著者
坂元 明子 山本 信子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.130-135, 1998-05-20
被引用文献数
1

毎年授業開始時に, 5味識別テストを行って来たが, 最近正解率に低下傾向がみられるため, '93年から'96年の4年間における結果を比較し, 学生の味の識別能力を検討したところ, 以下のことが明らかとなった。1) 6試料を識別出来た者, 即ち6点正解率は'93年では, 40%であったが, '96年には, 26%と低下し, '93年を100とすると'96年は65%にすぎなかった。4点正解率は, 6点正解率に次いで高く, 年度による差はなかった。しかし, 3点以下は'93年では全体の30%以下と少ないのに対し, '96年では47%と高く, 年度とともに増加する傾向であった。6試料の識別能力の低下傾向が認められた。2) 6点満点の正解率と有意な正の相関を示した単一味正解率は, 甘味, 無味, 酸味であり, うま味も有意ではないが, 同様の傾向であると考えられた。3) 6試料のうち, 甘味, 塩味, 苦味では正解率が高く, 年度間の差は少なかった。一方, 酸味, うま味, 無味の正解率は低く, 年度と共に低下した。うま味正解率低下に対しては, 酸味誤答率が, 有意な上昇を示し, 次いで酸味正解率低下に対しては, 無味誤答率が, 無味正解率低下に対しては, うま味誤答率が, それぞれ上昇傾向を示した。以上の結果より, 酸味, うま味及び無味, の3者間相互の, 識別が困難なために誤答率が高くなり, 成績低下に結びつくものと判断された。
著者
東根 裕子 阪上 愛子 澤田 参子 山本 信子 米田 泰子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.129, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 若い世代を中心に日本人の魚離れが進んでいるとの報告(2006年度水産白書)もあるが、瀬戸内海、太平洋、日本海に囲まれた近畿地方は、昔から豊かな魚介類の食文化を築いてきた。そこで魚介類の種類とその調理方法の現状を明らかにする目的で調査を実施した。本調査は、平成15・16年度日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学-魚介類の調査-」の一環として行ったものである。<BR><B>【方法】</B><BR> 上記特別研究の調査用紙と調査方法に基づき、面接、または自記方式によった。調査項目は、利用する魚介類、入手方法、料理名、調理方法、調味料、季節、行事食等である。調査時期は、2003年9月から2004年8月、調査対象者は近畿2府4県に居住する164名で、居住地域により都市型86名、農村型54名、漁村型24名に分類し集計した。<BR><B>【結果】</B><BR> 記載された料理数の一人当たりの平均値は、都市型84、農村型67、漁村型81であった。魚介類の入手方法については、「大部分を自家の者が漁獲」「大部分を購入」「もらうあるいは調理したものしか買わない」の状況は、都市型(1%,92%,4%)、農村型(0.6%,91%,5%)、漁村型(9%,79%,3%)であった。「もらう、調理したものしか買わない」ものは、いかなごの釘煮・鮎の甘露煮などの加工品であった。利用している魚介類は、どの地域においても出現数が多かったのはいかであり、いわし、えび、さば、あじ、さけ、たい、などが続く。出現数に地域性が見られたものは、都市型のたらこ・めんたいこ、農村型のたら、ししゃも、かずのこ、漁村型では、たちうお、かます、とびうお、えそ、かんぱちなどであった。
著者
横溝 佐衣子 山本 信子 福田 満
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.134, 2004 (Released:2005-04-02)

[目的]レトルト米や、新しい加工米が多種類開発されている。家事時間の軽減志向により、炊飯器も高温短時間で食味向上が期待されるIH式電気炊飯器や、玄米が炊ける多機能型も開発され、米の利用法や食べ方は多様化してきた。特に最近では、操作の簡便性と環境汚染の面から無洗米が普及し始めている。無洗米はBG米(糠で糠を除去する湿式処理米)が一般的であるが、さらに改良が進み、浸漬時間不要で炊き増え効果があるといわれる乾式無洗米が商品化された。そこで本実験ではこの無洗米に注目し、従来の無洗米(BG米)との食味の違いなどを検討することを目的とした。[方法]試料は「新無洗米(乾式処理)」と「従来のBG米(湿式処理)」の2種に、対照として2試料の無洗米に加工する前の「精白米」を用いた。炊飯操作は、メーカーのマニュアルに従った。即ち、精白米とBG米の加水量は、米重量の1.5倍で浸漬時間30分、新無洗米は1.6倍で浸漬時間は0分とした。官能検査は5段階評価の採点法、さらに吸水率、粒の大きさ、還元糖量、α化度、電子顕微鏡など食味にかかわる調理学的測定を行った。[結果]官能検査の総合評価では平均点の高い方から、精白米、新無洗米、BG米であった。香りについては2種の無洗米(BG米と新無洗米)が、精白米よりも評価点が高かった。しかし、色の評価は、どちらも精白米に比べて黄色いと評価された。無洗米同志の比較では還元糖量、α化度などには測定値に大きな違いはみられなかったが、粒の大きさでは新無洗米がやや膨らみが大きくなり、若干炊き増え効果がみられた。
著者
坂元 明子 山本 信子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.179-188, 2000-09-30 (Released:2011-01-31)
参考文献数
16

