著者
石川 真之介
出版者
国立天文台
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

研究代表者は、宇宙科学研究所のグループと三菱重工業と共同で、太陽X線集光撮像観測ロケット実験 FOXSI-2 のフライト検出器の開発を行った。この検出器は、65 μm という極めて微細な位置分解能を持つ。また、エネルギー分解能も1 keV 以下を達成し、~4 keV という低いエネルギーからの観測が実現できることとなった。FOXSI-2 ロケットに前述の研究代表者が開発した CdTe 検出器を搭載し、打ち上げを行って太陽を観測した。検出器は正常動作し、集光撮像による硬X線観測で、世界で初めて太陽の活動領域を複数同時検出することに成功した。1000万K を超える高温プラズマは、硬X線以外の波長では観測が難しく、活動領域における高温プラズマの分布はあまり明らかになっていなかった。FOXSI-2 の高感度と、ひので衛星のX線望遠鏡をはじめとする多波長の同時観測により、コロナのプラズマの温度構造、空間構造をこれまでにない精度で明らかにすることができた。太陽フレアのエネルギー源である太陽大気の磁場を観測するため、太陽彩層上部・遷移層の磁場を簡素するロケット実験 CLASP に向け、波長板モーターの開発と評価試験、CLASP ロケットの組み立てと波長板モーターの取り付けを行った。また、ロケットの組み上げ、波長板モーターの取り付けを無事完了し、共同研究期間である NASA が開発した CLASP 搭載 CCD カメラのフライト品とのインターフェース確認を行い、予定通り偏光観測を行うことができることを確認した。
著者
津田 傑 石川 真 関野 昌宏
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.30, no.10, pp.2034-2038, 1997-10-01
被引用文献数
14

症例は48歳の女性. 右下腹部痛を訴え来院. 来院時, 右下腹部を中心に圧痛, 反跳痛, および筋性防御を認めた. 腹部超音波およびCT検査の結果, 右卵巣嚢腫および虫垂炎による汎発性腹膜炎を疑い手術を施行した. 腹腔内は黒褐色の腹水が貯留し, 右卵巣に径約5cmの壁が破裂した単房性腫瘤を認めた. 右卵巣嚢腫破裂にともなう汎発性腹膜炎と診断した. また回盲部は周囲組織と癒着し, 虫垂を認めず腫瘤を触知した. このため回盲部悪性腫瘍を疑い, 右卵巣卵管切除に加え右半結腸切除を施行した. 切除標本の病理組織検査の結果, 虫垂子宮内膜症に起因した虫垂重積と診断した. 虫垂切除71,000例中, 虫垂子宮内膜症と虫垂重積はそれぞれ0.05%, 0.01%に認められたのみである. 本症例はわれわれの調べえた範囲で本邦3例目であり, きわめてまれと思われる. 本疾患の術前診断や緊急開腹時には癌との鑑別が困難なため, 術式の選択に苦慮すると思われた.
著者
後藤 正司 張 性洙 石川 真也 黄 政龍 横見瀬 裕保
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.98-101, 2007
参考文献数
7

背景.高齢者やperformance status(PS)不良の肺癌は治療法の選択が難しい.今回,Cisplatin(CDDP)とDocetaxel(DTX)による気管支動脈内抗癌剤注入療法(bronchial arterial infusion, BAI)が著効した,高齢でPS不良の肺扁平上皮癌の症例を経験したので報告する.症例.80歳の男性が,咳嗽,全身倦怠感,食欲低下を訴え受診した.胸部CTでは右肺門に塊状陰影が認められ,気管支鏡検査では右主気管支に腫瘍が認められた.生検で扁平上皮癌と診断されたが,高齢でPSが不良(PS4),呼吸不全も伴っており,CDDP(60mg)とDTX(40mg)によるBAIを施行した.治療により腫瘍は完全に消失し,呼吸状態及びPSも改善し(PS1),BAI後放射線治療の施行が可能となった.結論.CDDP及びDTXによるBAIは,PS不良の肺癌に対して有用な治療の一つと思われた.
著者
後藤 正司 岡本 卓 中野 淳 中島 尊 桝屋 大輝 劉 大革 亀山 耕太郎 石川 真也 山本 恭通 黄 政龍 横見瀬 裕保
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.132-135, 2004-03-15
被引用文献数
4 3

