- 著者
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岩井 八郎
- 出版者
- 京都大学大学院教育学研究科
- 雑誌
- 京都大学大学院教育学研究科紀要
- 巻号頁・発行日
- vol.67, pp.99-121, 2021-03-25
戦時体制下において, 女性の教育機会は拡大し労働力需要も著しく高まったが, その一方で出産力と家族を維持するための政策も次々と打ち出された.本稿は, 「職業移動と経歴調査(女子調査), 1983」の再分析によって, 戦時体制が女性のライフコースに与えた影響を明らかにしている.分析では, 1913-20年出生, 1921-25年出生, 1926-30年出生の3つの出生コーホートについて, 学歴別に人生パターンを比較している.分析結果として, 1921-25年出生の10代後半から20代前半に戦時体制の影響が強くあらわれていた.とりわけ中等教育卒の中で, 20歳までに事務職が急増し, それが25歳までに急減している点が重要である.高度成長期以降, M字型就業パターンは日本人女性のライフコースの特徴とされてきた.本稿は, 20代半ばまでのパターンの原型が戦時体制下で中等教育を終え就業した若い女性層に登場したと論じている.# ja