著者
熊谷 武久 瀬野 公子 渡辺 紀之
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.179-184, 2006-03-15 (Released:2007-03-09)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1

乳酸菌添加液に玄米を浸漬することによる乳酸菌の付着性を検討した.(1)米及び米加工品より分離したL. casei subsp. casei 327を乳酸菌スターターとして,コシヒカリ,ミルキークイーン及びこしいぶきの玄米を用い,玄米浸漬液にスターターを添加して37℃,17時間発酵することにより,乳酸菌の増殖が浸漬液及び玄米で見られた.16SrRNA遺伝子塩基配列により当該菌が増殖したことを確認した.(2)発酵処理した玄米のpHはおおよそ6であり,炊飯後の米飯の食味に影響を及ぼさなかった.(3)発酵温度の低下により発酵処理玄米のLactobacillus数が低下し,玄米と浸漬液の配合比及びスターター量の変化では,大きな影響はなかった.(4)乳酸菌を添加しない区では,乳酸菌以外の菌数が増加し,Enterobacteriaceaeが主要な菌であった.(5)5菌種,7菌株の乳酸菌,全てで発酵液及び発酵処理玄米のLactobacillus数の増加が見られ,L. acidophilus JCM1132Tのみ生育が悪く,L. casei subsp. casei 327が最も増殖効果が高かった.
著者
小橋 有里 井口 真理子 大久保 剛揮 藤井 崇 熊谷 武久 渡辺 紀之
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.46-50, 2013-06-25
参考文献数
19

欧州食品安全機関(EFSA)は2012年6月4日,ヒト及び動物に重要な抗菌剤への細菌の感受性の評価に関する手引書を公表した(EFSA,2012)。薬剤耐性の問題から,抗菌剤の使用の際には,感受性の評価が欠かせなくなっているのが現状である。動物用飼料に使用する抗菌性飼料添加物及び抗菌剤については,1997年のEUでのアボパルシンの使用中止以来,様々な議論がなされてきている。デンマークでの抗菌性飼料添加物の使用を中止したことによる家畜の疾病増加や生産性低下,また治療用抗菌剤の使用量の増加といったマイナス面等を踏まえ(小林,2004),我が国でも,内閣府食品安全委員会が2004年に「家畜等への抗菌性物質の使用により選択される薬剤耐性菌の食品健康影響に関する評価指針」を作成(内閣府食品安全委員会,2004),2006年に「食品を介してヒトの健康に影響を及ぼす細菌に対する抗菌物質の重要度のランク付けについて」を決定(内閣府食品安全委員会,2006),その後も個別の薬剤についてワーキンググループによる調査を続けている。その一方で,抗菌性飼料添加物に依存しない減投薬飼養管理システムの構築を目指した研究も行われている(農林水産省農林水産技術会議事務局編集,2009)。離乳子豚に乳酸菌を添加した発酵リキッド飼料を給与すると,抗体応答を賦活化すること(MIZUMACHIら,2009),薬剤耐性菌を減少させること(KOBASHIら,2008),腸内細菌の多様度が高まること(TAJIMAら,2010)などが報告されており,抗菌性飼料添加物の代替効果が注目されている。また,近年,乳酸菌の生菌剤だけでなく,殺菌菌体による腸管免疫活性化作用も注目されており,子豚にEnterococcus faecalis殺菌菌体を摂取させると,志賀毒素産生性大腸菌(STEC)によって引き起こされる浮腫病の改善が見られたとの報告もある(TSUKAHARAら,2007)。このような殺菌菌体成分による作用はバイオジェニックスのひとつで,バイオジェニックスとは「腸内フローラを介さず直接,免疫刺激,抗変異原作用,抗腫瘍作用,抗酸化作用,コレステロール低下作用あるいは腸内腐敗抑制作用などによって,生体に有利に働く成分」であり,乳酸菌発酵生産物,免疫強化物質を含む生理活性ペプチド,植物フラボノイドなどの成分が該当すると言われている(光岡,2002)。現在,多くのバイオジェニックス製剤が市販されており,様々な効果が報告されているが,実際の動物を用いた効果は様々であり,適用の範囲は不明である。本研究では,既にヒトやマウスでアレルギー症状の緩和等の免疫活性効果が確認され,市販されている殺菌乳酸菌Lactobacillus paracasei K71(以下K71,MOROIら,2011;KUMAGAIら,2013)粉末を用い,抗菌性飼料添加物を排除した条件で,知見のない離乳子豚に対する発育,下痢,小腸組織および病原因子に及ぼすK71の効果を検証した。
著者
熊谷 武久 川村 博幸 渡辺 紀之 岡田 早苗
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.484-490, 2002-07-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
16
被引用文献数
3 3

