著者
東口 篤司 逸見 博文 金澤 朋扇 斉藤 学
出版者
日本哺乳動物卵子学会
雑誌
Journal of mammalian ova research = 日本哺乳動物卵子学会誌 (ISSN:13417738)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.134-138, 2009-10-01
参考文献数
14

薄い内膜では何故妊娠率が低いのか、そのメカニズムは不明である。本研究ではそのメカニズムを解明するために薄い内膜と正常の厚さの内膜のステロイドレセプター、Transforming growth factor α(TGFα)、酸化ストレスを比較検討した。対象は205症例、1,035自然周期で、妊娠率から排卵後5-7日目の子宮内膜が6cm以下を薄い内膜群(12例;妊娠率8.3%)、7cm以上を正常内膜群(193例;妊娠率51.3%)とした。薄い内膜群ではエストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、内膜間質における酸化ストレスが有意に高く、TGFαが有意に低かった。これらの機能的異常が薄い内膜における低妊娠率のメカニズムと考えられた。
著者
亀山 顕太郎 斉藤 学 下井 俊典 岩永 竜也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C4P2163, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】内側型野球肘は、主としてコッキング後期から加速期にかかる外反ストレスに起因するといわれている。しかし、投球動作を繰り返しても痛みが出現する選手と、痛みが出現しない選手がいるため、この外反ストレスの影響を大きくうける不良なフォームとストレスが小さい理想的なフォームが存在することが考えられる。本研究の目的は、加速期の前腕回内・回外角度に着目し、外反ストレスに抗して働くと考えられる手関節屈筋群の筋活動量について調査し、投球時の前腕の肢位が前腕屈筋の筋活動に及ぼす影響を検討することで、理想的な前腕の肢位を明らかにすることである。【方法】対象は野球経験のある男性11名(平均年齢21.3±0.4歳)。測定肢位は、端坐位にて肩関節外転95度および最大外旋位にて肘関節屈曲90°とした。測定条件は、投球側手掌が投球側を向く加速期をイメージした前腕回内位を保持した肢位(以下:前腕回内位)と、投球側手掌が頭部を向く加速期をイメージした前腕回内回外中間位を保持した肢位(以下:前腕中間位)の2条件とした。被検者に、各条件にてひも付きのボールを把持させ、1kgの後方負荷を水平方向にかけ、5秒間保持するように指示をした。Noraxon社製Myosystem 1200を用いて、2条件で尺側手根屈筋と橈側手根屈筋の表面筋電図を導出し、安定した3秒間の筋電位について積分筋電位を求めた。なお、前腕回内位と前腕中間位の測定順番はランダムとした。統計学的手法は、各筋別の2条件間の積分筋電位について、対応のあるt検定を用い、有意水準は5%とした。【説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、対象者に対して研究の目的を説明し同意を得た上で、研究を行った。【結果】11名全例で、前腕中間位の方が、前腕回内位よりも尺側手根屈筋および橈側手根屈筋のiEMGが高値を示し、有意差も認められた(p<0.01)。【考察】今回の結果より、加速期での前腕中間位は前腕回内位に比べて、尺側手根屈筋および橈側手根屈筋への負担が大きい肢位であることが明らかとなった。よって、加速期に前腕が中間位であると、橈側手根屈筋および尺側手根屈筋に遠心性の収縮がより強度に起きる結果、上腕骨内側上顆への牽引・伸張ストレスが増強すると考えられる。このストレスの繰り返しが、肘関節内側の損傷および疼痛の一要因となることが推測される。また、尺側手根屈筋の筋肥大が尺骨神経の絞扼につながるとの報告もあるため、尺側手根屈筋の過収縮を起こす前腕中間位での投球は、投球動作で引き起こされる尺骨神経障害にも影響があることが考えられる。 逆に、前腕回内位では、肘への外反ストレスに対する球状の上腕骨小頭とこれに対する凹面の橈骨頭をもつ腕頭関節の骨性の支持、および、蝶番関節である腕尺関節の骨性安定機構も得られると推測する。また、外反ストレス時の安定性の保持に最も重要な役割を果たしている靭帯である内側側副靭帯前方部分も、効率的に働くため、ストレスが分散され、前腕屈筋群にかかる遠心性ストレスは軽減されると考える。しかし、肘関節の屈曲角度が70~80度では、逆に内側側副靭帯前部へのストレスが過度になってしまうとの報告もあるため、実際の臨床では、十分な肘の屈曲が得られているかも評価する必要がある。 内側型野球肘の一要因となるストレスが生じる原因は、いくつかあると考えるが、今回着目した前腕中間位での投球もその一つであることが明らかになった。【理学療法学研究としての意義】今回の結果より、加速期にて肘の内側に疼痛を訴える選手の理学療法を進める上で、投球動作中の前腕回内外角度も評価する重要性が明らかとなった。また、前腕中間位の選手には、前腕回内位を指導することで、肘関節内側へのストレス軽減につながることが示唆された。
著者
富田 道男 斉藤 学 春山 洋一
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.229-233, 1992-03-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
9
被引用文献数
2

