著者
加藤 泰史 高木 駿 馬場 智一 小島 毅 納富 信留 建石 真公子 芝崎 厚士 後藤 玲子 杉本 俊介 田坂 さつき 柳橋 晃
出版者
椙山女学園大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本総括班は、「領域運営調整会議」「ジェンダー学会議」「評価会議」を主導的に開催することで、本領域研究を適切に遂行できる環境と条件を整えると同時に、Web上にHPを作成して研究成果を各計画研究班で共有できるように工夫したりその都度社会に向けて発信したりできるようにする。その際に、各計画研究代表者の役割を明確にし、特に特任助教や特任研究員等の採用といった若手支援を適切に遂行できるように促す。また、年度毎の論文集の企画や『講座 尊厳』、さらに社会へのアウトリーチ等の企画にも責任を持つ。
著者
後藤 玲子
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.24-40, 2010-03-31 (Released:2019-10-10)
参考文献数
20

社会の中に,生活に困っている人がおり,その人を援助する必要があるとして,私的な援助あるいは宗教的な慈善ではなく,なぜ, どのような根拠で,国の責任で扶助することが要請されるのだろうか。本報告の目的は,分配的正義の理論を参照しつつ,公的扶助の正当性をめぐる論拠を探り当てること,より具体的には,フライシャッカーの批判を手がかりに,ロールズ正義論とセンの潜在能力アプローチの射程を確認することにある。個々人の必要に応じた格差的な資源分配を,無条件に,十分になすことが,なぜ, どのような論拠で正当化されるのか, この間いに関する本稿の暫定的な結論は,ロールズの「何人も,他の人々の助けにならないかぎり・・・,本人の功績とは無関係な偶然性から便益を受けてはならない」という命題を,アリストテレスの拡大解釈に基づく「リスクの前での対称性」,「広義の責任概念」,「広義の貢献概念」などで補助した上で,センの福祉的自由への権利という考え方で補おうというものである。後者は,個人の利益(interest) と意思(will)の尊重というきわめてオーソドックスな,けれども両立困難な近代の概念を具体化しようという試みである。
著者
加藤 泰史 小松 香織 前川 健一 松田 純 宇佐美 公生 石川 健治 竹下 悦子 上原 麻有子 清水 正之 齋藤 純一 松井 佳子 後藤 玲子 小倉 紀蔵 村上 祐子 中村 元哉 小島 毅 品川 哲彦 水野 邦彦 林 香里
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2018-06-11

平成30年度の研究計画にもとづき、8月に一橋大学で分担者および協力者(国内)と研究打ち合わせを行い、平成30年度の計画を確認すると同時に、分担者の村上祐子氏が研究発表を行った。また、分担者および協力者の何人かに、『思想』2019年3月号および4月号の特集で研究成果の一部を発表してもらうように再度依頼して確認した。なお、代表者の加藤は8月にWCP北京大会に参加してプレゼンテーションを行った。10月に代表者が渡独してシェーンリッヒ教授(ドレスデン工科大学)らと論文集の編集およびそれに関連した国際ワークショップ企画に関して打ち合わせを行うとともに、11月に一橋大学で網谷壮介氏(立教大学)らを招聘して概念史的研究の一環である「第7回スピノザ・コネクション」を開催した。12月に東京大学で、非欧米圏担当の分担者および協力者と研究打ち合わせを行うと同時に、金光来研究員(東京大学)の講演会を行った。平成31年1月に代表者が、10月に一橋大学で開催予定の国際ワークショップの企画および論文集編集の件で再度渡独し、クヴァンテ教授(ミュンスター大学)・ポルマン教授(ベルリン・AS大学)らと研究打ち合わせを行うと同時に、シェーンリッヒ教授の主催する研究会に参加した。3月に京都大学で、科研費のワークショップを開催し、代表者の加藤と分担者の小島・小倉両氏が研究発表を行い、またニーゼン教授(ハンブルク大学)・マリクス准教授(オスロ大学)・バーデン教授(イリノイ大学)・デルジオルジ教授(エセックス大学)を招聘して一橋大学で国際ワークショップと、さらに手代木陽教授(神戸高専)らを招聘して「第8回スピノザ・コネクション」を開催すると同時に、『ドイツ応用倫理学研究』第8号を刊行するとともに、科研費のHPも完成させた(http://www.soc.hit-u.ac.jp/~kato_yasushi/)。
著者
宮脇 昇 山本 隆司 横田 匡紀 清水 直樹 西出 崇 後藤 玲子 藤井 禎介 玉井 雅隆 山本 武彦
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

