著者
赤川 学 出口 剛司 宮本 直美 新島 典子 柄本 三代子
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2022-06-30

本研究は、猫に関する社会学的知見を共同研究のなかで蓄積し、「猫社会学」を創設することを目的とする。近年、猫と人間の関わりは他の動物やペットよりも深化している。本研究は、そうした関係の深化が、現代社会のマクロな社会構造の変容によって生起していると想定し、そのミクロなプロセスを、家族、感情、文化、社会運動などの諸側面に即して記述し、文明史的な社会理論によって解釈する。そのために、(A)猫を飼った経験がある人や保護猫活動当事者へのインタビュー調査、(B)猫好きな人の社会的・心理的特性や活動のアンケート調査、(C)猫ブームに関する言説のテキストマイニング、(D)上記データの理論的解釈を実施する。
著者
是永 論 浅岡 隆裕 柄本 三代子 金 相美 岡田 章子 清水 真 酒井 信一郎 重吉 知美 池上 賢 加藤 倫子
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、日本社会および日本人に関して、「劣化」という表現が言説上について頻繁に使用されているという状況を踏まえ、メディア言説上における劣化表現のありようを解明するために、活字メディアを中心に内容分析を行ったほか、一般のメディアの受け手に対する質問紙およびインタビュー調査から得られたデータの分析結果から、言説どうしが形成する関係と、言説が人々に消費される具体的な過程を明らかにした。
著者
柄本 三代子
出版者
日本メディア学会
雑誌
メディア研究 (ISSN:27581047)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.133-151, 2023-07-31 (Released:2023-10-24)
参考文献数
22

Nowadays, Karate has gained worldwide popularity as a type of martial art. One of the reasons for this is that karate has been found to have a spiritual value that is not found in other sports. Additionally, when propagated domestically and internationally, karate has attracted attention for its educational benefits, especially for young people. It has increased its popularity as a form of learning for children and supported the management of dojos.    Because of the above-mentioned situation, this paper focuses on the globally popular Karate Kid series starting as the Hollywood film released in 1984. We can watch the Cobra Kai series on Netflix as Karate Kid contents. In a nutshell, these films and TV series tell the story of a young boy’s encounter with karate and growing, and it is hard to deny that they have contributed to the spread of karate throughout the world and its popularity over 40 years.    However, this paper focuses on the fact that some academic studies have analysed these contents and found educational value. This paper aims to examine why multidisciplinary researchers have paid attention to Karate Kid contents and what educational value they have found. Although these are academic analyses, it is indispensable to consider these as examples of reading and discussing the social acceptance of karate worldwide. This paper recognises them associated with how the global propagation of karate overlaps with the discourses of popularisation worldwide.    The studies that acknowledged the educational value of karate kid contents varied in terms of the extent to which they considered it necessary to focus on the ideological background. The paper discusses the possibility that the ability to consistently find educational value while allowing for such diverse readings supports the popularity of Karate Kid contents and, in turn, contributes to the propagation of karate.
著者
柄本 三代子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.521-540, 2015 (Released:2016-03-31)
参考文献数
25

本稿は, 東日本大震災後多くの人びとの関心を引きつけながら専門家の評価・判断が依然として分かれたままの, 福島第一原発事故後の放射能汚染による被ばくのリスクと不安について, わかりやすさが求められるテレビ報道において, いかに説明され語られているかを考察した.たんに福島第一原発事故後の被ばくのみを分析対象とするのではなく, 利用可能なアーカイブを駆使し, 広島・長崎原爆やチェルノブイリ原発事故をめぐる報道も分析対象とした. これにより, 被ばくの不安とリスクが語られる際の共通性抽出を目的とした. データは視聴可能なものの中から1986年から2014年までに放送された番組を対象とした. 科学的リアリティの構築に「素人の語り」がどのように寄与しているのかという点に着目した.数十年にわたる被ばくの語りを対象化することにより, 現在の被ばくの影響や不安についての関心が, 専門家によってはあいまいでわかりにくい説明がなされたまま, 未来へと先送りにされていく事態について明らかにした.専門家による言説だけでなく素人の言説も考察対象とすることにより, わかりやすさが求められるテレビジョンの中で, 科学的不確実性を多分にはらむ被ばくが語られる際には, 素人によってわかりやすい説明がなされるだけでなく, わかりにくい専門家の話を素人が支えることも必要とされている点についても明らかにした.
著者
柄本 三代子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.521-540, 2015

本稿は, 東日本大震災後多くの人びとの関心を引きつけながら専門家の評価・判断が依然として分かれたままの, 福島第一原発事故後の放射能汚染による被ばくのリスクと不安について, わかりやすさが求められるテレビ報道において, いかに説明され語られているかを考察した.たんに福島第一原発事故後の被ばくのみを分析対象とするのではなく, 利用可能なアーカイブを駆使し, 広島・長崎原爆やチェルノブイリ原発事故をめぐる報道も分析対象とした. これにより, 被ばくの不安とリスクが語られる際の共通性抽出を目的とした. データは視聴可能なものの中から1986年から2014年までに放送された番組を対象とした. 科学的リアリティの構築に「素人の語り」がどのように寄与しているのかという点に着目した.数十年にわたる被ばくの語りを対象化することにより, 現在の被ばくの影響や不安についての関心が, 専門家によってはあいまいでわかりにくい説明がなされたまま, 未来へと先送りにされていく事態について明らかにした.専門家による言説だけでなく素人の言説も考察対象とすることにより, わかりやすさが求められるテレビジョンの中で, 科学的不確実性を多分にはらむ被ばくが語られる際には, 素人によってわかりやすい説明がなされるだけでなく, わかりにくい専門家の話を素人が支えることも必要とされている点についても明らかにした.
著者
柄本 三代子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.521-540, 2015

本稿は, 東日本大震災後多くの人びとの関心を引きつけながら専門家の評価・判断が依然として分かれたままの, 福島第一原発事故後の放射能汚染による被ばくのリスクと不安について, わかりやすさが求められるテレビ報道において, いかに説明され語られているかを考察した.たんに福島第一原発事故後の被ばくのみを分析対象とするのではなく, 利用可能なアーカイブを駆使し, 広島・長崎原爆やチェルノブイリ原発事故をめぐる報道も分析対象とした. これにより, 被ばくの不安とリスクが語られる際の共通性抽出を目的とした. データは視聴可能なものの中から1986年から2014年までに放送された番組を対象とした. 科学的リアリティの構築に「素人の語り」がどのように寄与しているのかという点に着目した.数十年にわたる被ばくの語りを対象化することにより, 現在の被ばくの影響や不安についての関心が, 専門家によってはあいまいでわかりにくい説明がなされたまま, 未来へと先送りにされていく事態について明らかにした.専門家による言説だけでなく素人の言説も考察対象とすることにより, わかりやすさが求められるテレビジョンの中で, 科学的不確実性を多分にはらむ被ばくが語られる際には, 素人によってわかりやすい説明がなされるだけでなく, わかりにくい専門家の話を素人が支えることも必要とされている点についても明らかにした.