著者
島 義弘
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.75-84, 2010-01-31 (Released:2010-02-28)
参考文献数
26
被引用文献数
5 3

本研究では,愛着の内的作業モデル(“不安”と“回避”)が対人情報処理に与える影響を,語彙判断課題を用いて検討した。実験参加者は大学生64名であった。“反応のずれ”(ネガティブ刺激に対する反応時間からポジティブ刺激に対する反応時間を減じた値)を従属変数とした階層的重回帰分析の結果,(1) 対人関係関連語において“反応のずれ”は“回避”からの有意な影響を受けていた。また,(2) 対人関係関連語の“反応のずれ”は“不安”と“回避”の交互作用の影響も受けていた。これらの効果は“不安”と“回避”の双方が高い場合に最も顕著であった。このことから,対人関係に関連した情報の処理は愛着の内的作業モデル,特に“回避”の影響を受けることが示唆された。しかしながら,(3) パーソナリティ関連語においては,“反応のずれ”は“不安”と“回避”のどちらの影響も受けていなかった。最後に,今後の方向性について議論された。
著者
嶋田 進 大澤 輝夫 往岸 達也 菊島 義弘 小垣 哲也 川口 浩二 中村 聡志
出版者
一般社団法人 日本風力エネルギー学会
雑誌
風力エネルギー (ISSN:03876217)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.A_29-A_35, 2014

Vertical wind speed profiles near the coast were observed using a Doppler Light Detection and Ranging (LIDAR) system at the Hazaki Oceanographical Research Station (HORS) from September 17 to 26, 2013. In order to investigate the impact of atmospheric stability, wind profiles observed at HORS were compared with a log profile model (theoretical wind profile model), which did not consider atmospheric stability. The wind shear was smaller in the observed profiles when the wind came from sea to land, and larger when it came from land to sea. It was also found that the wind profiles included an obvious diurnal cycle when the wind came from land to sea. The results for this study indicate that atmospheric stability is a significant factor when determining the coastal wind profiles, not only when the wind comes from sea sectors, but also from land sectors.
著者
島 義弘 福井 義一 金政 祐司 野村 理朗 武儀山 珠実 鈴木 直人
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.75-81, 2012 (Released:2012-11-20)
参考文献数
26
被引用文献数
4

This study examined the effects of internal working models of attachment on cognition about emotion in facial expressions. Ninety-five university students participated in a survey and an experiment. The results revealed that (a) effects of internal working models of attachment emerged when there were discrepancies between facial expressions and the emotions that should be rated, (b) “anxiety” did not affect the rating scores or reaction times, and (c) participants who scored high in “avoidance” needed more time to judge the absence of emotions in facial expressions. These results indicate that the dimension of “avoidance” affects automatic information processing.
著者
島 義弘
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.260-267, 2014 (Released:2016-09-20)
参考文献数
40
被引用文献数
1

親の養育態度は子どもの社会的適応に影響を与えている。これまでに,親の養育態度の認知が子どものアタッチメントに影響を与えること,及び子どものアタッチメントが自身の社会的適応に影響を与えることが示されていることから,本研究では親の養育態度と子どもの社会的適応の関連が内的作業モデルによって媒介されているというモデルを設定し,大学生191名を対象とした質問紙調査を行った。その結果,親のケアを低く評価しているほど内的作業モデルの“回避”が高く,親を過保護であると認知しているほど内的作業モデルの“不安”が高かった。さらに,内的作業モデルの“不安”が高いほど個人的適応の指標である自尊感情が低く,対人的適応の指標である友人関係における“傷つけられることの回避”が高かった。また,“回避”が高いほど自尊感情が低く,友人関係における“自己閉鎖”と“傷つけられることの回避”が高かった。以上のことから,親の養育態度をネガティブに評価していることが不安定な内的作業モデルにつながり,内的作業モデルが不安定であることが社会的適応を困難にするというモデルが成立することが示された。
著者
島 義弘 福井 義一 金政 祐司 武儀山 珠実
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.28-36, 2013-10-25 (Released:2014-02-21)
参考文献数
34

This article was retracted.
著者
三原 直人 奥村 諭 小島 義弘 松田 仁樹
出版者
無機マテリアル学会
雑誌
Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan (ISSN:21854378)
巻号頁・発行日
vol.13, no.320, pp.51-58, 2006-01-01 (Released:2011-03-07)
参考文献数
7

Effect of Fe2O3 on reductive decomposition of gypsum was investigated. The experiments were carried out by employing CaSO4 powder of the mean particle size of 80, um which was mixed with 150 mass% Fe2O3, under CO : 2%-CO2 : 30%-N2 : balance and CO : 10%-N2 : balance atmosphere at 1273 K, in a gas-flow type tubular reactor. Furthermore, SO2 absorption characteristic of CaO thus regenerated from CaSO4-Fe2O3 mixture by CO reductive gas was studied.It was found that the rate of reductive decomposition of CaSO4 was drastically enhanced by addition of Fe2O3. Moreover, the formation of CaS was inhibited by the addition of Fe2O3. Calcium ferrite such as 2CaO.Fe2O3 was detected in the reaction product after reductive decomposition of the mixture of CaSO4-Fe2O3. As the result of SO2 absorption experiment, it was found that CaO regenerated. from CaSO4-Fe2O3 by CO reductive gas had a lower SO2 absorption performance than CaO regenerated from CaSO4. due to a decrease in Dore volume.
著者
島 義弘
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.260-267, 2014

