著者
荒川 忠一 有賀 清一 飯田 誠
出版者
環境芸術学会
雑誌
環境芸術 : 環境芸術学会論文集
巻号頁・発行日
no.1, pp.13-19, 2001-12-25

風車の普及に伴い,景観との適合を含めた新しいデザインの機運が高まってきている。ドイツにおいてはハノーバーのEXPOと時を同じくして3台のアート風車が出現した。コペンハーゲン近<の海上には,美しい弓形に配置された20台の洋上風車が完成した。このように風車を単なるエネルギー機械として捕らえるのではなく,人々のメッセージを伝えるインスタレーションの役割を担わせることが可能となりつつある。本研究は,ヨーロッパ諸国の新しい風車のデザインやその背景を紹介しながら,「ヴァナキュラー風車」の提案を行うものである。つまり,エネルギー経済性の観点から大量に風車が設置される可能性があり,高さ100m近い大型風車が50年後には1都道府県あたり2,000台とも予想される。このような状況において,景観に適合することはもちろん,地域の文化や情報を発信することのできるデザインが必要となる。本来の風車の性能を維持しつつ,豊かなデザイン性を発揮するためには,風車タワーの形状,カラーリング,そして風車の配置などに工夫を凝らすことができる。東北地方および東京を具体的な対象地域として,ヴァナキュラー性を有した風車デザインの具体例を紹介する。
著者
加籐 太一 杉浦 淳吉 飯田 誠 荒川 忠一
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.56-66, 2008 (Released:2021-07-01)
被引用文献数
1

ゲームをコミュニケーション環境と捉えるゲーミングシミュレーションの視点から、プレーヤー間の会話分析手法について検討した。第 1に、プレーヤーの経験を記述する点で重要性が高い「ゲーム展開」発話群が抽出された。第 2には、それらの特徴を示すことを目的として (1)意思決定主体の所在、 および(2)時間性の 2要因からなる、より詳細な分類方法について検討した。その結果、前者における 「他者意思」群、後者における「未来」群に分類される発話の増減を時系列で検討することで、ゲームの特徴を記述しうることを明らかにした。ゲーミング評価研究においては萌芽段階にある会話分析の今後の可能性について展望した。
著者
鈴木 正己 荒川 忠一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.62, no.604, pp.4135-4141, 1996-12-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

The numerical methods for analyzing a fixed terminator type of wave energy conversion device are described under the condition that the linear water wave theory is applicable. Two methods are proposed in order to calculate the device characteristics of an air chamber. One uses the flow rate and the gage pressure in the air chamber directly, because the interaction between the oscillating water column and the turbine is found to be controlled only by the flow rate and the pressure drop through the turbine in this system. The other method uses the equation of the floating body motion in a manner similar to the equivalent floating body approximation. The relations between these two methods are also examined. The hydrodynamic performance with frequency from zero to infinity is required in the simulation of irregular waves. However, resonances occur when the air chamber breadth is equal to an integral multiple of a half wavelength. Therefore the impulse response function is modified in order to eliminate the effects of the resonance frequency. Finally, it is confirmed that these solutions give good agreement with the experimental data.
著者
橋本 篤 叶木 律子 早崎 宣之 山口 敦 梶原 史洋 荒川 忠一
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
日本風工学会論文集 (ISSN:13493507)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.17-26, 2010-01-31 (Released:2010-09-21)
参考文献数
20

The objective of this study is to investigate the differences in accuracies of wind predictions among four different meso scale meteorological models that will be used to develop a wind power prediction model. Hindcasts of winds are carried out using these models for four wind farms (three in Tohoku and one in Kanto districts). The performances of the models are discussed by comparing the simulated results with the wind data observed at these wind farms under different meteorological conditions. The results show that the meteorological models exhibit similar tendencies for general meteorological cases. On the other hand, significant differences are found in some cases such as those characterized by the passages of cold fronts, typhoons, and so on. The evaluations of the uncertainties in the meteorological model predictions show that the individual models have uncertainties of approximately 3 m/s in wind speed and 40° in wind direction. Additionally, the results also indicate that uncertainties attributable to the differences of the model design amount to only 10% of the total uncertainties, and that the initial and boundary conditions as well as the formulations of the models themselves can have more significant effects on the prediction accuracies.
著者
荒川 忠一 佐倉 統 松宮 ひかる 尾登 誠一 飯田 誠 山本 誠 松宮 輝
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

日本においても風車普及の方向性が明確になってきた。本研究においては、将来の大規模な風車導入に備えて、景観に適合しその地域のメッセージを発信できるヴァナキュラー性に根ざしたデザインを提言してきた。さらに、本研究の方向性を生かして、東京都臨海風力発電所が「東京らしさ」をメッセージにして2003年3月に運開することになった。はじめに、洋上風車などの新しい環境条件を導入し、エネルギー経済シミュレーションを行った。京都議定書の遵守などの条件を加えると、50年後にはエネルギーの8%を風車がまかなうことが要請されること、そのとき、日本においては1MWの風車が10万台導入する必要性があることを示した。高さが80mにもおよぶ大型風車を大量に導入するためには、景観適合のみならず、地域の文化や情報を発信できるデザインの必要性を訴えるとともに、いくつかの地域でデザインの試作を行った。海岸地域、田園地域、そして東京を対象とした。海岸地域では防風林の松のイメージ、あるいは小型風車にマッチングしたデザインなどを創作した。風況調査により、東京湾中央防波堤埋立地に風車に適した風があることを見出し、その成果を受けて大学院生の都知事への提言から、短期間で風車建設の事業が行われた。本研究において、「東京らしさ」をテーマにした様々なデザインや付帯設備を提案し、日本科学未来館のキュレータらとの社会学的な検討を加えた。最終的には、デザイナーの石井幹子氏を指名して緑と白の2色による世界初のライトアップを実現し、またインターネットで回転状況を配信する仕掛けを構築した。本研究の一環によるこのような実践は、新聞各紙の熱心な報道をはじめとして、社会的に評価を得ていること、また風車の今後の導入加速の方法となりえることを示した。本研究のさらなる発展として、日本らしい風車つまり海洋国日本の特徴を最大限に生かした超大型洋上風車の早期実現を提案していく。
著者
飯田 誠 荒川 忠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.266, pp.17-20, 2003-08-19
被引用文献数
1

東京湾で本格的な風力発電事業がはじまった.東京は風が弱く,風力発電は今まで難しいとされてきた.しかし,詳細な風況解析を行うことで東京湾内に商業ベースの風力エネルギーが存在することが明らかになった.本稿では,東京湾の風特性と現在稼動中の東京湾臨海風力発電所の概要,建設経緯に関して述べるとともに,東京湾で風力発電を行うことの意義,影響について述べる.