「やらせ」の政治的演出は情報の不完備性に依拠している。「やらせ」を命じる政治的演出者と「やらせ」を見る観客の双方に共通知識があたかも(as if)存在するかのごとく演出されるが、現実には観客の有する情報は限定的・選択的でしかない。被操作者は必ずしも完全な知識を有さない。情報の不完備性・非対称性が政治的演出としての「やらせ」を可能にし、公共政策の政策過程の循環を演出者の意図にそって進行させる。また非民主主義国では「やらせ」を内在化した情報操作が権力維持のために恒常化している。しかし世界的な民主化の波、インターネットの普及、情報公開制度の拡大により、成功的演出の条件が困難になった。
著者
坂本 徳仁 後藤 玲子 宮城島 要 中田 里志 吉原 直毅
出版者
東京理科大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2020-10-27

本研究課題は、東京理科大学・一橋大学で定期的に開催してきた規範経済学研究会の日本側研究者チームと、英国ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのVoorhoeve教授らとの国際共同研究を推進し、①不確実性の文脈に応じた望ましい政策評価方法の構築、②異なる集団・自治体・国家間の福祉比較の方法の開発、③さまざまな評価の方法の理論整備と応用可能性の拡大、といった問題を分析する。本研究課題では、実務上恣意的に用いられてきた政策評価の方法を理論的に検証し改善を加えることで、「望ましい社会とは何か」という規範分析の最重要課題に科学的な回答を提供する点に特色と意義がある。
著者
後藤 玲子
出版者
日本法哲学会
雑誌
法哲学年報 (ISSN:03872890)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.29-36, 2009 (Released:2021-12-29)

In this paper. I comment on the importance of the distinction between the problem what is. or ought to be, qualified as a right and the problem of the extent to which an individual can concretely exercise his/her rights. That is the distinction between the qualification of right and the effectiveness of right respectively. For something to be qualified as a right implies that it is recognized as having a universal value at least for all human beings. Yet, in the exercise of a right we must consider differences in personal characteristics or social contexts, since the extent to which individuals can concretely exercise rights might differ greatly according to the differences in personal characteristics or social contexts. To respect every individual impartially, we must set up public rules concerning the effectiveness of rights, which will direct each individual in concrete terms of the doings and beings he/her can actually realize depending on his/her will. In proposing “The Impossibility of a Paretian Liberal”. Sen used a social choice framework to describe the freedom of action. He did so because he noticed that since an individual private action is nothing but a constituent of a social state, an individual is able to restrict the range of possible social states through changing his/her own action. A Broad but integrated framework of Consequentialism proposed by Amartya Sen is an idea that advances this approach. It assigns a certain array of weights taking into account the influences brought by exercising individuals’ rights. It is assumed that although the concrete array of weights may change according to variations in personal preferences or social institutions, how it changes continues to satisfy ethical criteria accepted by individual public judgments.
著者
後藤 玲子
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.135-146, 2017

<p> 本稿の目的は,福祉における「情報の壁」,すなわち,知らされないことによる制度へのアクセス障害の実態と原因を一自治体の事例調査によって探索的に解明することである。調査対象は介護福祉及び児童福祉に関する自治体広報で,自治体職員への書面調査及び面接調査並びに自治体ホームページ調査により,住民ニーズが大きいのに自治体ホームページで容易には見つけられない福祉情報が多いこと,自治体職員は広報内容の不十分さではなく広報媒体の不十分さを問題視する傾向にあること等が分かった。その原因は,住民の情報ニーズと広報実態とのギャップを組織的にチェックし改善する仕組みがないこと,及び,担当職員の認知バイアスゆえに現状維持が優先されたり手段の目的化が生じてしまうことにある可能性が示唆された。当該ギャップの自覚を促し,広報内容を系統的に改善するための組織体制を構築することが必要だと考えられる。</p>
著者
井上 彰 後藤 玲子 DUMOUCHEL PAUL
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

平成29年度は、平成28年度の研究、すなわち、「平常時」から(部分的にせよ)かけ離れたカタストロフィ後の世界において、分配的正義を支える価値や理念がいかなる身分を有するのかについて精査し、そのうえでカタストロフィ後の世界に適用可能な価値の構成や適用順序について明らかにする研究をふまえて、わが国を含む様々な国や地域の不平等や不正義の問題への応答を試みた。具体的には、政治哲学パート(井上彰が担当)では、これまでの復興にかかわる分配的正義をめぐる原理的議論を分析哲学の手法を用いて批判的に吟味し、経済哲学パート(後藤玲子が担当)では、復興にかかわるような格差を生む分配メカニズムについての考察を、経済学や社会的選択理論の知見をふまえるかたちで進め、社会哲学パート(Paul Dumouchelが担当)では、カタストロフィ後の経済社会のあり方、ありうべき姿について社会思想史やロボット哲学・倫理学の観点から検討した。その研究成果の一部として、研究代表者の井上が主催するかたちで、2018年1月19日に、Questioning Methods, Theory, and Practice in History and Politicsと題するシンポジウム(Strategic Partnership Program: The Australian National University and the University of Tokyo, Australian National University-University of Tokyo Joint Research Seminar)を東京大学駒場キャンパス(東京大学大学院総合文化研究科グローバル地域研究機構アメリカ太平洋地域研究センター)にて開催し、政治や歴史をめぐる方法論的反省とその刷新可能性について分野横断的に議論した。
著者
後藤 玲子 工藤 博章 佐藤 耕平 堀田 典生 石田 浩司 大西 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.500, pp.1-5, 2004-12-10
参考文献数
6