親の養育態度は子どもの社会的適応に影響を与えている。これまでに,親の養育態度の認知が子どものアタッチメントに影響を与えること,及び子どものアタッチメントが自身の社会的適応に影響を与えることが示されていることから,本研究では親の養育態度と子どもの社会的適応の関連が内的作業モデルによって媒介されているというモデルを設定し,大学生191名を対象とした質問紙調査を行った。その結果,親のケアを低く評価しているほど内的作業モデルの"回避"が高く,親を過保護であると認知しているほど内的作業モデルの"不安"が高かった。さらに,内的作業モデルの"不安"が高いほど個人的適応の指標である自尊感情が低く,対人的適応の指標である友人関係における"傷つけられることの回避"が高かった。また,"回避"が高いほど自尊感情が低く,友人関係における"自己閉鎖"と"傷つけられることの回避"が高かった。以上のことから,親の養育態度をネガティブに評価していることが不安定な内的作業モデルにつながり,内的作業モデルが不安定であることが社会的適応を困難にするというモデルが成立することが示された。
著者
島 義弘 上嶋 菜摘 小林 邦江 小原 倫子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.36-43, 2012-03-20 (Released:2017-07-27)

母親は母子相互作用において,子どもへの関わりを決定する際に多様な情報を使用していることが示されている。本研究では,母親が使用する情報が母親自身の内的作業モデルによってどのように異なるのかを検討した。第1子が9ヶ月の母親29名を対象として,質問紙調査と自子以外の乳児が映った映像を刺激として用いた面接調査を実施した。質問紙では,"不安"と"回避"の2次元の内的作業モデルを測定した。映像刺激は3ヶ月児と9ヶ月児が映った15秒のビデオクリップ各5つであり,これらを視聴した後に何に着目して子どもへの関わりを決定するのかを尋ねた。母親の回答を「乳児の情動」「乳児の行動」「母親の主観性」「育児経験」「周囲の環境」の5カテゴリーに分類した上で,内的作業モデル("不安"と"回避"の2因子)を説明変数とした回帰分析を行ったところ,3ヶ月児のビデオクリップに対しては,"不安"が高いほど,また"回避"が低いほど「乳児の行動」への言及が多かった。一方,9月見のビデオクリップに対しては"不安"が高いほど「乳児の情動」への言及が多く,"回避"が高いほど「母親の主観性」に基づいた言及が多くなる傾向が認められた。以上の結果から,母親自身の内的作業モデルの違いによって母親が使用する情報は異なり,"不安"が高いほど乳児に起因した情報を多く使用し,"回避"が高いほど乳児に起因した情報から注意を背ける傾向があることが示された。
著者
島 義弘
出版者
鹿児島大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

内的作業モデルの個人差が情報処理(表情認知)にバイアスを生じさせ,情報処理(表情認知)バイアスが社会的適応に影響を与えるという仮説の検証を行った。最初に表情認知の個人差を測定するための刺激セットの作成を行った。続いて,この刺激セットを用いた実験と,内的作業モデルと社会的適応を測定するための調査を行った。その結果,内的作業モデルが不安定であるほど(1)ネガティブ表情の判断が速く,(2)実際とは異なるネガティブな情動が表出されていると判断しやすい,(3)ネガティブ情動の読み取りが多いほど適応感が低い,という傾向が認められた。
著者
佐治 文隆 木村 正 大橋 一友 松崎 昇 鮫島 義弘 古山 将康
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

ヒト初期胚の着床過程において、初期絨毛と子宮内膜細胞の相互作用について検討した。(1)子宮内膜細胞における細胞外マトリックスとこれを分解するプロテアーゼ(MMP)子宮内膜細胞におけるMMPの発現を期質含有ポリアクリルアミド電気泳動法を用いて検討し、72KDと92KDゼラチナーゼの発現パターンが性周期によって変化していることを明らかにした。また異所性子宮内膜細胞はその伸展に従ってMMP産生が亢進したが、TIMP(インヒビター)産生は不変であった。(2)子宮内膜における細胞外マトリックスの分泌免疫組織学的検討により基底膜の細胞外マトリックス(ラミニン、IV型コラーゲン)は内膜腺上皮の基底膜と間質細胞周辺のマトリックスに存在した。間質の細胞外マトリックス(フィブロネクチン、ビトロネクチン)は子宮内膜の間質全体および内膜腺上皮の基底膜部分に局在した。(3)胎盤絨毛の増殖分化とサイトカイン胎盤絨毛ではIL-6とそのレセプターによるhCG産生系が存在し、この系はIL-1とTNF-αにより分泌亢進がみられ、TGF-βでは制御がみられた。しかし初期絨毛ならびに培養絨毛癌細胞系ではTNF-αによるhCG分泌阻害が観察された。また初期胎盤から得られた絨毛細胞はフィブロネクチンと特異的に接着することが判明し、着床過程におけるフィブロネクチンの関与が示唆された。