著者
田中 寿明 末吉 晋 笹原 弘子 田中 優一 森 直樹 永野 剛志 白水 和雄 藤田 博正
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, pp.1465-1471, 2006-09-01
被引用文献数
4

切除不能食道癌症例における食道・気道狭窄あるいは瘻孔形成はその予後およびquality of life(以下,QOL)を著しく低下させる要因となる.現在,これらの症例に対してQOL向上を目的にステント留置術が広く行われている.そこで,当科で施行した胸部食道癌に対する食道・気管ステント留置術の成績を検討した.対象と方法:1995年から2003年までにステント治療を施行した食道癌61症例を対象とした.内訳は食道ステント:36例,気管・気管支ステント:17例,食道と気管・気管支のダブルステント留置8例である.食道ステント留置は化学放射線療法(以下,CRTxと略記)後の最終治療として施行したが,気管・気管支ステント症例のうち7例ではステント留置後にCRTxを施行した.これらの症例における予後,経口摂取状況を含むQOLについて検討した.結果:ステント留置後の平均生存期間は,食道ステント例で2.5か月,気管・気管支ステント例で9.6か月,ダブルステント例で3.4か月であった.食道ステント症例の80%で経口摂取が改善し,半数の症例が在宅療養が可能となった.また,ステント留置前にPS3であった17例のうち3例ではステント留置によりPSがさらに悪化した.気管・気管支ステント症例では17例中15例で呼吸状態改善によりPSならびにQOLも向上し,ステント留置後のCRTx奏効例では長期生存も認めた.考察:進行食道癌に対する食道ステント留置はPS1〜2の症例では経口摂取が増加しQOL改善が期待できるが,PS3症例では必ずしもQOL改善にはつながらない.気管・気管支ステント症例では概ねQOLは向上し,CRTxが奏功した症例では長期予後も期待できる.
著者
坂根 直樹 松井 浩 澤入 房子 森 直樹 平澤 勇 竹村 智子 村上 博之 小暮 彰典 高倉 康人 梅川 常和 吉岡 敬治 吉田 俊秀
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.521-524, 2001-06-30

われわれは健康学習 (患者の生き方や価値観を重視し, 行動科学手法を用いた保健指導論) を用いた「楽しくてためになる糖尿病教室」の普及を目指し, 全国でグループワークやロールプレイを中心とした糖尿病教育ワークショップを実施し, 糖尿病医療スタッフ995名の意識や態度に与える影響を検討した. プログラム内容検討, 参加者の目標設定, グループワークや体験学習の必要性の有無で有意差が認められた. 従来は講義時間が大半を占めていたが, 終了後はグループワークや実技の必要性が再認識された.
著者
筒井 裕之 蒔田 直昌 絹川 真太郎 松井 裕 石森 直樹 畠山 鎮次
出版者
北海道大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

ミトコンドリアの生体維持機能は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)によって動的に制御されている。近年、mtDNAの酸化損傷およびそれに起因する活性酸素の過剰産生が、種々の疾病の発症、さらには老化にも関与することがあきらかにされ、疾病発症の共通基盤としてのミトコンドリア機能不全が注目されている。本研究では、心血管ストレス応答におけるミトコンドリア転写因子およびミトコンドリア酸化ストレスの役割をあきらかにした。
著者
森 直樹 鄭 則秀 垣本 健一 原 恒男 小出 卓生
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.343-347, 1999-05
被引用文献数
2

症例1:64歳男.1995年5月食道癌(扁平上皮癌)に対し右開胸開腹食道亜全摘術を施行した.7ヵ月後右腎腫瘍を指摘され,右根治的腎摘除し,転移性扁平上皮癌であった.7ヵ月後死亡した.症例2:63歳男.右気胸に対する手術中,右肺に腫瘍を認め右肺上葉を切除した.腺癌であった.術後,腹部CTで右腎腫瘍を指摘され,右根治的腎摘除術を施行した.組織学的に転移性中分化型腺癌であり,7ヵ月後死亡した.症例3:69歳男,原発性右肺癌に対し右中葉切除,下葉部分切除を行った.腺癌であった.術前後の腹部CT,エコーで左腎嚢胞の増大を認め,開腹生検,転移性腎癌と診断し,右腎摘除術を施行したが,10ヵ月後死亡したSince solitary metastatic renal tumors are not commonly diagnosed before death, the conclusive treatment of the metastatic renal tumor has not been established. We report three cases of metastatic renal tumors and discuss the indication of surgical therapy for metastatic renal tumors. The first case was in a 64-year-old male who underwent esophagectomy for squamous cell carcinoma. Seven months after the operation, a right renal tumor was found. The second case was in a 63-year-old male who underwent right upper pneumonectomy for adenocarcinoma with a right renal tumor, which seemed to be a solitary metastasis. The third case was in a 69-year-old male who underwent right pneumonectomy for adenocarcinoma. One month after the initial operation, a left renal cystic tumor was found. Since, in all cases, the tumors seemed to be solitary metastatic renal tumors without any other metastatic lesions, nephrectomy was performed. Unfortunately, however, the nephrectomy did not improve prognosis and all three patients did within 10 months after the nephrectomy. Nephrectomy may not be recommended in cases of metastatic renal tumors even if no other metastatic lesions can be found by various image examinations.
著者
相澤 一美 山崎 朝子 野呂 忠司 望月 正道 細川 博文 河内山 晶子 杉森 直樹 飯野 厚 清水 真紀 藤井 哲郎 磯 達夫
出版者
東京電機大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

