著者
山路 敦
出版者
日本情報地質学会
雑誌
情報地質 (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.3-12, 2001 (Released:2001-12-27)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

多数の点を単位球面上に一様密度で配置するための諸方法を説明する。そうした配置をする点の集まりである一般化螺旋集合を解説し、任意個数の点からなる同集合を生成するソフトウェアGSS Generatorを紹介する。
著者
楠橋 直 安藤 友一 谷 健一郎 松原 尚志 栗田 裕司 奈良 正和 山路 敦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.128, no.1, pp.411-426, 2022-12-29 (Released:2022-12-29)
参考文献数
71
被引用文献数
3

四国北西部に分布するひわだ峠層は,三波川変成岩類上に載る最古の地層として知られ,しばしば三波川変成岩類の地表への露出年代を制約するために使われる.しかしながら,同層に関する先行研究は少なく,同層と三波川変成岩類との関係すらも明確には記載されてこなかった.そこで本研究では,同層の全貌を明らかにすることを目的とし,地質調査と砕屑性ジルコンのU-Pb年代測定をおこなった.ひわだ峠層は,層厚100 m以上の浅海成層で,石灰質および非石灰質な礫岩・砂岩により構成される.産出する海棲生物化石と砕屑性ジルコンのU-Pb年代から,その堆積年代は中期始新世のLutetian期前期であると推定される.また,同層は基盤の三波川変成岩類を無整合に覆い,また上位の久万層群によって傾斜不整合で覆われている.したがって,少なくとも四国地方の三波川変成岩類は,中期始新世初めまでには地表に露出していたと考えて良い.
著者
小林 博文 山路 敦 増田 富士雄
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.5, pp.286-299, 2005 (Released:2005-09-01)
参考文献数
44
被引用文献数
16 15

能登半島輪島地域の下部中新統は,扇状地成ないしファンデルタ成の砕屑岩層からなり,浅海成ないし広大な湖の浅部で堆積した薄層を数層準に挟む.積算層厚が1800 mを越えるこの地層中には傾斜不整合が複数認められ,それらによって層序が区分される.複数の鍵層を追跡することにより,地質図規模の正断層が推定された.また,頻繁にみられる小断層は,様々なトレンドの斜めずれ正断層を主とする.規模の異なるこれらの断層は,ともに東-西ないし北東-南西方向の伸長変形を示す.しかしこの地域の中部中新統以上の海成層には同様の変形がみられない.したがってこれは,前期中新統の堆積時の変形であったと考えられる.この伸長方向は能登半島北東部から報告されたグラーベン群の示唆する伸長方向と直交するが,半島西側の海域で発見された下部中新統のグラーベン群のそれとは調和的である.このことから日本海拡大時,西南日本は複雑なブロック化をしつつ移動したらしい.
著者
尾池 和夫 JO 華龍 金 性均 慶 在福 全 明純 大倉 敬宏 久家 慶子 中西 一郎 入月 俊明 秋元 和実 山路 敦 鈴木 康弘 渡辺 満久 岡田 篤正 KIM Sung-kyun JUN Myang-soon JO Wha-ryong KYUNG Jai-bok
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

