著者
齊藤 勇樹 星野 崇宏
出版者
日本マーケティング・サイエンス学会
雑誌
マーケティング・サイエンス (ISSN:21874220)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.7, 2020 (Released:2021-05-10)

本研究では店舗内での消費者の逐次的な商品選択ログを蓄積できるスマートカートから得 られたデータを活用し,事前の購買行動が事後の商品選択に与える影響について調べた。顧 客8,924人による45,094回の購買機会を分析したところ, 1 )カートに値引きないしクーポン 商品があるとき,また 2 )選択までに既に店内に長く滞在しているとき,高額商品を選択し 易くなることが示唆された。また階層モデルによる消費者異質性理解のための分析からは, もともと値引き商品を買いやすい顧客ほど 2 )の傾向が強まることなどが示唆された。
著者
新美 潤一郎 星野 崇宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.B-G63_1-9, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)
参考文献数
25
被引用文献数
3

Nowadays, along with the popularity of E-Commerce, the marketing strategy of retail stores has been more complicated with O2O or Omni-channel. Therefore, Customer Relationship Management (CRM) is one of the important issue for the retail stores. It can be difficult to predict customers future behavior with the simple quantitive information such as purchase frequency since each customers are widely diversified. Although the company can obtain the variety of customers information from their online activity, the use of access history is still limited. In this paper, we defined “the variety of user access patterns” collected from their web browsing history and it shows the patterns they visit the website. Finally, we verified its effectiveness with developing a DNN model to predict customers future behavior.
著者
星野 崇宏 繁桝 算男
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.43-61, 2004-03-30
参考文献数
72
被引用文献数
9 18

In behavioral sciences, it is often difficult to execute an experimental study with random assignment. Therefore researchers usually do a quasi-experiment or a survey study without random assignment. However, under these studies the distributions of the covariates that would affect dependent variables usually differ with the values of the independent variables. To eliminate the influence of the covariates, various adjustment methods such as analysis of covariance have been applied to these data. Recently new adjustment methods using the propensity score proposed by Rosenbaum & Rubin (1983) have been applied to many researches especially in the areas of medicine or economics, and these methods also attract attention in behavioral sciences. The propensity score methods are also used for adjustment of survey data. In this paper, we give a detailed explanation of several estimation methods of causal effect using the propensity scores and related topics. We also review adjustment methods of biased survey data using the propensity scores.
著者
増田 樹 中川 慧 星野 崇宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.FIN-031, pp.81-88, 2023-10-10 (Released:2023-10-12)

近年、大規模言語モデル(LLM)、特にOpenAIが開発したChatGPTの出現は、多岐にわたる領域での応用が試みられている。なかでも、医師国家試験や、司法試験をはじめとする難関資格試験を解かせる試みが増えてきた。それは公認会計士試験も例外ではなく、特に、米国公認会計士試験についてはすでに合格水準を超える精度が観測されている。一方で、米国公認会計士試験の合格率は50%前後であるものの、日本の公認会計士試験短答式試験の合格率は概ね10%程度で推移しており、より難度が高い可能性がある。本研究の目的は、難解な専門資格試験における言語モデルの応答能力や限界を理解することであり、特に、日本の公認会計士・監査審査会が実施する公認会計士試験(短答式試験)のうち、監査論の問題をChatGPTのAPIを活用し、回答する枠組みの提案を行う。そして、GPT-3.5とGPT-4に回答させることでその精度を比較検証する。結果として、GPT-3.5では、正答率は50%程度(チャンスレート同等)のものの、GPT-4では、60%を超える正答率を確認でき、有意チャンスレートを上回ることが確認できた。今後、このような会計・監査分野に特化したLLMを監査業務へ活用することで、より効率的かつ効果的な監査を行える可能性がある。
著者
猪狩 良介 星野 崇宏
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.269-293, 2023-03-01 (Released:2023-03-01)
参考文献数
42

マーケティングでは,生存時間解析を用いて消費者の購買タイミングを分析する購買間隔モデルが研究されている.本研究では,観測されない消費者異質性の動的変化を考慮した競合リスクモデルを提案し,複数チャネルにおける購買間隔モデルに応用する.具体的には,競合リスクモデルを用いて,ECサイトとリアル店舗における購買間隔モデルを構築する.さらに,購買間隔の競合リスクモデルにおいて,観測されない異質性の動的変化を状態空間モデルにより捉え,消費者異質性を階層ベイズモデルにより捉えるモデルを提案する.また,購買間隔に加えて購買金額も扱う同時モデルを構築する.提案モデルをECサイトとリアル店舗における購買行動をシングルソースで記録したデータに応用した結果,単一のチャネルのみを扱うモデルや動的変化を考慮しないモデルと比較して提案モデルは優れたパフォーマンスを示すことが明らかになった.加えて,チャネルによるマーケティング変数の効果の違いなども明らかになり,提案モデルの有用性が示された.
著者
星野 崇宏
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.491-499, 2001-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
17
被引用文献数
2

