著者
宮尾 学 原 拓志
出版者
日本経営学会
雑誌
日本経営学会誌 (ISSN:18820271)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.61-72, 2014

In this study we will explore a case of innovation to examine the re-invention process. Re-invention is defined as modification by users of a technology during the diffusion process. Previous research on re-invention has had three problems: there was insufficient explanation of the reasons behind the modification of technology by users, innovation was researched independent of users, and it overlooked non-user agents and other structural/material factors that have an influence on the re-invention process. In order to overcome those problems, we will apply the social shaping of technology approach in case analysis. We will also examine the applicability of this approach within this area of research. We chose to analyze the case of smart card innovation (contactless IC cards used instead of railway tickets). This case study reveals the re-invention process during the diffusion of contactless IC card technology in which multiple users modify the technology and create different smart card systems. In the process of re-invention, important roles are played not only by user organizations, but also by other non-user agents such as railway passengers and local associations of transportation companies. In addition, those interactions of agents are constrained or enabled by structural factors including competitive structure, relevant laws and regulations, regional differences in temperament, as well as by material factors such as existing facilities in railway stations and whether there are dedicated machines for adding money to the smart cards. User organizations re-invent contactless IC card technology through the interactions of those factors. Therefore, innovation does not diffuse in only direction, but is reciprocal among organizations. This case study shows that, in the process of re-invention, innovation shapes users and that users also shape innovation based on interactions among various agents and structural/material factors. Such idiosyncratic interactions create the variations in technological systems during the diffusion process. Additionally, our study will demonstrate the applicability of the social shaping of technology approach to analysis of the re-invention process.
著者
原 拓志
出版者
關西大學商學會
雑誌
關西大學商學論集 (ISSN:04513401)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.59-80, 2023-03-10

本研究はJSPS科研費助成金(基盤研究(C))20K01880の助成を受けている。
著者
鷹見 達也 吉原 拓志 宮腰 靖之 桑原 連
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.24-28, 2002-01-15
参考文献数
25
被引用文献数
14 35

2000年9月に北海道西部にある石狩用水系の一支流において,在来種のアメマスと1980年代後半に移入されたとされる欧州原産のブラウントラウトの生息状況を調べた。フラウントラウトはこの支流の優古種となっており,その推定生息尾数はアメマスの1.8倍で,特に支流の中下流域で卓越していた。これに対しアメマスは上流域のみで優古していた。夏から秋の河川水温は,支流の下流部で5~16℃であった。この支流の中下流域では,15年以内でアメマスが移入されたブラウントラウトに置き換わったと考えられた。
著者
金井 壽宏 三品 和広 上林 憲雄 原 拓志 平野 光俊 高橋 潔
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