韓国南東部の梁山断層は,ほぼ北北東-南南西方向に約200kmにわたって走り,顕著な破砕帯を伴っている.この断層系において活断層変位地形を野外調査し,その主断層についてトレンチ掘削を実施した.この断層は河成段丘面群とその構成層を変位させ,東側の相対的隆起を伴う右横ずれの活断層であることを確認した(岡田ほか,1994).蔚山郡彦陽南方では,大規模な宅地開発が進められているので,その用地を利用して,主断層に伴われる地殻運動やそれ並行すると推定した副断層について多くのトレンチ調査を行った。こうした調査から,次のような事柄が判明した.彦陽南方の台地(高位面)は北東流していたかつての酌川川が形成した扇状地であり,初生的には北東へ傾いていたはずであるが,トレンチ地点付近では西方へ逆傾斜している.掘削調査の結果,高位面を構成する礫層が撓曲変形を受けていることが判明した.この高位面の撓曲による上下変位量は約5mである.いくつかの断層は認められたが,地表面まで切断するものは見当たらなかった.梁山断層の平均変位速度や高位段丘の形成時期を解明する必要があるので,梁山断層が通過する彦陽地域から太和江沿いに河成段丘面を追跡し,海成段丘面との関係を調べ,段丘面編年に関する資料を得るように努めた.それらの結果は,次のように要約される.河成段丘面はfH面群(fH1面・fH2面)・fH面群(fH1面・fM2面)・fL面群(fL1面〜fL3面)に,海成段丘面はm1面〜m3面に区分できる.海成段丘の旧汀線高度は,それぞれ53.3m・18.7m・3.4mである.fH面群やfM面群には赤色風化殻が形成されており,とくにfH面群で顕著である.fL面群の構成層は新鮮でほとんど風化していない.各河成段丘面は滑らかに蔚山湾周辺まで連続する.蔚山湾周辺では,fH2面は+10mの位置へ,fH1面は数mの位置へと連続してゆく.fL1面は下流部で沖積面下に埋没し,蔚山湾周辺での推定高度は-10mである.こうした資料からみて,fM1面が最終間氷期直前の氷期に,m2面が最終間氷期に形成された可能性が高い.fH面群はそれ以前の海面低下期に,m1面は最終間氷期以前の高海面期に形成されたと推定できる.南北〜北北西-南南東走向の蔚山断層系(延長約40km)は慶州市付近で梁山断層系に会合するが,この中央部に沿っても活断層変位地形の存在と,段丘堆積物を変位させる断層露頭が確認された.この特徴や関連現象について調べ,次のような事柄が判明した.蔚山断層系の断層線は著しく弯曲している.断層露頭表現や地形面の変形状態とから考えると,この断層の活動様式は典型的な逆断層である.第四紀後期に形成された地形面や堆積物が明瞭に変位を受けているので,蔚山断層は明らかに活断層である.この断層は高位段丘面を15m,中位段丘面を5m,上下方向へ変位させており,累積的な変位が認められる.断層崖や段丘面の変位方向からみて,東側の山地域が少なくとも第四紀の中ごろから継続的に隆起している.蔚山断層に沿って,明瞭な断層露頭が2ヶ所で観察された.末方里集落東方にある寺谷池北岸では,破砕した花崗岩が地形面を構成する礫層に,走向:ほぼ南北で,傾斜:25-30°Eの衝上面をもって接している.露頭上部では,上盤の花崗岩を被覆する礫層と砂礫層・腐植質層が急斜・逆転している.数本の断層が伴われ,幅数10cmの断層帯となっている.開谷里集落北東方の淵安川河床でも,やや風化した礫層の上に花崗岩が衝上している.末方里集落東方では,中位面を構成するシルト質層が液状化作用を受けて変形し,堆積直後の大地震発生を示唆する.その再来時間については,堆積物や地形面の年代解明を現在行っており,それらの結果を待って評価したい.こうした南北方向の逆断層性活断層の存在は,当域もほぼ東西方向の広域応力場に置かれていることを示唆する.これは北北東-南南西方向の梁山断層系が右ずれを示すこととも符号し,同じ応力場にあることを意味する.また,浦項市付近には,海成中新統が分布していることから,中新世以降の梁山断層の運動像を解明するために,地質調査を実施した.
著者
山路 敦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.1, pp.31-40, 2017-01-15 (Released:2017-04-18)
参考文献数
21
被引用文献数
2
著者
大坪 誠 山路 敦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.116, no.11, pp.615-623, 2010 (Released:2011-03-02)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

2007年新潟県中越沖地震に関する被害調査を実施した.SAR干渉結果で隆起が明らかになった小木ノ城背斜において地表変形の有無および道路の亀裂に注目し,亀裂調査結果,地震時の地殻変動,地質構造の比較を行った.本背斜では道路の舗装を明瞭に破る地表面の断層変位にともなう変形が認められない.本背斜翼部で認められる層面すべり断層はflexural-slipに調和的な活動を示すが,中越沖地震による本背斜の成長に伴う層面すべり断層の活動は認められない.道路亀裂被害は,8 cm以上の隆起域では地盤の流動や変形を伴わない地点で開口亀裂が卓越し,背斜軸部および東翼部などの地域では,盛土の側方流動,人工埋設部での陥没,道路法面の崩落および斜面滑動が発生している地点で開口亀裂が認められる.8 cm以上の隆起域で認められる開口亀裂は地盤の隆起によるのに対して,それ以外のものは地震動の揺れによると考えられる.
著者
山路 敦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.107, no.7, pp.461-479, 2001-07-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
107
被引用文献数
10 8

