著者
橋本 成仁 小倉 俊臣 伊豆原 浩二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.703-708, 2005-10-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
3
被引用文献数
1

歩道の設置されていない補助幹線道路や生活道路において交通事故の削減、歩行者の歩行環境の向上等を目指して、中央線を抹消し、路側帯を拡幅するという施策が導入されつつある。この施策は愛知県下では平成12年以降、積極的に導入しており、平成15年以降、全国でも同様の整備が行われつつあるが、この施策についてはこれまでのところ十分な効果検証がなされていないのが現状である。本論文では、この施策について積極的に導入しつつある愛知県豊田市内での整備路線を対象に、この施策の効果を交通事故データ、交通量、走行速度などの客観的データと整備路線周辺の居住者の意識調査を基に評価することを目的としている。
著者
橋本 成仁 谷口 守 水嶋 晋作 吉城 秀治
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.737-742, 2010 (Released:2017-11-29)
参考文献数
5
被引用文献数
2 8

住宅地内の道路などではドライバーは街路全体から受ける雰囲気からその道路に適していると感じる走行速度で運転しており、無意識のうちに安全な走行速度で走るような街路を実現することが安全な生活空間を形成する上で重要であると考えられる。そこで本研究では、主に岡山市内の街路54路線において合計1,906台の自動車の走行速度を実測し、速度と街路空間要素の関係を分析した。その結果、自動車の走行速度や速度のばらつきにどの街路空間要素がどれほど影響を及ぼすかを定量的に明らかにした。この結果は、街路空間の改良によって自動車の走行速度をコントロールし得ることを示唆したものと考えられる。
著者
橋本 成仁 今村 陽子 海野 遥香 堀 裕典
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.827-833, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

近年、「サードプレイス」という概念が浸透してきている.サードプレイスとは,家と職場以外の第3の居場所とされ,1989年に孤独感やコミュニティの欠如などの課題を低減させるためにその必要性が提唱された.また,コロナによる影響により,サードプレイスの利用形態が変化していると考えられ,それは都会と地方の地域差も大きいと考えられる.そこで本研究では,東京と地方でサードプレイスを持つことと幸福感の関連性,またコロナ前後の比較をし,その関連性の違いを明らかにすることを目的とする.結果として,コロナ前の東京と地方では,サードプレイスの保有率や交通手段,幸福感,コロナ前後の幸福感の変化に関して違いが見られ,サードプレイスの有無と幸福感の関連性は,現在の東京では見られなかったが,コロナ前の東京とコロナ前と現在の地方にて関連性があることが示された。
著者
嶋田 喜昭 井戸 章博 橋本 成仁
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.505-512, 2006-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
9

都市部では、道路交通混雑の回避等に伴い、生活道路に通過交通が流入し、沿道住民の生活環境の悪化といった問題を引き起こしている。本研究では、こうした「抜け道」交通の対策を検討するために、愛知県豊田市を事例とし、抜け道の交通状況を把握するとともに、各種ドライバーに対する意識調査結果を用いて、「抜け道」利用のメカニズムを分析した。その結果、「抜け道」交通対策には、各道路の利用特性を考慮した整備が必要であることや、ドライバーの時間短縮の意識をなくさせることが有効であることなどを示している。
著者
橋本 成仁 厚海 尚哉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_567-I_576, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
17
被引用文献数
2

本研究は,高齢者の幸福感を向上させる要素として余暇活動に着目し,高齢者の余暇活動が幸福感とどのように関わっているのかについて検討を行った.回答者を取り組んでいる余暇活動を元に類型化したところ,「多彩型」「平均型」「消極型」の3つの余暇活動タイプに分類された.また,幸福感を表す指標として主観的幸福感尺度(LSI-Z)を用い,この値と各余暇活動タイプとの関係について検討した.高齢者の幸福感の要因分析の結果,余暇活動タイプや経済状況の満足度,総合的な余暇活動満足度などが重要な要素となっていることが示された.総合的な余暇活動満足度を向上させるためには本人の健康状態とともに,一緒に活動できる仲間の存在や時間的余裕が重要な要素となることが明らかになった.
著者
橋本 成仁 山本 和生
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.769-774, 2011-10-25
被引用文献数
1 1

