著者
高橋 正弘 村上 賢二 金子 精一
出版者
The Japan Society of Veterinary Epidemiology
雑誌
獣医情報科学雑誌 (ISSN:09128913)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.27, pp.27-33, 1991
被引用文献数
2

神奈川県食品衛生課編「食中毒発生一覧表」に記載されている食中毒事件の発生日, 発生件数および患者数ならびに判別分析で求められた食中毒発生予測式から算出される予測値を供試し, 食中毒発生日の特異性を検討した。検討した期間は1979年から1988年の10年間で, 各年6月から10月の5ケ月間である。<BR>1) 食中毒発生の特異日は, 発生件数の平均値および変動係数によれば9月4日, 9月8日, 9月7日, 9月13日および8月26日であった。<BR>2) また, 患者数では9月4日, 9月13日, 8月5日, 8月25日および7月29日であった。<BR>3) 以上の結果から, 食中毒発生件数・患者数の特異日は9月上旬に集積性が認められた。<BR>4) 発生件数・患者数の曜日別発生頻度は, 統計的検定の結果, 日曜日, 金曜日, 火曜日に高く, 水曜日に有意に低いことがわかった。<BR>5) 予測値においては, 曜日間に有意差は認められなかった。<BR>6) 食中毒発生ありと予測された期間は, 予測値の日別平均値によれば, 7月14日から7月17日, 7月23日から9月17日の期間であって, そのうち, 特に予測値の高い期間は8月20日から23日の4日間であった。<BR>このように, 環境要因に基づく予測と実際の発生頻度にずれが生じているのは, 食習慣等の社会的要因や調理従事者等の人為的影響が食中毒発生に深く関与しているものと考えられる。そこで, 環境要因の他に発生件数・患者数の日別・曜日別平均値さらには日別平均予測値をダミー変数とし採用すれば, 食中毒発生予測式の精度の向上が可能と考えられる。また, 行政施策の用途によっては, 月ごとに食中毒発生予測式を構築する必要性も考えられる。
著者
鈴木 誠 高橋 一揮 梁川 和也 佐藤 洋一郎 吉田 忠義 小野部 純 村上 賢一 武田 涼子 藤澤 宏幸
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.C3P2406-C3P2406, 2009

【目的】<BR>垂直跳び(Vertical Jump:以下、VJ)は瞬発力の測定としてスポーツ現場では簡便に実施できる測定であり、跳躍高はプロサッカー選手の脚伸展筋力と相関が高いことがWisl&oslash;ffら(2006)の報告でもなされている.しかし、これは足関節の機能的・構造的安定性が補償されてはじめて行える動作であり、同部位に障害を負うと十分なパフォーマンスを発揮することが出来ないと予想される.そこで本研究はプロサッカー選手の足関節周囲筋の力時間曲線から得られた時間的指標とVJの跳躍高との関係性を足関節障害の有無によって比較検討することである.これは、足関節に障害を負ったスポーツ選手の競技復帰に向けた理学療法介入の具体的戦略として活用できると考えられる.<BR>【方法】<BR>対象は某プロサッカーチームに所属する選手で、重症度に関わらず足関節に障害を抱えている選手(以下、障害群)4名(22.5±3.3歳)、及び特に障害を抱えていない選手(以下、非障害群)13名(23.23±2.83歳)の計17名について調査を行った.測定の前に十分な説明を行った上で実験参加の同意を得た.測定肢は非障害群の場合、右下肢とした.測定項目は足関節背屈筋の反応時間(RT)・最大トルク到達時間(Max_tq_time)・最大変化率到達時間(MaxVtime)とした.また、VJは上肢を胸部前方で組み、反動を使わず股・膝関節屈曲90°を開始肢位として測定を行った.統計学的検定として、平均値の差の検定には2標本の差の検定を行った.また、VJの跳躍高と足関節筋力指標との関係を調べるためピアソンの積率相関係数(r)を求めた.有意水準は5%未満とした. <BR>【結果】<BR>VJの跳躍高は非障害群:47.1±3.5cm,障害群:46.5±2.9cmであり、有意差は認められなかった.足関節周囲筋の時間的指標は、RT(非障害群:0.14±0.03秒, 障害群:0.14±0.02秒)、Max_tq_time(非障害群:0.70±0.20秒, 障害群:0.49±0.08秒)、MaxVtime(非障害群:0.28±0.05秒, 障害群:0.25±0.03秒)であり、Max_tq_timeにのみ有意差を認めた(p<0.05).また、VJの跳躍高と足関節周囲筋の時間的指標との相関係数は0.5~0.8であり、有意ではないが関係性が示唆された.<BR>【考察】<BR>サッカー選手にとってジャンプ動作は相手選手との競り合いの中でもしばしば見受けられる動作であり、より高い跳躍高が求められる.今回の結果より、足関節周囲筋の最大張力だけではなく、それを短時間で発揮できる能力が足部の安定性を補償し、効率の良い脚伸展筋力の伝達に利用できると思われる.よって、早期より足関節周囲筋の筋力向上に加え、反応性を意識したような理学療法のアプローチを考慮し、下肢全体の協調性を高めていくような戦略をとる必要があると考えられる.
著者
村上 賢治 木村 学 松原 幸子
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.773-778, 1995
被引用文献数
2 2