地殻応力の評価は, テクトニクスを理解するうえで鍵になる.また, 応用地質的な価値も高い.ところが, その手法として普及している共役断層による小断層解析は, 間違った答えをだすことが多い.それにかわって, 3次元的応力歪みを許容する小断層解析法がここ30年間に幾つも開発されてきた.新手法の開発とともに適用可能な野外の対象も拡大するので, フィールド調査と方法論的な研究が両輪をなして進んできたわけである.代表的な方法がインバージョンによる応力推定である.しかし, それは複数の応力を記録しているデータセットからそれらの応力を分離する能力にとぼしいが, その能力のある方法の開発も試みられている.未解決の方法論的問題が少なからずあるので, 今後も手法の開発とフィールドへの適用という2面で研究が進展していくだろう.
著者
山路 敦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.6, pp.275-286, 2016-06-15 (Released:2016-08-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1 3
著者
羽地 俊樹 山路 敦 仁木 創太 平田 岳史
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.125, no.12, pp.867-785, 2019-12-15 (Released:2020-03-26)
参考文献数
56
被引用文献数
7

近畿のグリーンタフ地域に分布する下・中部中新統の八鹿層と豊岡層の年代は八鹿層最下部が21.5Ma頃,豊岡層の上部が17~16.5Ma頃としかわかっていない.その間に500万年もの堆積年代が不明な期間あった.しかしその期間には,古地磁気回転と大規模な海進が起こったとされており,この堆積年代の欠如を埋めることがテクトニクスを論ずる上で重要な課題であった.そこで我々は,但馬妙見山東方の八鹿層中部から新たに見出した凝灰岩でジルコンU-Pb年代測定を行った.25粒子の測定結果のうち,統計的に除外された1粒子を除く24粒子から,19.38±0.23Maの加重平均値を得た.この結果,八鹿層の堆積と安山岩質火山活動は,19.4Ma以降まで続いたことが明らかとなった.また,本地域の古地磁気回転と海進の時期は19.4~16.5Ma頃に制約され,他のグリーンタフ地域と大差ない時期に起こったことになる.

1 0 0 0 OA 岩脈法発展史

著者
山路 敦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.6, pp.335-350, 2012-06-15 (Released:2012-11-07)
参考文献数
160
被引用文献数
4 9

岩脈は最小主応力軸と直交する面に形成されるという考えを,初めて論文に記したのはStevens(1911)である.そして,その考えに依拠して,Anderson(1942)以来,特に1970年代以降,岩脈の方向から貫入時の最小主応力軸が推定されてきた.いわゆる岩脈法である.四半世紀前には,岩脈形成と応力との関係について新たな定式化がなされ,以来,それにもとづく新しい岩脈法が構築されつつある.それは,既存断裂あるいは新たな断裂であれ,その面に作用する法線応力よりマグマ圧が高ければ貫入できるという原理に立脚し,3本の主応力軸と応力比を決定する.最近は,複数の応力時階で形成された岩脈群が混じったデータから,複数の応力状態が検出できるようになり,また,個々の岩脈がどの応力状態でできたか分かるようにもなった.新旧の岩脈法の方法論について,発展史を解説する.
著者
羽地 俊樹 山路 敦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.12, pp.1049-1054, 2017-12-15 (Released:2018-03-28)
参考文献数
35
被引用文献数
5

Saruodaki Falls, which is about 60 m high, is one of the highlights of the San'in Kaigan Geopark, northern Hyogo Prefecture, SW Japan. The quartz diorite exposed at the falls has previously been thought to represent a wide dike. However, we found that it is a laccolith with a horizontal diameter of <4 km and a thickness of >100 m. The base of the laccolith is not exposed. The host of the intrusive body consists of a lower Middle Miocene shaley formation, which is subhorizontal in this region. However, the formation makes a culmination centered by the body. In addition, the interface between the shaley formation and the diorite is concordant with the domal structure of the surrounding shale. Fracture patterns observed at the falls suggest that the laccolith is a composite sill made up of at least four sheets. Fission-track and U-Pb dating of zircon from the lower part of the laccolith yields ages of 15.7±1.2 Ma and 16.1±1.4 Ma, respectively. These ages are concordant with fossil data from the host rocks.
著者
吉田 武義 村田 守 山路 敦
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.42, pp.297-349, 1993-04-30
被引用文献数
13

