著者
笠原 正雄
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.28-41, 2011-07-01 (Released:2011-07-01)
参考文献数
48
被引用文献数
1

リード・ソロモン(RS:Reed-Solomon)符号誕生後,半世紀の歳月が経過している.本稿ではRS 符号が情報通信・記録技術発展の歴史の中で,マイナーな存在からやがて私たちの生活の中に最も深く溶け込んだ符号,すなわち総合的に考えて最上位にランクされる符号として高く評価され,位置付けられていく過程をディジタル情報通信・記録技術の発展の歴史の中で幅広く捉えて解説する.更にRS 符号には高信頼度の情報通信記録システムを構築する上での大きな貢献に加えて,情報セキュリティ分野への応用をはじめとする多様な分野への応用が期待されることを述べる.
著者
大岸 聖史 境 隆一 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.414, pp.37-42, 1999-11-08
被引用文献数
10

本報告では楕円曲線上定義されるようなペアリングを用いたID-NIKSを提案する.また,提案方式の安全性の根拠となる拡張楕円離散対数問題を提案する.本報告で提案する鍵共有方式はこの問題及び離散対数問題に基づいたWeilペアリングやTateペアリングなどのペアリングを用いる鍵共有方式である.提案方式は楕円離散対数問題,拡張楕円離散対数問題が解けなければ結託攻撃は困難であると考えられ結託攻撃に対して十分安全であると思われる.
著者
平澤 茂一 笠原 正雄
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.183-191, 2011-01-01 (Released:2011-01-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

誤り訂正符号の代数的復号法の一つであるユークリッド復号法について解説する.ユークリッド復号法はBCH符号やRS 符号の強力な復号法として知られ,数多くの適用例がある.まず,1950 年代に始まった誤り訂正符号の構成法の研究と,1960 年代から1970 年代にかけての復号法の研究の歴史をたどり,ユークリッド復号法の位置付けを行う.次に,ユークリッド復号法の概要を紹介する.最後に,この復号法発見に至る筆者らの当時の環境や様子を,研究者の立場から経験談に私見を交えながら述べる.
著者
佐竹 賢治 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.419-426, 2001-05-01
被引用文献数
2

本論文では磁気記録通信路に適用可能な誤り訂正符号を対象として、新しい復号法を提案する。この復号法はインタリーブされた符号内の2個以上の受信語において訂正能力を適えない誤り系列が生起している場合、訂正不能の誤りが生起した残りの受信語を訂正することを特徴としている。具体例としてインタリーブ数4,6及び8の符号を対象にして提案手法を解析し、考察を加える。その結果、本提案復号手法により、従来、CRCによって使用不可能な領域と判定していたセクタ領域の70〜80%が再利用可能となることを示す。
著者
長尾 敦 和田山 正 若杉 耕一郎 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.95, no.79, pp.49-54, 1995-05-26
参考文献数
6
被引用文献数
8

本稿では,近年,磁気記録符号の分野で重要性が高まりつつあるEPR4(Extended Partial Responce 4)チャネルに対して有効な符号化法を提案する.従来より,記録密度が低い場合の磁気記録系モデルである1-Dチャネルに対して,さまざまな記録符号が提案されているが,より高密度な記録系のモデルであるEPR4チャネルに対する検討は少ない.そこで,本稿では,基本的にはHoleとYtrehusらが提案している1-Dチャネルに対する符号を基礎として,EPR4チャネルに適した符号を探索した.またHoleとYtrehusらはプリコーダを用いる場合のみを考察しているが,ここでは新たにプリコーダのない場合も検討した.その結果として,特に符号化率の低い範囲で優れた符号が見出された.
著者
光成 滋生 渡辺 秀行 吉田 真紀 境 隆一 笠原 正雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.68, pp.261-266, 2002-07-18
参考文献数
17
被引用文献数
1

本稿では放送型コンテンツ配信における不正者追跡問題を考える.従来の配信法は、想定された人数以上の不正者の結託により追跡不可能な海賊版復号器を作成することが可能になるという問題点を持つ.筆者等は、既に楕円曲線上のヴェイユペアリングを用いることにより、この結託問題を解決する方式を提案した.本稿ではこの方式を拡張し、鍵漏洩の自己抑止力と非対称不正者追跡機能、および加入者排除機能を持つ方式を提案する.提案方式では放送量は従来方式より小さく、また加入者が何人結託したとしても結託者以外の個人鍵を生成することができないという拡張前の方式の特長を受けもつ.In the previous traitor tracing schemes, there exists an upper bound on the number of traitors who attack the schemes for certifying the security. We proposed one resolution of the problem using Weil-pairing on the elliptic curves. In this paper, we extend the scheme, yielding an asymmetric self-enforcement and revocation scheme.
著者
境 隆一 光成 滋生 笠原 正雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.75, pp.75-80, 2001-07-25
参考文献数
13