サトイモ (<I>Colocasia esculenta</I> Schott) 品種'えぐいも'のカルスから単離したプロトプラストの培養および植物体再生技術を開発した.<BR>1. プロトプラスト培養の材料に適した柔らかいカルスは, 黄化茎の切片を30g•liter<SUP>-1</SUP>ショ糖, 2mg•liter<SUP>-1</SUP>,4-D+2mg•liter<SUP>-1</SUP>2ipおよび2g•liter<SUP>-1</SUP>ジェランガムを添加したMS培地で培養することにより誘導した. このカルスは, 同組成の新しい培地に継代培養すると増殖を続けた.<BR>2. プロトプラストは, カルスを振とう培養して得られた懸濁培養細胞を酵素処理することにより, 容易に単離された. 酵素液の組成は, 1g•liter<SUP>-1</SUP>ペクトリアーゼY-23+5g•liter<SUP>-1</SUP>セルラーゼオノズカRS+5mM MES+5mM CaCl<SUB>2</SUB>•2H<SUB>2</SUB>O+0.5Mマニトールとした.<BR>3. プロトプラストの培養は, 1/2濃度のMS無機塩, Kao and Michayluk (1975) の有機物に, 種々の濃度のNAA, BA, 2ip, 0.1Mグルコースおよび0.3Mマニトールを添加した液体培地で行った. これらのうち2mg•liter<SUP>-1</SUP>BAを添加した培地でプロトプラストを培養すると多くのコロニーが形成された.<BR>4. プロトプラスト由来のコロニーを0.2mg•liter<SUP>-1</SUP>NAA+2mg•liter<SUP>-1</SUP>BAを添加したMS固体培地 (2g•liter<SUP>-1</SUP>ジェランガムで固化) に移植すると,コロニーからカルスが形成され, 同組成の培地でさらに継代培養すると苗条が再生した. この苗条を切取り,ホルモン無添加のMS固体培地 (2g•liter<SUP>-1</SUP>ジェランガムで固化) で培養すると発根した.<BR>本研究で開発されたサトイモのプロトプラスト培養技術は, 今後再分化率の向上などを図ることによって,細胞融合や遺伝子導入を利用した新品種育成のための,有効な基礎技術となり得ると考えられた.
著者
村上 賢治 隈部 浩樹 木村 学
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.125-129, 2007-01-15
参考文献数
11

本実験は,サトイモ(Colocasia esculenta Schott)の球茎の休眠の品種間差異および低温処理による休眠打破の効果を調べる目的で行った.'えぐいも','早生蓮葉','赤芽','筍芋'およびマレーシア産の系統(マレーシア1)を供試し,9月21日と11月23日に掘り上げた球茎について,掘り上げ直後に25℃で発芽試験を行った.その結果,'早生蓮葉''えぐいも'では,9月21日掘り上げ球茎では発芽が非常に遅く,11月23日掘り上げ球茎はすぐに発芽した.'筍芋'およびマレーシア1は,掘り上げ時期に関係なくすぐに発芽した.'赤芽'は,9月21日掘り上げ球茎ではやや発芽が遅かった.'えぐいも'を供試し,10月3日に掘り上げた球茎を,3℃または10℃で0〜60日間および25℃で60日間処理後,発芽試験を行った.その結果,3℃で15日間または10℃で30日間以上処理すると発芽が著しく促進された.低温処理の効果は,'八頭','石川早生丸','大野芋'でも同様にみられた.本実験の結果,サトイモにおいては,9〜10月初めに掘り上げた球茎で休眠がみられる品種とみられない品種があり,低温処理により休眠が打破されることが示された.
著者
加藤 行男 村上 賢 カトウ ユキオ ムラカミ マサル Yukio Kato Masaru Murakami Tomomitsu Alexandre Okatani
雑誌
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University
巻号頁・発行日
vol.11/12, pp.180-183, 2005 (Released:2012-09-12)

