- 著者
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山下 裕
黒岡 武俊
- 出版者
- 奈良先端科学技術大学院大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2000
本研究では、微分・代数方程式(以下、DAE, differential-algebraic equation)で与えられた非線形システムの制御系設計問題について研究した。非線形の場合、線形のディスクリプタ形式と異なり行列演算だけで冗長度の無い常微分方程式系に変換することができず、非線形代数方程式を解いて冗長度を消去する作業は一般に困難である。そこで、本研究では非線形代数方程式を解くことなく、冗長度を持ったまま制御系設計を行う方法を示した。まず、index 1のDAEシステムに対し、入出力線形化・オブザーバ設計を行った。その際の大域的安定化条件を示した。そこでは冗長度が消えるように、オブザーバのダイナミクスにおいて代数方程式からなる不変多様体に有限時間整定する設計を採用した。次にhigh indexを持つ系に対し、インパルスモードを持つ場合を含めて、冗長な常微分方程式系に変換する方法を2つ示した。一つは、インパルスモードの数に応じた積分器を入力に付加し代数方程式を順次微分する方法である。もう一つは、状態フィードバックを用いるKumarらのrugularizingを改良した方法である。オブザーバを使う場合は、必然的に前者の方法を使わざるを得ない。これを用いてindex 1のDAEシステムと同様にhigh index DAEシステムに対し、入出力線形化・オブザーバ設計を行った。入出力線形化は冗長常微分方程式系に対してそのまま設計すればよい。入出力線形化に限らず、可制御性を要求しない制御手法であれば適用できるであろう。しかし、冗長常微分方程式系に対してオブザーバを設計すると、設計条件が厳しくなる。そこで、index 1の手法をhigh index DAEシステムに対し拡張し、さらに、付加積分器の状態変数が既知であることを用いて、設計条件を緩和した。得られたオブザーバは冗長な全ての状態量を推定し、かつ代数方程式の拘束を有限時間で満たすように動作する。