著者
村松 常司 村松 園江 秋田 武 〔他〕
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告 芸術・保健体育・家政・技術科学 (ISSN:03887367)
巻号頁・発行日
no.44, pp.p75-86, 1995-02
被引用文献数
1

青年期女性を対象にして,日常生活行動様式やBreslowの7つの健康習慣(ライフスタイル)と喫煙習慣との関連を調査し,さらに,性格特性がそれらにどう関連しているかを追究することを目的とし,無記名質問紙法により,平成4年9月~11月に調査を行い,以下に示す成績を得た。(1)対象の喫煙者率は7.5%であり,両親の喫煙とは関連は認められなかった。(2)喫煙者は自動車運転を楽しむ,コーヒーや酒を飲む,化粧をする,流行として女性の生き方を取り入れる,周囲の目を気にしないなどの外向的な行動パターンをとっていることが認められた。(3)喫煙者は毎日朝食をとらない,睡眠時間が短い,栄養のバランスに気をつけないなど,健康に対する価値づけが低いということが認められた。(4)喫煙者は喫煙に対して肯定的な認識を持ち,非喫煙者は喫煙に対して否定的であった。喫煙者,非喫煙者間で最も喫煙に対する認識に差がみられたのは,情緒的意識(精神が集中できる,落ち着くなど)であった。(5)喫煙者のエゴグラムではFC(自由奔放さ)が高く,A(客観的判断力),AC(順応性)が低かった。つまり,天真爛漫で活発だが協調性に欠ける。それに比較して,非喫煙者のエゴグラムではA,ACが高く,FCが低かった。すなわち非喫煙者は社会適応度が高いことが認められた。以上のことから,青年期女性の喫煙習慣とライフスタイル,性格特性にはそれぞれ関連があることが示唆された。
著者
早瀬 伸子 横山 桂子 五十嵐 慈保子〔他〕
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.57-64, 1997-02-07

1996年度,親の希望も参考にして個別指導目標を作成し,その具体的な指導の手だてを考え,学習時間,休み時間,給食時間,清掃時間などに継続して個別に指導した。二学期末に,児童はチャイムがなると学習の用意をし,静かに課題に取り組むようになった。3年のD君は,一学期一時間に何度も教室から飛び出し,自分の好きな所に行こうとし,それが阻止されると叩いたり噛じった。二学期末には,絵カードでトイレやパソコンなど自分のしたいことを伝え,指示や課題に素直に取り組むようになり,教室から飛び出さなくなった。2年のAちゃんは,一学期は突然泣き出したり,人を叩いた。二学期末には,泣き出すことが少なくなり,級友と追いかけっこをし,課題に取り組むなど予想以上の成果を得た。
著者
飯岡 智子 瀬川 真砂子 古川 宇一〔他〕
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.51-56, 1996-03-15

旭川市愛育センターみどり学園では,TEACCHプログラムを導入して4年目となった。飯岡は自閉症児T君とコミュニケーションを深めることを試みた。学園での関わりの初期は,T君に嫌な存在・邪魔な人という印象を与えないよう,まるで腫れ物に触るかの様な関わり方しかできなかった。関わりの回数を重ね,さらに大学のプレイルームという構造化された環境での抽出指導を通して,手をつなぐこと,愛着行動がみられ,学園でも歯を磨かせるなどの関係の深まりが見られた。自由遊び場面(ラポートを形成する段階)と,プレイルームでの個別学習への取り組み場面の記録から,その変容を,飯岡自身をも対象化しながら報告する。
著者
村松 常司 村松 園江 原田 久美 〔他〕
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 芸術・保健体育・家政・技術科学 (ISSN:03887367)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.99-112, 1993-02-10

