著者
福島 一彰 柳澤 如樹 佐々木 秀悟 関谷 綾子 関谷 紀貴 菅沼 明彦 味澤 篤 今村 顕史
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.310-315, 2016-05-20 (Released:2017-11-17)
参考文献数
12

We present 3 cases of ocular syphilis in patients who had been newly diagnosed as having HIV. All the patients had only complained of ophthalmologic symptoms at the time of their initial visit. Treatment with penicillin was successful, resulting in no significant sequelae. Ocular syphilis may lead to reduced visual acuity or even blindness if left untreated. However, the diagnosis may be challenging, since patients may lack symptoms that are commonly observed in cases with primary and secondary syphilis. Considering the recent increase in the number of syphilis patients, clinicians should be aware of ocular syphilis and should have a high index of suspicion for syphilis in any patient at risk so as to ensure a prompt diagnosis.
著者
小林 めぐみ 水野 大 吉田 宗平 佐々木 秀策 有末 篤弘 若林 剛
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.267-272, 2014-04-20 (Released:2014-04-20)
参考文献数
16

開腹手術を要した菓子昆布による食餌性イレウスの2 小児例を経験したので報告する.〈症例1〉1 歳11 か月女児.嘔吐と腹痛のため来院.身体所見で脱水を認め,腹部CT で腹水の貯留と広範な小腸の拡張からイレウスと診断した.保存的治療を行うも腹部症状の改善がみられず,開腹手術を行った.手術では広範な小腸の拡張の先端部に鶏卵大の内容物を認め,小切開にて昆布塊を回収した.〈症例2〉14 歳女児.嘔吐と腹痛のため来院.腹部CT でbubbly mass and impaction, small bowel feces sign を認めた.腹膜刺激症状を伴い,絞扼の危険性も危惧されたため緊急手術を行った.手術では回腸末端までの腸管拡張とメッケル憩室を認めた.憩室を切除する際に内容物である昆布を大量に回収した.2 例とも発症前に菓子昆布を食べたことが確認された.食餌性イレウスは,頻度が低いものの小児外科医が周知しておくべき疾患である.
著者
穐山 浩 佐々木 秀輝
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.43-50, 2007-08-31 (Released:2017-12-01)
参考文献数
52

A novel type of encephalopathy occurred in patients with chronic kidney diseases, which was associated with the ingestion of the Sugihiratake mushroom during the fall of 2004 in Japan. To elucidate the relationship between the encephalopathy and this mushroom intake, we attempted to investigate whether cyanide and thiocyanate are present in the Sugihiratake samples and determined the cyanide and thiocyanate levels in fifteen samples collected from different Japanese districts using HPLC with fluorometric detection. The cyanide ions and thiocyanate ions were detected in the ranges of N.D.-114.0μg/g and N.D.-17.0 μg/g in the samples, respectively. This result demonstrated that cyanide exposure could occur from the intake of Sugihiratake mushrooms in one's diet. Furthermore, we discussed the possible association between cyanide and the onset of encephalopathy. In addition, we conducted a multivariate analysis of metabolites in 'Probably Toxic' sugihiratake collected from the area of encephalopathy outbreaks, and 'Probably Safe' sugihiratake collected from unaffected areas using UPLC/ToF MS. The results indicated that the presence of milligram quantities of vitamin D-like compounds per 10 grams of dried sugihiratake from the areas of encephalopathy outbreaks. The hypotheses to induce the encephalopathy in terms of vitamin D-like compounds are proposed.
著者
佐々木 秀綱
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.41-53, 2021-09-20 (Released:2021-10-15)
参考文献数
39

本稿では経営学の研究手法としての実験を取り上げる.因果関係の検証に優れた強みを持つ実験は,他の研究手法と補完的に組み合わせたり,新たな情報通信技術を取り入れたりすることで,今なお経営学のツールキットにおける重要な一角を占めている.しかし他方で,再現可能性問題の表面化により,そのあり方について根本的な再考が求められてもいる.本稿はこれらの現状を概観したうえで,経営学における実験研究の展望を論じる.
著者
佐々木 秀平 久保 隆 大堀 勉
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.115-120, 1975-02

