著者
松永 三郎 神澤 拓也 狼 嘉彰
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.47, no.550, pp.433-441, 1999-11-05 (Released:2009-07-09)
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

This paper discusses a method for damping the angular momentum of an uncontrolled target satellite in order to make it easy to capture using a chaser-satellite-mounted manipulator. During the capture operation of an uncontrolled floating target, it may be difficult for a manipulator to grapple it directly because of target nutation or tumbling. In this paper, we propose using a cushion type damper in order to absorb the rotational motion. The scenario is as follows: 1) a cushion type damper is attached to the end-effector of the manipulator, 2) the manipulator softly pushes the damper on carefully selected points on the target, and 3) the contact force between the damper and the target causes the angular momentum of the target to decrease. The validity and feasibility of the proposed method are verified through numerical simulations.
著者
中須賀 真一 森 治 矢入 健久 松永 三郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

東京大学・東京工業大学の学生が手作りで製作を進めてきた10cm立方,1kgの超小型衛星CubeSat"XI(サイ)"および"CUTE-1"は最終的な機能試験を行い、平行して衛星の国際標識(Spage Warn)の登録、使用周波数に認可と衛星局・地上局の免許取得、輸出許可申請などの手続きを行い、日本での作業を完了した。2003年6月に打ち上げ射場であるロシア・プレセツク宇宙基地に学生・教官の手で輸送され、ROCKOTという3段ロケット上段に取り付けられる作業までを共同で実施した。同ロケットは6月30日23時15分(日本時間)に成功裡に打ち上げられた.7月1日午前0:48に高度824kmの太陽同期円軌道に投入され,その後順調に飛行し,午前4時すぎに日本上空を通過する際に,東京大学および東京工業大学の地上局にてビーコンが受信された。投入軌道は予定通りで,正常に起動・分離・アンテナ展開されたことが確認できた.その後、両大学において、順調に軌道上運用が行われ、それぞれに計画していた種々の展開実験、通信実験,地球画像の撮像とそのダウンリンク実験,姿勢運動の推定などの実験を行ってきた。8ヶ月たった2004年2月末においてもまったく異常なく動作を続けている。これらの実績は、宇宙開発、特に衛星分野における大学の存在を示した点で、また民生品を用いた低コスト・短期間開発の超小型衛星バスでも軌道上で正常に動作することができることを示した点で、大きな成果であったと考えられる。また、打ち上げに向けて実施した種々の国際調整や手続きは貴重な経験であり、今後大学で衛星を開発しようというグループにとって有益な情報をもたらすであろう。また、超小型衛星の軌道上運用の方法を実践的に獲得し、新しいプロトコルや地上局ネットワークを試行し効果があることを確かめられたことも、今後の超小型衛星の軌道上運用にとって大きな成果であると考える。
著者
古賀 将哉 宮里 和良 松永 三郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
スペース・エンジニアリング・コンファレンス講演論文集 2016.25 (ISSN:24243191)
巻号頁・発行日
pp.1A5, 2016 (Released:2017-06-19)

衛星から地上局へ届く RF(Radio Frequency) 信号は,ドップラ効果による周波数のずれがあり,地上局との距離や衛星の姿勢によって地 上局での受信 C/N(搬送波対雑音比) が変化する.しかし地上試験においてこれらの影響を含めることは難しい.そこで本研究では,ソ フトウェア無線を用いて,軌道・姿勢データやアンテナ利得パターンから,時々刻々と周波数や C/N が変化する衛星の RF 信号を再現 するシミュレータを提案・開発する.このシミュレータにより,実際の地上局を用いて RF 信号レベルの通信試験を行うことができ,地 上局システム全体の信頼性を高めることができる.実際に開発したシミュレータを用いて,普段の衛星運用と全く同じ手順で,運用オ ペレータの訓練を行うことが出来ることを示す.
著者
片岡 淳 松永 三郎 河合 誠之 河合 誠之
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

小型衛星を用いた突発天体からのX線・ガンマ線偏光観測に向け、東工大で開発する50kg級小型衛星「つばめ」に搭載する観測装置(硬X線偏光検出器、バースト位置検出器)および高速姿勢制御装置の試作開発を行った。詳細なシミュレーションと実機(エンジニアリングモデル)による評価・試験から、目的とした観測性能をすべて達成できることを示した。大型衛星では困難な「小回りの良さ」と「最先端の観測機器」を駆使した小型衛星の新しいアプローチ、また小型衛星を用いた新しいサイエンスの方向性を示すことができた。