テキストのカバー率を95%にするための語彙レベルと,読解テストで十分な得点を取るための語彙サイズの間にはギャップがあることが明らかになった。例えば,大学入試センター試験の読解問題で,約3000語を学習することになっており,テキストも3000語の語彙知識があれば,95%をほぼカバーできるが,実際に理解度を試す問題に正答するには,5000語の語彙知識が必要であった。同様に,アカデミックテキストは,約5000語でほぼ95%をカバーできるが,十分な得点を取るためには,6500語が必要なことがわかった。
著者
酒井 志延 小野 博 杉森 直樹 久村 研 菊地 賢一
出版者
千葉商科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.背景:本研究チームは,平成16年度に民間の研究団体で開発されたテスト・エンジンを使って試験的なオンラインによるコンピュータテストを開発していた。しかし,そのコンピュータテストはいくつかの欠点を持っていた。(1)このオンラインによるコンピュータテストは,民間の研究団体の開発したエンジンであったこと。そのために,研究のためであっても使用料を払わなければならなかった。(2)このオンラインによるテストは,項目識別パラメータと問題難易度パラメータを持っているテストアイテム・プールを必要とする。テストアイテム・プールは順次テストアイテムを増やしていって,大きくする必要があった。しかし,そのテストアイテム・プールは,問題の順次追加が不可能で,問題をプールごと変更する必要があった。2.今回の研究による成果(1)コンピュータテストのテスト・エンジンの開発そしてそれと民間のテスト・エンジンを交換すること。そして,その新しいエンジンで,従来のテストアイテム・プールからの問題が有効に使用できるようにすること。この課題に対し,テストエンジン開発者の菊地をメンバーに加え,菊地が開発したテストエンジンを民間のエンジンと交換した。平成18年7月に18名の同一試験者に,そのテストエンジンを使ったコンピュータテストと同一のテストアイテムバンクから出題したペーパーテストを実施し,その相関係数は0.90であった。(2)テストアイテム・プールを改良し,パラメータがついたテストアイテムを順次プールに追加できるようにすること。この課題に対し,アイテムプールのシステムを改良し,新しくパラメータをつけたアイテムバンクを持ったコンピュータテストが,正常に作動したことを確認した。
著者
森 直樹 山中 武志 福島 久典
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.139-150, 2006-12-25
被引用文献数
6

細菌が菌体外多糖(exopolysaccharide: EPS)を産生し,バイオフィルムを形成すると,たとえ弱毒菌であっても難治性感染症を惹起し得ることが近年の研究で明らかとなっている.我々はこれまでに,歯周病原細菌の1つであるPrevotella intermedia (P. intermedia)のなかに,EPSを産生してバイオフィルム様構造をもつものが存在すること,EPSを産生するP. intermediaのマウスにおける膿瘍形成誘導能は,EPSを産生しない株と比較すると100〜1,000倍強いことを報告してきた.EPS産生性はP. intermediaの病原性を決定する重要な因子であると考えられるが,その産生調節に関わる遺伝子は未だ不明である.本研究では,当研究室で辺縁性歯周炎病巣より分離した,EPSを産生するP. intermedia strain 17と,strain 17のvariantで,EPS産生性を失ったstrain 17-2を用いて,両菌株の病原性と遺伝子発現の差について検討した.マウスにおける膿瘍形成試験の結果,strain 17の膿瘍形成能はEPSを産生しないstrain17-2と比べ,約100倍強いことが明らかとなった.ヒト好中球を用いた貪食試験により,strain 17は好中球の貪食に対して抵抗性を有することが確認された.Strain 17の全ゲノム配列をもとにマイクロアレイを作製し,strain 17が菌体周囲に網目状構造物の産生を開始する培養12時間頃の遺伝子発現を,これを産生しないstrain 17-2と比較した.その結果,strain 17において21遺伝子が2〜4倍発現上昇していた.機能の特定が可能であった遺伝子としては,熱ショックタンパクである10 kDa chaperonin, 60 kDa chaperonin, DnaJ, DnaK, CIpB遺伝子が含まれていた.また,膜輸送に関わるABC transporter遺伝子の1つであるATP結合タンパク遺伝子も発現上昇していた.以上の結果から,EPS産生性はP. intermediaの病原性に強く関わっており,その産生に熱ショックタンパクとABC transporter関連遺伝子が介在することが示唆された.