A six-year-old person reared as a girl came to us with enlargement of the clitoris. Various examinations revealed true hermaphroditism with karyotype of 46XX, positive sex chromation, ovotestis on the right side and ovary on the left. The ovotestis was surgically removed and the clitoris was amputated.
著者
古屋敷 明美 平岡 正史 佐々木 秀美 紀 成子 武井 功子 長吉 孝子 山下 典子 河野 寿美代 金子 道子 森川 晴美 山崎 弘子
出版者
広島文化学園大学
雑誌
看護学統合研究 (ISSN:13460692)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.42-53, 2004-03-27

音楽が生体とこころに良い結果を及ぼすことは衆知の事実であり,この影響について生演奏を聴いた前後の血圧・脈拍・皮膚表面温度・こころの変化によって明らかにすることを目的とした。対象は本学の公開講座「音楽による癒し」のサックスとピアノ演奏・歌唱を聴いた参加者。自動血圧計による演奏前後の血圧・脈拍を計測した24名,サーモグラフを用いて演奏経過による顔面皮膚表面温度を計測した5名,調査に回答した78名である。結果は,演奏を聴いた後が演奏前より血圧が低下は約70%,脈拍数の減少約90%であった。収縮期血圧の12.0mmHg低下と脈拍数8.7回/分減少とに有意差があった。演奏前収縮期血圧が高い者は血圧低下が大きい。皮膚表面温度の変化は,前半と後半の演奏とも皮膚表面温度が約2℃上昇していた。こころに及ぼす影響は,演奏前にこころの緊張状態にある者が約半数を占め,苛立ち>不眠>憂〓>苦痛>不安の順であった。演奏後に気持ちが変化したと答えた者が8割あり,その変化はリラックスできた,楽しかった,感動した・感銘を受けた,心が落ち着いた,気持ちがほぐれた,心豊かになった,肩こりが軽くなったなどであった。生演奏を聴くことで血圧・脈拍が低下し,体温が上昇し,こころの緊張が緩和されることが実証できた。
著者
宇山 拓澄 田崎 達也 上神 慎之介 香山 茂平 佐々木 秀 中光 篤志
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.541-544, 2019-03-31 (Released:2020-04-11)
参考文献数
18

症例は32歳,男性。悪戯でエアーガンをズボン越しに肛門に注入された直後より腹痛と腹部膨満感を訴えたため,当院へ救急搬送された。腹部CT検査で腹腔内に多量の遊離ガス像を認めたが,穿孔部位は特定できなかった。気腹の解除目的で,針穿刺による経皮的ドレナージを施行した後,緊急開腹手術を施行した。横行結腸穿孔による腹膜炎の所見で,さらに,広範囲の結腸腸間膜対側に漿膜の裂傷を認めた。また,上行結腸からS状結腸までの腸間膜に気腫を認め,腸間膜側の損傷部位すべての同定は困難なため,結腸亜全摘を行った。回腸断端で一時的ストーマを作成し,残存したS状結腸を挙上し,粘液瘻造設とした。術後74日目に回腸―S状結腸吻合を行い,人工肛門を閉鎖した。圧搾空気による大腸穿孔に対する治療では,術中,下部消化管全体にわたり,慎重に損傷部位を検索する必要がある。
著者
佐々木 秀綱
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.36-48, 2020-03-20 (Released:2020-08-13)
参考文献数
35
被引用文献数
1

本稿の目的は,権力を持った個人がいわゆる「身びいき」を行いやすくなるか検討することである.具体的には,内集団ひいきが社会的勢力感の上昇により促進されるという仮説を導出し,質問紙を用いた場面想定法実験によって検証を行った.MBA課程に在籍する大学院生を対象に実施した実験からは,日本語を母語とする男性の参加者においてのみ,上記の仮説を支持する結果が得られた.
著者
佐々木 秀文 春日 井貴雄 小林 学 堀田 哲夫
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.861-863, 1995-10-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
5
被引用文献数
1

