級群に対して非進級群は責任感のあるでは高く計画性のあるでは低いパラメータ推定値を示した.特に徹底的では進級群0.68に対して非進級群0.09と低い値を示した.非進級群のSDSデータでは抑うつ状態は低い傾向であった.<BR>【考察】臨床能力向上にあたっては,問題解決能力は不可欠である.臨床実習を実りのあるものにするために学内で基礎学力を向上しておくことは大きな課題である.非進級群の勤勉性に関する性格的因子では,課題を遂行しなければならないという責任感はむしろ進級群より大きかったが,計画性や徹底性の因子では勤勉性に対する関係性が弱くなっている事がわかった.この項目が低い値の学生に関しては,細かな目標設定と都度進捗状況の管理が必要であると考える.正規のカリキュラムとは別に個別指導の重要性が示唆された.
著者
山田 洋一 Antoine GIRARD 朝岡 秀人 山本 博之 社本 真一
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.401-406, 2008-07-10 (Released:2008-07-18)
参考文献数
29

Widely well-defined Si(110)-16×2 single-domain surface has been fabricated utilizing the electromigration of the surface atoms. Tuning the direction of the dc during resistive heating to that of the surface reconstruction row realizes an alignment of the rows in one direction producing a mm-wide single-domain of 16×2 structure. The fabricated single-domain shows number of useful characteristics such as a strong one-dimensionality and the surface homochirality, suggesting various applications.
著者
山田 洋一 堀本 ゆかり
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.GbPI1476-GbPI1476, 2011

【目的】理学療法士(以下PT)養成校での教育目標は、「ある程度の助言の下で基本的理学療法が行えるレベル」とされ、卒業後、所謂「一人前」と言われるレベルまでの教育は、所属施設を中心に行われている。しかし、臨床現場における教育方法に、決められた手法はない。養成校教育での教育目標はブルームによる「認知領域」、「精神・運動領域」、「情意領域」の3つの領域「Taxonomy」に分けられているが、卒後教育ではあまり使用されることはない。特に、「情意領域」は、臨床実習で重要視されている反面、卒後教育では個性として解釈されるように思われる。今回の調査では、多項選択肢、自由記載等による無記名「自己認識アンケート」と「PRESIDENT版ゴールドバーグ性格検査」を医療施設に勤務するPTに行い、臨床現場で働くPTの意識調査を行い、「性格特性」との関連に知見を得たので報告する。<BR>【方法】静岡県内の医療施設を無作為に抽出し、そこに勤務するPTに郵送で調査を行った。調査期間は平成22年10月18日から10月22日までとし、5施設67名から回答を得た(回収率:100%)。対象者の内訳は、平均年齢29.5±6.5歳、平均経験年数6.4±5.7歳(男性42名、女性25名)最終学歴は、大学院1名、大学6名、短大1名、4年生専門学校23名、3年生専門学校36名である。統計解析は(株)日本科学技術研修所 JUSE StatWorks Ver.4.0を使用し、数量化1類で解析した。<BR>【説明と同意】ヘルシンキ宣言に準拠し、対象者には本研究の意義を説明し、同意を得たうえで実施した。<BR>【結果】まず、「免許取得後、一人前と判断する経験年数」は、経験年数に関係なく、概ね10年前後と回答しているものが多かった。「自己意識で治療技術と学術面のいずれの重要度が高いか」の質問では、経験年数が低いほど「治療技術向上」の重要度が高いと回答した。さらに「論文等への興味の有無」で層別化したところ経験年数が上がるにしたがい、「興味がない」と回答した者は「治療技術向上」の重要度が増加し、「興味がある」と回答した者は「学術的向上」が増すという傾向を示していた。<BR>「PRESIDENT版ゴールドバーグ性格検査」の結果では、「神経症傾向」が高い者のほうが「治療技術」の重要度が高い傾向がみられた。また、今後の自己課題の内容を問う設問では、臨床能力・問題解決能力・教育力・折衝力・リーダーシップ力・マネジメント力のうち「外向性」が低い者ほど「問題解決能力」が課題であると回答していた。さらに、目的変数を「一人前と判断する経験年数」とし、相関係数行列で関係性の強い変数を選択し数量化1類で解析したところ、今後必要とされる要因では「教育力」、「治療技術」、「マネジメント力」、性格特性では「外向性」が選ばれた(重相関係数 0.752)。選ばれた変数の中でも特に「教育力」の分散比が大きい傾向であった。<BR>【考察】ノーマンは人間の性格特性を「神経症傾向」、「外向性」、「開放性」、「調和性」、「誠実性」の因子に収斂されるとした。この性格特性と職業適性の間には高い相関性があるとしている。我々の業務の中心は患者と向き合い、理学療法を通して医学的側面から患者の社会適応性を高めることである。しかし、それ以外に日常的にそれぞれのポジションによる管理業務や調整、採算の効率化、教育なども行っていかなければならない。今回の回答で、解析上、PTが「一人前」になるための条件として「教育力」が選択されたことは、治療技術向上だけではPTとしての完成形ではないという意識の現れであると思われる。卒後教育に多くを依存する治療技術の習熟にはある程度のトレーニング期間が必要である。日常業務の中で上質な治療技術を提供し、患者貢献に役立てたいと思う若手の焦りは当然であろう。しかしながら、専門理学療法士制度にも垣間見るように理学療法は科学的根拠に基づく治療技術のスタンダード化を求められている。根拠のある治療技術の習得の基盤は学術的実績の積み重ねであることを認識することが重要と思われる。<BR>また、若手の教育では性格特性を踏まえて、教育法を選択しキャリア構築することが重要と思われる。中堅職員の育成に向け、早期に臨床的技術・学術・性格という3要素を考慮し、職場内教育を展開することは、組織の戦略上重要な課題であると考える。<BR>【理学療法学研究としての意義】専門理学療法士制度では、臨床技術・学術の双方の能力が求められている。この数年急増している若手職員の教育の如何では、PTの質の低下は加速する事が懸念される。さらにそれは彼らが教育する臨床実習生にも波及していく。若手のリテラシーの低下が懸念されるなか、より効率的な若手教育に向け意識や要因を分析し、教授方法を検討することは急務であると考える。