著者
足達 直 平野 健一 疋田 久子 山中 敦 田中 恵美
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.24-29, 2011-04-15

アジャイル開発は計画を重視するウォーターフォール開発に比べ,人と人との交流と協調,動作するソフトウエアなどを重視するソフトウエア開発手法である.ウォーターフォール開発よりも近年に考案され,重厚長大な開発手法よりも軽量で,システム構築に発生しがちな変化に対応しやすいと言われている.しかしながら,今後ミッションクリティカルなシステム構築にアジャイル開発を適用していくためには,ウォーターフォール開発での品質管理と同様にアジャイル開発でも品質管理を成熟させ,顧客満足を獲得していく必要がある.現状ではアジャイル開発における品質管理手法として体系化されているものは少ないと思われるため,まずはウォーターフォール開発における品質管理のプラクティスを適用できないかどうか検証する.本稿ではプロジェクト適用の実例を通し,オフショア連携における品質管理の取り組みについて説明する.また,ウォーターフォール開発の品質管理で利用されるメトリクスと今回実施した管理手法で算出されたメトリクスを比較し,評価する.
著者
平野 健次
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.85-96, 2010-08-15
被引用文献数
1

本研究では,ビジネスシステムの立案段階における諸問題や失敗の原因を発見するために,意思決定過程でなされる議論を可視化し,それらを分析する方法を提案する.最初にビジネスミーティングで発言される意見の性質を調べ,可視化に用いる性質のカテゴリ分類の方法を示す.次にBusiness System Transformation Model(BSTM)に蓄積されている議論を分析の対象にし,多変量解析の数量化3類によって,カテゴリ分類された意見の性質から議論の構造を布置図上に可視化できることを示す.さらにBSTMに蓄積された複数の事例を用いて,ビジネスシステムの立案過程における諸問題を,布置図上に表現された議論の構造から分析する方法を提案する.最後に提案する方法の運用上の問題点を議論するとともに,本研究の可能性として進行中の議論を活性化させるために使用する方法などを示す.
著者
谷岡 武雄 平野 健二 芦田 忠司 田中 欣治 井上 淳
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.191-205, 1958

One of the oldest cadastral maps (drawn in 751 A. D.) kept by Shosoin, is that of the Minuma manor in Omi province of the Todai-ji temple. It shows the &ldquo;Joni&rdquo;-system which was the land system of ancient Japan. As result of our research on the &ldquo;Jori&rdquo;-system of Inukami county in Omi, it was proved that the area in the map corresponds to the domain of the modern village, Binmanji, in the east of Hikone City. We made a general and intensive survey by means of reading air photographs, land measurements, soil analysis, studying old documents and archeological excavation of the domain of the manor. The results are as follows:<br> 1) The Minuma manor belonging to the Todai-ji temple occupied the Inukami river's fan in the middle of the lake Biwa plain about the middle of the 8 th century. Inspite of fierce overflows at heavy rains, it was neccessary first of all to built a reservior and an irrigation canal for the management of paddy fields, because the ordinary quantity of water supplied by the river was insufficient and the soils of this fan was osmotic.<br> 2) Below the soils now under cultivation, there spreads the stratum of the anciently cultivated soils and it is probably the same stratum as the one containing the remains which are supposed to be belong to 8th century.<br> 3) Judging from the roads the reservoir, some parts of land division and the black coloured soils found by excavation, we think that the &ldquo;Jori&rdquo;-system was put in operation over this area to the same direction as the other parts of Inukami county.<br> 4) The land division in most parts of lands now under cultivation is very much different from the &ldquo;Jori&rdquo;-system in Inukami county, and it is adapted to the land form.<br> 5) It is better to consider that the Todai-ji manor has occupied this area based on the &ldquo;Jori&rdquo;-system. But there are some differences between the old lands of the manor and the present ones. The reasons would probably be due to the overflows or changes of various human geographical conditions.<br> 6) The history of the settlements of this area began in Nara era, at the establishment of this manor.<br> 7) The houses which occupied the hilly land consisting of the old aluvial strata, remained for considerably long period. And the houses which were situated on the flood plain of the river seem to have been lost by overflows and lateral erosion of the Inukami.<br> 8) The site of the present village seems to correspond to Shibahara (brush fields) on the map, and the village has the character of a &ldquo;Monzen-Machi&rdquo; of the Binman-ji temple which was built up in Heian era. Probably the movements of the residents from hilly land to the present site were done gradually over the long period before Meiji revolution.<br> 9) Considering the land from, the land system and the result of the archeological excavation, we conclude that contents of the map was not so different from facts.<br> 10) And so we can say that the Todai-ji manor in this area was established not through the acquirement of already cultivated lands, but through the clearing of lands which were hard to cultivate. In this, we recognize the peculiar character of the Todai-ji manor in Nara era, and this character was common the other manors of this temple.
著者
平野 健
雑誌
IERCU Discussion Paper
巻号頁・発行日
no.274, 2017-02

