著者
宮脇 裕 村井 昭彦 大谷 武史 森岡 周
出版者
一般社団法人 日本基礎理学療法学会
雑誌
基礎理学療法学 (ISSN:24366382)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.50-55, 2022 (Released:2022-10-17)
参考文献数
25

運動主体感(Sense of agency)とは,自分が自分の運動を制御しているという感覚を指す。この感覚は,運動の感覚フィードバックに対しフィードバック制御を駆動する役割をもち,感覚入力と運動出力を紐付けるMediator の役割を担っていると考えられている。運動主体感の誘起には,運動に伴う内的予測などを含む感覚運動手がかりと,運動に直接関連しない知識や信念などの認知的手がかりが関与する。手がかり統合理論によると,状況に応じたこれら手がかりの信頼性に基づき,運動主体感への貢献度を決める重み付けが変化する。この理論に基づき,我々は運動制御時に感覚運動手がかりと認知的手がかりがどのように利用され運動主体感が導かれるのか,その重み付け変化(i.e., 手がかり統合戦略)の実態について検証を進めてきた。これらの研究成果を中心に,本稿では,運動主体感について運動制御との関係性を概観し,手がかり統合理論の観点からそのメカニズムを議論する。
著者
持丸 正明 稲見 昌彦 野嶋 琢也 暦本 純一 杉浦 裕太 小池 英樹 村井 昭彦
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は,幅広い身体特性の人が一緒にスポーツ参加できるシステム構築を目標として,環境身体ダイナミクスを解明して運動・感覚能力を拡張する技術を開発した.そして,開発した要素技術を組み合わせ,オーグメンテッド・スポーツ“超人ペナルティキック”,“LunaGBall”を開発,イベント等で発表した.トレーニングなしに経験や技量にかかわらず運動・感覚能力を拡張することで競技を伯仲させ,高齢者を代表とする体力的・技術的弱者の幅広いグループスポーツ参加の促進を実現し,健康な社会の実現に寄与する.
著者
村井 昭夫
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.341-351, 2005-07-15 (Released:2010-02-05)
参考文献数
16
被引用文献数
3

ペルチェ効果を利用して雪結晶を生成する装置を考案した.本装置は,大型のペルチェ素子を多段化し水冷方式で使用する事により,室内で-30℃程度までの低温環境を実現しながら,電圧を調節することで,結晶生成領域の温度と水温,すなわち水面から発生する水蒸気量を変化させ,簡単に雪結晶を生成することができる対流型の人工雪発生装置である.筐体に発泡スチロールを使用するなどの工夫によって,装置の製作が容易であり,同時に小型で移動もできるという利点を持つ.これは,従来の対流型や拡散型装置のように低温室など大がかりな装置や,冷媒を使用する複雑な付加装置が不要である.本論文では,この装置の基本原理およびその構成を述べ,本装置によって作られた雪結晶のいくつかを紹介する.