長らく停滞した後、再復興期に入った日本の産業社会の活力の向上のため、企業の持続する競争優位性の元となる組織能力を再構築する必要がある。従来この議論は、たとえばリソースベースの経営戦略論として論じられてきたが、本研究では、組織能力構築に真に貢献できる、企業のコア人材、とりわけ経営人材と高度専門職人材に焦点を合わせて、人材の体系的な育成に関する理論的・実証的研究をおこなった。国家レベルの競争力を高めるうえで人材育成が果たす役割について米国を主たる比較研究も実施した。その結果、第1に、戦略の成功の問題は、人材育成の問題と切り離しては考えられないことが確認された。戦略的人的資源管理という名のもとに、戦略とリンクしてひとの問題を扱う重要性が示唆されてきたが、その育成内容は、次期経営幹部候補の体系的な育成、またその育成プロセスの加速化に焦点をあわせる研究が有望であることが判明した。また、どのように経営人材になるかという問題だけでなく、より早く最高経営責任者になり、より長く采配を振るう機会を与えることの重要性も確認された。第2に、経営人材、高度専門職人材を問わず、コア人材の育成は、フォーマルな座学の育成とのかかわりをけっして軽視することはできないが、産業のなかで、また個別の企業のなかで、いったいどのような仕事をどのような時期にだれのもとで経験するかという点がいっそう重要である。したがって、リーダーシップ開発の問題も、高度専門職の育成の問題も、なんらかの「経験の理論」にも裏付けられる必要があることがわかった。第3に、大きな展望としては、経営学におけるシステムに目を向ける視点と、ひとの問題を照射する視点とが今後は、意味ある形で統合されると、真に国家レベルの復興に経営学も貢献しうることが示唆された。経営学における人材育成を天下国家レベルの国の活力に結びつける研究への橋頭堡となった。
著者
桑田 耕太郎 松嶋 登 石川 哲也 高田 昌樹 原 拓志 高尾 義明 松尾 隆 井上 福子 高橋 勅徳 西村 孝史 水越 康介 宮尾 学
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、所与の科学技術を産業利用する既存のイノベーション研究ではなく、科学技術の変化や産業構造の変化を伴った根源的なイノベーションのプロセスを理解するための分析枠組みと理論を構築し、先端科学技術と産業の国際競争力の向上をダイナミックに結びつける理論と方法を確立することにある。ビッグサイエンスのリサーチサイトとして、理化学研究所の協力の下、大型放射光施設(SACLAやSPring-8)を取り上げる。本研究では、「科学は社会化され、社会は科学化される」という視角を採用し、世界最先端の大型放射光施設を生み出す産業の実践、その施設を利用する科学技術者の実践、その研究成果を利用する産業の実践のダイナミクスを研究し、科学・技術と産業社会の分業構造が根幹から再編成されるプロセスを分析する。研究3年目となった本年は、これまでの研究蓄積を踏まえつつ、大きく4つの論点についてそれぞれ研究を進めた。第一に、科学と産業の相互影響の歴史に取り組み、これまでに引き続き研究蓄積の整理分析を行うとともに、各分野でのヒアリング調査を中心として、放射光科学の歴史を確認した。第二に、ビッグサイエンスを支えるビジネス・エコシステムの社会的形成、および、第三にビッグサイエンスを媒介にした社会的実践の変化を捉えるため、大型放射光施設に関わる企業のイノベーションを確認した。さらに第4として、地球レベルでのイノベーション・システムの探求に取り組むべく、研究会や学会報告を行い、研究枠組みの精緻化を進めた。
著者
宮尾 学 原 拓志
出版者
神戸大学大学院経営学研究科
雑誌
神戸大学経営学研究科 Discussion paper
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012-07

交通系ICカードのSuica,ICOCA,PiTaPa,これら交通系ICカードに用いられているFeliCa,および電子マネーのEdyの開発について事例研究を行った。事例の記述にあたっては,技術の社会的形成アプローチを採用し,これら交通系ICカードのサービスに違いが生じた理由を考察した。事例からは,ICカード改札システムを開発したそれぞれの主体に関連する物的存在(例えば,駅務機器)や制度的・構造的要因(例えば,競争環境)が異なっていたこと,これらの影響によって主体によるICカード改札システムに対する意味づけが異なっていたこと,その結果それぞれのICカードのサービスに違いが生じたことが明らかとなった。
著者
鷹見 達也 吉原 拓志 宮腰 靖之 桑原 連
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.24-28, 2002-01-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
25
被引用文献数
23 35

2000年9月に北海道西部にある石狩用水系の一支流において,在来種のアメマスと1980年代後半に移入されたとされる欧州原産のブラウントラウトの生息状況を調べた。フラウントラウトはこの支流の優古種となっており,その推定生息尾数はアメマスの1.8倍で,特に支流の中下流域で卓越していた。これに対しアメマスは上流域のみで優古していた。夏から秋の河川水温は,支流の下流部で5~16℃であった。この支流の中下流域では,15年以内でアメマスが移入されたブラウントラウトに置き換わったと考えられた。
著者
原 拓志
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、高度技術システムにおける安全確保のためのテクノロジーマネジメントのあり方について、理論的研究および経験的研究を実施した。すなわち、一方で、技術社会学および組織論における先行研究の検討から理論的枠組みを導出した。他方で、この理論的枠組みを使って、鉄道および航空サービス・航空管制などにおけるフィールドワークや文献資料に基づいた事例研究を実施した。