- 著者
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熊崎 一雄
森 純一
- 出版者
- 公益社団法人 日本畜産学会
- 雑誌
- 日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.6, pp.362-368, 1962 (Released:2008-03-10)
- 参考文献数
- 8
岡山,徳島,宮崎の各県下に,合計13頭のアルビノ牛が発生した.これらの血統調査,外貌観察,被毛および眼球組織の顕微鏡的観察を行ない,次の結果を得た.1. これら13頭は,4頭の優良種雄牛から生れたものであつて,先に松本らが報告した3頭のアルビノ牛と密接な血縁関係をもつていた.松本らが報告した3頭も念めて,総計15頭のアルビノ牛が,種雄牛FM号の血を引いていた.残りの1頭では,その父親が,北海道に発生したアルビノ牛と半兄弟の関係にあつた.これらの関係から,アルビノ牛の発現は劣性遺伝子に支配されるものと推定される.2. 6ヵ月以上観察を続けることができたアルビノ牛には,すべて幽霊斑が出現した.この出現には,性の差が関与するといわれているが,今回調査したなかで,雄はすべて生後間もなく売却屠殺されたので,これを確認することができなかつた.幽霊斑が出現する原因は,被毛に含まれる色素の多少によるものではなく,被毛の構造の違いによるものと思われる.3. これらの牛は,出生後しばらく強い羞明現象を表わしたが,成長するに及んでその程度を減じた.4. 成長するに従つて,虹彩および毛様体部に色素の沈着を認めた.また一部のアルビノ牛の眼瞼および耳の皮膚に暗色の小斑点の出現を認めた.これらの事実から本アルビノ牛は不完全アルビノと推定された.