左側は66歳,女性.64歳時に右乳癌にて右胸筋温存乳房切除術を受けた.病理病期はstage II で,術後DMpC療法(5'-DFUR : 800mg,MPA : 800mg,CPA : 100mg)を施行中であった.2003年1月16日,胸部CTで左S^8にspicula, notchを伴う小結節陰影の出現を認めた.結節陰影の増大を認め,またFDG-PETで,左S^8の結節陰影に一致して集積を認め,精査目的で,2003年3月24日当科へ入院した.CT下肺生検では確定診断に至らず,2003年4月23日,胸腔鏡補助下肺生検を施行し肺クリプトコッカス症と診断された.腫瘤陰影を呈する肺クリプトコッカス症のCT所見は肺癌と類似し,PETでも陽性を示すことがあるため画像上の鑑別は困難である.
著者
田中 成美 原 暢助 森田 辰男 石川 真也 森口 英男 小林 裕 戸塚 一彦 大場 修司 徳江 章彦 米瀬 泰行
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.75, no.12, pp.1927-1932, 1984-12-20

自治医科大学泌尿器科において,1974年4月15日の開院より9年間に尿路変向術が施行された症例は100例で,男子78例,女子22例,男女比は3.5対1であった.最年少者は4歳,最年長は84歳,平均年齢は60.2歳であった.原因疾患は膀胱腫瘍76例,子宮癌6例,尿道癌4例,前立腺癌3例その他の悪性腫瘍3例で良性疾患は8例であった.施行された尿路変向術は,膀胱瘻造設術8例,腎瘻造設術7例,カテーテル尿管皮膚瘻造設術56例,回腸導管造設術9例,尿管S状結腸吻合例であった.100例全例の5年相対生存率は51.2%で,膀胱移行上皮癌のため膀胱全摘術を施行した53例の5年相対生存率は58.7%であった.膀胱全摘術とともに尿路変向術を行った61例の術後死亡率は4.9%であった.これらの膀胱全摘術の症例の術後早期合併症及び晩期合併症について尿路変向術式別に比較,検討した.
著者
石川 真
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.9-16, 2009-02-28
被引用文献数
1

本研究は,コンピュータや携帯情報端末の限定された表示サイズ画面に提示される文章の表示に関する特徴を「見やすさ」や「好み」という観点から明らかとすることを目的とした。コンピュータ画面上に,携帯電話ディスプレイ,PDA ディスプレイ,パソコンモニタの表示サイズに合わせたテキストエリアを確保し,文章を提示して実験的検討を行った。はじめに,5種類の文字サイズと3種類の行間幅を組み合わせた文章をそれぞれの表示サイズに提示し,見やすさと好みについて評定させ,分析したところ,見やすさ,好みの双方とも,明確な特徴が示されなかった。そこで,各情報端末において,一般的に文章提示に用いられる3種類の文字サイズと3種類の行間幅を組み合わせて見やすさと好みの評定をさせ,分析・検証を行った。その結果,いずれの表示サイズにおいても,提示した組み合わせのうち,中間の文字サイズ,中間の行間幅が最も見やすく,また好まれることが示された。さらに,見やすさと好みの評定の関連性に着目して分析したところ,それほど強い相関関係は示されなかった。The purpose of this study was to clarify features of sentence presentation on the information terminals that had restricted display size. Especially the experimental study was examined from the point of legibility and preference. Firstly, sentence presentation was analyzed by combined conditions on five character sizes and three types of line spacing, but the result didn't indicate statistical features in each cases. Secondly, sentence presentation was analyzed by combined conditions on general three character sizes and three types of line spacing. The result showed that the middle type in both character size and line spacing was most legible and most preferable in all conditions. Thirdly, relationship between legibility and preference was examined. The result showed legibility was correlated with preference, but correlation coefficient was not so high.