著者
武田 甲 白木 与志也 舩橋 秀登 北 宜裕 山田 良雄
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.49-52, 2013-02-05

日本における茶栽培の主要産地は関東以南であり,作什面積は平成22年度に全国で46,800ha,神奈川県では274haである(社団法人日本茶業中央会,2011)。茶栽培は鳥獣被害を受けないことなどから中山間地域における重要な作目のひとつとなっている。2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所の事故により,3月15日および3月21日に放射性物質が拡散した(青山ら,2011)。当該原子力発電所から239~310kmの距離にある神奈川県内では,葉根菜および果樹類への影響は軽徴であり,2011年3月17日に設定された食品衛生法に基づく放射性セシウムの暫定規制値である500Bqkg-1を超えた作物はなかった。しかし茶生産においては,関東地域内のほとんどの茶産地で生産された一番茶の荒茶から放射性セシウムが検出され,暫定規制値を超えた産地では出荷制限に至った(原子力災害対策本部長神奈川県知事宛通知,2011など)。これまで茶の放射能汚染に関する研究としては,1954年のビキニ環礁での水爆実験が日本の茶葉および浸出液に及ぼした影響に関する報告(河合ら,1956),チェルノブイリ原子力発電所の事故がトルコの黒海沿岸部で生産された茶に及ぼした影響に関する報告(Gedikoglu and Sipahi,1989),同地域で生産された茶葉の生物学的半減期の報告(UEnlue et. al.,1995),および 1961年~1979年に生産されたインドのアッサム茶で行われた核種別濃度推移に関する報告等がある(Lalitet. al.,1983)。また,放射性セシウムの移行係数を算出した報告(近澤・宅間,2005),汚染茶葉から抽出した放射性セシウムの挙動を砂質土で試験した報告(Yuecel and OEzmen,1995),茶樹体内での部位別の放射性セシウム濃度を調査した報告(Topcuoglu et. al.,1997)等がある。しかし,国内の茶園土壌あるいは茶樹根圏における放射性セシウム動態については詳細な検討がなされていないことから,著者らは降下後6ヶ月後(1地点)および8ヶ月以後(5地点)の神奈川県内の茶園土壌における放射性セシウムの垂直分布調査を行ったので報告する。
著者
佐藤 文隆 山田 良透
出版者
京都大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1991

我々は、超新星エジェクタの中での物質混合の数値シミュレ-ションを軸対称及び三次元で行ってきた。この現象は細かい構造の形成が現象の定性的性質にも影響し、解像度の高い計算が要求される。従って、メッシュ数の少ない三次元計算よりも軸対称を仮定したメッシュ数の多い計算の方が信頼性の高い結果が得られている。本年度は軸対称計算のより多くの異なった初期揺らぎによる計算を行い、物質混合の程度の初期揺らぎによる依存性をしらべた。その結果からエジェクタ中で起こるの物質混合の程度についての定量的な評価を数値結果から解析的に得ることに成功した。エジェクタ中に大規模な物質混合が起こるかは密度分布に急激なとびがあることが本質的である。しかし、次の点で初期揺らぎの存在する位置が重要である。超新星のprogenitorモデルには二つの密度ギャップがあるが、内側の密度ギャップに初期揺らぎが存在しても外側の密度ギャップにブラストショックが衝突したときに発生するリバ-スショックが内側の揺らぎを抑えてしまう。これはRichtmeyerーMeshkov不安定性として知られている不安定性が逆に働いているとして定量的に説明可能である。従って、外側の密度ギャップに初期揺らぎが存在することが、観測されているエジェクタ中での大規模な物質混合を引き起こすために本質的であることが明らかにされた。
著者
山田 良
出版者
環境芸術学会
雑誌
環境芸術 : 環境芸術学会論文集 (ISSN:21854483)
巻号頁・発行日
no.9, pp.53-56, 2010-03-31

自然環境における風景を、造形作品を通してどのように見せるかという考察を続ける一方、作品をつくる側として、風景を喚起させる空間とはどのような状態のものか、作品そのものが鑑賞者にとっての風景となりうるかという考察を継続している。本論では、風景を喚起させる空間インスタレーションの制作研究として、空間知覚の概念と実例を(1)動きをアフォードするインスタレーション(2)肌理・テクスチャーから解放されたインスタレーションと二つに分類し論じた。またこの概念を通じての筆者による《Pemetrate Garden》《Vertical Landscape》の二作品を報告した。今後は、素材の選択・鑑賞者との関わり方・制作方法などに関して複数の造形アプローチをパラレルに実践することで、多様な試行を継続する必要があるだろう。「風景」の知覚をもとに作品を考えることで、これまでよりさらに鑑賞者と密接な空間を成すことができると考えている。
著者
飯田 和質 平井 敏雄 富永 敏朗 津田 利雄 松田 春悦 山田 良 土田 寿 竹内 桂一 大月 恭範 大森 正弘
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.2171-2177, 1986-12-01
被引用文献数
1

概要 福井県の車集検は昭和47年より開始され、昭和49年に福井県健康管理協会が発足して全県下を一本化して実施して現在に至つている。昭和49年から昭和58年までの10年間の成績について若干の知見を得たので報告する。 福井県ぱ人口約81万人て30歳の対象婦人は昭和58年て249、392人である。受診率は昭和49年の39%から58年の62%と増加しているがまた低い。要精検率ぱ0 77〜2 02%てあり、精検受診率は86 3%〜97 7%で比較的良好な成績である。痛検出率ぱ0 08%〜03%であり、上庄内痛の検出率ぱあまり変らないが浸潤痛ぱ年毎に低下している。異型上皮は年毎に増加し、49年の0 11%に対し57年は0 35%であつた。異型上皮、上庄内痛、浸潤痛の比は49年〜53年の前半は13 17 10であり、54年〜58年の5年間ぱ61 25 10となつている。上皮内痛およひ浸潤癌発見まての受診回数てぱ子宮頭癌Ib期以上でぱ全員が初回受診時に発見されている。頭痛Ia期てぱ31人中3人が2回目て、28人ぱ初回に発見され、上庄内痛146人中126人か初回、14人が2回目、6人が3回目以上であつだ。細胞診成績てぱclass ? の72例でぱ異型上皮87%、上皮内癌56 9%、浸潤痛12 1%てfalse posltlveは22 2%てあり、class ?の51例でぱ異型上皮19%、上皮内癌45 1%、浸潤痛47 1%でfalse posltlve ぱ58%にみられた。福井県のCAIを診療検診と車検診の合計で計算し、昭和57年ぱCAI 152、 58年ぱCAI 148、 59年ぱCAI 177であつた。福井県子宮癌検診も今後は日母方式の施設検診を加えて検診者の増加をはがり子宮癌死亡0を目さして努力している。
著者
石川 捷治 出水 薫 李 弘杓 中島 琢磨 平井 一臣 木村 朗 藤村 一郎 山田 良介 木原 滋哉 黒木 彬文 中村 尚樹 李 〓京 権 赫泰 金 暎浩 金 世中 余 信鎬 徐 炳勲 李 春根 許 殷
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

朝鮮半島における1945年「8月15日」を境とする政治・社会状況の変化について、当時の人々(日本人を含めて)の証言(記憶)と記録により歴史の具体像の解明にせまる。韓国・日本・その他の歴史博物館における「8・15」の位置づけに関する調査と文献資料の収集と分析を行い、現地での韓国人や引揚者などからの聞き取り調査を交えて、研究を進めた。その結果、それぞれ「転換期」にある韓国・日本の「歴史認識」の位相について明らかにすることができた。