It seems tha when people have a meal, their wil gives priority to the traditiona food culture, which is likely to be declining. This is because now is the time when food is so abundant. Therfore, we wanted to know the statusquo in menus, Haizen and arrangement, ment, and examine meals in general. So we conducted a factfinding survey by taking pictures of dinne tables for three days. The research wa given to students of Fukuoka Jogakuin Junior College in Fukuoka area, students of Mukogawa Joshi Junior College in Hyogo area and their families 622. and 606We analyzed the data and got the following results. 84.7% of the staple food for dinner is rice. The position of the rice bowl on the table is traditionally recognized to be in the front on the left, and 74.2% of the dinner tables have the right position. There are more main dishes and side dishes than we expected. The more main dishes and side dishes they have, the more diversity and disorder of the table setting they have. When they have soup in their menu, many of them put the rice bowl at the given position, which is in the front on the lefe, and the main dish in the back on the right, which is the given position.
著者
青山 佐喜子 片寄 眞木子 川原崎 淑子 小西 春江 阪上 愛子 澤田 参子 志垣 瞳 富永 しのぶ 正井 千代子 山本 信子 山本 由喜子 米田 泰子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.21-34, 2004-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
39

1)76冊の江戸期料理本中のしょうゆの出現数は2808,たまりは314,いり酒は1166であった. うすしょうゆは230,きしょうゆは205であった. うす 2)うすしょうゆの表記は,うす・薄・淡・稀・色うすきがあった. きしょうゆの表記はき・生・若があった. しかし,現在使われているうすくちしょうゆという表記は見られなかった. 3)うすしょうゆ,きしょうゆのしょうゆ合計に対する出現割合の高い料理本の著者の居住地は京都,大坂など関西が多く,関東は少なかった. 4)江戸初期から次第にたまり,いり酒が減少傾向になり,一方,その他しょうゆが多くなり,うすしょうゆ,きしょうゆも出現して,しょうゆの種類が多様化した. 5)著者の居住地,しょうゆの種類と出現時期,使われ方から,関西でのうす色・うす味食文化は江戸中期から形成されたと推察された. 謝辞本研究はヒガシマル醤油株式会社からの委託研究であり,研究助成金をご供与くださいましたヒガシマル醤油株式会社ならびに貴重なご指導とご助言を賜りました同社の牛尾公平氏に厚く感謝申し上げます. また,文献検索と解読の過程で貴重なご指導を賜りました西山短期大学の余田弘実先生に厚く感謝申し上げます.
著者
大江 隆子 片寄 眞木子 細見 和子 森下 敏子 入江 一恵 大島 英子 川原崎 淑子 小西 春江 長谷川 禎子 樋上 純子 澤田 参子 山本 信子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.25-39, 2001-02-20
被引用文献数
2

Tastes of Japanese dishes are formed from fermented seasonings which each contain a unique flavor. Among such seasonings, mirin and shoyu have been used for Japanese cooking since the Edo period. Mirin, which provided the characteristic flavor of Edo cooking, has become one of the key ingredients in Japanese cuisine. Cooking books and articles published during the Edo period were studied to present this report on use of mirin and its development for Japanese cooking.
著者
坂本 薫 岩城 啓子 入江 一恵 岡本 佳子 金谷 昭子 岸田 恵津 杉本 温美 堀内 美和 升井 洋至 三崎 勝 山本 信子 横溝 佐衣子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.77-82, 2005-01-20
被引用文献数
1