焦げ肉摂取による尿及び便中変異原に対する植物性乳酸菌の抑制効果について検討した.(1) 発酵乳は植物性乳酸菌L. casei subsp. casei 327を109cfu/gを含むものを用い,変異原物質として牛挽肉を炒めたものを用いた.(2) 焦げ肉,尿及び便中の変異原物質はブルーレーヨン法で抽出し,変異原性試験を行った.(3) 被験者4人と少数で焦げ肉摂取により尿及び便中の変異原性の上昇を確認し,尿では6時間で,便では約3日間で排泄された.(4) 被験者8人で焦げ肉摂取時,発酵乳と焦げ肉摂取時,牛乳と焦げ肉摂取時の尿及び便中の変異原性を測定し,発酵乳を摂取することで変異原性が有意に低下することを確認した.対照食である牛乳摂取では明確な変異原性の低下は見られなかった.(5) 発酵乳を摂取することで腸内乳酸桿菌数の有意な増加が見られ,内2人の腸内乳酸桿菌が検出されない被験者で増加したため,当該乳酸菌が腸内到達性を有することが示唆された.
著者
熊谷 武久 瀬野 公子 川村 博幸 渡辺 紀之 岡田 早苗
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.677-683, 2001-09-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
21
被引用文献数
5 6

米及び米加工品より分離した植物性乳酸菌の食品発酵性,人工消化液の耐性及びヒト食餌モデル培地での生育について検討した.(1) 用いた乳酸菌はL. casei subsp. casei 6株及びL. plantarum 3株であった.(2) L. casei subsp. casei 327, 379, 409, 508及び511の5株は植物性素材で良好なpH低下を示し,米,小麦,トウモロコシ及びジャガイモでは菌数は103 cfu/mlオーダー程度に増殖し,豆乳,野菜汁及び果汁は109cfu/mlオーダー程度まで増殖した.牛乳ではpHの低下が少ないが,菌数は108cfu/ml以上に増加した.(3) L. plantarum 3株も植物性素材の発酵性は良く,米のみがpHの低下,菌数の増加が他の植物性素材よりやや悪かった.牛乳はpHの低下,菌数の増加がほとんど見られなかった.(4) 人口胃液pH 3.0以上では生菌数の変化は見られなかったが,pH 2.5ではL. plantarum 204の生菌数が若干減少し,耐酸性の高さが示唆された.それ以外の株では顕著な減少が見られた.(5) 人工腸液においては,全ての株で生菌数の増加が見られたが,胆汁無添加よりは生育度が低かった.(6) 胆汁を含む日本人とアメリカ人の食餌をモデルとした培地を調製し,両培地で生育が認められた.継代をすることで,生菌数が増加し馴化が見られた.
著者
佐々木 卓士 鳥谷部 一成 渡辺 紀之 中野 克重 笹原 二郎
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.378-382, 1986
被引用文献数
1

北里大学獣医畜産学部附属八雲牧場において維持している, Specific Pathogen-Free (以下SPFと略) 鶏の血清学的ならびに微生物学的検査を行った.<BR>SPF鶏群は1979年に作出し, 6月に最初の血清学的検査を実施した. 1985年4月までに28回, 検査延べ羽数30, 445羽の検査結果は, 鶏伝染性気管支炎, 鶏脳脊髄炎, 鶏伝染性喉頭気管炎 (以下ILTと略), 鶏細網内皮症, マレック病, 伝染性ファブリキウス嚢病, 鶏ウイルス性腱鞘炎, 鶏アデノウイルス感染症 (以下AAVと略), 鶏白血病・肉腫 (A亜群, B亜群), ニューカッスル病, トリイソフルエソザ, トリパライソフルエソザ, 産卵低下症候群-1976, 伝染性コリーザ, ひな白痢 (以下SPと略) ならびにマイコプラズマ症 (<I>M.gallisepticum</I>; MG<I>M.synoviae</I>; MS) の病原体に対する抗体がいずれも検出されなかった. しかし, 20例でILT, AAV, SPあるいはMGの検査において非特異反応が認められた.<BR>微生物学的検査ではマイコプラズマおよびウイルスの分離成績はすべて陰性であった. 細菌検査では<I>Escherichia coli</I>, Proteus spp., Staphylococcus spp. 等が常在菌として主に腸管より分離された.<BR>以上のことから, これらのSPF鶏群は特定の病原体に汚染されていないことが確認された.
著者
千 世寧 しん ちゃんふぁん 渡辺 紀志 木倉 宏成 有冨 正憲
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.282, 2006