自動車の利用を前提とした社会への移行が進み、地方都市やその郊外部、あるいは中山間地域においても地域構造自体が自動車依存型となっている。このような地域では多くの高齢ドライバーが不安を抱えながらも運転を継続し続けざるを得ない状況にある。今後、高齢ドライバーのより一層の増加が確実な日本において、運転免許を返納しても生活できる環境の創造は重要な課題である。そこで本研究では、岡山県において運転免許返納者を対象にアンケート調査を実施し、運転免許返納の条件や、返納後の生活で困っている要因について分析を行った。分析の結果、自主的に運転免許を返納するためには公共交通のサービスレベルが大きく影響していることを明らかにした。
著者
山本 和生 橋本 成仁
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.763-768, 2012
被引用文献数
2

高齢ドライバーの引き起こす交通事故の増加が社会問題となっている。こうした事故を防止する目的で、運転免許返納制度が実施されている。多くの人がいつかは運転を諦めなければならないことを考えると、高齢ドライバーの増加が確実な我が国では、返納を行える環境を整えていくことが非常に重要な課題である。そこで本研究では、免許保有者と返納者で「車に頼らなくても生活できる」と感じる要因の違いについて把握し、保有者と返納者をわける意識構造、返納者の返納満足度に関する意識構造について分析を行った。その結果、保有者と返納者で要因や意識構造に違いがあること、また保有者の返納制度活用意向や返納者の返納して良かったと感じる意識を高めていくためには、公共交通の充実度を高めていく必要があることを明らかにした。
著者
藤原 勇輝 橋本 成仁 海野 遥香
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.616-622, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
22
被引用文献数
1

我が国において交通事故死者数は依然として多い。中でも交差点周辺部においてさらなる交通安全対策が求められており、無意識のうちに安全な走行速度で走ることが出来る空間の形成が重要である。このような状況を受け、特に左折車に対して、交差点曲線半径の縮小が行われている。そこで本研究では、岡山市内の15か所において合計316台の左折車走行速度を計測し、街路や交差点における空間要素との関係を明らかにした。その結果、左折後街路に進入した位置における自動車走行速度は空間要素によって決定されており、空間要素の改良により抑制できることが示唆された。また、交差点曲線半径の縮小による効果が定量的に明らかになった。
著者
橋本 成仁 海野 遥香 新 仁司
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.608-615, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

我が国の地方都市では自動車無しでは生活が困難、かつ公共交通の減便や廃止が進んでおり地域の移動に関する問題が山積みである。この問題を受け、DRT(Demand Responsive Transport)の導入事例が増えている。本研究では、既にDRTが導入されている地域で、利用者の意見を基に、DRT利用者が求める様々なサービス内容のバランスを明らかにする。結果として、運賃が安いこと、タクシーの補助券があること、予約がスマホからできること、予約時のイベントなどの情報提供サービスの順に利用者が魅力を感じることが明らかになった。また、年齢や性別、生活満足度の詳細な項目が、お金に関わらないサービスに魅力を感じる利用者の特徴として挙げられた。
著者
海野 遥香 友田 光子 橋本 成仁
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.600-607, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

我が国における生活道路での交通死亡事故は安定した減少傾向になっておらず,多くの死亡事故は身近な道路で発生しているため,依然として生活道路での安全確保は重要な課題である.また,状態別に死亡事故を見てみると,歩行中及び自転車乗用中に事故に遭遇する割合が約半数を占めていることから,自動車運転者として生活道路を利用する場合,歩行者や自転車に配慮した運転を心掛ける必要がある.本研究では個人の公共の場面における行動基準に着目し,運転時の交通安全意識との関係性について分析を行った.まず,行動基準に基づいて運転者の類型化を行い,行動基準と個人属性,生活道路に対する意識や運転意識との関連を把握することで,類型化された個人の行動基準ごとの特徴を明らかにした.加えて,生活道路での安全意識として歩行者・自転車を優先した意識に着目し,行動基準と運転時の経験や運転意識等との因果関係について共分散モデルを作成することで,行動基準を起点とした個人の意識構造を推定した.
著者
山本 和生 橋本 成仁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_441-I_448, 2013
被引用文献数
2

