著者
小林 哲郎 難波 光義 黒田 暁生 松久 宗英 山田 研太郎 今村 洋一 金重 勝博 浜口 朋也 川村 智行 佐藤 譲 高橋 和眞 丸山 太郎 西村 理明 勝野 朋幸 楠 宜樹 清水 一紀 柳澤 克之 粟田 卓也 雨宮 伸 日本先進糖尿病治療研究会
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.403-415, 2014-06-30 (Released:2014-07-02)
参考文献数
79
被引用文献数
1

最近,持続インスリン皮下注入療法(Continuous subcutaneous insulin infusion:以下CSII)と持続血糖モニタリング(Continuous glucose monitoring:以下CGM)が糖尿病の治療機器として普及しつつある.我々はCSIIおよびCGMに関する科学的根拠をもとに,これをコンセンサスステートメントとしてまとめた.CSIIでは適応,臨床効果,リスク管理など,さらに,運用法の実際的な要点,シックデイ,妊娠,食事・運動などに関する注意などについて述べた.CGMに関してもその適応と効果,糖尿病治療への活用法,注意点を述べた.CSIIおよびCGMは1型糖尿病,2型糖尿病の一部や妊娠中の糖尿病症例にも重要な臨床機器であり,このステートメントをもとに内科および小児科領域の患者教育に適応できる具体的なガイドラインの作成が望まれる.
著者
山本 詩織 秋元 真一郎 迫井 千晶 山田 研 壁谷 英則 杉山 広 髙井 伸二 前田 健 朝倉 宏
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.77-82, 2022-06-30 (Released:2022-07-07)
参考文献数
24

This study examined the thermal kinetics in wild deer and wild boar meats by low temperature cooking process as well as its bactericidal effect. The thermal processing so as to heat the inner-core of the samples at 65℃ for 15 min, 68℃ for 5 min, 75℃ for 1 min in steam convection oven exhibited faster elevation rate of the internal temperature of wild deer meat than wild boar meat, while their sterilization values after the thermal processes were estimated to be almost equal. Naturally contaminated fecal indicator bacteria were not recovered from all samples after the above-mentioned processing. Spike experiment resulted that approximately 6.6–7.8 log CFU/g of STEC O157 and/or Salmonella spp. were not recovered from the wild deer meats after the three types of thermal cooking. Thus, these data indicated aptitude of these low temperature cooking conditions to minimize the microbiological risks in the game meat.
著者
香野 修介 今村 洋一 小路 眞護 林 秀樹 山田 研太郎 野中 共平
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.1089-1094, 1998-12-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
15
被引用文献数
2

[目的] さまざまな血糖コントロールの糖尿病患者およびインスリノーマ患者に対し低血糖誘発試験を行い, インスリン拮抗ホルモン分泌動態や低血糖症状を観察し, 低血糖閾値を検討した.[成績] 1回/月以上の低血糖の既往がある群は, ない群より明らかに閾値は低下していた.また閾値上昇群 (健常者閾値平均+2SD以上) のHbA1cは閾値低下群 (平均-2SD) に比べ著明に高く, HbA1cとエピネフリン分泌閾値とは平行していた.インスリノーマ患者の低血糖閾値は著明に低下していたが術後上昇し, 逆に血糖コントロール不良者の閾値は上昇していたが約1カ月間血糖コントロールすると低下傾向となった.[結論] 低血糖閾値は持続的な高血糖により上昇し, 低血糖の既往によりそれは低下する.そして低下した低血糖閾値は低血糖を回避することで, 逆に上昇した低血糖閾値は血糖コントロールにより改善傾向へ向かうと思われる.
著者
山田 研太郎 村尾 茂雄 吉田 秀雄 中島 敏夫 吉井 町子 木村 正治 吉岡 寛康
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.1007-1011, 1981
被引用文献数
3 10