近畿圏の大学入学直後の女子学生1130名を対象にして, 炊飯の知識の習得がどのようになされているかを確認するためにアンケート調査を行うとともに, 今後の家庭での炊飯の方向性を探るため, 今後炊飯はどのように変化すると思うか等を尋ね, 以下の結果が得られた。1) 炊飯したことがある者は99.2%で, 炊いたことがない者は8名あった。87.8%が小学校高学年までに炊飯を経験しており, 「自宅」(62.2%)で, 「母親」(59.2%)に教わって, 「自動炊飯器」(67.0%)で初めて炊飯した者が多かったが, 「自宅」で初めて炊飯した者は, 「母親」に教わって, 「自動炊飯器」で炊飯した者が多く, 「学校」で初めて炊飯した者は, 「小学校高学年」に, 「先生」に教わって, 「飯ごう」で炊飯している者が多い傾向が見られた。2) 炊飯に使用したことがある器具は, 自動炊飯器が96.0%, 飯ごうが83.5%, 鍋が47.4%であり, 自動炊飯器以外での炊飯が「できない」と回答した者が3分の2であった。3) 炊飯方法を知っていると答えた割合は, 「洗米」と「ほぐし」については8割以上, 「水加減」, 「吸水」, 「蒸らし」については約6割でいずれも「母親」から教わったとする者が多かったが, 「加熱」を知っている者は半数以下で, 唯一「母親」よりも「先生」から教わったとする者が51.5%と多かった。4) 家庭科教育において, 小学校では中, 高校よりも炊飯を習ったとする者が多く, 「自動炊飯器以外での炊き方」も62.3%が小学校で教わったとしていたが, 8.0%が小学校で「炊飯しなかった」と答えており, 中学校で19.3%, 高校で23.5%が「炊飯しなかった」と答えた。5) ご飯を炊くことが面倒なことと思うと答えた者は21.3%あり, 面倒な理由として約8割が洗米を挙げた。6) 20年後の炊飯については, 64.1%が「変わらない」とし, わが国の伝統的な日常食である米飯食が今後も変わらずに受け継がれていく可能性が大きいことが示唆された。
著者
坂本 薫 岩城 啓子 入江 一恵 岡本 佳子 金谷 昭子 岸田 恵津 杉本 温美 堀内 美和 升井 洋至 三崎 勝 山本 信子 横溝 佐衣子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.77-82, 2005-01-20
参考文献数
8
被引用文献数
1

近畿圏の大学入学直後の女子学生1130名を対象にして, 炊飯の知識の習得がどのようになされているかを確認するためにアンケート調査を行うとともに, 今後の家庭での炊飯の方向性を探るため, 今後炊飯はどのように変化すると思うか等を尋ね, 以下の結果が得られた。1) 炊飯したことがある者は99.2%で, 炊いたことがない者は8名あった。87.8%が小学校高学年までに炊飯を経験しており, 「自宅」(62.2%)で, 「母親」(59.2%)に教わって, 「自動炊飯器」(67.0%)で初めて炊飯した者が多かったが, 「自宅」で初めて炊飯した者は, 「母親」に教わって, 「自動炊飯器」で炊飯した者が多く, 「学校」で初めて炊飯した者は, 「小学校高学年」に, 「先生」に教わって, 「飯ごう」で炊飯している者が多い傾向が見られた。2) 炊飯に使用したことがある器具は, 自動炊飯器が96.0%, 飯ごうが83.5%, 鍋が47.4%であり, 自動炊飯器以外での炊飯が「できない」と回答した者が3分の2であった。3) 炊飯方法を知っていると答えた割合は, 「洗米」と「ほぐし」については8割以上, 「水加減」, 「吸水」, 「蒸らし」については約6割でいずれも「母親」から教わったとする者が多かったが, 「加熱」を知っている者は半数以下で, 唯一「母親」よりも「先生」から教わったとする者が51.5%と多かった。4) 家庭科教育において, 小学校では中, 高校よりも炊飯を習ったとする者が多く, 「自動炊飯器以外での炊き方」も62.3%が小学校で教わったとしていたが, 8.0%が小学校で「炊飯しなかった」と答えており, 中学校で19.3%, 高校で23.5%が「炊飯しなかった」と答えた。5) ご飯を炊くことが面倒なことと思うと答えた者は21.3%あり, 面倒な理由として約8割が洗米を挙げた。6) 20年後の炊飯については, 64.1%が「変わらない」とし, わが国の伝統的な日常食である米飯食が今後も変わらずに受け継がれていく可能性が大きいことが示唆された。