従来,楕円曲線上定義をされたペアリングは楕円暗号の解読に応用されていたが,近年,このようなペアリングが双線形写像であることを利用した暗号方式がいくつか提案されている。本稿では,これらの暗号方式を紹介すると共に,不正利用者の追跡が可能な放送用鍵配送の基本方式を提案する。この方式は,黒澤-Desmetの方式では実現されなかった。利用者の結託攻撃に対する安全性を有していると考えられ,実用上も極めて重要な方式である。また,新たなペアリングを利用した暗号方式についても考察する。Weil pairing and Tate pairing are the bilinear mappings from n torsion points of elliptic curves to a finite field. In this report, we review some cryptographic schemes based on Weil pairing or Tate pairing over elliptic curves. These schemes can be realized by the bilinear mapping of the pairings. We then propose a new key distribution scheme for broadcast encryption which is traceable traitors. The new broadcast key distribution scheme for the traitor tracing whose broadcasting data contain the constant header is firstly realized the security against the collusion attacks.
著者
境 隆一 村上 恭通 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.57, pp.23-28, 1999-05-20
被引用文献数
1

予備通信不要のID情報に基づく鍵共有法は、一度信頼のおけるセンタから秘密データを入手すれば、それ以降はこの秘密データと相手のID情報のみから、予備通信無.しに自身と相手との間の共通鍵を算出することが可能な手法である。さらに、ID情報が共通鍵に含まれることから、認証や署名にも利用可能である。しかし、従来、利用者の結託よる攻撃により、センタ秘密や利用者の秘密情報を算出されてしまい、第三者間の秘密鍵を偽造されてしまうという問題があった。これらの攻撃法に対して安全性を高めるために、センタが予め小さな乱数を加えておき、鍵共有の際に非線形操作により、この乱数成分を除去して共通鍵を得る確率的な鍵共有法が提案されている。本稿では、この確率的な鍵共有法に対して、比敷的有効であると考えられるLLLアルゴリズムを用いる結託攻撃法を提案し、その有効性を計算量の観点から検討する。
著者
光成 滋生 渡辺 秀行 吉田 真紀 境 隆一 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.212, pp.117-122, 2002-07-12
参考文献数
17
被引用文献数
5

本稿では放送型コンテンツ配信における不正者追跡問題を考える.従来の配信法は,想定された人数以上の不正者の結託により追跡不可能な海賊版復号器を作製することが可能になるという問題点をもつ.筆者等は,既に楕円曲線上のヴェイユペアリングを用いることにより,この結託問題を解決する方式を提案した.本稿ではこの方式を拡張し,鍵漏洩の自己抑止力と非対称不正者追跡機能,および加入者排除機能をもつ方式を提案する.提案方式では放送量は従来方式より小さく,また加入者が何人結託したとしても結託者以外の個人鍵を生成することができないという拡張前の方式の特長を受けもつ.
著者
堀内 啓次 布田 裕一 境 隆一 金子 昌信 笠原 正雄
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.1269-1277, 1999-08
被引用文献数
7

楕円暗号において, 楕円曲線の群の位数は重要なパラメータである. 特に, その位数が素数であることが望ましい. 楕円曲線の位数を計算する方法としてSchoofのアルゴリズム及びそれを改良したElkies, Atkinのアルゴリズムが知られている. 本論文ではSchoofの改良アルゴリズムを用いた素数位数を有する楕円曲線の効率的な構成法を示す. 更に, 楕円曲線の位数分布及び位数が素数である確率を導出した後, 素数位数を有する楕円曲線の構成に必要な計算量を評価する. また, 法pの条件による計算時間の違いについて考察する.
著者
浜尾 敦史 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報通信倫理
巻号頁・発行日
vol.97, no.607, pp.21-26, 1998-03-16
被引用文献数
7

1997年12月11日, 12日に行われた『第一回京都コンピュータリテラシー教育シンポジウム「コンピュータ・リテラシー教育とその問題点-社会と技術の関わりを視野に入れて-」』の報告を通して, コンピュータリテラシー教育の現状あるいは問題点, そして今後の課題について述べる。
著者
上加世田 宏 境 隆一 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.93, no.380, pp.1-6, 1993-12-15

