著者
茶谷 成 森藤 雅彦 佐々木 秀 横山 雄二郎 村上 義昭 末田 泰二郎
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.2149-2152, 2004-08-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
20
被引用文献数
6 4

今回,鉗子や体位の工夫により摘出しえた経肛門的直腸異物の1例を経験したので報告する.症例は56歳男性.自慰目的にて清涼飲料水の瓶を肛門より挿入し,抜去不能となり当院に来院した.腹部X線像にて直径4 cm高さ15 cmの瓶を認めた.まず用手的摘出を試みたが摘出できなかった.膣鏡診および内視鏡診施行するも抜去不能であった.腰椎麻酔下,載石位にて通常の鉗子を用いて摘出を試みたが把持困難であった.そこで,下肢をさらに挙上して高載石位とし,股関節を屈曲させ,腹部を愛護的に圧迫し,肛門を左右から拡張すると異物の全周が可視できた.また八爪鈎骨鉗子を用いることで異物を把持し摘出しえた.術後は特に合併症を認めなかった.今回用いた方法は経肛門的直腸異物摘出法の一つとして有効であり,今後同様症例に対して試みる価値があると考えられた.
著者
末田 泰二郎 福永 信太郎 浜中 喜晴 松浦 雄一郎 後藤 誠 佐藤 雅文 右原 義久 吉本 文雄 土谷 太郎
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.381-384, 1991

シリコーン中空糸を用いた新しい膜型人工肺を開発した。熱交換器の周りに巻かれたシリコーン中空糸の外部を静脈血は落差で灌流し、ガス交換され動脈血が貯血される膜型肺である。実験は緬羊10頭を、高灌流量群(Qb=4.7±0.5L/min、6頭)、低灌流量群(Qb=11/min、4頭)に分け、8時間の常温体外循環を実施し、ガス交換能や血液適合性の検討を行った。全例順調に8時間の体外循環が実施できた。V/Q1の条件下、両群ともにガス交換能は良好であつた。また8時間の体外循環中、ガス交換能は安定しており経時的低下は認められなかつた。溶血、血小板数の変化、血中酵素の上昇は僅かであつた。フイブリノーゲンの消費も認められなかつた。本人工肺はガス交換能や血液適合性に優れ、動脈血貯血方式のため、拍動流や分離体外循環にも対処し得る膜型肺である。