著者
高橋 潔
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.26-38, 2001-06-20 (Released:2022-07-30)
参考文献数
27

能力主義や成果主義の人事施策を実施していくうえで,公正で透明性の高い評価を実施していくことは不可欠である.しかし,人事評価は従業員から不満をもたれ,その納得度が疑問視されることも多い.本研究では,20,761名の組合員から得られた調査結果ならびに,東海地域の製造業を中心とした企業に勤める従業員1,823名から得られた調査結果を分析し,どのような要因が人事評価の納得度を規定しているかを検討する.
著者
越中 康治 高田 淑子 木下 英俊 安藤 明伸 高橋 潔 田幡 憲一 岡 正明 石澤 公明
出版者
宮城教育大学情報処理センター
雑誌
宮城教育大学情報処理センター研究紀要 : COMMUE = COMMUE (ISSN:18847773)
巻号頁・発行日
no.22, pp.67-74, 2015-03-31

本学の授業評価アンケートでは、学生からの意見を求めるために、各授業について自由記述を求めてきた。平成25 年度は通年で3,000 件を超える自由記述が得られている。しかし、これらの多数のデータを概観し、客観的に全体的な傾向を把握することは極めて困難である。また、要約しようにも分析者の恣意的・主観的な解釈となってしまう危険性からは逃れ難い。そこで、こうした危険性を可能な限り回避すべく、本稿では、「テキストマイニング」と呼ばれる手法を用いた分析を行った。①テキストから自動的に語を取り出し、頻出語を確認した上で、②それらの語の共起関係を探ることを通して、恣意的になりやすい手作業を極力廃した分析・要約を試みた。
著者
横畠 徳太 高橋 潔 江守 正多 仁科 一哉 田中 克政 井芹 慶彦 本田 靖 木口 雅司 鼎 信次郎 岡本 章子 岩崎 茜 前田 和 沖 大幹
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.214-230, 2021-09-30 (Released:2021-09-30)
参考文献数
45
被引用文献数
1

パリ協定における目標を達成するために脱炭素社会を実現し,今後も変化する気候に社会が適応するためには,多くの人々が気候変動のリスクに関して理解を深めることが重要な課題である。このため我々の研究グループは,これまでに気候変動リスク連鎖を包括的に分かりやすく可視化する手法の開発を行った。本論文では,我々が開発した手法によって得られた,水資源・食料・エネルギー・産業とインフラ・自然生態系・災害と安全保障・健康の7つの分野に関連するリスク連鎖の可視化結果(ネットワーク図・フローチャート)について議論することにより,気候リスク連鎖の全体像を明らかにする。また,可視化結果を利用して行った市民対話イベントの実例を紹介することにより,我々の開発したネットワーク図・フローチャートの有用性や,気候リスクに関する市民対話の重要性について論じる。さらに,日本における気候変動リスク評価の概要について紹介し,気候変動リスク連鎖を評価するための今後の課題について議論する。
著者
金井 壽宏 三品 和広 上林 憲雄 原 拓志 平野 光俊 高橋 潔
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

長らく停滞した後、再復興期に入った日本の産業社会の活力の向上のため、企業の持続する競争優位性の元となる組織能力を再構築する必要がある。従来この議論は、たとえばリソースベースの経営戦略論として論じられてきたが、本研究では、組織能力構築に真に貢献できる、企業のコア人材、とりわけ経営人材と高度専門職人材に焦点を合わせて、人材の体系的な育成に関する理論的・実証的研究をおこなった。国家レベルの競争力を高めるうえで人材育成が果たす役割について米国を主たる比較研究も実施した。その結果、第1に、戦略の成功の問題は、人材育成の問題と切り離しては考えられないことが確認された。戦略的人的資源管理という名のもとに、戦略とリンクしてひとの問題を扱う重要性が示唆されてきたが、その育成内容は、次期経営幹部候補の体系的な育成、またその育成プロセスの加速化に焦点をあわせる研究が有望であることが判明した。また、どのように経営人材になるかという問題だけでなく、より早く最高経営責任者になり、より長く采配を振るう機会を与えることの重要性も確認された。第2に、経営人材、高度専門職人材を問わず、コア人材の育成は、フォーマルな座学の育成とのかかわりをけっして軽視することはできないが、産業のなかで、また個別の企業のなかで、いったいどのような仕事をどのような時期にだれのもとで経験するかという点がいっそう重要である。したがって、リーダーシップ開発の問題も、高度専門職の育成の問題も、なんらかの「経験の理論」にも裏付けられる必要があることがわかった。第3に、大きな展望としては、経営学におけるシステムに目を向ける視点と、ひとの問題を照射する視点とが今後は、意味ある形で統合されると、真に国家レベルの復興に経営学も貢献しうることが示唆された。経営学における人材育成を天下国家レベルの国の活力に結びつける研究への橋頭堡となった。
著者
高橋 潔 松岡 譲 原沢 英夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究 (ISSN:09150390)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.121-131, 1997-10-15 (Released:2010-06-04)
参考文献数
25