今回私どもは経肛門的直腸内異物の1例を経験したので報告する. 症例は37歳男性で, 自分でラムネのびんを肛門から挿入後, 摘出できなくなった. 当院入院後, 腰椎麻酔下にびんを摘出した.
著者
佐々木 秀明
出版者
いわき明星大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

福島第一原発事故により,多量の放射性物質が環境中に流出した。種子植物とラン藻における放射性物質の蓄積能力に関する調査を行った結果,種子植物に高いレベルでの放射性物質蓄積は観察されなかったが,陸生ラン藻イシクラゲにおいて高い蓄積が観察された。福島県二本松市において,イシクラゲはセシウム137を607,000 Bq/kg蓄積していた。イシクラゲの放射性セシウムの蓄積量は,土壌の放射能濃度が高いところに生育するものにおいて,高い傾向があった。また,栽培実験の結果,イシクラゲは汚染土壌から放射性セシウムを吸収した。これらの結果は,イシクラゲによる放射性物質蓄積は,汚染土壌の浄化に役立つ事を示している。
著者
佐々木 秀美 榎 久仁裕
出版者
広島文化学園大学看護学部
雑誌
看護学統合研究 (ISSN:13460692)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-24, 2018-12-21

本論では,わが国の公衆衛生及び福祉について,戦後の"日本国憲法"および憲法25条の成立過程を中心に,戦後のGHQ サムス准将による公衆衛生改革も含めて歴史検証を行った。"日本国憲法"成立の過程ではGHQ 指導下で強引に執行されたものであったが,しかし,両国間の対話を通して実行された憲法改正であり,指導したアメリカでさえ,実現不可能といわれる程に水準の高いものであった。特に,第25条はマッカーサー原案として提示された民生局の『憲法改正草案』にもなかった条文であり,その第25条の前文は,民間の憲法研究会から提案された『憲法草案要綱』案からであり,後半部分はサムス准将自身が加筆・修正したものであると考えられた。その第25条は,国民の日常生活における福祉,即ち,健康問題という点で最も関連のある人権思想の反映である。この条文が整ったことにより,わが国は,社会保障・福祉問題で国内の整備が可能となった。看護専門職者にとって日々の看護実践の基盤となる法律であり,その存在価値は大きい。
著者
佐々木 秀憲
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.85-96, 2011-12-31 (Released:2017-05-22)

Taro Okamoto, the avant-garde artist, 1911-96, was very active in Japan after World War II. Since his death in 1996, an increasing number of studies about Okamoto have been made. While it has been often mentioned that his philosophical background had some influences from Marcel Mauss, Alexandre Kojeve, Georges Bataille and so forth, with whom Okamoto had acquired during his days in Paris between 1930 and 1940, there has been no study on this matter during the period after World War II. Taro Okamoto Museum of Art, Kawasaki possesses about 400 French books of Okamoto's old stock, which had been previously kept in his bedside bookshelf at his residence (present Taro Okamoto Memorial Museum) in Minami-Aoyama, Tokyo. These books that had been treasured by Okamoto, were all donated to the museum without any volume missing. Among these 400 French books, we can confirm that the six books authored by Mircea Eliade, have a number of Okamoto's own underlines and notes. This article has elucidated the Eliade's influences on Okamoto's creative works.
著者
廣谷 真 佐々木 秀直
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.1986-1993, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
参考文献数
8

ミオパチーは非常に多くの疾患を含んだ筋疾患の総称である.炎症性筋疾患では多発筋炎と皮膚筋炎が大半を占めるが,封入体筋炎との鑑別も重要である.多くが日常生活に支障を来すため,日常生活動作を意識した病歴聴取を行い,身体診察と併せて迅速に診断・治療を行う必要がある.治療の中心はステロイドであるが免疫抑制薬や免疫グロブリン大量静注療法も有効とされており,早期に正確な診断と適切な治療を行うことが重要である.
著者
岡田 浩佑 山口 弓子 鎌田 七男 岡田 正浩 加藤 重子 佐々木 秀美
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.396-403, 2016-10-25 (Released:2016-11-24)
参考文献数
28
被引用文献数
1