野生の爬虫類252検体および愛玩用として一般家庭で飼育されている爬虫類(愛玩用爬虫類)39検体からSalmonellaを分離し,種および亜種の同定,血清型別を行った。野生の爬虫類252検体中29検体(11.5%),愛玩用爬虫類39検体中22検体(55.6%)からSalmonellaが検出された。分離されたSalmonellaの亜種は,亜種Iが最も多かった。分離されたSalmonellaの亜種Iの血清型は,S. Litchfield,S. Thompson,S. Newportなど9血清型に分類された。以上のことより,爬虫類はSalmonellaを高率に保有し,分離された株の中には日本においても胃腸炎患者から分離される血清型もあり,爬虫類がヒトのSalmonella感染症の感染源となりうることが示唆された。 A total of 291 fecal samples from 252 wild reptiles and 39 pet reptiles were examined for the prevalence of Salmonella spp. in Japan. Salmonella spp. were isolated from 29 (11.5%) of 252 wild reptiles and 22 (55.6%) of 39 pet reptiles. The isolates were identified into subspecies I to IV. The majority of isolates (43.6%) belonged to subspecies I and these isolates could be identified into 9 serovars. The serovars isolated were found to be S. Newport, S. Litchifield and S. Thompson which cause human salmonellosis. These results indicated that reptiles may be a potential infectious source of human salmonellosis in Japan.
著者
村上 賢一 藤澤 宏幸
出版者
東北文化学園大学
雑誌
リハビリテーション科学 : 東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科紀要 (ISSN:13497197)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.41-48, 2007-03

運動機能の低下した被介護者がトイレ動作に介助を要する場合、日常生活を制限され、QOL低下をもたらす。また、介護者の身体的負担も大きく、移乗動作能力の向上が望まれるが、運動療法の実施のみでは効果は十分ではなく、生活における活動量増加が必要である。現在、福祉機器の移乗介助リフトは全介助型が主流であり、被介護者の身体機能を生かした機器は市販されていない。本研究では、日常生活動作の自立支援を目指した立位保持補助装置の開発に先立ち、基礎資料としての介護職員(CW)のニードやトイレ介助の現状を把握することを目的とし、アンケート調査ならびにトイレ所要時間を測定した。結果、CWで身体的負担を感じている者は70%、精神的負担を感じている者は50%であった。トイレ介助中に危険を感じる場面は被介護者の立位保持に関連しており、ズボン着脱時の介護量およびリスクの軽減がCWのニードであると考えられた。また、平均トイレ所要時間は6分22秒であった。
著者
千葉 修一 兼松 重任 村上 賢二 佐藤 亨 朝比奈 政利 沼宮内 茂 御領 政信 大島 寛一 岡田 幸助
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.361-365, 2000-04-25
被引用文献数
3

競走中あるいは調教中に骨折した競走馬の血清中上皮小体ホルモン(PTH)およびカルシトニン(CT)レベルをラジオイムノアッセイにより測定し, 正常馬と比較した.橈骨, 第三中手骨, 第三手根骨, 指骨, 脛骨などの大型骨を骨折した競走馬では, 血清中のPTHレベルは正常であったが, CTレベルは上昇していた.種子骨骨折馬では正常馬と比較して, 血清中PTHは統計学的に有意ではなかったが, わずかに高値を示し, CTは統計学的に有意に高値であった.今回検索した競走馬における種子骨および大型骨骨折の病態は, それぞれ異なったカルシウム代謝の状況下で発現した可能性が示唆された.