近年、アメリカでは2度のバブルが発生した。1990年代末のITバブルと2000年代の住宅バブルである。前者の崩壊は2001年に軽微な景気後退で済んだが、後者の崩壊は2008年に深刻な金融恐慌をひきおこした。同じバブル崩壊の結果なのに、結果がこのように違うのは何故なのだろうか。実は1991〜2009年には、2回の景気循環という現象の背後で、実体経済の変動としては1回の産業循環しか存在していない。第二次世界大戦後、アメリカ経済は政府の介入によって恐慌の発生を回避してきたが、それは恐慌による過剰資本の調整を遅らせ、産業循環の期間を延長する作用をもたらし、同時に過剰資本が十分に廃棄されておらず停滞基調が続くもとでも景気拡大を再発させる能力を持つにいたった。1960年以降で見ると、少なくとも1960〜1990年と1991年以降今日までの2回の産業循環が存在する。2000年代は、この1991年以降の産業循環の中での停滞期に相当する時期であった。このような停滞期にバブルを発生させるためには、投資銀行はCDOを大量に発行せねばならなかったし、その最もハイリスクなトランシェを銀行自身で購入するというリスク・テイクをしなければならなかった。このことが2008年に金融恐慌が発生した直接的な原因であり、金融恐慌の実体経済的根拠である。
著者
平野 健一郎
出版者
関西大学
雑誌
東アジア文化交渉研究 (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.7-22, 2009-03-31

The development of a theory of international cultural relations can be traced back to Benjamin Schwartz's study of Yan Fu (In Search of Wealth and Power: Yen Fu and the West, Harvard University Press, 1964). Yan Fu translated some of the 19th century Western European works into Chinese as a way for China's modernization. To analyze Yan Fu's cultural struggles, Schwartz applied a path-breaking methodological framework, defining a culture to be "a vast, ever-changing areas of human experience" and proposing to deal with the encounter between two cultures as a vantage point for taking a new look at both cultures. After reading the Schwartz's work carefully and translating it into Japanese, this author formulated a theory of international cultural relations that considers cultural contacts and changes themselves to be important aspects of international relations.
著者
水谷 修 米田 正人 甲斐 睦朗 賀集 寛 平野 健一郎 江川 清
出版者
国立国語研究所
雑誌
創成的基礎研究費
巻号頁・発行日
1994

総括班:国際シンポジウム(「国際社会の日本語」,1998年12月16,17日於国連大学と総括班会議(3月18日)を実施した。研究班1(センサス):「日本語観国際センサス」の第3次調査を実施した(日本)。また,調査デー夕の整理,分析を行い,一部集計結果を国際シンポジウムおよび学会等で発表した。また,事例調査として「北米日系人社会と日本語新聞」,「海外マスメディア広告における日本語研究」に関して調査および研究会を継続して行い報告書を刊行した。「災害時言語対・策に関する研究」について調査,研究会を継続した。研究班2(文化摩擦):1. 理論研究 「多言語状況と日本語:」研究会の例会で,日本語の歴史的更新と多言語状況のなかでの変容について共同考察を進めてきた。日本語についてグループ特有の理解を得,「駒場『日本語』宣言」としてまとめた。2. 社会言語学研究社会言語語学・対照言語学的観点から行ってきた,日本語母語話者と日本語非母語話者の言語行動的接触の実態,及び国内における日本人の言語行動の特徴について,補充調査を行うとともに,得られたデータの分析に報告書の執筆にあたった。研究班3(実験言語):1. 文字言語研究 「朝日新聞」記事約11万件(延べ字数5500万)と,そのCD-ROMを対象に,電子メディアにおける漢字実態を明らかにする計量言語学的な資料が得られ,新聞社の著作権使用許可を得て本邦初公開した。2. 音声言語研究 99年3月19日に東京外国語大学において研究成果発表会・ワークショップを開催した。日本語韻律習得を支援するためのパソコンソフトのCD-ROMを参加者に配布した。3. 計算機実験研究 分類語彙表の増補用語数を訳9万語までに増補した。第二言語作文・翻訳にみられる第一言語の影響という視点で作文を調査分析し,研究報告書を作成し,データを公開した。研究班4(情報発信):1. 同時通訳技法の体系化 放送通訳・2か国語放送の場面で,日本語の「組み立て]がどのように影響するのか,外国人の理解を妨げているのは何か,などを探るにあたっての前提となる基礎的研究としてグループインタビュー(対象者14人)と在日外国人に対する質問紙調査(有効回答数218件)を実施し,考察を行った。2. コーパスの作成 雑誌『太陽』の15冊文を入力した。これで目標の4分の3に達したことになる。漢字の包摂基準について,報告書をまとめた。さらに1冊分だけ,ふりがなについて調べ,字音表記の傾向をつかんだ。3. 漢字コードの考察 漢字符号に設定する機能を構造の要素と構造及び構造間の関係を使い表現する方法の妥当性を核にするため,中国:語(簡体字・繁体字),日本語,韓国語の三カ国語を処理する漢字入力プログラムを作成し,実験結果を最終報告にまとめた。4. 言語教育方法の確立 第3次段階調査研究のまとめとして以下の事項を行った。(1)新学習指導要領策定に資する基礎資料作成(2)国語教育・日本語教育に関する質問紙調査(3)学校教科書に関する分析(4)基本語彙研究に関する分析(5)公開研究会の開催(6)ホームページで資料公開(http://www.kokken.go.jp/jsl)(7)報告書作成