著者
赤井 容子 赤松 浩彦 李 秀萍 伊藤 明 Christos C. Zouboulis 朝田 康夫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.104, no.5, pp.647, 1994 (Released:2014-08-12)

リノール酸(C18:2cis9,12),パルミチン酸(C16)の皮脂腺の増殖に及ぼす影響を,ヒトの顔面より分離した皮脂腺を組織片培養して得られた培養脂腺細胞を用いて検討した.その結果,リノール酸は濃度依存性に培養脂腺細胞の増殖を促進し,一方,パルミチン酸は濃度依存性に増殖を抑制することがin virtoで判明した.面皰において,正常皮膚に比べてリノール酸の割合が減少し,パルミチン酸の割合が増加しているという事実より,この結果は,これらの遊離脂肪酸が面皰形成過程において,皮脂腺の増殖に影響を及ぼしている可能性を示唆するものと考えられた.
著者
中井 悠斎 朝田 康夫 祖父江 昌彦 塩崎 華子
出版者
Japan Antibiotics Research Association
雑誌
The Journal of Antibiotics, Series B (ISSN:04478991)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.191-193, 1967

過去においては, 外科的手術創や熱傷等の2次感染の起炎菌はブドウ球菌がその主役を演じていた。しかし, 近年のすさまじい抗生物質の開発普及によつて, ブドウ球菌感染症は著るしく減少し, これに代つてグラム陰性桿菌の2次感染が注目されるにいたつた。緑膿菌をはじめとするこれらグラム陰性桿菌感染症の増加については, 広域抗生物質の長期投与によるこれら自然耐性をもつ菌の菌交代現象, 副腎皮質ホルモン剤の使用等の諸因子が挙げられている。<BR>さて, われわれ皮膚科領域においては, 広汎な熱傷の治療中に緑膿菌の2次感染がしばしば起り, 患者の治療面に, あるいは予後にいくつかのやつかいな問題を提供する。近年, 第3度熱傷に対しては, 従来の軟膏療法に代わつて早期植皮術の施行が治療日数の短縮のほか, のちの肥厚性瘢痕の発生, 瘢痕拘縮等を予防するという面において, 最良の方法であるといわれて来た。しかし, この間, 緑膿菌感染をひき起すと創傷の治癒傾向遅延, 植皮術のさいの皮片の生着不良, あるいは発熱, 等の全身症状から敗血症にまでいたる種々の合併症を併発し, 熱傷の治療に大きな障害となつていることは, 衆知の事実である。しかし, 今日においても, 緑膿菌感染に対しては特効的薬剤に乏しい現状である。今回, 我々は新らしい抗生物質カスガマイシンを緑膿菌の感染をともなう熱傷患者に対して注射あるいは外用として使用する経験を得るので, 報告する。
著者
大西 陽子 赤枝 民世 西嶋 摂子 朝田 康夫
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.261-266, 1986 (Released:2010-08-25)
参考文献数
23
被引用文献数
1

44才, 男子。ビスフェノールA型エポキシ樹脂と変性ポリアミド硬化剤に同時に感作された職業性接触皮膚炎の1例を報告した。貼布試験48時間後判定1%, 0.1%, 0.01% ビスフェノールA型エポキシ樹脂に陽性反応を認めた。さらに72時間後より1%, 0.1% 変性ポリアミドにも陽性反応が出現した。職場での配置転換により皮疹の再発はみていない。
著者
朝田 康夫 上尾 八郎
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Journal of Antibiotics, Series B (ISSN:04478991)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.284-287, 1960