目的:われわれは,多剤処方(Polypharmacy)に関する研究の一環として,高齢者に対する必要性の低い薬剤,特に抗潰瘍薬につき検討を行った.方法:原爆養護ホーム神田山やすらぎ園の2012年4月~2015年11月の入園者160名について,必要性の低い薬剤,特に抗潰瘍薬の節減に関連して,プロトンポンプ阻害薬の長期間内服者の便ピロリ菌抗原,血中抗体,血清ペプシノゲンIおよびIIを測定した.結果:2012年4月と2014年8月時点での6剤以上使用者は,それぞれ55.2%と49.0%で,抗潰瘍薬の使用者は,それぞれ50.0%と49.0%であった.抗潰瘍薬使用者のうち20名について,ピロリ菌やペプシノゲンについての測定を行ったが,その測定結果は抗潰瘍薬使用の継続や中止の判断に役立たなかった.むしろ,自覚的症状,他覚的徴候にもとづき中止を試みたところ,抗潰瘍薬使用者の多くが中止可能で6.0%になった.結論:特別養護施設において,多剤処方の形で最も頻繁に使用されている抗潰瘍薬は,入園者がステロイド薬服用中その他特別の状態であることを除けば,自覚症状や他覚的徴候のもとに多くの場合,使用中止が可能であると判断された.すでに実施した利尿薬節減による転倒骨折の減少効果,高カリウム血症治療薬の使用中止,造血薬葉酸の使用中止などを参考に,今後,高齢者の睡眠薬,下剤,その他の薬剤使用の改善について検討することが必要である.
著者
佐々木 秀徳
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.52, pp.33-36, 2005-10-28

近年の組織論研究を一瞥すると、「ポストモダン」や「組織の非合理的側面」といったキーワードを拾うことができる。これらのキーワードを持つ諸理論は、経営学者および組織論者に対して極めて魅力的に映り、注目を浴びている。これらの理論は組織の合理的な側面に対する研究が主流であったことに対するアンチ・テーゼとして登場してきたものである(田尾、2003)。このような新たな試みに注目することは重要であるが、「目新しさ」「意外性」に目を奪われると、理論の本質を見失う可能性がある。そこで、かかる諸理論が理論として妥当であるか否かといったメタレベルでの考察および論及がなされていない現状において、本稿ではそれらのひとつであるWeick, K. E.の組織化理論が、学説研究というメタレベルにおいて妥当であるか否かを検討する。
著者
湯口 聡 森沢 知之 福田 真人 指方 梢 増田 幸泰 鈴木 あかね 合田 尚弘 佐々木 秀明 金子 純一朗 丸山 仁司 樋渡 正夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.D0672, 2005 (Released:2005-04-27)

