著者
森 治 佐伯 孝尚 白澤 洋次 加藤 秀樹 船瀬 龍 大野 剛 松本 純 中条 俊大 菊地 翔太 寺元 祐貴 矢野 創 中村 良介 松浦 周二 川口 淳一郎
出版者
一般社団法人日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.117-122, 2015-04-05

ソーラー電力セイルはソーラーセイルにより燃料を節約できるだけでなく,太陽から遠く離れた場所でも,大面積の薄膜太陽電池を利用して探査機に十分な電力を確保できる.ソーラー電力セイルで得た電力を用いて,高性能なイオンエンジンを駆動すれば,ソーラーセイルと合わせたハイブリッドな推進が可能となる.JAXA ではこのコンセプトを踏まえ,ソーラー電力セイルによる外惑星領域探査計画を提案している.本計画では,日本独自の外惑星領域探査技術を確立し,日本が太陽系探査を先導すること,および,新しい科学分野であるスペース天文学等を切り拓くことを目指している.本稿では,本計画について紹介し,初期検討結果を示す.
著者
松本 純一
出版者
東洋学園大学
雑誌
東洋学園大学紀要 = Bulletin of Toyo Gakuen University (ISSN:09196110)
巻号頁・発行日
no.12, pp.29-38, 2004-03-15

近年日本語の話し言葉でよく聞かれる「~円からお預かりします」という言い回しに関して,その表現の成立と存在意義について,生成文法を始めとする理論言語学及び普遍文法の観点から考察する。結論として,この表現は本来助詞が存在しなくてよい部分に,丁寧さを高めるために日本語におけるデフォールトな後置詞「から」が挿入されたものであるという説明を提案する。この結論を支持する根拠として,現代日本語文法論における構造格と内在格との区別・日本語の後置詞「から」が持つ独自の性質・他言語における格体系・英語におけるデフォールトな前置詞などの言語現象を取り上げる。
著者
國井 泰人 池本 桂子 和田 明 楊 巧会 志賀 哲也 松本 純弥 丹羽 真一
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.105-112, 2010 (Released:2017-02-16)
参考文献数
5

我々は,精神疾患死後脳集積システムの構築とそれに並行した精神疾患の啓発活動を 1997 年より行ってきた。本稿では,福島精神疾患死後脳バンクのシステム及び,発足して以来現在までの歩みと実績を紹介するとともに,財政的問題や専属スタッフの不足,臨床医と基礎医学研究者との連携の必要性,全国規模でのバンクネットワークの必要性など,バンクの運営に従事する中で直面している課題について報告する。
著者
松本 純
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.48-70, 2001-09-25 (Released:2009-11-06)

The main purpose of this article is to clarify the British pattern of the introduction of technical instruction, analyzing the economic influence of the activity of the City and Guilds of London Institute for the Advancement of Technical Education at the end of the 19th century. This paper also focuses upon the fact that the City and Guilds attached importance to the opinion of small- and medium-scale merchants and manufacturers in Britain.As a first industrial nation, Britain had preserved entrenched institutional structures since the Industrial Revolution and as regards technical instruction, the state was reluctant to create the polytechnics and the scientific facilities like Germany. In Britain, on the whole, some voluntary societies, one of which was City and Guilds, endeavored to promote technical instruction throughout the 19th century.The conclusion of this paper can be summarized as follows. City and Guilds, which consisted of members of the Corporation of London and sixteen Livery Companies, conducted a nationwide technological exam for the various types of merchants and manufacturers and built the first technical college, Finsbury Technical College, in London. This college particularly attracted small- and medium-scale merchants and manufacturers who worked around London and coped with industrialization by relying upon their manual technologies. City and Guilds satisfied their needs concerning higher knowledge or information to catch up with the technical standards of their rivals. Moreover, they provided an opportunity to centralize the technical instruction system in Britain.
著者
川口 義樹 石 志紘 島田 敦 大石 崇 磯部 陽 松本 純夫
出版者
日本内視鏡外科学会
雑誌
日本内視鏡外科学会雑誌 (ISSN:13446703)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.215-219, 2012-04-15