先に我々は, 皮膚科領域の感染症において, その主役である葡萄球菌について各種抗生物質 (Chloramphenicol, Erythromycin, Oleandomycin, Tetracycline, Streptomycin, Penicillin, Sulfaisoxazole) に対する耐性の状態を報告した。現今, 抗生物質耐性葡菌の問題はますます注目されているが, 近時これら耐性葡菌に対する新抗生物質の出現もまたきわめて活発である。今回我々は, これら抗葡菌性抗生物質の1つとしてMikamycinをとり挙げ, 葡菌に対する耐性, 感受性ならびにその製剤の化膿性皮膚疾患に対する臨床治療効果について検討したので, 報告する。<BR>Mikamycinは, 新井, 米原, 梅沢等によつて報告された<I>Streptomyoes mitakaensis</I>から分離された新抗生物質であるが, その物理的, 化学的および生物学的報告については, 新井, 米原, 梅沢, 竹内, 田中, 岡部等による詳細な研究報告1.2.3.6) があるので, ここには省略する。また, このMikamycin類似の抗生物質としてはStreptogramin (CHARNEY1953), Staphylomycin (No.899物質DE SOMER1955), PA114 (CELMER1955), E129 (LEES1953) 等が報告されており4), その抗菌スペクトルはErythromycin-groupとほとんど同様であるとされている。これら諸物質とMikamycinとの比較についても, 多くの報告がある。その後, MikamycinにはA, B両物質が単離され, この両者の一定混合比において, その相乗効果が最大となることがみとめられた。すなわち, A10~90%, B90~10%の比で相乗効果が大きいことがみとめられており, ことにA60~70%, B30~10%の混合比で最大の相乗効果があるとされている。今回我々の使用したMikamycinA, B complexは, Aを70%, BがAに対して10%以上となるように製られたものである。このMikamyccinA, B complexと各種抗生物質Erythromyccinpropionate (Ilosone), Chloramphenicol, Tetracycline, StreptomycinおよびKanamycinを使用して, 京大病院皮膚科外来患者の諸種膿皮症から分離した葡菌および皮膚科病舎および外来の空中から分離した葡菌等, 合計31株の葡菌に対する感受性, 耐性を検討した。次いでMikamycin含有軟膏 (組成は後述) を使用して, 各種皮膚感染症に対する治療効果を観察した。
著者
名村 章子 西嶋 攝子 朝田 康夫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.102, no.12, pp.1563, 1992 (Released:2014-08-12)

近年(1989年)米国Pennsylvania大学で考案されたFull-hand touch plate法と画像解析装置(Computerized Image Analysis)を用いて,手洗い時間による手表面の除菌効果を比較検討した.流水による手洗い時間を10秒,30秒,1分,3分間とし,手洗い前後に手掌をFull-hand touch plate用の培地に押しあて,37℃,48時間培養後コロニー占有面積を比較検討した.手洗い前を100として手洗い後の除菌率をpercent(%)reductionで表わした.結果は3分,1分,30秒,10秒の順で除菌効果は優れており,それぞれ76.4%,76.0%,65.5%,55.7%であった.手洗い時間10秒では55.7%と除菌効果は低く,1分では76%とかなり有効な結果であった.しかし3分間でも76.4%であり,手洗い時間は1分間もしくはそれ以上が必要と考えられた.また76%以上の除菌効果を得るためには殺菌消毒剤の併用が必要と考えた.
著者
尾口 基 赤松 浩彦 朝田 真木 久保 桂子 名村 章子 白井 絹江 朝田 康夫 西嶋 攝子
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.995-1000, 1987 (Released:2010-08-25)
参考文献数
11

男7例, 女22例, 年齢10歳-32歳で, 中-重症例の, 病型は嚢腫性5例を含む尋常性挫瘡26例, 夏期挫瘡1例, ステロイド挫瘡2例の計29例をmetronidazole (Flagyl ®) 1日当り375mg-500mgを用いて治療した.面皰, 丘疹, 硬結の消失したものを治癒, ほぼ消失したものを略治とし著効, かかる皮疹が減少したものを軽快とし有効とした.皮疹の減少と同時に新生がみとめられた例と不変であった例を無効とした.投与期間, 1-7週, 平均4週にて, 著効17, 有効7, 無効5, 有効率83%の結果を得た.副作用は舌苔を2例, 舌苔と便秘1例がみとめられたが, 治療継続に支障はなかった. 15例に治療終了時, 尿血液一般検査を行ったが, 全例異常所見は認められなかった.