【目的】 開胸・開腹術後患者に対して呼吸合併症予防・早期離床を目的に、呼吸理学療法・運動療法が行われている。その中で、ベッド上で簡易に実施可能なシルベスター法を当院では用いている。シルベスター法は両手を組み、肩関節屈伸運動と深呼吸を行う方法で、上肢挙上で吸気、下降で呼気をすることで大きな換気量が得られるとされている。しかし、シルベスター法の換気量を定量的に報告したものはない。よって、本研究はシルベスター法の換気量を測定し、安静呼吸、深呼吸と比較・検討することである。【方法】 対象は呼吸器疾患の既往のない成人男性21名で、平均身長、体重、年齢はそれぞれ171.0±5.2cm、65.3±5.6kg、24.9±4.0歳である。被験者は、安静呼吸・シルベスター法・安静呼吸・深呼吸・安静呼吸または、安静呼吸・深呼吸・安静呼吸・シルベスター法・安静呼吸のどちらか一方をランダムに選択した(各呼吸時間3分、計15分)。測定姿位は全てベッド上背臥位とし、呼気ガス分析装置(COSMED社製K4b2)を用いて、安静呼吸・シルベスター法・深呼吸中の呼吸数、1回換気量を測定した。測定条件は、シルベスター法では両上肢挙上は被験者が限界を感じるところまでとし、どの呼吸においても呼吸数・呼吸様式(口・鼻呼吸)は被験者に任せた。統計的分析法は一元配置分散分析および多重比較検定(Tukey法)を用い、安静呼吸、シルベスター法、深呼吸の3分間の呼吸数、1回換気量の平均値を比較した。【結果】 呼吸数の平均は、安静呼吸13.02±3.08回、シルベスター法5.26±1.37回、深呼吸6.18±1.62回であった。1回換気量の平均は安静呼吸0.66±0.21L、シルベスター法3.07±0.83L、深呼吸2.28±0.8Lであった。呼吸数は、分散分析で主効果を認め(p<0.01)、多重比較検定にて安静呼吸・シルベスター法と安静呼吸・深呼吸との間に有意差(p<0.01)を認めたが、シルベスター法・深呼吸との間に有意差は認めなかった。1回換気量は、分散分析で主効果を認め(p<0.01)、多重比較検定にて安静呼吸・シルベスター法・深呼吸のいずれにも有意差を認めた(p<0.01)。【考察】 シルベスター法は深呼吸に比べ1回換気量が高値を示した。これは、上肢挙上に伴う体幹伸展・胸郭拡張がシルベスター法の方が深呼吸より大きくなり、1回換気量が増加したものと考えられる。開胸・開腹術後患者は、術創部の疼痛により呼吸に伴う胸郭拡張が制限されやすい。それにより、呼吸補助筋を利用して呼吸数を増加させ、非効率的な呼吸に陥りやすい。今回、健常者を対象に測定した結果、シルベスター法は胸郭拡張性を促し、1回換気量の増加が図れたことから、開胸・開腹術後患者に対して有効である可能性が示唆された。
著者
茶谷 成 森藤 雅彦 佐々木 秀 横山 雄二郎 村上 義昭 末田 泰二郎
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.2149-2152, 2004-08-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
20
被引用文献数
6 4

今回,鉗子や体位の工夫により摘出しえた経肛門的直腸異物の1例を経験したので報告する.症例は56歳男性.自慰目的にて清涼飲料水の瓶を肛門より挿入し,抜去不能となり当院に来院した.腹部X線像にて直径4 cm高さ15 cmの瓶を認めた.まず用手的摘出を試みたが摘出できなかった.膣鏡診および内視鏡診施行するも抜去不能であった.腰椎麻酔下,載石位にて通常の鉗子を用いて摘出を試みたが把持困難であった.そこで,下肢をさらに挙上して高載石位とし,股関節を屈曲させ,腹部を愛護的に圧迫し,肛門を左右から拡張すると異物の全周が可視できた.また八爪鈎骨鉗子を用いることで異物を把持し摘出しえた.術後は特に合併症を認めなかった.今回用いた方法は経肛門的直腸異物摘出法の一つとして有効であり,今後同様症例に対して試みる価値があると考えられた.
著者
佐々木 秀憲
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.85-96, 2011-12-31

Taro Okamoto, the avant-garde artist, 1911-96, was very active in Japan after World War II. Since his death in 1996, an increasing number of studies about Okamoto have been made. While it has been often mentioned that his philosophical background had some influences from Marcel Mauss, Alexandre Kojeve, Georges Bataille and so forth, with whom Okamoto had acquired during his days in Paris between 1930 and 1940, there has been no study on this matter during the period after World War II. Taro Okamoto Museum of Art, Kawasaki possesses about 400 French books of Okamoto's old stock, which had been previously kept in his bedside bookshelf at his residence (present Taro Okamoto Memorial Museum) in Minami-Aoyama, Tokyo. These books that had been treasured by Okamoto, were all donated to the museum without any volume missing. Among these 400 French books, we can confirm that the six books authored by Mircea Eliade, have a number of Okamoto's own underlines and notes. This article has elucidated the Eliade's influences on Okamoto's creative works.
著者
佐々木 秀顕 二宮 裕磨 岡部 徹
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.136, no.3, pp.14-24, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
170
被引用文献数
1 7