今日では,たばこ煙が喫煙者だけでなく,非喫煙者にも害を及ぼすことはもはや疑いの余地はない。本調査では小・中・高校生の喫煙状況を把握し, Passive Smokingに対する反応や自覚症状及び両親や兄弟の喫煙との関連について追究した。調査は小学生463名,中学生420名,高校生637名を対象として,平成2年9月~10月に無記名質問紙法によって行われ,以下に示す成績を得た。(1)小・中・高校生の喫煙経験率は,小学生では男子10.8%,女子1.8%,以下中学生16.1%, 2.6%,高校生24.2%, 5.7%であり,いずれも女子より男子が高い。喫煙経験率は男女とも学年が上がるにつれて有意な上昇となり,両親や兄弟が喫煙している者は喫煙経験率が高かった。(2)現在喫煙している者の割合は,小学生では男子0.8%,女子0.0%,以下,中学生6.4%,1.0%,高校生では7.7%,0.6%であった。(3) Passive Smoking に対しては,男女とも「嫌う者」が多く,それぞれ70.8%, 85.0%であり,また,両親や兄弟が喫煙しない者は,Passive Smokingを「嫌う者」が多かった。(4) Passive Smoking によって自覚症状があると回答した者は,男子63.0%,女子77.5%であり,男子より女子に多かった。症状としては「せきが出る」の37.7%が多く,以下「頭が痛くなる」,「のどか痛くなる」,「鼻がツーンとなる」が目立った。Passive Smokingを嫌っている者は男女とも症状を訴えている者が多かった。(5) Passive Smoking に対する反応を1976年の調査結果と本調査を比較してみると,男子では52.4%, 70.8%,女子では64.6%, 85.0%が「嫌い」と回答し,本調査の方が多かった。また,両者の自覚症状を訴えた者の割合を比較してみると,男子では63.3%, 63.0%,女子では77.4%, 77.5%であり,両調査ともほとんど同率であった。(6)両親が喫煙することに対しては,男女ともに「健康を心配する」が多く,それぞれ53.8%, 67.7%であり,以下,「臭いが嫌い」「何も思わない」が続いた。「健康を心配する」は女子に多く,「何も思わない」は男子に多かった。(7)両親の非喫煙に対しては,男女ともに「良いと思う」が大多做を占め,それぞれ87.5%, 96.9%であった。(8)将来の喫煙意志のある者は,小学生9.1%,中学生10.0%,高校生5.9%であり,男女別では,それぞれ15.1%, 0.7%であり,男子に多かった。
著者
久佐加 眞理 宮本 聖子 田上 民子〔他〕
出版者
九州看護福祉大学
雑誌
九州看護福祉大学紀要 (ISSN:13447505)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.113-126, 2004-03

平成15年から開始した熊本県有明地域の町の保健室「イコイバ」は町の一角にあり、大人と若者が協働し、思春期の子ども達に出会いの場を提供すると共に、ワークショップや学習会を開き、情報や自分自身を見つめる機会を提供している。 この論文の目的は、イコイバ活動にピア・カウンセラーとして参加している7名の大学生の活動開始後半年間を振り返り、彼らの変化とその要因を活動との関連から明らにし、思春期保健の方向性を考察する事である。 方法は、7人のピアの自己評価をもとにインタビューを行ない、活動後の変化項目と変化に影響を及ぼした要因、イコイバの特徴的な4つの活動領域との関連を明らかにした。 その結果、ピアの変化は、対自己に対する変化と対他者に対する変化に二分され、対自己に対する変化は、「自分を振り返る力」「疑問を持ち深く考える力」に、対他者に対する変化は「聴く力」「言う力」「出会いへの積極性」に見られた。それらの変化をもたらした要因には、「出会いと交流」「聴いてくれる雰囲気やルールのもとでの安心した語り合い」「心と心の深いつながり」が上げられた。活動領域別に見ると、専門職との協働は「出会いと交流」の機能を果たし、ピアが現在と未来を結びつけて考える機会を提供していた。ワークショップは「聴いてくれる雰囲気やルールのもとでの安心した語り合い」の機能を果たし、自分を見つめる時間と空間を提供していた。さらに高校生の相談活動は、ピアが学び発見した事を実践する場となっていた。 以上のことから、大人との協働による居場所作りは、ピアの内面を広げ、対人能力を変化させ、未来への方向性を考えさせる活動である事が示唆された。Ikoiba, a youth health center, located in down town of the Ariake area in Kumamoto Prefecture, has been offering a flee space for the adolescents since 2003, where they can meet people, or sometimes participate in workshops and study meeting to get useful information and to raise self-awareness. This paper aims to analyze the past six month activities of seven students as peer counselors in Ikoiba and to clarify the relationship between their changes and its factors, and to get perspectives about the future health promotion for the adolescents. Through the interview survey using cards about each peer's self-evaluation, it was clarified how four specific function areas of Ikoiba relate to the peer students' changes and its factors. As a result, their changes were categorized into two types; one is intractive change against themselves, and the other is interactive change against other people. The former includes self-reflection skill and critical thinking skill and the latter includes listening skill, expressing skill and the positive attitude to meet other people. The factors of such changes are thought to be "meeting and exchanging", "talking together under the safe atmosphere with the rules of listening" "deep communication from the heart". Co-operation with the nurses made Ikoiba a space for meeting and exchanging, and facilitated peers to think of their present and their future. Workshops functioned as an opportunity to talk together without fear under a safe atmosphere with rules of listening. It also offered them time and space to raise self-awareness. Counseling activity for the senior high students became an opportunity for the peers to put into action what they already learned and found in Ikoiba. Such results suggest us that youth gathering space building in cooperation with adults facilitated peers to expand their inner mind, grow their human relationship building skill and to think of their future life.
著者
岩[フネ] 素子 五十嵐 直子 河野 正司〔他〕
出版者
新潟大学
雑誌
新潟歯学会雑誌 (ISSN:03850153)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.49-54, 2004-12
被引用文献数
4

