著者
森幹彦 平岡斉士 上田浩 喜多一 竹尾賢一 植木徹 石井良和 外村孝一郎 徳平省一
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.23-30, 2012-12-06

平成 15 年度に必履修科目として導入された高等学校普通教科 「情報」 を履修した学生が平成 18 年度から大学に入学してきている.これに対して,大学における情報教育も種々の対応が求められているが,そのためには新入生の状況把握が必要となっている.本稿では,平成 18 年度から京都大学で継続的に実施している情報教育についての新入生アンケートのうち平成 24 年度の結果から大学新入生の状況を分析した.その結果,高等学校における教科 「情報」 の履修状況が多様で,十分に実質化していない可能性が未だ残っていること,アプリケーションソフトウェアによってスキルの違いが見られること,情報セキュリティに関するリテラシは改善傾向にあるが不十分であること,大学における学習への希望としてレポート作成を挙げる学生が多いことなどが明らかになった.
著者
松田 憲 平岡 斉士 杉森 絵里子 楠見 孝
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.133-154, 2007 (Released:2008-12-15)
参考文献数
73

We examined effects of repeated exposure of banner advertisement on measure of product's image such as knowledge of, liking for, and purchase intention for products. In Experiment 1, 24 participants were repeatedly presented banners of various trade names with different typicality. Then they were required to judge the trade names with respect to the level of typicality, liking, purchase intention, and recognition using 9-point scale. As results, higher typicality of trade names led to higher levels of recognition, liking, and purchase intention, including false recognitions. Those levels were not, however, likely to increase by repeated exposure. In Experiment 2, repetition frequency of exposure was increased and 79 participants were divided into three segments based on their present interests. The results showed that presenting banners with lower typicality particularly raised liking and purchase intention levels. We discuss the cognitive process that link typicality of trade name to liking and purchase intention.
著者
都竹 茂樹 平岡 斉士 長岡 千香子
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

働く世代の心身の健康増進を目的に、国はメタボ健診・保健指導やストレスチェックを義務化してきたが、心身に問題を抱える人たちは増加する一方である。一因として、心身の健康状態、健康への意識や実践状況、業務内容などが各人で異なるため、画一的かつ一方通行的な支援では、大多数の層は興味を示さず、行動変容にもつながらないことが挙げられる。本研究では、応募者が遠隔支援してきた2,000名分のデータを分析、ARCS動機付けモデルを活用して各人の行動や心身の状況に応じた、個別の健康支援策を自動選択、適切なタイミングで遠隔配信するプログラムを開発し、働く世代の生活習慣病やメンタルヘルスの発症予防・改善をめざす。
著者
平岡 斉士 喜多 敏博 鈴木 克明 長岡 千香子
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

eラーニングなどの自動採点を前提としたテストは知識の確認をするものがほとんどである。一方、実際の教育場面では知識を応用するスキルの修得が求められている。しかし知識を応用するスキルを評価するテストには複数の制約があり、教育設計の知識やスキルに乏しい教員が作成することは容易でない。本研究では、知的技能の特性を踏まえたテスト作成方法を整理・体系化し、教育設計の非専門家でも使える問題作成支援ツールを開発する。あわせて自動採点テストを作成するための諸問題(手動採点用問題からの適切な代替、誤答選択肢の質、類題の確保など)を解決する方法を確立し、問題作成支援ツールと連動させたシステムを設計・開発・評価する。
著者
天野 慧 都竹 茂樹 鈴木 克明 平岡 斉士
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.42120, (Released:2019-01-17)
参考文献数
22

社会人が新たなスキルを身につけることへの要請が高まる中,社会人向け学習機会では「受講証」の授与で終わる場合が多く,スキル習得が確認されないままになっている.一方で,スキル習得を確認して「修了証」を授与するには事後課題を導入する必要が生じ,講座終了後も修了を目指した学習意欲を維持する手立てが必要となる.本研究では,事後課題を伴う大学公開講座において,講座修了への意欲を維持・向上させるために,学習者個別の成果物に対するフィードバックを追加する改善を行い,効果を検証した.結果,修了率と講座の印象評価が向上した.さらに,アンケートの自由記述を調査したところ,情報付加型のフィードバックを盛り込むことや複数回のフィードバックを行うことが,講座修了への意欲を喚起させたことが示唆された.これらの結果を踏まえ,講座修了への意欲を向上させる工夫として,個別フィードバックを取り入れるデザイン原則を提案した
著者
壇辻 正剛 坪田 康 河崎 靖 道坂 昭廣 平岡 斉士 大木 充 河原 達也 木南 敦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、日本人学習者の外国語のコミュニケーション能力向上を目指して、ICT(情報通信技術)を利用したCALL(コンピュータ支援型語学教育)やe-ラーニングを含む応用言語学的研究を展開した。国際化時代に有効な会話主体の外国語教育支援システムの開発を推進し、良質で多様な言語文化の理解が可能なコンテンツの開発に基づきICT支援型の教材も作成した。研究成果の一部であるマルチメディア教材は希望する教育機関や研究機関に提供することができた。
著者
喜多 敏博 長岡 千香子 平岡 斉士 松居 辰則
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2021-CE-162, no.10, pp.1-4, 2021-11-27

多様な事故が世界中で起きている現状において,安全教育を行うことが事故防止の非常に有効な手段となる.「子どもの傷害予防」や「環境安全工学」等の分野における安全教育の事例を踏まえ,効果的な事故防止教育を行うためのプラットフォームとして,高度化された UI や機能により学習者に効果的・能動的に作用することができる「能動的 LMS」を開発した.能動的 LMS が持つ「能動的機能」は,LMS 側から学習者へ積極的に働きかける機能であり,次の 3 つの機能:(1) 音声 UI での働きかけ (スマートスピーカーやスマートフォンで,音声や音響によるやり取りを交わすことで学習を促す) (2) LINE チャットボットでの働きかけ (日常使いのツールである LINE で手軽に問い合わせが可能であり,ボットからのプッシュ型の情報共有も行うことで,行動変容を促進できる) (3) ユーザの心的状態も考慮したアナリティクス (ユーザの状態や行動を予測し,その結果に基づいて,手遅れになる前に LMS から働きかける) からなる.これらの「能動的機能」を Moodle の追加パッケージ (Web service API による連携システムとプラグイン)として実装し,Moodle が「能動的 LMS」として機能できるようにした.