大画面ディスプレイで映像を楽しむ機会が増えているが,映像の動きにより酔いや不快感をおぼえる可能性がある.本研究では,映像が人体に与える影響を明らかにすることを目的として,ジェットコースター搭載カメラの映像を被験者に再生速度を変えて提示した時の生体反応を検討した.映像観察時における被験者の心拍,血圧,呼吸数,呼吸量を計測し,再生速度とこれらの指標の変化との間の関係について処理した結果,心拍数で再生速度との相関関係が見られ,運動が単純なシーンでは4倍速,激しいシーンでは標準速と2倍遠の反応が大きくなることが確認できた.また,呼吸については,再生速度と潜時の間に関係があることを示唆する結果を得た.
著者
宇佐美 誠 嶋津 格 長谷川 晃 後藤 玲子 常木 淳 山田 八千子 吉原 直毅 那須 耕介
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、法と経済学に関して、法哲学を基軸としつつ経済哲学的・実定法学的な視点も導入した学際的視座から、総合的かつ多角的な考察を実施した。(1)学問方法については、効率性・正義等の基本概念の分析、経済学的法観念と法学的法観念の比較検討、経済学的人間モデルの吟味、法解釈学の射程の論定、厚生経済学の批判的精査を、(2)学問対象については、経済学的研究が従来未開拓だった公的扶助、学校教育、民事訴訟での立証責任分配に関する分析を行った。
著者
西沢 保 後藤 玲子 渡辺 良夫 小峯 敦 伊藤 邦武 藤井 賢治 池田 幸弘 本郷 亮 山崎 聡
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

19世紀末以降のケンブリッジ、オクスフォード、LSEの経済思想の展開を、現代福祉国家の変容・危機を視野に入れて、共同研究を進め成果を得た。具体的には、1. 「創設期の厚生経済学と福祉国家」から厚生経済学史の再検討へ、2. リベラリズムの変容と福祉国家-ニュー・リベラリズムからネオ・リベラリズムへ、3. マーシャル、ケインズと同時代の経済思想、4. ケインズと現在の世界経済危機-戦間期との比較考証、の4点を中心に国際共同研究を進め成果を得た。
著者
下妻 晃二郎 能登 真一 齋藤 信也 五十嵐 中 白岩 健 福田 敬 坂巻 弘之 石田 博 後藤 玲子 児玉 聡 赤沢 学 池田 俊也 國澤 進 田倉 智之 冨田 奈穂子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

経済状況の低迷が続く多くの先進国においては、公的医療資源の適切な配分は、費用対効果などの合理的な社会的価値判断に基づいて行われている。日本では従来そのような仕組みがなかったが、2016年度から、高額な医療用製品を対象に政策への施行的導入が予定されている。本研究では費用対効果分析による効率性の向上にむけて技術的課題の解決を図り、同時に、効率性の追求だけでは疎かになりがちな公平性の確保を図るために考慮すべき、倫理社会的要素の明確化とそれを政策において考慮する仕組み作りを検討した。
著者
遠原 大地 後藤 玲子 伊東 弘樹 森 一生 鳥越 繁治 中川 辰二 因泥 栄一郎 武山 正治
出版者
日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.255-260, 2004-04-10
被引用文献数
2 2

We developed a support system for pharmaceutical counseling services using a handheld computer loaded with HS-WIN. HS-WIN is standard software for pharmaceutical counseling services that is compatible with Windows X-P, 2000 and 98. Our support system is linked to the pharmacy network system of Oita University Hospital. It enables various kinds of information to be retrieved from the pharmacy network system and shown on the display of a handheld computer. This includes drug information, names, sex, birth dates, heights and weights of patients as well as clinical department and ward-related information. The handheld computers are the VAIO PCG-U 1 and PCG-U 3 (SONY, Inc.) and they are used at the bedside. To evaluate the effectiveness of our system,we measured the time required for the management of medication histories and patient counseling records for three wards.The system was able to reduce the time required per patient by an average of 34 minutes.