- 著者
-
上出 良一
松尾 光馬
- 出版者
- Japanese Dermatological Association
- 雑誌
- 日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
- 巻号頁・発行日
- vol.108, no.3, 1998
全国大学付属病院108施設ならびに日本臨床皮膚科医学会(日臨皮)東京支部会員554名を対象に,人工的タンニング装置に起因する健康障害のアンケート調査を行った.249施設から回答を得,うち75施設で計119名の健康障害患者を診察していた.男女比はほぼ1:1で,10代と20代が8割近くを占めた.障害の内容(150件,重複あり)は急性障害であるサンバーン様症状84件(UVA蛍光ランプによるもの79件,PUVAによるもの4件,UVBランプによるもの1件),疼痛10件,瘙痒7件,光線過敏症5件,発熱2件,嘔気1件あった.慢性障害である黒子様色素沈着,花弁状色素斑などの色素性病変が16件,その他16件(うち皮膚乾燥6件),眼障害では表層角膜炎が2件にみられた.また病状の記載のないものが7件あった.人工的タンニングに対する意見を寄せた皮膚科医106名中,日焼けサロンに否定的な意見85件,肯定的な意見7件,賛否不明14件であり,否定的意見が約80%と大多数を占めた.皮膚科医としてUVA照射による人工的タンニングの危険性を一般に啓蒙していく必要がある.