◆要旨:慢性腹痛の原因と考えられた移動性盲腸に対して腹腔鏡下盲腸固定術を行い良好な結果を得たので,報告する.患者は26歳,女性.右下腹部痛を主訴に受診したが,CT検査,上部内視鏡検査,大腸内視鏡検査では特に異常を認めなかった.小腸造影で移動性盲腸と診断され,腹痛の原因である可能性が高いと考えられた.その後も症状が持続,増悪したため,インフォームドコンセントのうえで腹腔鏡下盲腸固定術を施行したところ,腹痛は消失しQOLも改善した.移動性盲腸で自験例のように腹痛を伴い,内科的治療が困難な場合には腹腔鏡下盲腸固定術は低侵襲かつ有効な術式と思われた.
著者
高橋 徹 松本 純
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.408-418, 1977-06-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
23
被引用文献数
1

肝硬変症ならびに先行病変の立体構造においては,実質域の三次元ネットワークが骨格をなしていることを既に発表した(肝臓;18/5, 1977).このネットワークの位相幾何学的性質を利用して病変の移行関係を解析する方法を考案した.それは臓器中のネットワークの連結数p1の総値を求め,これをパラメーターとして病型の遠近関係を推察する方法である.種々の型の慢性肝病変の6例にこの方法を適用し,とくに慢性肝炎から肝硬変症の成立過程を重点的に考察した.解析の結果,総p1値は前者で610万,乙型肝硬変で10万と推定された.この大きな差からみて,慢性肝炎から乙型への移行は構造の連続変形のみでは説明困難であり,肝壊死を媒介とする連結関係の離断が必要と考えられた.一方,門脈型肝硬変での総p1値は635万と慢性肝炎に近く,慢性肝炎からの像の連続変形すなわち「削り取り」的進展に際しては,この型の肝硬変に向うものと推察された.
著者
奈良 真美 押本 浩一 堀内 克彦 豊田 満夫 片貝 堅志 増田 淳 松本 純一 荒井 泰道
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.114-115, 2005-11-25 (Released:2013-11-21)
参考文献数
2
被引用文献数
3

症例は58歳,女性。発熱にて近医受診し,A型インフルエンザと診断。リン酸オセルタミビルを処方され,内服後に腹痛,下痢,血便となり当院受診。緊急大腸内視鏡検査で左側結腸に縦走潰瘍を認め入院。内視鏡所見,病理所見,便培養陰性などから,下痢が誘起となった虚血性腸炎と考えられた。リン酸オセルタミビルが原因の出血例は稀であり,使用頻度の高い薬剤でもあることから注意が必要であると思われた。
著者
松本 純
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.1595-1608, 1980-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20

30例の悪性高血圧患者に透析療法を施行した.悪性高血圧の診断は,厚生省医療研究班,悪性高血圧小委員会の提唱した診断基準によつた.この30症例を,治療として用いたβ-blockerの使用の有無により3群に分類した. I. 3群の特徴, (1)大量のβ-blockerを要した群(A群)は15名(50%)で,内12例は基礎疾患が本態性高血圧症(EH)で,透析開始前に本症の発症をみた.残り3例の基礎疾患は慢性腎炎(CN)で,透析開始後に本症の発症を認めた.治療前後のレニン活性(PRA)は全例,異常高値を示し,又低Na血症が治療前後に見られた. 15例中10例(70%)が死亡した.さらに軽度のやせが認められた. (2) β-blockerを要さず,透析により血圧の管理を行ない得た群(C群)は9名(30%)で,内1名が死亡した.基礎疾患は全例CNで,発症時のPRA,血清Na値および体重は正常であつた. (3) β-blockerを間欠的に投与した群(B群)は6名(20%)で全員生存しており,基礎疾患はEHとCNが3名ずつで,特微はA群とC群の中間の成績を示した.すなわち発症時の高レニン,低Na血症は治療により改善した. II.不良な予後に関係する因子として, (1)基礎疾患がEHの症例, (2)高レニン血症, (3)低Na血症, (4)やせ, (5)高度の眼底変化(K-W 4度),の五つが判明した.
著者
尾本 健一郎 大石 崇 磯部 陽 松本 純夫
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.733-736, 2014-03-31 (Released:2014-09-29)
参考文献数
13

