著者
根本 淳子 鈴木 克明
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.309-318, 2006
被引用文献数
8

本研究では,近年eラーニングなどの自己学習教材において,その必要度が増しているシナリオ型教材の開発に有効とされる,インストラクショナルデザイン理論の一つゴールベースシナリオ理論(GBS)が日本で活用されることを目的に分析し,紹介する.GBSの論理的根拠であるCBR (Case-Based Reasoning)学習理論を併せて紹介する.この理論がより簡単に活用できるようにGBSチェックリストを開発した.チェックリスト開発には,教材開発の手法を応用し,形成的評価および改善を行った.GBSチェックリストには既存教材の強みと弱みを明確にさせ,リ・デザインへのヒントを整理できる機能も含んでいることが確認された.
著者
鈴木 克明
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.13-27, 1995
被引用文献数
4

本論では、状況的学習観に基づく算数の問題解決領域の授業を支援するためのバンダービル大学における教材開発研究「ジャスパープロジェクト」を詳細に取り上げ、教室学習文脈へのリアリティ付与について、その可能性と課題を考察した。ジャスパー教材群の中心をなす6つの冒険物語と7つの教材設計原則(ビデオ提示、物語形式、生成的学習、情報埋め込み設計、複雑な問題、類似冒険のペア化、教科間の連結)を紹介し、評価研究のあらましを述べた。3つのジャスパー教材の利用形態(積み上げ式直接教授法、構造的問題解決法、生成援助法)とそれを支える授業観を吟味し、プロジェクト推進者の推奨する「生成援助型」の授業における教師の役割変化について言及した。最後に、授業設計モデルと状況的学習観からのジャスパー批評をまとめ、教室学習文脈のリアリティについて吟味した。
著者
天野 慧 都竹 茂樹 鈴木 克明 平岡 斉士
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.42120, (Released:2019-01-17)
参考文献数
22

社会人が新たなスキルを身につけることへの要請が高まる中,社会人向け学習機会では「受講証」の授与で終わる場合が多く,スキル習得が確認されないままになっている.一方で,スキル習得を確認して「修了証」を授与するには事後課題を導入する必要が生じ,講座終了後も修了を目指した学習意欲を維持する手立てが必要となる.本研究では,事後課題を伴う大学公開講座において,講座修了への意欲を維持・向上させるために,学習者個別の成果物に対するフィードバックを追加する改善を行い,効果を検証した.結果,修了率と講座の印象評価が向上した.さらに,アンケートの自由記述を調査したところ,情報付加型のフィードバックを盛り込むことや複数回のフィードバックを行うことが,講座修了への意欲を喚起させたことが示唆された.これらの結果を踏まえ,講座修了への意欲を向上させる工夫として,個別フィードバックを取り入れるデザイン原則を提案した
著者
宮崎 誠 喜多 敏博 小山田 誠 根本 淳子 中野 裕司 鈴木 克明
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.66-75, 2016-10-07

我々は,熊本大学大学院教授システム学専攻で利用することを意図し,Sakai CLEのeポートフォリオツールであるOSPによるeポートフォリオシステムを開発した.開発にあたっては,本専攻のコンピテンシーベースの授業設計に合わせてシステムの要件定義を行い,OSPを採用したうえで不足した機能要件については,OSPをカスタマイズし,Blackboard Learning System CE6.0からSakai CLEへ自動連携するためのオリジナルツールを開発した.また本専攻のコンピテンシーリストにも対応しており,LMS上の学習成果物はeポートフォリオシステムに自動連携されるため,学生の最終試験の振り返りで利用した結果で有用であることが示唆された.
著者
鈴木 克明
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.171-179, 2012
被引用文献数
1

本稿では,大学における教育方法の改善・開発について,教育設計学に依拠しながら解説した.まず,出入口と三層構造で大学を俯瞰し,教育設計学の立場を教育工学研究への前提として整理した.次に,大学の授業改善の動向をFDに言及しながら概観し,授業以外の学習環境構築の先進例として米国における学生支援の動向を紹介した.最後に,大学教育に情報通信技術を利用して取り組む際の要素を整理した「サンドイッチモデル」を提案した.
著者
鈴木 克明
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.50-61, 1995-02-10

ジョン・ケラーが提唱しているARCS動機づけモデルは、新奇性を超えたレベルで学習者の意欲をシステム的に扱うための提案として、「魅力ある教材」の設計・開発に有効と思われる。ARCSモデルは、教材設計者が教材の設計過程において動機づけの問題に取り組むことを援助するために、注意、関連性、自信、満足感の4要因の枠組みと動機づけ方略、ならびに動機づけ設計の手順を提案したものである。本論では、4要因とその下位分類の理論的裏付けを概観し、これまでに提案されている動機づけ方略とモデルの応用領域を列挙し、さらにARCSモデルについての研究を5つのタイプに整理して紹介している。
著者
鈴木 克明 根本 淳子
出版者
熊本大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究では、欧米において「学びたさ」についてのインストラクショナルデザイン研究で注目が集まっている「美学・芸術的な視座」からの設計原理が我が国においてどこまで援用可能かを検討し、我が国独自の原理導出を目指した。教育工学の隣接領域で展開しているペルソナ技法やユーザーストーリー等関連研究の知見を取り入れ、パリッシュが提唱したIDの美学第一原理を検討し、意欲向上につながる学習経験を実現する方策を試みた。
著者
高橋 暁子 市川 尚 阿部 昭博 鈴木 克明
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.Suppl., pp.25-28, 2008-02-10 (Released:2016-08-04)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本研究では,自己管理学習スキルのうち,とくに学習内容の選択の支援を目的に,課題分析図を見ながら学習項目の選択ができるeラーニングシステムを開発した.学習項目を選択するインタフェースとして課題分析図を用いることで,学習者が習得状況を直感的に把握し,構造の上下関係に基づいて学習項目の選択を行うことを目指した.事前テストと事後テスト機能においては,課題分析図の構造による出題制御を行った.形成的評価の結果,習得状況を直感的に把握することに関して有用性が示唆されたものの,実際に構造の上下関係に基づいて学習項目を選択するかは学習者によって異なることがわかった.
著者
根本 淳子 柴田 喜幸 鈴木 克明
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.259-268, 2011
被引用文献数
1

