著者
山田 篤美
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 平成29年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.6, 2017 (Released:2017-06-30)

今日、宝石の王者はダイヤモンドである。しかし、人類 5000 年の歴史を俯瞰すると、長い間、宝石の世界に君臨してきたのはダイヤモンドではなく、真珠であったことが明らかになる。本講演では最上の宝石だった真珠の歴史をダイヤモンドと比較しながら解説する。正確を期すると真珠は鉱物ではなく、有機物の一種である。しかし、真珠は伝統的に宝石と見なされてきた。たとえば、 古代ローマのプリニウスは『博物誌』の中で真珠を最高位の宝石のひとつと位置づけている。一方、プリニウスはキュウリの種ほどのダイヤモンドも貴重視していたが、それらは工具としての実用性が評価されたもので、「宝石」としての評価ではなかった。古代ローマ人憧れの真珠であったが、その産地は多くはなかった。自然界では海産真珠貝、淡水産真珠貝が多種多様の真珠を生み出してきたが、丸く美しく光沢のある真珠を生み出す貝は、海産のピンクターダ属(genus Pinctada)の真珠貝などに限られていた。ピンクターダ属の真珠貝の中でも、真珠採取産業を成立させるアコヤ系真珠貝(Pinctada fucata/martensii/radiata/imbricata species complex)の生息地は、古代・中世においては、ペルシア湾、インド・スリランカの海域、西日本の海域ぐらいしか知られていなかった。つまり、ヨーロッパ人にとってアコヤ系真珠は、コショウ同様、オリエント世界でしか採れない貴重な特産品だった。その状況が一変したのが 16 世紀の大航海時代である。 1492 年、コロンブスはカリブ海諸島に到達し、その 6 年後、南米ベネズエラ沿岸で真珠を発見する。実はベネズエラ沖はもうひとつのアコヤ系真珠貝の産地であった。オリエントに代わる真珠の産地となったベネズエラには征服者、航海者が押し寄せ、略奪と虐殺が繰り広げられた。 16 世紀のヨーロッパは真珠の時代であり、南米の真珠がヨーロッパ王侯貴族のジュエリー、ドレスを飾ったが、その真珠はブラッド・ダイヤモンドならぬブラッド・パールであったのである。一方、ダイヤモンドについても、大航海時代になると、インドの王侯の独占が崩れ、流通が増加。 17 世紀以降のヨーロッパではブリリアント・カットが発明され、ダイヤモンドと真珠が二大宝石となっていく。しかし、 19 世紀の南アフリカのダイヤモンドの発見でダイヤの値段が暴落、真珠は再びダイヤモンドよりも希少になった……。 真珠の歴史をダイヤモンドとの関係性の中で考察すると、小さな真珠がもたらした壮大で壮絶な歴史が浮かび上がるのである。
著者
岸川 禮子 宗 信夫 井上 定三 上村 正行 家守 千鶴子 河田 賢治 栗田 建一 城崎 拓郎 竹田 和夫 野上 兼一郎 三橋 勝彦 宿久 修 山田 篤伸 奥村 康 西間 三馨 石川 哮
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.127-136, 2007
被引用文献数
1

通常の薬物治療を行っているスギ花粉症患者を対象に,カテキンより強力な抗アレルギー性を有すると報告されているメチル化カテキン含有品種べにふうき茶の飲用効果を,やぶきた茶飲用群と花粉飛散時期に比較検討した.<br> 福岡県内 12 施設の耳鼻咽喉科医院を受診したスギ花粉症患者 486 例に,単盲検法に準じてべにふうき茶飲用群(A 群)とやぶきた茶飲用群(B 群)に分けて 2005 年 2 月 1 日から毎日,スギ,ヒノキ科花粉飛散終了まで飲用させた.症状の重症度,薬剤使用量および QOL 障害度をスコア化して 2 群間内で比較した.<br> A 群と B 群との間で眼・鼻症状の日毎推移・QOL 障害度に差はなかった.しかし,スギ花粉飛散時期において合計薬剤スコアが A 群において低く,とくに飛散ピーク時期以降 A 群が B 群より低く推移する傾向が得られた (p < 0.1).<br> 花粉飛散時期に通常量のべにふうき茶を飲用することで,スギ花粉症増悪時に薬剤使用量が対照茶より少なく経過する傾向が得られたことから,補完的治療対策の 1 つの選択肢となる可能性が示唆された.<br>
著者
嵯峨山 茂樹 伊藤 克亘 宇津呂 武仁 甲斐 充彦 小林 隆夫 下平 博 伝 康晴 徳田 恵一 中村 哲 西本 卓也 新田 恒雄 広瀬 啓吉 峯松 信明 森島 繁生 山下 洋一 山田 篤 李 晃伸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.518, pp.73-78, 2003-12-12