非寄生虫性脾嚢腫は希な疾患であるが,今回我々は副脾から発生したepidermoid cystの1例を経験した.症例は51才,男性.下腹部痛のため来院し腹部単純撮影で左下腹部に環状の石灰化像を認めた.疼痛は速やかに軽快したが精査のため入院.下腹部に軽度の圧痛を認めるも腫瘤は触知せず.臨床一般検査ではγ-GTPの軽度上昇以外著変なし.経静脈性腎盂造影法(IVP)で腎孟腎杯の変形なし.上部消化管透視では腫瘤は胃体部の後方に位置した. CT-scan,超音波断層で膵尾部に嚢腫を認め,血管造影で伸展した大膵動脈分枝が見られた.膵嚢腫の診断で開腹.膵尾部から突出した直径約6cmの嚢腫を認め,膵尾部・脾臓とともに切除.内容は乳白色の液体で,寄生虫,毛髪,細菌を認めず.アミラーゼ・リパーゼは低値であつた.病理所見では嚢腫壁内に脾組織の薄い層が存在し内腔を重層扁平上皮様細胞がおおつており副脾のepidermoid cystと診断した.脾epidermoid cystの成因は明らかでないが,本例では重大な外傷の既往はなく迷入組織から発生したと考えられる.脾epidermoid cystは若年者に多く石灰化は希とされている.本例の石灰化は比較的高年令であることによるものであろう.副脾は10%以上の人に存在するが検索しえた範囲では嚢腫発生の記載はなく,本例が第1例と考える.
著者
山田 研治
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州齒科學會雜誌 : Kyushu-Shika-Gakkai-zasshi (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.91-105, 1988-02-25

トノサマガエル(Rana nigromaculata)の右側舌尖部を分岐部より切断した後, 3か月から約1年間飼育した.夏期は3か月, 冬眠期間を含む場合は約1年間経過後, 切断側舌尖部に再生が認められたので, 左側の舌尖部を対照側として, 実体顕微鏡および走査型電子顕微鏡によって形態学的に, また, 再生部の感覚については生理学的に検討した.走査電顕写真をもとに, 再生部の面積, 茸状乳頭数, 単位面積当たりの茸状乳頭数を調べ対照側と比較した.再生部と対照側の感覚は再生部と対照側の舌尖部を支配する舌咽神経を残し, 他の舌体部の感覚神経を全て切断した標本を作成し, 再生側と対照側の舌尖部に触刺激と化学的刺激を加え, 舌咽神経の応答を比較した.その結果を要約すると以下のようである.1. 夏期3か月, 冬眠期を含む11か月, 12か月および13か月の各群は, いずれにも舌尖部の再生が認められた.20実験例の再生部の面積の平均値は0.9mm^2で, 対照側の舌尖部の大きさの約1/3であった.2. 再生部にも茸状乳頭が認められた.再生部の茸状乳頭数は20例の平均で25個, 対照側は39個であった.3. 20例の再生部および対照側の1mm^2当たりの茸状乳頭数は, それぞれ28.2個と15.5個で, 再生部では, 特に切断部付近に茸状乳頭が密集していた.4. 再生部と対照側の茸状乳頭の平均直径は, それぞれ9.5μmと12.2μmで, 再生部の乳頭は小さかった.また, その形が円形でないものが認められた.5. 各実験例はいずれも触刺激によく応答した.その結果は対照側と同様であった.6. 再生側は化学的刺激によく応答した.再生側の化学的刺激に対する応答は対照側舌尖部の場合と全く同じ傾向であった.7. 水刺激の場合, 刺激液の流出と同時に応答し, 刺激を止めた後にもわずかにインパルスが発生し, 消失した.0.5M NaClの場合も水と同様に刺激の開始と共にインパルスが発生し, 刺激を中止した後にも, かなり長くインパルスが発生した.また, インパルスの頻度はもっとも大であった.0.01M HClの場合, 刺激開始直後, 短期間インパルスが群発したが, 刺激中にも消失した.0.5M sucroseはインパルスが発生しない例や, 発生してもごく少数であった.0.01M quinine-HClの場合には, 頻度の低いインパルスが発生した.この場合にも刺激を中止した後にも少数のインパルスが持続した.