Mix netを用いた電子選挙においては,センタが不正を行なった場合,異義申し立ては可能であるが,無効となった投票結果が露呈する欠点を有している.本稿では,投票用紙を複数の鍵で暗号化することにより,不正が行なわれた場合,各投票内容を明かさずに意義申し立てが行なえる方式を提案する.提案する方式は,はじめに各投票者が投票用紙を複数の鍵で暗号化し,それをMix netに送り,次に,Mix netは送られてきた投票用紙をシャッフルする.ここで,不正の有無を確認し,不正がない場合にのみセンタがVSS(verifiable secret sharing)を行ない復号する方式である.
著者
片柳 磨子 村上 恭通 境 隆一 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.208, pp.9-14, 1999-07-22

本稿では, (k, n)しきい値秘密分散法の概念を応用した複数エンテイテイ参加型の再利用可能な認証方式(RSS認証)を提案する. 提案方式ではn個のk次元ベクトルのうち任意のk個を連接したk×k行列のランクが高確率でkとなることを利用し, 秘密鍵の分散およびグループ内での認証を行う. また, 提案方式は, 認証センタを想定することより, 分散情報のみから完全に秘密を復号することはできないが, グループ全体の持つ情報が秘密鍵と等しいことを認証することができる. しかしながら, 提案方式では, 任意のk個のk次元ベクトルの連接により, ランクkの行列が生成できない場合が存在するため, より確実に(k, n)しきい値で復号可能であるように改良した方式として, 改良方式IおよびIIを提案する.
著者
笠原 正雄 平澤 茂一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.444, pp.419-426, 2010-02-25

一般化された(u,u+v)構成法,g(u,u+v)構成法,に基づいて少数の情報記号数に対する最適2元線形符号の大きなクラスを構成している.そしてこの構成法に基づいて(3(2^m-1,m+1,3・2^m-1)符号,(3(2^m-1),m+1,3・2^m-1)符号,(3(2^m-1),m+1,3・2^m)符号を構成し,これらの符号がBrouwer-Verhoeffのテーブル(BVテーブル)に記載の最小距離にn≦125の範囲で一致し,それ故に最適2元線形符号であること且つn≧126の範囲においても最適2元線形符号であることが予測されることを述べる.さらに情報記号数k=2,符号長n,最小距離dの(n,2,d)線形符号および情報記号数3の(n,3,d)線形符号を与えている.そして(n,2,d)符号がn≦125の任意の符号長に対しBVテーブル記載の最小距離限界に一致すること,即ち理論的限界式を完全に満たすことを示している.同様に(n,3,d)符号もn=8+7μ(μ=1,2,…)を除く任意の符号長において(BVテーブル)理論的限界式を満たすことを示している.これらの符号nη≧126の範囲においても最適性を満たすことが強く予想される.さらに情報記号数k=4,5,6および7に対する最適符号を構成し,具体例を示している.
著者
境 隆一 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.212, pp.131-138, 2002-07-12
被引用文献数
4

2001年7月開催のISEC研究会で同一題目の発表を行い,ペアリングの双線形性を利用した幾つかの暗号方式を紹介し,新しい署名方式も提案した.また,筆者等はID情報に基づく公開鍵暗号方式も幾つか提案した.本論文では同様に,ペアリングの双線形性を利用した新しい形の公開鍵暗号方式および署名方式を提案する.そして,提案方式と従来のペアリングを用いた方式との差について考察する.
著者
佐竹 賢治 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.702-710, 1996-03-25
被引用文献数
2

RSA 暗号は高いセキュリティレベルを有し, またディジタル署名も可能な優れた暗号方式として, 活発に研究されてきている. しかしこの暗号方式は暗号化, 復号にべき乗および剰余演算を繰返し実行する必要があるため, その処理時間が膨大になるという実用上の欠点を有している. 本論文では, このRSA暗号システムに適用可能な高速化べき乗剰余演算法を提案している. この手法は剰余演算に用いる法 (合成数) を工夫することによって, 剰余演算の処理ステップを大幅に削減し, 高速化を実現するものである. この手法をRSA暗号に適用した場合, 演算処理の高速化に加え, 公開鍵情報の短縮化といった著しい特徴を有する暗号システムの実現が可能となる. 本論文では, この高速べき乗剰余演算手法を適用したRSA暗号を, ユーザインタフェースとしての簡便さと安全性とを, トレードオフの関係のもとに自由に設定し得る実用的な暗号方式として論じ, その安全性等について考察を加えている.