擬人化音声対話エージェントのツールキット"Galatea"の開発プロジェクトについて報告する.Galateaの主要な機能は音声認識,音声合成,顔画像合成であり,これらの機能を統合して,対話制御の下で動作させるものである.研究のプラットフォームとして利用されることを想定してカスタマイズ可能性を重視した結果,顔画像が容易に交換可能で,音声合成が話者適応可能で,対話制御の記述変更が容易で,更にこれらの機能モジュール自体を別のモジュールに差し替えることが容易であり,かつ処理ハードウェアの個数に柔軟に対処できるなどの特徴を持つシステムとなった.この成果はダウンロード可能となっており,一般に無償使用許諾している.
著者
清家 篤 山田 篤裕
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.115-144, 1998-10-25

高齢者の引退決定過程に与える,年金,退職管理制度,就業経験,個人属性などの影響にかんする計量分析を行った。分析方法は,就業状態への生存率を被説明変数とするハザード分析である。データは,個人やその個人のかつて勤めていた企業の属性などについての情報などに加えて,個人の引退プロセスや職業経験などにかんする回顧的情報を含むマイクロデータ(財団法人高年齢者雇用開発協会『定年到達者の仕事と生活に関するアンケート調査(1992年)』)を使った。ハザード分析では,カプラン・マイヤー法によるノンパラメトリック分析と,加速モデルによるパラメトリック分析の両方を行った。主な発見事実は次のとおりである。(1)年金の受給可能性は,公的年金,企業年金,私的年金のいずれも引退時期を早める効果を持っている。しかし,その効果の大きさは各々相違している。(2)管理職・専門職等の経験は引退時期を遅らせる効果を持っている。ただしこれは学歴などをコントロールすると必ずしも有意には計測されない。定年前の退職は引退時期を早める効果を持っている。その他の退職管理をめぐる雇用慣行については必ずしも有意な効果は確認できない。(3)現在の良好な健康状態および高度な教育が,引退時期を有意に遅らせる効果をもつ一方で,就業形態のフレキシビリティーのなさは引退時期を有意に早める効果をもっている。(4)いったん会社を退職した後の休養期間は,引退の時期を遅らせる効果を持っている。これは休養による人的資本・健康資本に対する再投資効果や雇用保険受給のための自発的休養効果ではないかと推測されるが,確認には更なる分析を必要とする。
著者
越後 潔 菊地 宣史 山田 篤志 横田 和隆 尾崎 功一 山本 純雄
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会関東支部ブロック合同講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.105-106, 2002-08-29

This paper reports evaluation of gait of the legged robot for uneven terrain. In order for the legged robot to move on the uneven terrain without tumbling down, appropriate walking plan is necessary. The paper proposes a new walk planning method comprising path planning, gait planning, and trajectory planning, and quantitatively evaluates the gait generated by the proposed method.
著者
丹後 弘司 重松 敬一 大竹 博巳 山田 篤史 荒井 徳充 大竹 真一 勝間 典司 加畑 昭和 川口 慎二 黒田 大樹 小磯 深幸 河野 芳文 酒井 淳平 辻 幹雄 槌田 直 中井 保行 二澤 善紀 長谷川 貴之 横 弥直浩 吉田 明史 吉田 淳一
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究グループが作成を進めてきた、理系分野への進学を目指した高校生を対象とし、より広い立場からの高等学校と大学との連携を意識した新しい高等学校数学の実験的教科書・教材を教育現場で使用し、具体的問題を抽出しつつ改善を図る研究を進めた。研究成果としては、教科書紙面、投げ入れ的な実践で教材として用いることができるコラム、授業実践で用いた教材がある。これらの成果は、生徒・授業実践者の感想や授業観察者の評価とともに報告書にまとめ上げた。
著者
河原 達也 李 晃伸 小林 哲則 武田 一哉 峯松 信明 伊藤 克亘 伊藤 彰則 山本 幹雄 山田 篤 宇津呂 武仁 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.175-180, 1999-03-01
被引用文献数
39

「日本語ディクテーション基本ソフトウェア」は, 大語彙連続音声認識(LVCSR)研究・開発の共通プラットフォームとして設計・作成された。このプラットフォームは, 標準的な認識エンジン・日本語音響モデル・日本語言語モデルから構成される。音響モデルは, 日本音響学会の音声データベースを用いて学習し, monophoneから数千状態のtriphoneまで用意した。語彙と単語N-gram(2-gramと3-gram)は, 毎日新聞記事データベースを用いて構築した。認識エンジンJULIUSは, 音響モデル・言語モデルとのインタフェースを考慮して開発された。これらのモジュールを統合して, 5,000語彙の日本語ディクテーションシステムを作成し, 種々の要素技術の評価を行った。本ツールキットは, 無償で一般に公開されている。
著者
西尾 今日子 中島 伸介 山田 篤 田中 克己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.131, pp.309-314, 2007-06-25

知的財産として認定・登録されるには,既存のものとの差異があることが条件である.しかしその差の大小や着眼ポイントは知財の分野やそれがもつ特徴によって異なるため,既存知財データの整理は欠かせないタスクとなっている.知的財産である商標にもこれが当てはまる.そこで,本稿では商標の特徴を「画像データ」「外観データ」「言語データ」の3点から抽出し,それらの評価基準同士の相関関係と知財化容易度について述べる.