著者
森 一生
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.143-149, 2012

『人々が生きる気力を取り戻す場所としての劇場』,『様々な人が出会い新たなコミュニティーを生み出す場所としての劇場』の構築の動きは,ここ数年,国や地方自治体や中央のアーティスト,研究者などの『声』となって論じられている。(その例,劇作家・演出家で,内閣官房参与でもある・平田オリザ氏は,2010年7月6日「劇場/新時代への展望」と題し,札幌市(かでる27)で講演。また,2010年12月5日にも札幌(キューブガーデン)で(第一部)「芸術立国から10年,演劇の未来」と題し講演。(第二部)『創造都市』をめざして新しい動きを展開する上田文雄・札幌市長と対談。など)にもかかわらず,残念ながら国レベルでも,地方自治体レベルでもその構築の動きは,「頓挫している」と言えないだろうか。一方,教育の現場では,文部科学省が,2010年5月,文部科学副大臣の主催による「コミュニケーション教育推進会議」を設置し,子どもたちのコミュニケーション能力の育成を図るための具体的な方策や普及のあり方について議論し,その審議経過報告をまとめている。そこでは「コミュニケーション能力が求められる背景」として,①社会の変化と子どもたちに求められる能力,②子どもたちの現状や課題,③新しい学習指導要領における言語活動の充実――等が述べられ,「効果的な手法・方策」が提案され,平成22年度から予算化され,実施されている。ところが,(道内の)各学校,地域の教育委員会,など「教育の現場」では,この動きに対する認識は「希薄」であり,その動きは,「鈍い」といわざるを得ない。私ども,舞台芸術プロジェクトは,その研究・実践活動の一つとして『人々が生きる気力を取り戻す場所としての劇場』,『様々な人が出会い新たなコミュニティーを生み出す場所としての劇場』の構築を目指して,研究・実践を続けているが,その実践例として2011年6月,ニセコ町・有島記念館で上演した『老船長の幻覚』について考察・報告したい。
著者
大森 一生 八木 稔人
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.613-619, 2014-08-30 (Released:2014-09-04)
参考文献数
16

当院通院中の注射薬を使用していない2型糖尿病患者でピオグリタゾン(Pio)を中止した159例について後ろ向きにデータを抽出,中止後1年間でのHbA1cの1.5 %以上の悪化を増悪群と定義し,解析を行った.Pio中止群において増悪群は43例であり,年齢,性別で調整した対照と比較して有意に頻度が高かった(27.0 % vs 6.9 %,p<0.000005).増悪群におけるPio中止後のHbA1cの1.5 %以上の上昇までの平均期間は5.81±2.91か月であり,ロジスティック回帰分析で女性,中止時の3剤以上の糖尿病薬の併用の2項目がPio中止後の血糖増悪と有意な関連を認めた.Pio中止で27 %の症例で約半年の期間でHbA1cの1.5 %以上の上昇を認め,女性,多剤併用例で血糖増悪を呈しやすいことが示唆された.Pio中止の影響について今後さらなる検討が望まれる.
著者
佐藤 史織 山代 栄士 河村 聡志 中島 竜太 稲垣 伸洋 森 一生
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.599-604, 2015-08-31 (Released:2015-08-31)
参考文献数
6

症例は肺炎治療および食道裂孔ヘルニア術後で入院中の80代女性。もともとリバスチグミン経皮吸収型製剤を使用中であった。術後排尿困難に対してジスチグミン臭化物を1回だけ投与した。その1週間後に喀痰増加,気道分泌の漿液化,嚥下困難,徐脈傾向などのコリン作動性クリーゼ様症状を呈した。アトロピン硫酸塩の持続投与および被疑薬の中止により,気道分泌物の減少,脈拍数の回復,呼吸状態の安定を認め,コリン作動性クリーゼを脱したと判断した。本症例はジスチグミン臭化物が慎重投与とされる低体重の高齢者であり,コリンエステラーゼ(ChE)阻害作用を持つリバスチグミンとジスチグミン臭化物を併用していた。加えて,ジスチグミン臭化物投与時の絶食で生体利用率が上昇したこと,下痢による低栄養により体内ChE絶対量が低下していたことなどが複合的に作用し,コリン作動性クリーゼを発症したと考えられた。複合的な要因の関与についての文献的考察を含め,報告する。
著者
山代 栄士 佐藤 史織 河村 聡志 内藤 英二 森 一生
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.591-594, 2015-08-31 (Released:2015-08-31)
参考文献数
6

スルピリドおよびオメプラゾール投与中に心室頻拍および心室細動を認めた80代女性の症例を経験した。第1病日昼頃,顔面蒼白,呼吸停止状態で発見された。意識消失を繰り返すため,救急搬送となった。血液検査,心エコー,心臓カテーテル検査を施行したが原因不明であった。心電図分析と持参薬鑑別の結果,スルピリドおよびオメプラゾールによるQT延長症候群が疑われ中止とした。中止後,第2病日にはQTc時間が短縮し,それに伴い心室頻拍がコントロール可能となった。他の要因は認められなかったことも併せ考え,スルピリドまたはオメプラゾール関与の心室頻拍および心室細動であったと考えられた。
著者
奥村 栄朗 藤井 栄 森 一生 八代田 千鶴 金城 芳典
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.127, 2016

