著者
村田 純一 河野 哲也 染谷 昌義 池上 高志 長滝 祥司 吉澤 望 石原 孝二 柳澤 田実 佐々木 正人 三嶋 博之 工藤 和俊 柴田 崇 丸山 慎
出版者
立正大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

わたしたちの生活はつねに多様な人工環境によって支えられている。この「人工環境・内・存在」のあり方を生態学的現象学、技術哲学、生態学的心理学、さらには、認知科学や建築学などの知見を利用して解明すること、これが第一に取り組んだことである。第二に、この知見に基づいて、バリアフリーデザイン、ユニバーサルデザイン、そして、人間中心設計などの設計観の意義を明らかにし、具体的な人工物の製作過程への応用可能性を検討した。
著者
石井 辰典 中分 遥 柳澤 田実 五十里 翔吾 藤井 修平 山中 由里子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.SS-017, 2021 (Released:2022-03-30)

宗教は,人類史において私たちと切り離せないものであったと言える。宗教に関する学問は様々あるが,近年西洋圏で急速に発展してきたのが宗教認知科学,すなわち認知科学・進化科学の観点から,なぜ宗教が人間社会に普遍的に見られるのか,また世代を超えて受け継がれるのかを解明しようとする学際的分野である。ただその理論・仮説の文化普遍性は必ずしも検証が十分とは言えない。主に一神教世界の研究者たちが構築してきた理論を,非一神教世界の理解のために無批判に適用してよいのだろうか? そこには一神教的な自然観を前提とした文化的バイアスがかかっていないだろうか? これを問うために本シンポジウムでは,まず日本で宗教認知科学研究を進めてきた研究者に自身の研究を紹介してもらい知見を蓄積する。そして指定討論者には「超常認識」や「想像界の生きもの」の比較文化プロジェクトに携わり「人はなぜモンスターを想像するのか」について多くの論考をお持ちの山中由里子(専門:比較文学比較文化)を迎え,コメントをいただく。この異分野間の対話を通じて,宗教認知科学で問われる宗教的概念・信念の文化的相違点について議論を深めたい。
著者
岡田 温司 篠原 資明 鈴木 雅之 小倉 孝誠 並木 誠士 喜多村 明里 水野 千依 柳澤 田実 松原 知生
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

肖像には二重のベクトルがある。ひとつはモデルへと引き戻されるもの(モデルに似ていると思わせるベクトル)、もうひとつはモデルから観者へと表出してくるもの(モデルの性格や内面性が表われていると思わせるベクトル)である。この反対方向の運動は、「肖像」を意味するイタリア語「リトラット」とフランス語「ポルトレ」に象徴的に表われている。前者は、「後方へと引き戻す」という意味のラテン語「レ-トラホー」に、後者は「前方へと引き出す」という意味の同じくラテン語「プロ-トラホー」に由来するのである。かくのごとく「肖像」は、模倣と表出、後退と前進、現前と不在、顕在と潜在、保管と開示、隠匿と暴露、ピュシス(自然)とアレーテイア(真理)、これら両極の引き合いや循環性のうちに成立するものなのである。