(1) 水の煮沸により重金属溶出の認められなかったのは, ホーローびき鍋のみであった.(2) 5%酢酸水溶液の煮沸では, どの鍋 (鉄鍋を除く) からも重金属の溶出が認められ, その溶出量は水煮沸の場合の10倍に達するものがあった.(3) 5%酢酸水溶液の煮沸で溶出量の増加が最も少なかったのは, フッ素樹脂加工のアルミニウム鍋であった.(4) スズ引き銅鍋からは鉛の溶出が認められた.(5) シリコン強化焼き付けと称するてんぷら用鉄鍋は5%酢酸水溶液の煮沸により, 内面の塗装皮膜のほとんどが剥離した.このように, 使用方法の限定された表面処理の施された鍋を他の目的に使用するさい, その性質について十分調べることが肝要である.
著者
富田 道男 斉藤 学 春山 洋一 南出 隆久 畑 明美
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

平成7年度科学研究費補助金では、アルミ鍋からのアルミニウム溶出に及ぼす溶液の影響について調べ、溶出量は酸性溶液で多くなり、酸の種類にも影響されることを明らかにした。2%の酢酸、リンゴ酸、及びクエン酸のそれぞれの溶出量は、100cm^2当たり4.2mgと酢酸が最も多く、リンゴ酸、クエン酸では少なかった。また、酢酸の場合、溶出量は試料温度とともに指数関数的に増えることがわかった。さらに、標準的な食物の調理にアルミ鍋を使用した場合に、鍋から溶出する量も含めて、1人1食分に含まれるアルミニウムの量を調べた。その結果、米飯185g、ポ-クビーンズ163g及び五目豆244gを1食分とした場合、3.4mgのアルミニウムを摂取することになることがわかった。また、食品原材料の中には、鶏の手羽肉のように、100g当たり1.3mgものアルミニウムを含んでいるものがあることも明らかになった。このことを踏まえて、平成8年度科学研究費補助金では、食物の他にも、日常の食物によく使用される食品に含まれるアルミニウムの量の測定に重点をおいた。食品30種について測定した100g当たりのアルミニウム含量を畜肉、魚類、農産物それぞれに分けて平均すると、畜肉の平均アルミニウム含量は2.2mg、魚類では2.4mg、農産物では、葉菜類の平均含量が5.3mgと最も多く、次いで大豆の4.5mg、果菜類0.93mg、根茎菜類0.63mgであった。
著者
斉藤 学 春山 洋一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

静電型リニアイオントラップを用いて準安定状態にある2価Krイオンの寿命の精密測定を行った。準安定状態の寿命は一般的にイオントラップを用いた分光測定によって決定されてきた。しかし、現状のイオントラップを用いた測定では、残留ガスとの衝突(中性化、散乱)による蓄積イオン数の減少を見積ることが難しい。この見積もりが寿命の測定精度に大きな影響を与える。本研究は、静電型リニアイオントラップを用いることで蓄積イオン数の減少を高精度でモニターし、準安定状態寿命の測定精度を向上させることに成功した。