The purpose of this study is to evaluate climate change impacts on crop production, which will be the basic information of analyzing world trade of agricultural commodities, and to help decision makings against potential uncertain problems. In this paper, we calculated change in potential productivity of rice, winter wheat and maize (tropical cultivation) between in 1990 and in 2100 based on the 11 GCM outputs combined with several CO2 emission scenarios and probable range of global temperature increase. Calculation was conducted by using a potential crop productivity model. The results were aggregated into 30 countries/regions. The direct effects of increasing CO2 concentration (CO2 fertilization) as well as the impacts due to global warming are considered. The major outcomes of the model calculations are summarized as follows:1) Considering CO2 fertilization, the potential productivity of rice and maize will increase in 2100 under the changed climate. As for winter wheat, regions at high latitudes gain higher yield and those at low latitudes loses its yield. Especially decrease in the productivity of winter wheat in India region may be serious.2) Comparing results with CO2 fertilization and those without it, it was found that most part of increases in potential productivity of rice and maize are derived from CO2 fertilization, not so much from climate change.
著者
藤森 真一郎 長谷川 知子 増井 利彦 高橋 潔 シィルバ エラン ディエゴ 戴 瀚程 肱岡 靖明 甲斐沼 美紀子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.II_217-II_228, 2015
被引用文献数
2

Special Report on Emissions Scenarios(SRES)が公表されて以降,気候変動関連研究は主としてSRESを用いて行われてきた.一方,2007年以降に新シナリオプロセスが開始され,新しい社会経済シナリオ Shared Socioeconomic Pathways(SSPs)は気候モデル,影響評価モデル,統合評価モデルで使われ,中核的なシナリオとなることが期待される.また,近年統合評価モデルが提示するシナリオはパラメータの設定等が明瞭に示されずブラックボックスとなっているという批判が存在し,統合評価モデルが抱える大きな問題の一つとなっている.このような背景を踏まえ,本論文は以下の二つの目的を有する.第一にSSPの定量化プロセスについて詳細に記述し,シナリオ定量化作業をオープンにすることである.第二にその結果を既存のシナリオであるSRESとRCP(Representative Concentration Pathways)と比較し,シナリオの特徴を明らかにすることで,今後SSPの主たるユーザーとなる気候モデルや影響評価モデルに対して有用な情報を提供することである.本研究で得た主要な結論は以下のとおりである.第一に大気汚染物質の排出量はRCPで一貫して減少していたが,SSPの一部は増加するシナリオが含まれ,気候モデルにとってエアロゾルの違いの影響を明らかにすることができる.第二に耕作地面積はいずれのシナリオでも21世紀で拡大し,水資源,森林生態系など土地利用に影響される影響評価モデルにとっては土地利用シナリオを考慮することが重要であることが示唆された.
著者
長谷川 知子 藤森 真一郎 申 龍熙 高橋 潔 増井 利彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_227-I_236, 2012 (Released:2013-02-13)
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

本論文では気候変化による作物収量変化が,食料消費,飢餓,マクロ経済に対してどの程度影響するのかを分析する.将来の社会経済条件の違い,気候条件や適応策の取り方などの諸条件をシナリオとして与え,これらを比較することで気候変化によってもたらされる農業部門への影響を総合的に解析する.分析には世界経済モデルと作物モデルを用いる.社会経済条件,農業に強く関連する事象としてシナリオで考慮するのは,人口,GDP,作物収量(気候変化の影響と適応策の効果を考慮)とした.結果は以下のことを示唆する.社会経済条件は栄養不足人口や食料消費にとって大きな因子である.気候影響は適応策を適切に実施する場合栄養不足人口に対して軽微な影響であるが,適応策を適切に実施できない場合大きな影響を持つ.また,作物収量変化によるGDP損失は比較的小さいことが明らかとなった.
著者
高薮 出 花崎 直太 塩竈 秀夫 石川 洋一 江守 正多 嶋田 知英 杉崎 宏哉 高橋 潔 仲江川 敏之 中北 英一 西森 基貴 橋爪 真弘 初鹿 宏壮 松井 哲哉 山野 博哉 横木 裕宗 渡部 雅浩
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.377-385, 2021-11-05 (Released:2021-11-20)
参考文献数
11
被引用文献数
2

