著者
松本 有
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

核酸内包薬物送達システム(Drug Delivery System; DDS)開発では、細胞外環境における高い安定性と標的細胞内における効率的な核酸分子の放出という二律背反的な性能が要求される。本研究では生体内における蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence Resonance Energy Transfer; FRET)計測を行った。DDSの血中安定性、組織移行性、細胞内安定性、核酸放出といった評価法を確立した。
著者
松本 有記雄
出版者
長崎大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

雄の配偶成功は性的二型などの質に依存するが、その質の差に関係なく配偶成功に極端な偏りが生じることがある。この原因の1つが雌の非独立型配偶者選択(以下、コピー戦術)である。コピー戦術を採用する雌は、他個体の配偶者選択を真似て同じ雄を選ぶため、通常の選択の基盤となる遺伝的な好みとは逆の特徴を持つ雄さえ選ぶことがある。このように、コピー戦術は既存の性淘汰の概念を覆すような重要な現象であるが、過去の研究の多くがコピー戦術か否かの報告に留まっており、その適応的意義まで実証した例は皆無である。昨年度までの研究で、ロウソクギンポ雌のコピー戦術には配偶者探索時の移動コストや捕食リスクを軽減する機能は無いことが示された。そこで、多くの種で観察される全卵食行動、すなわち保護卵が少ない場合に(ロウソクギンポでは1000個末満)、卵を保護する雄がそれらの卵を孵化まで保護せずに全て食べる行動に注目した。本種雌の場合、雌1個体の産卵数は最大でも500個程度なので、雌はすでに他の雌の卵がある巣に卵を追加産卵しなければ、自身の卵が全卵食される可能性が高い。ところが、雌が卵を確認するために、巣内に入ると雄に産卵するまで巣内に閉じ込められるリスクが生じていることが実験的に示された。コピー雌の卵が無い巣への産卵頻度は通常選択を採用した雌よりも低く、実際に孵化まで保護されるケースが多かったことから、コピー戦術には、卵を保護していない雄に強制産卵させられるリスクを回避して、自身の卵の生残率を上げる機能があると考えられた。
著者
設楽 宗孝 水挽 貴至 松本 有央
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

視覚認識視覚認識において確率共鳴現象がどのような条件で起こるかどうかを調べるために、サルに逐次型遅延見本合わせ課題をトレーニングするための実験制御装置を作成した。ここで、ノンマッチ刺激およびマッチ刺激、背景にはランダムドットノイズを加える。ノイズ量と視覚認識の反応の早さとの関係を調べるために、サルのこの課題のトレーニングを行っているところであるが、ヒトで予備的検証を行ったところ、5%ノイズ程度のところで反応時間が最も短くなり、ヒトでも同様のプロセスがあることが考えられた。
著者
松本 有央 岡田 真人 銅谷 賢治 菅生 康子 山根 茂 河野 憲二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.686, pp.93-100, 2001-03-14

サル側頭葉に存在する顔細胞集団の活動パターンから視覚刺激画像の階層的な構造を抽出できるかどうかを検証するために, Sugaseらの実験データを解析した. 45個のニューロンの活動から38枚の刺激画像に対する38個の応答ベクトルを生成し, そのベクトルをVariational Bayes (VB)アルゴリズムを用いた混合正規分布解析でクラスタリングした. その結果, 異なった画像に対応するニューロン集団を表すベクトルは, 応答の開始時(90-140ms)において"顔か単純図形"などの大分類情報に対応する3つのクラスターを形成した. それに遅れて(140-190ms)それぞれのクラスターは分離し, "人の個体分類"などの詳細な分類情報に対応するサブクラスターを形成することを発見した. さらに相互情報量を計算することでニューロン集団はヒトは個体, サルは表情, 図形は形によって詳細なクラスターが形成されていることが分かった.
著者
松本 有一
出版者
関西学院大学
雑誌
經濟學論究 (ISSN:02868032)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1-14, 2006-09

Professor Oka published a textbook on environmental economics in 2006, which criticized the energy analysis by Georgescu-Roegen based on the entropy law. However, Oka approves the significance of the entropy law and attempts to construct environmental macroeconomics. This paper will prove that Oka misinterpreted Georgescu-Roegen's analysis and will suggest a direction for constructing environmental macroeconomics based on the entropy law.
著者
山根 茂 菅生 康子 松本 有央 岡田 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.452, pp.37-40, 2003-11-13

顔は口や目などの部品の配置もさまざま、輪郭や色もいろいろで、さらに表情などの情報を合わせもつ。このように多様で複合した情報が脳内でどのように表現されているかを知ることは、脳の認知や記憶機能のメカニズムを明らかにするうえで大切である。画像の認知や記憶に深く関連している側頭葉と言われる脳の場所では、単一神経細胞においても神経細胞集団においても、おおまかな分類情報から詳細な情報へと階層的に情報が表現されていることがわかった。このダイナミックな分類情報の表現は、連想記憶モデルの振る舞いと酷似していることがわかり、その連想記憶モデルが脳の長期記憶システムとして存在する可能性が大きい。この連想記憶モデルを核に自動的に似ている画像を分類するシステムについて最後に触れる。