原発性腹膜癌の初発症状は多量の腹水貯留による腹部膨満などが多く,腸閉塞症状はまれである。今回,癒着性腸閉塞として加療されていたが手術を契機に診断された1例を経験した。症例は71歳女性。左付属器切除術,子宮膣上部切断術および2度の腸閉塞歴がある。嘔吐,右下腹部痛で当院受診。CT画像で腸管の拡張がみられ,石灰化が目立っていたが腹水は少量であり,あきらかな腫瘤を指摘できなかったことから癒着性腸閉塞の再発として入院となった。保存的加療されていたが,全身状態悪化のため第5病日に手術を施行した。回腸約40cmが一塊となっており,後腹膜と強固な癒着を呈していた。小腸部分切除術を施行した。術後第40病日に軽快退院。病理診断で卵巣漿液性乳頭状腺癌と類似し,原発性腹膜癌と診断した。漿膜面の腹膜播種による硬化から腹膜癌が腸閉塞の原因と考えられた。
著者
小松 耕史 松本 純 上片野 一博
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.659-664, 2014
被引用文献数
1

鹿児島県のタイストール式1酪農場において,<i>Chorioptes texanus</i>による皮膚病変及び掻痒症状が多発した.そこでエプリノメクチン製剤(0.5mg/kg)を62頭に投与し,牛群全体の掻痒症状,病変,カウコンフォート及び乳量への影響を評価した.さらに,病変及び乳量について掻痒の有無により群分けし比較した.群全体において,掻痒の指標である尾振り率及び病変部スコアは投与後有意に低下した.カウコンフォートの指標であるStanding idle(起立)の割合は投与後有意に低下し,305日補正乳量は増加した.また,掻痒を示す群では病変部スコアが高く投与後の乳量変化に乏しかったが,掻痒を示さない群では乳量増加が大きかった.群全体において本剤の治療効果が認められたが,罹患牛においてカウコンフォート及び生産性を適正に維持するためには,早期治療により病変を進行させないことが重要と考えられた.
著者
荒井 泰道 松本 純一 小田 島博 近藤 忠徳 関口 利和 石田 稔 小林 節雄
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.1439-1445_1, 1982

急性回腸末端炎はYersinia enterocoliticaやアニサキスの感染によって発症することがしられている.しかし多くは原因不明の疾患である.著者らはYersinia enterocoliticaの検出された1例を含めて4例の急性回腸末端炎を経験した.4例とも発熱,右下腹部痛,下痢を主訴として来院した.急性期の内視鏡所見は回腸末端部に不整形の潰瘍やびらんの形成がみられ,1例ではあるがいわゆるcobble stone像を示した.回復期に入ると潰瘍やびらんは消失し,粗大結節状あるいは微細顆粒状の隆起性病変を認めた.生検によって炎症性細胞浸潤とリンパ濾胞の形成がみられたことから,それらはリンパ濾胞の増殖によるものと考えられた.経過とともに隆起性病変も消失することが認められた.急性回腸末端炎の急性期内視鏡所見及び内視鏡的に経過観察を行なった文献はみられていないように思われ意義あるものと考え報告した.
著者
矢作 和也 金子 香里 松本 達彦 増田 淳 橋本 良明 松本 純一 荒井 泰道
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:03899403)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.215-217, 1993-12-01 (Released:2015-07-15)
参考文献数
6

症例は50歳女性。下血を主訴に来院し,即日行った大腸内視鏡検査にて,S状結腸深部に白色半透明の膜様の剥離粘膜に被われた血腫がポリープ状に認められた。また,塩酸チクロピジン服用によると思われる出血時間の延長を認めた。4日後,剥離粘膜に被われた血腫の排泄があり,その直後に行った注腸X線検査,内視鏡検査にてS状結腸深部に約10cmにわたる全周性の潰瘍を認めた。成分栄養療法などを行い,約10ヵ月後ほとんど狭窄を残さずに治癒した。大腸の全周性粘膜剥離はまれであり,その原因の1つとして虚血性腸炎があげられているが,本例は発症時に腹痛がなく,また剥離部に隣接した粘膜には炎症所見がみられなかったことなどより,虚血性腸炎の可能性は低い。むしろ,塩酸チクロピジンによる出血傾向との関連の可能性が考えられた。興味ある症例と思われたので,若干の文献的考察を加え報告した。