教育評価・心理測定では測定対象である特性に複数の下位特性がある場合がしばしばである。また, 特に入学試験などの何らかの決定を求められる場合は, 複数の下位特性をそのまま多次元として評価するのではなく, 測定者が設定した重みによる下位特性の線形結合という1次元の評価がなされることがある。本研究では相関のある複数の特性の線形結合についての評価を容易にするために, 項目反応理論を用いたテスト編集において重要な意味をもつテスト情報関数, 及び項目情報関数の提案を新たに行った。本研究で提案された情報関数は局外母数の積分消去により, 多次元の特性があってもテストを行う前に1次元で評価でき, 特性間の相関を考慮できるという点で複数の下位特性を有する特性の評価のためのテスト編集を可能にする。また本研究では, 異なる重みや相関係数の下での情報関数の比較のための方法が提案された。数値例によって重み付け, 相関係数を様々に変化させても導出できることが確認され, 本方法による多次元項目反応理論での項目選択法の有用性が示唆された。また, アメリカ国立教育統計センターの作成した幾何学と統計学についての項目プールから選択した項目群に対して本方法が適用された。
著者
藤本 凌太朗 梅田 芳直 作花 健也 星野 崇宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.2F4GS10h02, 2021

<p>限られた広告枠の中で広告効果を最大化することはマーケティング分野で重要である。これまでも個人の広告接触に対して生じる「飽き」や「単純接触効果」を考慮した有効フリークエンシーという概念が広告研究では重視されてきたが、従来型広告では無作為割り当てによる広告は難しく、実験室研究以外で有効フリークエンシーについて実証研究はほとんど行われて来なかった。そこで本研究ではランダムに割り当てられた広告接触データを用いた摩耗効果や有効フリークエンシーについて最適な広告接触回数の決定要因を分析すると同時に、機械学習的手法を用いて広告接触による因果効果の異質性を明らかにする。 具体的には株式会社AbemaTV提供の動画配信サービスAbemaから取得できるユーザーの広告接触、番組視聴データ及び放送時間のような番組に関する情報、年齢性別のようなユーザー属性に関する情報を解析に用いる。</p>
著者
星野 崇宏 繁桝 算男 猪狩 良介 加藤 諒
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究の研究目的はルービン因果モデルの枠組みを拡張し、店舗と消費者、病院と患者、クラスと生徒のような階層性のあるクラスターデータにおける因果効果の異質性や、同一個人でも何らかの要因により介入効果が異なる個人レベルの効果の異質性について統一的なモデル表現を行い、既存手法で生じるバイアスを回避する効率的な推定法を開発することを目的としている。一昨年度に進展した理論研究のうち特にpotential outcome間の同時分布の識別条件とその推定方法についての研究をもとに、研究計画の(1)クラスターあるいは個別ごとの介入の最適化についての研究や、(3)適応的デザインでの解析への応用に直接有用であり、また(5)母集団情報やマクロデータ、代表性のあるデータを利用した補正についての理論研究に注力して研究を行った。さらに、これに関連するシミュレーション研究を大規模に実施した。理論的な研究の成果を海外学会での発表および海外著名誌に論文投稿を行いその一部については採択され、他は現在審査中である、また、応用研究としてレセプトデータ、教育データとマーケティングデータについては(1)と(3)の分野について研究を実施し、応用研究についてはまずは国内外の学会に発表したあと、一部海外雑誌に掲載させ、他にも国内外の査読雑誌に投稿準備中である。特に理論的な研究成果は一昨年度は論文投稿を中心としたため、昨年度は海外学会でも発表を行った。
著者
荒巻 凌 星野 崇宏
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.343-344, 2020-02-20

