著者
加藤 隆弘 松島 敏夫 瀬戸山 大樹
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.7-12, 2023 (Released:2023-03-25)
参考文献数
30

うつ病など精神疾患をもつ患者が発症初期から精神医療機関を受診することはまれであり,適切な精神医療の導入は遅れがちである。他方,こうした患者は身体症状のために身体科を受診していることがまれではない。しかるに,筆者らは精神科以外でも実施可能な採血による血液バイオマーカーの開発が,精神疾患の早期発見・早期介入につながることを期待して,血液を用いた精神疾患の客観的バイオマーカー開発を進めている。本稿では,血液メタボローム解析について概説し,うつ病やひきこもりに関連した研究の成果を紹介する。筆者らはこれまで抑うつ重症度と3ヒドロキシ酪酸,自殺とキヌレニン経路代謝物,ひきこもりとアシルカルニチン/アルギニンとの関連を萌芽的に見いだしてきた。こうした研究の発展により精神疾患を採血で客観的に生物学的に評価できるシステムが構築されることで,精神疾患の早期発見・早期介入の実現に加えて精神疾患への偏見解消が期待される。
著者
中島 敏夫
出版者
愛知大学国際コミュニケーション学部
雑誌
文明21 (ISSN:13444220)
巻号頁・発行日
no.33, pp.23-43, 2014-12-20
著者
島 敏夫
雑誌
福山大学経済学論集
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.71-80, 2007-10
著者
久田 四郎 羽土 妙子 中島 敏夫
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.76-80, 1960

In mice fed on a vitamin B_6 deficient diet, even in the cases which had no remarkable symptoms of the deficiency, the activity of brain glutamic acid decarboxylase was markedly low. In rats, however, the amounts of glutamic acid, γ-aminobutyric acid and aspartic acid in the brain were not affected by vitamin B_6 deficiency. Addition of chlorpromazine to a cell-free preparation of the brain homogenate caused an increase of the enzymatic activity. The amount of brain glutamic acid decreased by an administration of chlorpromazine, while the substance exerted no effect on the amounts of γ-aminobutyric acid and aspartic acid. In vitamin B_6 deficiency, the hypnotic effect of chlorpromazine was lowered markedly in both mice and rats. These results were discussed in the point of view of central depression due to decarboxylation of glutamic acid in the brain.
著者
山田 研太郎 村尾 茂雄 吉田 秀雄 中島 敏夫 吉井 町子 木村 正治 吉岡 寛康
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.1007-1011, 1981
被引用文献数
3 10

非寄生虫性脾嚢腫は希な疾患であるが,今回我々は副脾から発生したepidermoid cystの1例を経験した.症例は51才,男性.下腹部痛のため来院し腹部単純撮影で左下腹部に環状の石灰化像を認めた.疼痛は速やかに軽快したが精査のため入院.下腹部に軽度の圧痛を認めるも腫瘤は触知せず.臨床一般検査ではγ-GTPの軽度上昇以外著変なし.経静脈性腎盂造影法(IVP)で腎孟腎杯の変形なし.上部消化管透視では腫瘤は胃体部の後方に位置した. CT-scan,超音波断層で膵尾部に嚢腫を認め,血管造影で伸展した大膵動脈分枝が見られた.膵嚢腫の診断で開腹.膵尾部から突出した直径約6cmの嚢腫を認め,膵尾部・脾臓とともに切除.内容は乳白色の液体で,寄生虫,毛髪,細菌を認めず.アミラーゼ・リパーゼは低値であつた.病理所見では嚢腫壁内に脾組織の薄い層が存在し内腔を重層扁平上皮様細胞がおおつており副脾のepidermoid cystと診断した.脾epidermoid cystの成因は明らかでないが,本例では重大な外傷の既往はなく迷入組織から発生したと考えられる.脾epidermoid cystは若年者に多く石灰化は希とされている.本例の石灰化は比較的高年令であることによるものであろう.副脾は10%以上の人に存在するが検索しえた範囲では嚢腫発生の記載はなく,本例が第1例と考える.
著者
広瀬 秀顕 井上 謙一 一條 宏 小金澤 紀子 大場 健嗣 大原 慎也 筧 慎治 飯島 敏夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.265-271, 2004-04-01

脳神経細胞集団の動態をいかにとらえ,どこまで解析できるかが今後の高次脳機能研究展開の成否を左右するといってもよいかもしれない.現在,種々の手法を用いてその取組みが精力的になされている.方法はおおむね2群に分かれる.すなわち神経の膜電位や膜電流変化などの計測により,神経活動そのものをとらえる方法と,神経活動に伴う脳内の代謝性シグナル変化を計測して,脳活動を間接的に測定するものである.短時間のうちに時間的,空間的に大きく変動する神経活動のダイナミックスをとらえ,解析するには前者の,脳活動の一次シグナル計測が主体となる.
著者
金光 桂二 中島 敏夫 肘井 直樹
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

本研究は、養菌性キクイムシとその共生菌、および穿入樹木の3者間の相互関係の解析を通じて、昆虫と菌との共生の機構を解明することを主たる目的として行われたものである。同一地域(愛知県北東部)に生息する2属4種の養菌性キクイムシ(ミカドキクイムシ(Scolytoplatupus mikado)、サクキクイムシ(Xylosandrus crasーsiusculus)、クスノオオキクイムシ(X.mutilatus)、ハネミジカキクイムシ(X.brevis)の生態を調査し、さらに坑道内および虫体上の胞子貯蔵器官(mycangia)内の菌相を分離試験により明らかにした。また、キクイムシの生育に伴う菌相の変遷とそれらの形態上の変化を明らかにするため、走査型電子顕微鏡(SEM)による直接観察も併せて行なった。本研究で新たに得られたおもな知見は、以上の通りである。1.養菌性キクイムシの材内生存率、穿入材サイズと坑道内産卵数との間にはそれぞれ正の相関関係が成立し、繁殖に好適な衰弱木や枯死木が量的に増加することによって、個体数を急激に上昇させる可能性を持つ。2.養菌性キクイムシの主要栄養源となる共生菌(PAF)は、種特異的なAmbrosiella属の菌であり、穿入樹種ごとに異なった酵母類は、副次的共生菌(AAF)と考えられた。3.養菌性キクイムシがmycangiaに共生菌を取り込む時期は、羽化直後の未成熟成虫期と考えられる。4.本結果で明らかにされた潜在的な繁殖力の大きさと、木質そのものに依存しない生存様式から判断して、4種の養菌性キクイムシとアンブロシア菌との間にみられた繁殖サイクルは、キクイムシ側にとってのより栄養価の高い食物資源の安定的供給と、菌側にとっての選択的な胞子の保護、確実な分散による生息域の拡大という相利共的関係を裏付けるものである。