In the process of electrorefining of copper, application of higher current density increases the tendency of anode passivation. The passivation disrupts the sound operation of the electrorefining process, reducing the current efficiency and the quality of copper deposited on the cathode. Therefore, anode passivation should be avoided in industrial electrolytic cells. Anode passivation is attributed to the precipitation of copper sulfate, which is saturated locally in the vicinity of the anode surface. When a copper anode contains high concentrations of insoluble impurities that form slime on the anode surface, the tendency of anode passivation increases. Because e-waste often contains such elements that induce anode passivation as well as the harmful elements from the concentrate, the operation of the electrorefining process becomes difficult when the feeding ratio of secondary materials (scraps) is increased. To promote the recycling of metals and reduce energy consumpution in the process, it is essential to develop a passivationprevention technology for low-grade copper anodes. This article outlines the physicochemical basis of anode passivation and reviews earlier research with a focus on experimental techniques. Past research on anode passivation of pure Cu anodes, which was carried out to understand the precipitation of copper sulfate quantitatively, is also reviewed to explain the relationship between passivation and current density.
著者
湯口 聡 丸山 仁司 樋渡 正夫 森沢 知之 福田 真人 指方 梢 増田 幸泰 鈴木 あかね 合田 尚弘 佐々木 秀明 金子 純一朗
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.D0672, 2005

【目的】<BR> 開胸・開腹術後患者に対して呼吸合併症予防・早期離床を目的に、呼吸理学療法・運動療法が行われている。その中で、ベッド上で簡易に実施可能なシルベスター法を当院では用いている。シルベスター法は両手を組み、肩関節屈伸運動と深呼吸を行う方法で、上肢挙上で吸気、下降で呼気をすることで大きな換気量が得られるとされている。しかし、シルベスター法の換気量を定量的に報告したものはない。よって、本研究はシルベスター法の換気量を測定し、安静呼吸、深呼吸と比較・検討することである。<BR>【方法】<BR> 対象は呼吸器疾患の既往のない成人男性21名で、平均身長、体重、年齢はそれぞれ171.0±5.2cm、65.3±5.6kg、24.9±4.0歳である。被験者は、安静呼吸・シルベスター法・安静呼吸・深呼吸・安静呼吸または、安静呼吸・深呼吸・安静呼吸・シルベスター法・安静呼吸のどちらか一方をランダムに選択した(各呼吸時間3分、計15分)。測定姿位は全てベッド上背臥位とし、呼気ガス分析装置(COSMED社製K4b2)を用いて、安静呼吸・シルベスター法・深呼吸中の呼吸数、1回換気量を測定した。測定条件は、シルベスター法では両上肢挙上は被験者が限界を感じるところまでとし、どの呼吸においても呼吸数・呼吸様式(口・鼻呼吸)は被験者に任せた。統計的分析法は一元配置分散分析および多重比較検定(Tukey法)を用い、安静呼吸、シルベスター法、深呼吸の3分間の呼吸数、1回換気量の平均値を比較した。<BR>【結果】<BR> 呼吸数の平均は、安静呼吸13.02±3.08回、シルベスター法5.26±1.37回、深呼吸6.18±1.62回であった。1回換気量の平均は安静呼吸0.66±0.21L、シルベスター法3.07±0.83L、深呼吸2.28±0.8Lであった。呼吸数は、分散分析で主効果を認め(p<0.01)、多重比較検定にて安静呼吸・シルベスター法と安静呼吸・深呼吸との間に有意差(p<0.01)を認めたが、シルベスター法・深呼吸との間に有意差は認めなかった。1回換気量は、分散分析で主効果を認め(p<0.01)、多重比較検定にて安静呼吸・シルベスター法・深呼吸のいずれにも有意差を認めた(p<0.01)。<BR>【考察】<BR> シルベスター法は深呼吸に比べ1回換気量が高値を示した。これは、上肢挙上に伴う体幹伸展・胸郭拡張がシルベスター法の方が深呼吸より大きくなり、1回換気量が増加したものと考えられる。開胸・開腹術後患者は、術創部の疼痛により呼吸に伴う胸郭拡張が制限されやすい。それにより、呼吸補助筋を利用して呼吸数を増加させ、非効率的な呼吸に陥りやすい。今回、健常者を対象に測定した結果、シルベスター法は胸郭拡張性を促し、1回換気量の増加が図れたことから、開胸・開腹術後患者に対して有効である可能性が示唆された。