最近、超臨界圧で運転され原子炉の開発研究が進んでいる。そこで、本研究では臨界圧力近傍の亜臨界圧領域での限界熱流束の挙動が調べるため、フレオン134a流体を用い、5x5ヒータロッドバンドルにおける限界熱流束に及ぼす非加熱棒と支持格子の影響が実験的に観察された。
著者
渡辺 紀子 矢部 章彦
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.376-380, 1976

家庭洗濯において, 海水を洗濯用水として用いた場合の洗浄性を人工汚染布および天然汚染布を用いて検討した. 主な結果は次の通りである.<BR>1) 非イオン活性剤を用いた海水洗浄は脱イオン水と同様の洗浄効果が認められた.<BR>2) SDSを用いた場合は, 脱イオン水より, 海水洗浄の方が洗浄効果が認められた.<BR>3) Na-LASを用いた場合は, 海水を20%含む洗濯用水において脱イオン水より洗浄効果が認められたが海水の濃度が高くなると洗浄効果は低下した.<BR>4) Na-LASを含む配合洗剤を用いての海水洗濯は5°DHの水よりやや洗浄力は低下したが, 利用可能であると考えられる.
著者
熊谷 武久 瀬野 公子 渡辺 紀之
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.179-184, 2006-03-15
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

乳酸菌添加液に玄米を浸漬することによる乳酸菌の付着性を検討した.<BR>(1)米及び米加工品より分離した<I>L. casei</I> subsp. <I>casei</I> 327を乳酸菌スターターとして,コシヒカリ,ミルキークイーン及びこしいぶきの玄米を用い,玄米浸漬液にスターターを添加して37℃,17時間発酵することにより,乳酸菌の増殖が浸漬液及び玄米で見られた.16SrRNA遺伝子塩基配列により当該菌が増殖したことを確認した.<BR>(2)発酵処理した玄米のpHはおおよそ6であり,炊飯後の米飯の食味に影響を及ぼさなかった.<BR>(3)発酵温度の低下により発酵処理玄米の<I>Lactobacillus</I>数が低下し,玄米と浸漬液の配合比及びスターター量の変化では,大きな影響はなかった.<BR>(4)乳酸菌を添加しない区では,乳酸菌以外の菌数が増加し,<I>Enterobacteriaceae</I>が主要な菌であった.<BR>(5)5菌種,7菌株の乳酸菌,全てで発酵液及び発酵処理玄米の<I>Lactobacillus</I>数の増加が見られ,<I>L. acidophilus</I> JCM1132<SUP>T</SUP>のみ生育が悪く,<I>L. casei</I> subsp. <I>casei</I> 327が最も増殖効果が高かった.
著者
渡辺 紀子 矢部 章彦
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.376-380, 1976-08-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
4

家庭洗濯において, 海水を洗濯用水として用いた場合の洗浄性を人工汚染布および天然汚染布を用いて検討した. 主な結果は次の通りである.1) 非イオン活性剤を用いた海水洗浄は脱イオン水と同様の洗浄効果が認められた.2) SDSを用いた場合は, 脱イオン水より, 海水洗浄の方が洗浄効果が認められた.3) Na-LASを用いた場合は, 海水を20%含む洗濯用水において脱イオン水より洗浄効果が認められたが海水の濃度が高くなると洗浄効果は低下した.4) Na-LASを含む配合洗剤を用いての海水洗濯は5°DHの水よりやや洗浄力は低下したが, 利用可能であると考えられる.
著者
橋本 晴満 中西 雅典 渡辺 紀 田嶋 康宏 下 貴裕 市瀬 司 永野 尚登
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.595-602, 2007-05-20 (Released:2007-05-31)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

The DD-System is a dose-distribution system for analyzing the film method with a general-purpose flatbed image scanner. By analyzing the analogue digital conversion(ADC)value of each pixel acquired by the DD-system, we examined the technical problems of measurement with the scanner when making a dose-density table. When film of uniform density was measured, the ADC values distributed normally. Deviation of the values at the same pixel point on another time was about one-ten thousandth of the average. Deviation of the values from the time the scanner was turned on was in the same range. Although it may be negligible, the values measured at a peripheral area on the flatbed deviated about 2SD from the average measured at the central area. Further, deviation of the value obtained with a shade covering the outside of the irradiation field from that taken without the shade was about one thousandth. These deviations are not negligible. In the case of making a dose-density table with a DD-System and a general-purpose flatbed image scanner, the film should be set in the center of the flatbed, and the sampling area should be selected from those areas where the ADC values are distributed normally. Then proper data can be obtained and more accurate tables can be made.