The Tertiary Ishizuchi Cauldron, in the Setouchi volcanic belt of middle Miocene age in northwestern Shikoku, is 7-8 km in diameter and includes outer and inner ring fractures, inward dipping andesitic to dacitic welded tuffs, granodioritic to adamellitic central plutons, and andesitic to rhyolitic ring fault complexes (Yoshida, 1984). Major element chemistry suggests that the granodiorite and adamellite, as well as the volcanic rocks composing welded tuffs and ring dykes, form a comagmatic series. These volcanic and plutonic rocks, however, show two contrastive trends in some trace elements causing zircon and alkali feldspar bearing fractionation at lower temperature for plutonic rocks. The compositional zoning from porphyritic intermediate composition rocks to aphyric silicic rocks with similar assemblage and relative proportion of phenocrystic minerals suggests the importance of fluid separation from porphyritic magma during intrusion, along with possible phenocryst settling in the reservoir. Mineral assemblage and major geochemical criteria show that the intermediate composition rocks and silicic aphyric rocks belong to I-type and W-type (Murata & Yoshida, 1985a) granites, respectively. The MORB normalized patterns of those rocks including high-magnesian andesites from the Setouchi volcanic belt indicate that those magmas are derived from subduction zone with a contribution of incompatible element-enriched upper mantle, that is, from sub-continental upper mantle source at active continental margin. The Ishizuchi Cauldron formed by the eruption of voluminous pyroclastic flows, accompanied by caldera collapse along ring fractures and by intrusion of the same magma along the underground cauldron fractures that formed in the subsiding block. The change in fracture pattern from upward opening cone to concave-upward subsidence faults implies the rotation of the maximum stress axis from vertical to horizontal, owing to eruption of magma from the magma chamber and caldera collapse into the upward opening cone. Intrusion of silicic magma into concave-upward sheets from ring dikes produced resurgent doming of the upper part of the subsided block. In middle Miocene of the Southwest Japan, just after the end of the opening of Japan Sea, the direction of the maximum horizontal compressional stress changed from EW-trend to NS-trend. At the same time, Southwest Japan uplifted being compressed normal to the arc, and volcanic field rapidly extended to the south beyond the Median Tectonic Line. The Ishizuchi I-type and W-type granitic rocks at the northern end of the Outer Zone of Southwest Japan might be derived by orthopyroxene and plagioclase fractionation from mantle-derived K-rich high Mg andesitic magma. On the contrary, the I-type granitic rocks from the northern side of the Butsuzo Tectonic Line (BTL) and the S-type granitic rocks from the southern side of BTL are considered to be produced by partial melting of lower crust at a depth of about 20 km (Murata, 1984). The I-type granites were probably generated by partial melting of Ca-amphibole and plagioclase bearing intermediate igneous and/or metaigneous rocks, and the S-type granites formed biotite and orthoclase bearing rocks (Murata & Yoshida, 1985a). And, the A-type granitic rocks which derived from deep source occurat the southern end of the Outer Zone (Murakami et al., 1989). The distribution of those granitic rocks mainly controlled by the heterogeneity of source materials with different isotopic compositions at the lower crust to upper mantle and their thermal structure. The estimated regional heterogeneity of the source region of the magmas is compatible with the present seismic wave velocity structure in the Outer Zone of Southwest Japan. The middle Miocene igneous activities at the Setouchi and the Outer Zone of Southwest Japan might be triggered by the subduction of hot mantle region. Plate reconstruction at the middle Miocene of the Southwest Japan has done.
著者
大西 克彦 田中 悠策 足立 尚寛 山路 敦司
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2014-EC-32, no.10, pp.1-2, 2014-05-30

民族楽器を展示している博物館では,来場者に展示物の背景知識をさらに知ってもらうために展示楽器に触れ実際に音を鳴らすことができる展示をしている.しかし,それらの楽器が奏でるリズムを来場者が再現して実際のリズム演奏を体験することは難しい.そこで本研究では,これらの民族楽器が奏でる音楽の多様性を来場者に容易に体験させることを目的として,マーカとタブレット端末を用いたリズム演奏システムについて検討している.具体的には,様々な楽器のリズムに対応したマーカをタブレット端末上で表示させることで,容易に民族楽器を組み合わせたリズム演奏できるシステムについて検討する.本稿では,システムの試作と実際にワークショップを行った結果について報告する.