It is important to know that dentures will function properly in patient's daily life. Generally, a convenient method to know chewing performance is to measure biting force that can be achieved. However, the relationship between biting force and the function of dentures has not yet been established. The purpose of this study was to investigate the relationship between biting force and chewing ability in removable denture wearers. Biting force was investigated in 321 subjects (76y) with and without removable dentures in the first molar. Kinds of foods that can be masticated in these subjects were also investigated by means of questionnaires. The findings of the research are summarized below: 1. Subjects with dentures in the upper and/or lower jaw was found to have a biting force of 1/2 of that of subjects with natural teeth in the upper and lower jaws. ; 2. Subjects with dentures in the upper and/or lower jaw could chew fewer kinds of food than subjects with natural teeth in the upper and lower jaws. ; 3. Subjects with dentures in the upper and/or lower jaw could chew softer foods such as rice. Subjects with dentures in both the upper and lower jaw were found to have difficulty in chewing harder foods. In conclusion, it is important to retain the biting ability of natural teeth to enjoy the benefits of a varied diet.日常生活において、装着された補綴物が実際に十分に機能しているかどうか評価することは、治療成横の向上のために重要である。口腔機能のなかで特に咬合機能を評価する簡便な方法として、咬合力の測定が挙げられるが、可撤性義歯装着者における咬合力の実態と実際に発揮される機能との関連性についてはあまり知られていない。そこで本研究では、可撤性義歯の装着によって発揮される咬合力と、実際に噛める食品との関連性を明らかにすることを目的とした。被検者は76歳321名、評価対象部位は第一大臼歯とした。咬合力については、両顎天然歯を保っている被検者に比べると、義歯を使用する被検者では半分以下の有意に低い値を示した。しかし片顎義歯と両顎義歯の間には、有意な差はなかった。噛める食品数においては、両顎天然歯は高い値を示したが、義歯を有する場合は低い値を示した。片顎義歯と両顎義歯の間には、有意な差はなかった。食品別の噛める割合を調べた結果、柔らかい食品は天然歯と義歯使用の被検者間に差はなかったが、筋ばった食物、擦り切るような咀嚼運動を必要とする食物では、噛める割合は義歯の有無に影響を受けており、両顎天然歯で最も高く、義歯を有する場合では片顎に天然歯があった方が有利に働くことを示した。義歯装着によりADL・QOLの向上は明らかであるが、さらに天然歯同士の咬合支持を保つことが、充実した食生活を送る上で重要であると考えられる。