著者
田中 輝明 小山 司
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.979-985, 2009
参考文献数
20
被引用文献数
2

単極性うつ病と双極性うつ病では治療アプローチが異なるため,「うつ病」診療においては早期診断が重要な鍵となる.抑うつ症状のみで鑑別することは困難であるが,双極性うつ病では非定型症状や躁成分の混入が診断の手掛かりとなることもある.双極性障害の診断には(軽)躁病エピソードの存在が必須であるが,患者の認識は乏しく,周囲からも注意深く(軽)躁症状の有無を聴取する必要がある.双極性障害のスクリーニングには自記式質問紙票も有用である.また,パーソナリティ障害や薬物依存などの併存も多く,複雑な病像を呈するため注意を要する.双極スペクトラムの観点から,双極性障害の家族歴や抗うつ薬による躁転などbipolarityについても確認することが望ましい.双極性障害の薬物治療としては,エピソードにかかわらず気分安定薬が第一選択であり,有効性や副作用(躁転や急速交代化)の面から,抗うつ薬の使用には慎重さが求められる.
著者
横塚 保 斎藤 伸生 奥原 章 田中 輝男
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.165-170, 1969
被引用文献数
2 9

グリシンの呈味作用について研究の結果,つぎのような知見を得た.<br> (1) グリシンそれ自体は甘味を呈し,何ら旨味を呈しない.<br> (2) グリシンとL-グルタミン酸ソーダあるいはL-アスパラギン酸ソ-ダ間には旨味に関する2因子相乗効果は認められない.<br> (3) グリシンと核酸系呈味物質間にも2因子相乗効果は認められない.<br> (4) グリシンは核酸系呈味物質の旨味をL-グルタミン酸ソーダ,あるいはL-アスパラギン酸ソーダの存在下で顕著に活性化させる性質がある.すなわち,すでに知られている核酸系呈味物質とL-グルタミン酸(L-アスパラギン酸)間の2因子相乗効果とは全く別質の3因子相乗効果が,グリシン,核酸系呈味物質,L-グルタミン酸ソーダあるいはL-アスパラギン酸ソーダの3者間に存在することを見い出した.<br> (5) このグリシンの旨味増強作用は単に甘味によるものではなく,特異的な呈味作用である.<br> (6) この3因子相乗効果において,グリシン対核酸系呈味物質の混合比はかなり広範囲にわたって適用することができるが,相乗効果を有意に働かせるためには,効果的な混合比と適正な濃度が存在する.<br> (7)このグリシンの旨味増強作用は食品の新製品開発,風味改善,コスト・ダウン等に有効に応用されるものである.これらの応用面については特として公告告および出願中<sup>(24)</sup>である.
著者
坂本 真貴人 藤井 昭宏 田中 輝雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.97, no.3, pp.405-413, 2014-03-01

さまざまな科学技術計算で用いられる行列行列積計算の高速化手法の一つに,Strassenのアルゴリズムがある.これは1回の適用で計算量を約7/8に削減するアルゴリズムである.また,このアルゴリズムは再帰的に適用することができ,段数(Strassenの適用回数)を増やすことで計算量をO(N^3)からO(N^<log_2 7>)まで削減できる.高速化のためには,計算機環境に合わせて適切な段数を選択する必要がある.適切な段数は行列サイズごとに決まるのでチューニングに多くの時間を要する.本研究では,線形代数ライブラリATLASをベースとしたStrassenの段数を自動チューニングする行列積計算ライブラリSAT Lib(Strassen Auto Tuning Library)を試作した.SAT LibではStrassen及びATLASの特性を利用し,チューニングにかかる時間を削減する.SAT Libの評価を行った結果,全行列サイズを計測する場合に比べXeon X5660上で約1/61,Intel Core i7 2600上では約1/53までチューニング時間を削減できた.
著者
田中 輝和 的野 春樹 石川 亮 我妻 壽彦 水野 皓司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.287, pp.49-56, 2003-08-27

ミリ波は雨,霧,塵,炎等を透過する.またあらゆる物体から熱輻射によるミリ波が放射されている.これをイメージング技術に応用すると,火災時の物体のイメージング,噴煙火山の観測,衣服の下の武器や爆発物等の検知が可能になる.我々は35GHz帯パッシブ・イメージング装置を開発しており,そこでは,高感度,低雑音,広帯域のデバイスが要求される.本論文では,実時間観測を可能とするイメージングアレイの平面構造受信素子に装着する広帯域検波回路の設計と実験について述べる.広帯域に亙って整合をとるために,通常のテーパー線路型整合回路の設計手法に改良を加え,8GHz (23%)の整合帯域をもつ回路の開発に成功した.またこの回路を実際にアンテナ・受信回路一体型の受信機へ応用して,ミリ波帯パッシブイメージングを行った結果を示す.
著者
前川 佳遠理 大久保 由里 北岡 タマ子 田中 輝 ライデルマイヤ マーガレット フェルフーフェン ポール 戸塚 順子 内海 愛子 ランゲン ヨハン・ファン
出版者
国文学研究資料館
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2007

国内外の史料所蔵機関のウェブサイトやカタログの収集に加え訪問調査を行い、個人・全国の戦友会・団体の事務局に質問票を郵送し、アンケートの集計を行った。個人・戦友会・団体の活動履歴や所蔵資料を国際文書館評議会ICAの国際標準「団体,個人,家に関する記録史料オーソリティ・レコード:ISAAR (CPF) Ver.2」に準拠して作成し公開準備を行った。本課題を機に戦友会事務局資料を中心に寄贈が進み、順次公開の予定である。国外ではインドネシア及び在オランダを中心に東南アジアの戦中・戦後の資料所在情報を調査し、特に俘虜銘々票の原本や原爆被害者調査委員会の原本資料のデジタル化・データベース化を通じた共有化モデルのプロジェクトに発展した。