著者
稲谷 昌之 後藤 浩之 盛川 仁 小倉 祐美子 徳江 聡 Xin-rui ZHANG 岩崎 政浩 荒木 正之 澤田 純男 ZERVA Aspasia
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_758-I_766, 2013 (Released:2013-06-19)
参考文献数
7
被引用文献数
1

2011年東北地方太平洋沖地震では内陸部の宮城県大崎市古川地区において地震動による構造物被害が多く発生した.古川地区の中でも一部地域に被害が集中していることから,その原因の一つとして地盤震動特性の違いが考えられる.そこで,本研究では古川地区に展開されている超高密度地震観測のデータを利用して地盤震動特性の違いを検討した,古川地区内の地盤が各点毎に構造の異なる一次元水平成層構造であると仮定して地盤モデルを推定したところ,被害が集中した地域において表層地盤が厚くなる傾向が見られた.ただし,推定した地盤モデルを用いて時刻歴観測波形の再現を試みたところ,一部の観測点には再現出来ない特徴的なフェーズが認められた.このことは,表層の地盤構造を一次元水平成層構造でモデル化するという従来の枠組みでは,古川地区の地震動を説明する上で本質的に不十分であることを示唆している.
著者
盛川 仁 松田 稔樹 高砂 早織
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.17-28, 2009

<p>要約</p><p>平成15年度から採択された東京工業大学の21世紀COEプログラム「都市地震工学の展開と体系化」および,平成20年度から採択されたグローバルCOEプログラム「震災メガリスク軽減の都市地震工学国際拠点」において推進された,および継続中の多数の研究課題の中からシミュレーション&ゲーミングに関係が深く,かつ筆者らがかかわってきた取り組みのいくつかを紹介する.その際,研究のプロセスを「モデル化」「検証」「応用」という3段階に分け,自然科学,工学,社会科学からの地震防災へのアプローチがこれらの各段階にどのように対応するか,をシミュレーション&ゲーミングを通して考察することにより,共通の視点で整理することを試みる.</p>
著者
野上 雄太 坂井 公俊 室野 剛隆 盛川 仁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.191-202, 2012 (Released:2012-04-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1 5

本研究は,広範囲の被害の概略をマクロに予測して危険箇所を抽出する1次スクリーニングを目的として,想定される工学的基盤の地震動に対して表層地盤の絶対加速度増幅率および絶対速度増幅率を推定する式を提案したものである.この推定式は,(1)表層地盤の固有周期だけでなく,入力地震動の卓越周期も考慮できること,(2)幅広い地震動レベルに対して適用可能であることが特徴である.増幅率の推定に必要な情報は,入力地震動に関しては,工学的基盤における地震動の最大加速度PBAと最大速度PBVの2つのみ,表層地盤に関しては,固有周期Tgのみである.また,提案した推定式の妥当性を地表と地中の両者で得られた実地震記録を用いて検証した.
著者
篠原 雅尚 村井 芳夫 藤本 博己 日野 亮太 佐藤 利典 平田 直 小原 一成 塩原 肇 飯尾 能久 植平 賢司 宮町 宏樹 金田 義行 小平 秀一 松澤 暢 岡田 知己 八木 勇治 纐纈 一起 山中 佳子 平原 和朗 谷岡 勇市郎 今村 文彦 佐竹 健治 田中 淳 高橋 智幸 岡村 眞 安田 進 壁谷澤 寿海 堀 宗朗 平田 賢治 都司 嘉宣 高橋 良和 後藤 浩之 盛川 仁
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2010

2011年3月11日、東北地方太平洋沖でM9.0の巨大地震が発生し、地震動・津波被害をもたらした。この地震の詳細を明らかにするために、各種観測研究を行った。海底地震観測と陸域地震観測により、余震活動の時空間変化を明らかにした。海底地殻変動観測及び地震波反射法構造調査から、震源断層の位置・形状を求めた。さらに、各種データを用いて、断層面滑り分布を明らかにした。現地調査により、津波の実態を明らかにし、津波発生様式を解明した。構造物被害や地盤災害の状況を明らかにするとともに、防災対策に資するデータを収集した。
著者
坂井 公俊 盛川 仁
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.331-338, 2005 (Released:2007-11-02)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

It is important to understand the detailed 3-D subsurface structure to estimate the strong ground motions. For this purpose, we will confirm the usability of the gravity survey and propose a process from modeling the ground structure to estimate of the strong ground motions.The gravity survey has been carried out to estimate the 3-D subsurface structure around the damaged area due to the 1909 Anegawa earthquake. Steep slopes of the bedrock are located around the severely damaged area. On the basis of the estimated 3-D subsurface structure, the strong motions are numerically simulated by using the finite-difference method (FDM). From the results of the simulations, it is shown that the peak ground velocity correspond to the collapse ratio of the wooden structures except for some cases.
著者
佐藤 忠信 小長井 一男 堀 宗郎 澤田 純男 本田 利器 盛川 仁 張 至鎬 濱田 政則
出版者
神戸学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、エジプト側研究協力者が主体となりナイルデルタを取り巻く地震活動資料の収集を行った。また、過去に発生しカイロ市に被害を及ぼした地震の断層破壊過程を明確にするとともに、将来発生する地震のシナリオを作成した。日本側研究分担者はエジプト側研究者の協力の下にカイロ市を取り巻く地域の詳細な地盤調査の資料収集を行った。収集した資料の内容は以下のようである。1.ボーリング調査(PS検層、サンプリングを含む)と室内試験2.微動調査および屈折法探査(板叩き)による地盤構造調査3.重力異常による深層地盤調査4.RI(ラジオ・アイソトープ)コーン貫入試験による浅層地盤物性調査さらに、得られた資料からカイロを含むナイルデルタ地帯の地盤構造をモデル化するとともに、エジプト側の研究協力者と共同して、ナイルデルタ地帯の地震危険度マップを作成した。特に、今年度は最終年度であるので、平成18年9月にエジプト国立天文台・地球物理学研究所を研究分担者全員と研究協力者1名の合計6名で訪問し、研究の途中経過発表会をエジプトで開催するとともに微動観測点の選定を行なった。また、カイロ内の特定構造物の耐震性能を評価するために用いる動的解析用の入力地震動のシミュレーション方について議論した。特定地点を選定し微小地震の観測を継続するためのプロジェクトを立ち上げた。そのために必要な予算措置をエジプト国家地震局に申請すると共に、エジプト国立天文・地球物理学研究所の地震観測網を利用してナイルデルタにおける微小地震活動を評価した。