森林総研と徳島県では、再造林地でのシカ被害軽減のため、皆伐跡地における集中捕獲技術の開発を試みていて、皆伐跡地のシカによる利用実態を把握するため、糞粒法と自動撮影カメラによるモニタリングを行った。 2014年春、徳島県つるぎ町の皆伐跡地2ヶ所(2013〜14年伐採、約4ha)を捕獲試験地および対照試験地に設定した。糞粒法調査は、各試験地周囲の林内、および捕獲試験地の周辺地域(1.5〜3km範囲の4地点)で行い、シカの利用頻度指標としてプログラムFUNRYU(岩本ら 2000)による生息密度推定値を用いた。自動撮影カメラは、7月末から試験地の林縁に各15台を設置した。 糞粒法の結果は、試験地周囲が31頭/km<sup>2</sup>、周辺地点は15頭/km<sup>2</sup>で、皆伐跡地の利用頻度が高かった。自動撮影カメラでは、夏〜秋には出現頻度が高く、日没前の出現もあり、給餌による日中の誘引が可能と考えられたが、12月初めに記録的大雪があり、以後、出現頻度が大幅に低下するとともに、日中の出現がほとんど無くなった。その状況で2〜3月に給餌誘引による捕獲(狙撃および囲いワナ)を試みたが不成功に終わった。 講演では、冬季の出現低下の要因を考察し、今年度の状況についても報告する。
著者
吉田 礼 町田 好男 小倉 隆英 田村 元 引地 健生 森 一生
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.1456-1466, 2012-11-20 (Released:2012-11-21)
参考文献数
16
被引用文献数
3 4

Recent progress in variable-flip-angle fast spin-echo technology has further extended the utility of three-dimensional (3D) magnetic resonance imaging (MRI) for clinical application. The slice profile in 3D MRI is the point spread function that has a sync form in principle, whereas a slice profile in 2D imaging provides information on characteristics of selective radio frequency excitation. We investigated the optimal condition to measure 3D slice profiles using a crossed thin-ramps phantom. We found that the profile data should cover a large area in order to evaluate both the main lobe and side lobes in the slice profile, and that the appropriate slice thickness was 2 mm. We also found that artifacts in the direction perpendicular to the slice create an offset error in the measured slice profile when 3D imaging. In this paper, we describe the optimal condition and some remarks on the slice profile evaluation for 3D MRI.
著者
一関 雄輝 宮本 宏太 齋藤 俊輝 森 一生 町田 好男
出版者
日本医用画像工学会
雑誌
Medical Imaging Technology (ISSN:0288450X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.217-222, 2015 (Released:2015-11-27)
参考文献数
17

われわれはこれまでプロペラ法を中心にMR画像のノイズパワースペクトル(NPS)計測の検討を行い,その二次元NPSはサンプリング密度を反映し,k空間軌跡どおりの周波数分布を示すことを報告してきた.一方,X線イメージング領域では,扱いも容易で数値解析がしやすい一次元NPSが使われることも多い.そこで本研究では,2つの代表的な一次元NPS計測法を用いて,プロペラMR画像の一次元NPSを検討した.「円周平均法」から求めた一次元NPSは,二次元NPSの同一空間周波数域のNPS値を平均化した特性を示し,「仮想スリット法」から求めた一次元NPSは,スリット走査方向のみのNPS値の周波数特性を表していた.また,NPS値の計測精度について検討を行い,円周平均法では低周波領域で計測精度が低いが,仮想スリット法と比較して精度のよい一次元NPS計測が可能であることがわかった.
著者
町田 好男 森 一生 田村 元
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

圧縮センシングMRIとは、情報技術を用いて少ない計測データから画像を取得する新しいMR高速撮像法である。技術開発が進展する中、臨床応用の立場から見た画像の得失を見極めることが重要であり、適切な画質評価指標が求められている。今回種々の条件で画質評価実験を進めた結果、個々のアプリケーション固有の評価も重要であることが分かった。本研究では特に、臨床上重要なMR血管描出法(MRアンギオ)について、脳血管を模擬した数値モデルを用いて血管描出能の再構成およびノイズ条件依存性を半定量的に評価する方法を提案した。
著者
遠原 大地 後藤 玲子 伊東 弘樹 森 一生 鳥越 繁治 中川 辰二 因泥 栄一郎 武山 正治
出版者
日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.255-260, 2004-04-10
被引用文献数
2 2

We developed a support system for pharmaceutical counseling services using a handheld computer loaded with HS-WIN. HS-WIN is standard software for pharmaceutical counseling services that is compatible with Windows X-P, 2000 and 98. Our support system is linked to the pharmacy network system of Oita University Hospital. It enables various kinds of information to be retrieved from the pharmacy network system and shown on the display of a handheld computer. This includes drug information, names, sex, birth dates, heights and weights of patients as well as clinical department and ward-related information. The handheld computers are the VAIO PCG-U 1 and PCG-U 3 (SONY, Inc.) and they are used at the bedside. To evaluate the effectiveness of our system,we measured the time required for the management of medication histories and patient counseling records for three wards.The system was able to reduce the time required per patient by an average of 34 minutes.