著者
大谷 武史 木村 大輔 平松 佑一 海部 祐史
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11871, (Released:2021-03-15)
参考文献数
38

【目的】脳出血後に希に生じる人格変化と依存的行動を呈した症例に対し,目標設定ツールを用いた理学療法を実施し良好な結果が得られたので報告する。【症例】症例は背内側核を中心とした右視床出血を呈した60 歳台の女性である。ADL 自立の阻害因子であった依存的行動の背景には人格変化と高次脳機能障害の影響が考えられ,加えて不安と自己効力感の低下を認めた。【方法】行動変容を促すためGoal Attainment Scale を用いて段階的に目標設定し,結果を2 週間毎に共有した。行動変容の背景要因を明確にするために目標達成度,自己効力感,神経心理学的検査,運動機能を評価した。【結果】自己効力感,神経心理学的検査,運動機能が改善し退院時目標を達成した。一方で,一部の改善を認めたものの人格変化は残存した。【結論】行動の計画や実行に目標設定ツールを用いて達成経験を共有したことが自己効力感を高め依存的行動の変容につながったと考えられた。
著者
高松 賢司 平松 佑一 藤田 暢一 木瀬 憲司 荒木 和子 宮井 一郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.153-157, 2022 (Released:2022-04-20)
参考文献数
15
被引用文献数
1

〔目的〕回復期リハビリテーション病棟を退院した後の在宅生活におけるFunctional Independence Measure(FIM)運動下位項目の経時的変化を明らかにする.〔対象と方法〕対象は,退院直後から訪問リハビリを開始した41名の脳卒中患者とした.診療録から抽出したFIM運動項目合計と,その下位項目の点数を各時期(退院時,退院直後,退院後3ヵ月)で比較した.〔結果〕退院直後は排泄(排便)が向上,移動(歩行)が低下した.退院後3ヵ月はセルフケア(食事,清拭,更衣下半身,トイレ動作),排泄(排尿,排便),移乗(ベッド,トイレ,浴槽),移動(階段)が向上したが,整容,更衣上半身,歩行は変化しなかった.〔結語〕退院後3ヵ月におけるFIM運動下位項目の変化は,生活段階で異なることが示唆された.
著者
平松 佑一 山脇 正嗣 田頭 直樹 北川 照晃
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.897-908, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
22

近年の建設分野ではBIM/CIMが推進されており,そこでは3次元点群データの有効活用が大きく寄与する.一方で,大容量の点群情報の取り扱いは課題が多く,計算負荷を抑制しながら効率的に処理する必要がある.そこで本研究では,AI(Artificial Intelligence)技術の一種である深層学習(Deep Learning)を用いて,点群をクラス分けする技術である点群セグメンテーションを適用した.実務上のニーズを踏まえ,河川構造物設計および維持管理分野での活用を想定した点群のサーフェスモデル化を検証した.実データを用いて実際のモデル化の流れを提示し,必要な情報を失うことなく効率的にモデル化することで,3Dモデリングによる高度化および省力化に寄与する可能性を示した.
著者
森 正志 平松 佑一 藤原 玲子 福永 匡史
出版者
一般社団法人 日本フットケア・足病医学会
雑誌
日本フットケア・足病医学会誌 (ISSN:24354775)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.53-59, 2023-01-31 (Released:2023-01-31)
参考文献数
20

左下腿切断を余儀なくされた糖尿病に起因する包括的高度慢性下肢虚血 (chronic limb-threatening ischemia : CLTI) 患者に対し, 術前からサドル付き免荷式歩行器 (以下, 免荷式歩行器) によるトレーニングを導入し義足歩行の獲得に至ったので, その有用性について検証することを本報告の目的とした. 症例は, 67歳女性, 左全足趾から後足部まで潰瘍が拡大し, 救肢困難で下腿切断となった. ADLは独歩で自立していたが, 廃用症候群が進行し, 入院時には中等度から最大介助が必要であった (Barthel index : BI, 30点). 術前から仮義足完成までは, 免荷式歩行器を使用し立位・歩行練習を実施した. そのほか, 松葉杖歩行, ADL練習, 上肢の課題志向型 (家事動作) 練習に取り組み, 義足完成後は積極的に義足歩行練習を実施した. その結果, 退院時のADLは, BIが90点まで改善した. 歩行機能は, 屋外義足杖歩行自立レベルとなり歩行速度0.76m/s, 最大で600mの連続歩行が可能となった. 免荷式歩行器は, 低負荷高頻度で非切断肢の筋力強化, 歩行練習を行うことができるため, 廃用症候群が進行し術前から歩行困難な症例に対しても有用なトレーニング方法であると考えられた.
著者
加藤 丈博 平松 佑一 種本 翔 服部 暁穂 澳 昂佑 松木 明好 木村 大輔
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.145-150, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
34

〔目的〕椎体骨折後の安静臥床により身体機能やADLの獲得が遅延した症例の経過について報告する.〔対象と方法〕第2腰椎椎体骨折を受傷した70代後半の男性1名.約3週間の安静期間を経て離床が許可されたものの,廃用性の筋持久力および全身持久力の低下により歩行自立が困難となったため,運動耐用能の改善を意図した反復立ち上がり練習,下肢エルゴメーター,トレーニングマシンによる運動療法を実施した.〔結果〕筋持久力および全身持久力が改善し,歩行自立が可能となり,退院時には受傷前ADLを獲得した.〔結語〕安静臥床により生じる廃用性症候群は,椎体骨折後のADL改善に寄与する重要な予後不良因子となることが示された.今後は安静臥床期間における筋持久力および全身持久力に対する治療介入の有効性を検討する必要がある.
著者
村部 義哉 木村 大輔 平松 佑一 加藤 丈博 上原 信太郎 松木 明好 陣内 裕成
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.651-657, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
16

〔目的〕内的リズム形成を目的とした運動療法による,パーキンソン病患者のすくみ足とタッピング能力への改善効果を検討する事とした.〔対象〕一定頻度でのタッピングの持続が困難で,視覚・聴覚刺激を用いた外的手がかりによるすくみ足の制御が困難であった進行期パーキンソン病患者1名とした.〔方法〕内的リズム形成能力の向上を目的とした1回20分の運動療法を2回/週の頻度で8週間実施し,タッピング課題による内的リズム形成能力の評価,および歩行評価から,その治療効果を検証した.〔結果〕介入によって一定頻度でのタッピング持続回数の増加,すくみ足歩行の軽減が認められた.〔結語〕外的手がかりに代り,内的リズム形成を促す運動療法による治療介入は,すくみ足症状を軽減できる可能性がある.
著者
木下 博 門田 浩二 伊東 太郎 平松 佑一 木村 大輔
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

健常成人を対象に手指での6gから200gまでの軽量小物体の精密把握運動中の把握力・持ち上げ力関係について調べた。重量が22g以下では把握面の摩擦状況に関わらず軽量程把握力/持ち上げ力比、把握力に占める安全領域の割合、力の変動係数が増大した。重量弁別実験および指先の物理的変化実験からは皮膚感覚情報が軽量物体把握時に減少することが示唆された。軽量域での把握力の変動増大と安全領域の上昇は、被験者自身が随意的に把握力を必要以上に上昇させていることも示しており、把握力の対費用効果が軽重量域では重い重量とは異なり対生理学的効率よりも対心理的安定性を重視する戦略が取られていることが示唆された。