著者
阿部 広明 大林 富美 原田 多恵 嶋田 透 横山 岳 小林 正彦 黄色 俊一
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.196-200, 1996

CSD-1系統はカイコ支137号 (<i>nsd-1</i>/<i>nsd-1</i>) に日137号 (+<sup><i>nsd-1</i></sup>/+<sup><i>nsd-1</i></sup>) の濃核病ウイルス1型 (DNV-1) 感受性遺伝子 (+<sup><i>nsd-1</i></sup>) が所属する第21連関群を導入し, 継代, 維持している。このためCSD-1系統は, 第21連関群について, 日137号の染色体と支137号の染色体を一本ずつもつ<i>nsd-1</i>/+の雌に, 支137号の雄を交配し, 蛾区内でDNV-1感受性個体 (<i>nsd-1</i>/+) とDNV-1非感受性 (完全抵抗性) 個体 (<i>nsd-1</i>/<i>nsd-1</i>) が1:1で分離するようにしてある。本研究は, +<sup><i>nsd-1</i></sup>遺伝子に連関しているランダム増幅多型DNA (RAPD) を利用し, CSD-1系統内よりDNV-1を接種することなく, 幼虫ならびに成虫のDNV-1感受性を診断する方法について検討した。PCRの鋳型となるゲノムDNAを, 幼虫の場合は切断した腹脚2本から, 成虫の場合は切断した脚2本から, それぞれ抽出し, 特定のプライマーを使用してPCRを行い, RAPDの有無を調べた。その結果, RAPDによる診断結果とDNV-1感染の有無が一致した。この方法により, ウイルスを使用することなくDNV-1感受性個体を検出し, その個体から次代を得ることが可能となった。
著者
小林 富士男 富田 将英 坪井 始 田中 始男 美咲 隆吉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.98, pp.65-70, 1996-10-09

人間がものを見る際、どのように、どの程度その対象物が見えているかを評価するには、最終的に視覚実験によることが多いが、人間の感覚は主観的で、心理的要素など不確定で複雑な要素も多く、客観的に評価するにはこれらを定量的に表現する必要がある。本研究では、従来あるデータから網膜の出力分布を仮定することで、視対象が網膜上に結像したときの像の濃度分布と、それに対する網膜の感度分布をもとに確定的な視覚情報量を算定する方法を提案している。また、この方法を実際の視標に適用し、それぞれの視標の持つ視覚情報量を計算機シミュレーションによって計算し、その結果について考察を行った。When we gaze the object, how much the amount of visual information is obtained. When the illumination condition and the object are changed, how the amount of visual information is changed. There is a problem how to decide the relation berween these quantitatively. In this paper, the theory to calculate the amount of visual information is proposed. Next, it has been applied to the characters concretely. The various effects on the amount of visual information have been calculated by the computer simulation.
著者
田中 礼 小林 富貴子 伊藤 寿介 小山 純市 平 周三 田中 礼 小林 富貴子
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、顎顔面領域へのMD-CTの臨床応用に際し、その至適撮影条件を明らかにすることを主な目的とした。具体的には、顎関節症症例、顎変形症や顎顔面形成不全症例などにおける顎関節部の骨の診断への応用を考え、顎関節部の撮影条件について検討した,撮影時間の短縮と被曝量の低減が可能であり、かつ、読影のためのより良好な画像データを得るために、ビーム幅を一定にしたときにテーブル移動速度(ピッチ)、再構成間隔、再構成関数の組み合わせを最適化することに主眼をおいた。研究成果は以下のとおりである。顎関節部のMD-CT至適撮影条件は、管電圧;120kV、ビーム幅;1.25mmの条件で、頭部ファントムを撮影し次のとおりと考えられた。ヘリカルピッチ;3(High Quality)、再構成関数;bone、管電流;80mA、再構成間隔;0.25mm。撮影時間と被曝量:撮影時間;14.8秒、CTDIw, eff;25.08mGy、DLPw;139.15mGycm。顎関節部の冠状断、および矢状断の再構築画像において、骨を中心に評価をする場合、観察しやすい画像の条件は、再構成間隔に大きく影響されると考えられた。今回、1.25mmのビーム幅に対して、1.25mm、1.0mm、0.5mm、0.25mmの4とおりの間隔で画像データを再構成し、冠状断、および矢状断のMPR画像を作成したが、それらのうち、最小の0.25mm間隔による再構成が有効であった。再構成間隔を一定にして、管電流による比較を行ったが、画像の観察しやすさは、管電流の大きさに必ずしも依存しない可能性が考えられた。ヘリカルピッチ3とヘリカルピッチ6では、同一の被曝量を示す条件での比較で、ヘリカルピッチ3の方が、より観察しやすい画像が得られた。再構成関数は、骨を中心に観察する場合、硬組織表示に適した「bone」が最も有効であった。
著者
三谷 幸之介 大林 富美 岸本 充弘
出版者
埼玉医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、ウイルスベクターを利用した相同組換えにより染色体遺伝子を修復する究極の遺伝子治療法の開発を目的とする。1、アデノウイルスベクターヘルパー依存型アデノウイルスベクター(HDAdV)によるヒト細胞での相同組換え効率を検討するため、正常ヒト繊維芽細胞においてHPRT遺伝子座を標的とし、細胞あたり10^<-5>から10^<-6>の頻度で遺伝子ノックアウトを達成した。また、相同組換えによってファンコニ貧血A群(FANCA)遺伝子変異を修復する頻度を測定するために、正常FANCA遺伝子座の一部をコードするHDAdVを作製し、患者由来B細胞株(BCL)に感染させた。しかし、相同組換えによるFANCA遺伝子の修復も、染色体上のランダムな位置へのベクターの組み込みも、いずれも検出できなかった。2、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターHDAdVと同様に、HPRTノックアウトベクターとFANCA修復ベクターを構築した。宿主域の異なる各種AAVベクターを調製し、正常BCLを感染させたところ、1 x 10^<-5> - 6 x 10^<-6>の頻度で染色体に組み込まれた。そのうち、AAV2とAAV8由来のベクターで、細胞当たり1 - 2 x 10^<-6>の頻度でHPRTノックアウトを達成したFANCA患者由来細胞BCLに対しても、3 x 10^<-5>の頻度でHPRTノックアウトを得た。ヒト造血細胞における遺伝子ノックアウトは初めての例である。さらに、FANCA修復ベクターを用いて遺伝子修復を試みたが、修復細胞は検出されなかった。3、相同組換えの促進と非相同組換えの抑制の試みマウスHprt相同領域をコードするプラスミドDNAをマウスES細胞へエレクトロポレーションし、UV damage endonuqleaseの強制発現またはPARP1阻害剤での細胞処理による相同組換えの促進と、DNA-PKcs阻害剤の細胞処埋による非相同組換えの抑制を検討したが、いずれの場合も顕著な効果は認められなかった。4、今後の展望HDAdVに関しては、long PCRで相同配列をクローニングした際にエラー(変異)が入って相同組換えを阻害した可能性があるので、BACから直接クローニングする方法でベクターを再構築し、実験を行う予定である。また、FANCA陽性細胞の検出法の精度を改善して、AAVを用いて再実験を行う。