高齢化が進み,免許返納者は年々増加しているが,返納後の生活で買い物や通院に苦労している人も少なくない.そこで本研究では,岡山県内の都市部と中山間地域において65歳以上の免許返納者ならびに保有者を対象に行ったアンケート調査の結果を用いて,自動車を運転できない場合にどういった方法で買い物を行い,また医療行為を受けたいのか,意識とその要因について分析した.この結果,買物支援サービスや医療支援サービスの利用意向は,居住地域や身体の衰えなどから返納後の移動に困る場合に高まることが明らかとなった.一方で世帯構成による影響は小さく,返納後の自立した生活をサポートしていくためには,免許返納制度の推進と併せて,特に中山間地域などの不便な地域で生活支援サービスを拡充していくことが重要であると考えられる.
著者
内田 元喜 橋本 成仁
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.691-696, 2010-10-25
参考文献数
19
被引用文献数
3 1

本研究では、多くの集落を抱える岡山県高梁市を対象に、これまで十分に検討されていない免許返納に関するアンケート調査を実施した。そして、居住者がいつ免許を返納したいと考えているのか、またどのような状況であれば免許を返納したいと思うのか、といった意向について個人属性や居住地特性に着目した分析を行った。分析の結果、性別や年齢のみならず、バスサービスレベルなどの居住地特性も免許返納意向へ大きく影響していることが明らかとなった。また、居住地区や居住者自身に関する状況の変化以上に、バスサービスの改善によって免許返納が促進される可能性などを示した。
著者
橋本 成仁 恒藤 佑輔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1291-I_1299, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1

地域住民が生活交通の運営に参加もしくは主体となって運営を行うという取り組みが全国的に行われている.本研究では,このような住民主体の生活交通運営を行ている地域において,現時点では最も多く利用する交通手段が自動車である住民に着目した.その住民にとってこの取り組み自体が,暮らしにおける満足度,ひいては主観的幸福感とどのように関係しているか,近年関心が高まっている運転免許返納意向と関連させたうえで意識やその構造を分析した.この結果,最も多く利用する交通手段が自動車である人々にとって,住民主体での生活交通運営に対する支援意識は,運転免許返納意向と関連しており,そのうえで支援を行っていくことは,かかわった住民の主観的幸福感向上にポジティブな影響を与えている可能性を明らかにした.
著者
橋本 成仁 坂本 邦宏 高宮 進 久保田 尚
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.797-804, 2000-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
3
被引用文献数
1

新たな面的な交通静穏化対策である「コミュニティ・ゾーン形成事業」の安全性と生活環境の向上に関して三鷹市コミュニティ・ゾーンを題材として詳細な交通事故データ分析や自動車走行速度の事前事後調査、当地区の居住者に対するアンケート調査形式の供用後調査などを行うことにより、評価・問題点の抽出を行った。その結果、当地区は交通事故の削減は進んでいるものの、住民がそれを実感できる安心感を醸し出すまでには達していないことが判明した。また、自転車・二輪車交通への対応、狭幅員の道路への整備手法の必要性など、今後、既存住宅地においてこのような事業を進める際に他の地区でも課題となるであろう問題点を抽出した。
著者
谷口 守 橋本 成仁 植田 拓磨
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.290-299, 2010 (Released:2010-06-18)
参考文献数
25

近年,急速なIT技術の発展が我々の生活スタイルを大きく変化させている.個人の買物行動もその例外ではなく,EC(E-Commerce)をはじめとする新たな買物行動の形が誕生している.このような買物行動の変化は実空間上の買物客をサイバー空間上へと代替させることで,都市の賑わいや活力を損なう可能性が指摘されているが,その空間代替の実態は十分に明らかにされていない.本報告では,個人行動特性に配慮し空間代替の解明を試みた.その結果,個人行動特性によって空間代替性は異なっていることが明らかとなった.また,EC経験者におけるサイバー空間への潜在的な代替量は2005年時点で年間平均2.68回であり,その値は急速に増加している可能性が明らかとなった.