近年、位置情報マーケティングの需要が増大するにつれて、データ分析の現場では座標(緯度・経度)を住所に変換する逆ジオコーディングの機会が増えている。国内における逆ジオコーディング手法としては外部のAPIに依存するものが主流となっている。しかしながら、顧客の位置情報を外部に送信することはコンプライアンスやセキュリティ上の問題から困難である。さらにAPIにはHTTPアクセスのオーバーヘッドがあり、数億件規模のビッグデータの処理には所要時間が極めて長くなる問題がある。本研究では外部サービスに依存せず、国土地理院等から公開されているデータをインメモリデータベース上に格納し、高速かつセキュアに逆ジオコーディングする手法を提案する。
著者
星野 崇宏
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.218-226, 2003-08-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
24
被引用文献数
4 1

Psychological research often deals with psychological constructs that cannot be directly measured. Thus independent variables of regression analysis for an observable dependent variable are sometimes latent variables (factors) that are defined independently of the dependent variable. In this study we pointed out the problem associated with the use of factor analysis for the combined set of dependent variable and independent variables in such a cases; that is, the derived factors are different from those originally intended, and the true regression parameters cannot be reproduced. We proposed a stagewise estimation method to solve the problem. This method estimates parameters of measurement equation in the first stage, and then estimates parameters of structural equation in the second stage. Our proposed method enables calculation of standard errors of estimators using Bootstrapping method. Numerical studies showed that the proposed method improves the estimation efficiency over the conventional methods, and provides estimates which are robust with respect to misspecification of model.
著者
中川 宏道 星野 崇宏
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.1-15, 2017

<p>値引きとポイント付与とでは,どちらのセールス・プロモーションの効果が大きいのであろうか。本研究では,食品スーパーにおける集計された購買履歴データを用いて,ポイント付与に関するプロモーション弾力性および値引きの弾力性の推定をおこない,両者の効果の比較をおこなった。プロモーション弾性値の測定の結果,ベネフィット水準が高くなるほど値引きの弾性値が高くなる一方,ポイント付与の弾性値は低くなる傾向が確認された。これらの結果,商品単価が低く値引率・ポイント付与率も低いときには,ポイント付与の方が値引きよりも売上効果が高くなることが確認された。小売業が低いベネフィット水準においてプロモーションをおこなう場合には,値引きよりもポイント付与の方が有利であることが示唆される。</p>
著者
柳 博俊 星野 崇宏 高畑 圭佑
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本稿では顧客行動データを用いたWeb上でのマーケティングについての研究の1ケースとして,大手中古車販売サイトである中古車鑑定グーネットサイト上での介入実験施策について報告する. 介入実験では最終目標であるCV率の上昇への貢献を目標とし,中古車鑑定グーネットのトップページにLDAを用いた閲覧車種傾向に基づくリコメンドと文脈付きバンディットを用いたリコメンドの2パターン用意して行う. 前者では価格 / 色など異なる要素を用いた複数パターンのLDAベースのリコメンドを用意し車種を推薦する.一方後者では,リコメンドをクリックさせることによって, 言語化できていない自分の好みや、それまで知らなかった検索領域が顕在化されることを目的とする.またリコメンドの方法にはサイト閲覧者の閲覧集中度を表現するHHIなどをcontextとして与えた文脈付き多腕バンディットアルゴリズムを使用する.また,文脈付きバンディットアルゴリズムを用いるパターンにおいてはリコメンドのクリックをしてからCVに至るまでの因果関係を仮定し,リコメンド情報が顧客の情報探索を進め,最終的なCV率を上昇させたかについての効果検証を行う.
著者
猪狩 良介 星野 崇宏
出版者
日本マーケティング・サイエンス学会
雑誌
マーケティング・サイエンス (ISSN:21874220)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.43-67, 2012 (Released:2013-07-30)
参考文献数
26

本研究では,非集計レベルのWebアクセスデータを用い,サイト属性と個人の異質性を考慮した複数サイトの普及モデルを提案する。提案モデルは非集計レベルのデータを用いることで個人の異質性を考慮し,複数サイトを扱うことで,どのような属性を持つサイトがどういった普及パターンを辿るのか把握することができるため,企業のHP作成や新しいWebサービスを展開する際に有効なモデルになると考えられる。具体的には,消費者異質性に対し潜在クラスを,サイト間の異質性に対し階層モデルを用いた離散型のハザードモデルによって複数サイトに対する個人の閲覧開始時期をモデリングする。提案モデルの有用性を示すために,株式会社ビデオリサーチインタラクティブ社の『インターネット視聴データ』 を利用した解析を行ったところ,潜在クラスによる採用時期や,時間による採用傾向の変化が異なることが確認された。