過去20余年にわたり,気候変動とその社会への影響に関する膨大な予測情報や知見が創出されてきた.しかし,これらの予測情報や知見が国・地方公共団体や事業者などに広く利活用されるようになるまでにはまだ様々な課題が残っている.そこで,気候予測と影響評価に関する研究に長く携わってきた著者らが現在見られる各種の障害や,解決の糸口について議論した.その結果,気候予測・影響評価・利用者のコミュニティーにはそれぞれ業務の前提と他コミュニティーへの期待があり,それらの間にずれが生じていることが浮かび上がった.解決のためには,気候予測・影響評価・利用者のコミュニティー間の協働が重要である.具体的には,予測情報や知見が創出される前の段階での相互の情報交換やすり合わせによるギャップの解消や,その実現のための制度や設備の整備が必要であることが示された.
著者
田中 朱美 高橋 潔 申 龍熙 増冨 祐司 山中 康裕 佐藤 友徳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_237-I_248, 2012
被引用文献数
1

現在気候下の北海道のコメ収量変動を再現するため,潜在作物生産性モデルGAEZの北海道への適用可能性評価および改良を実施した.改良前のGAEZでは計算対象期間の大半で北海道のほぼ全域で気温条件を満たさず収量がゼロとなり,耐冷性の強化によってコメ栽培が可能となった北海道にはそのまま適用できなかった.モデルの改良として(1)気温条件の緩和,(2)バイオマス計算論理の変更,(3)出穂日推定論理の追加,および(4)障害型冷害の考慮を実施した.(1)により寒冷地でも収量を得ることが可能となるが,観測の収量変動をほとんど再現しなかった.(1)に加え(2),(3),(4)を組み合わせることで再現性は大幅に向上した.特に障害型冷害の考慮と出穂日の推定が北海道の観測収量変動の再現性向上に大きく寄与した.
著者
高橋 潔
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.67-85, 2001-01-31 (Released:2011-01-27)
参考文献数
63

This study examines convergent and discriminant validity of the 360 degree feedback systems in which managerial behavior and performance are evaluated by multiple raters including bosses, peers, subordinates, and self. Multitraitmultirater (MTMR) correlation matrix was constructed from the data of 177 Japanese managers and 1, 187 coworkers. The matrix was investigated by zero-order correlations and confirmatory factor analyses (CFA). Results of correlation analyses found that 1) in any domain of managerial behavior (traits), ratings within the same rater were correlated highly, proving that discriminant validity was low; and that 2) ratings of the same trait provided by different raters were not associated highly, suggesting that convergent validity is questioned. Confirmatory factor analyses found that among three models, i.e., rater model, trait model, and rater-trait combined model, the combined model fit best, suggesting that both rater effect and trait effect were interwoven in the actual ratings of the 360 degree feedback.
著者
林 洋一郎 高橋 潔
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.15-24, 2002-07-31 (Released:2011-01-27)
参考文献数
16

The purpose of the present study was to examine the relationships between several personnel practices that were employed for implementing the merit basedtreatment and the perception of fairness in performance evaluation. This study shed light on three personnel practices: performance appraisals, Management by Objectives (MBO), and the annual “salary system.” Because all three were, in part, utilized in the attempt of realizing the idea of merit treatment in work settings, their effects on the perception of fair treatment were subject to scientific investigation. Hence, the study examined empirically whether three personnel practices improve perceived fairness of performance evaluation. Survey results of the data collected from 1, 823 Japanese employees showed that only the annual “salary plan” was positively related to perceived fairness. In addition, the study investigated if the competitive climates moderate the relationships between three practices and employees' perception of fairness. Hierarchical regression analyses indicated that the relationships between these practices and employees' perception of fairness varied by the degree of competitiveness in the workplace. Implications of the study findings were discussed.
著者
小川 千里 高橋 潔
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,プロスポーツ選手の現役引退に伴っておこるキャリア上の諸問題を,経営学的視点から明らかにし,第二の職業人生に対する望ましい支援の方法について検討することを目的に行われた。プロスポーツ選手のキャリア・トランジションに関して,(元)Jリーガーと既存の支援システムを対象とした定性的調査を実施した。その結果,スポーツ選手の引退とその後のキャリアへの移行の実態を詳らかにした。そして「現役時代」の行動や考え方の傾向と周囲の人の属人的な要素が,引退に関する「内的キャリア」や支援に影響を与えること,選手個人が引退に伴う心理的激動を受容するために望ましい支援の特徴と組織の在り方を見出した。
著者
高橋 潔
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.47-53, 1994-03-31

中度遅滞を示す17歳の知的障害児が入所施設内のクラス異動を契機に、盗み、拒食、無断外出などの不適応行動を示した。これらの行動改善を目的に、カウンセリングアプローチによる関わりを行った。各々の不適応行動は、依存、顕示、反抗、拒否、自暴自棄という内面変化を背景に変容していったと解釈された。また、知的障害児に対するカウンセリングアプローチの効果は、ケースの言語能力・情緒発達と関連して限界が論じられ、生活療法的な環境調整との併用が有効であることが示唆された。