本論文は,教育実践において学習デザインの定期的な改善サイクルを実現することでよりよい教育実践を生み出すことの重要性に焦点を当てたデザインベース研究のアプローチによる実践研究の報告である.国内では新しい学習デザインであるストーリー中心型カリキュラム(SCC)を採用した実践を取り上げ,SCC応用の可能性の手がかりを探りつつ,より深い学びを目指した実践に取り組んだ結果から得られた知見を整理した.学習デザインの定期的な改善サイクルを通じ,実践者のリフレクションを促すだけではなく,学習者の内容理解を深めていくことについて確認した.その結果,学習者個人と学習共同体双方への影響を確認することができた.本実践は,本論文の対象である2008年度と2009年度の実践を踏まえ,現在三回目のサイクルの最終段階にある.更なる検証を通じ新しい学習アプローチがより広く使われていくために,知見をデザイン原理として整理し,SCC実践に関する学習者の声を収集し整理していくことが課題となる.
著者
渡邊 浩之 鈴木 克明 戸田 真志 合田 美子
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.161-172, 2014-11-30

The role of student tutors is to support new students, as well as other students who are having trouble with learning, so as these students can teach themselves. In Japan, however, there are but a few case examples that verify the quality of these tutors. Therefore, for the purpose of this research an examination of established peer support learning guidelines and other guidelines applied by North American universities was conducted in order to manifest new guidelines. In order to establish the guidelines, elements required of tutoring were extracted from various tutor handbooks, guidelines, and manuals used by twenty-six institutions and universities in Japan and the United States. These extrapolated elements were then integrated to complete the guidelines. Furthermore, the guidelines were revised through a two-step formative evaluation. Finally, the guidelines were tested in order to evaluate their effectiveness in improving the quality of tutors. To conclude this paper, future topics for consideration are discussed.
著者
鈴木 克明
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.43-55, 1998-06-20
被引用文献数
5

CAI教材自作課題用に,解答に応じた練習カードの除去や再出題などの制御をHyperCardに付加するドリル教材作成支援ツールを開発した.評価実験1では,KELLERのARCSモデルとGAGNEの9教授事象を参照したアンケートを用いて,HyperCardの標準リンク構造のみの教材と,支援ツール内蔵教材の特徴を大学生に評価させた.その結果,ツールが練習支援の側面を強化しているとの印象を与えていたことがわかった.次に,改善提案とドリル構造の研究結果とを取り入れて「正解消去型ドリル」の機能を改善・拡充し,操作性を向上させた.評価実験2では,ツールとしての使い勝手を調べるために,改善後のツールを大学生に試用させ,任意の画像情報と音声情報を含む教材を自作させた.10人中9人がツール初回利用時で新しいドリルを約30分で自作・試用することができ,ツールとしての使い勝手がおおむね確保されたことがわかった.
著者
鈴木 克明 市川 尚 向後 千春 清水 克彦
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究では、教材や授業の動機づけの側面を評価して問題点を見つけ出し、授業や教材の改善作業を支援するためのツール群を開発した。J・M・ケラーが提唱するARCS動機づけモデルに基づいて、ARCSモデルの枠組みである注意・関連性・自信・満足感の4要因それぞれ4項目ずつ、合計16項目からなる「ARCS評価シート」を設計した。それを複数の大学における学生による授業評価で試用し、因子分析などの手法により信頼性と妥当性を検討するデータを収集して改良し、「ARCS評価シート」最終版を提案した。さらに、「ARCS評価シート」をWeb上で実施し、データの回収及び統計的処理を自動的に行う機能を備えた「Web版ARCS評価シート」を開発し、大学における学生による授業評価の実践場面で操作性と実用性を確認した。また、様々な領域で提案されている動機づけに関する教授方略を収集し、ARCSの4要因をもとに分類・整理した「ARCS改善方略ガイドブック」をブックレット形式にまとめた。その内容を「ARCS評価シート」での診断結果と連動させて動的に提示する「Web版ARCS改善方略ガイドブック」を開発し、その簡便性などを調査した。「ARCS評価シート」で得点が低かった項目についての改善方略を選択して表示し、問題点に特化した改善方略を組み合わせて授業の再設計を支援する機能を備えていることが好意的に評価された。以上の成果をWeb上に公開し、教材や授業のデザインに関係する実践者の参考に供した。