著者
石橋 智幸 脇屋 達 顧 優輝 真部 雄介 今野 将 菅原 研次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.119, pp.69-74, 2008-06-23

近年,WWWにおける情報過多という問題を解決するために,多種多様なWebページ推薦システムの研究・開発が行われてきた.しかしながら,それらの多くは推薦対象を限定した推薦システムであった.WWWにおいてユーザが必要とするWebページを適切に推薦するためには,推薦対象を限定せず、永続的個人化に対応するWebページ推薦システムの開発が必要不可欠である.そこで,本研究では推薦対象を限定しない汎用的かつ,個人化度合の高いWebページ推薦方式を提案する.提案する方式は,ソーシャルブックマークを用いたハイブリッド法をベースとする推薦方式である.
著者
荒谷 寛和 藤田 茂 菅原 研次
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.337-347, 2005-02-15
参考文献数
13
被引用文献数
5

近年,ウェブ情報検索の分野で,PageRankに代表されるウェブのリンク構造を用いたランキング手法が主流となってきている.しかし,著名なサイトや一般的なトピックが有利に評価される傾向があり,一方で重要な情報を含むページが低く評価されることがある.本論文では,ウェブページ間で内容の類似に基づく相互評価を行うことで,セマンティクスを考慮した検索手法を提案する.次に,本提案手法に基づいて,ウェブ検索システムを設計し,評価実験のための試作システムを実装した.評価実験では,フィルタとしてGoogleの検索結果上位200件を用い,本提案手法に基づく検索結果とGoogleの検索結果を比較した結果,提案手法が,検索者が望むランキングに近い結果であることを確認した.In recent years, link-based ranking methods of web pages, such as the PageRanking algorithm of the Google, have been developed in order to improve the quality of searching function. The PageRanking algorithm calculates ranking of web pages based on only the structure of hyperlinks among web pages without semantic relationships among web pages. Therefore, a page which many users want to obtain from the WWW might be ranked in a low position of a retrieved list when it is not so popular. In this paper, we propose a semantic-oriented ranking method which calculates ranking of web pages based on mutual evaluation among web pages which calculate an evaluating value of the objective web page according to key words and its own content. We designed and prototyped a retrieving system based on the proposed method. The experimental system retrieved and ranked sets of 200 web pages according to given key words, and the results were analyzed comparing to the ranking result of the Google for the same key words.
著者
菅沼 拓夫 藤田 茂 菅原 研次 木下 哲男 白鳥 則郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.1214-1224, 1997-06-15
参考文献数
8
被引用文献数
50

本論文では,やわらかいネットワークの概念に基づくやわらかいビデオ会議システムの機能を提案し,その試作を通して,提案した機能を評価する.やわらかいビデオ会議システムは,家庭やオフィス等で用いられる小形コンピュータやインターネット/LAN等の,必ずしも資源が十分でない環境下において,一般利用者によるビデオ会議の利用時の負担を軽減することを目的としている.そこで,やわらかいビデオ会議システムは,1)利用者要求および計算機資源の状況に応じたシステムの自律的構成,2)会議中のQoSの自律的調整,および,3)システムの自律的再構成の機能を持つ.これらの機能を評価するために,マルチエージェント指向アーキテクチャを採用したやわらかいビデオ会議システムのプロトタイプを試作し,実験を行った.その結果,エージェント間の協調動作により,やわらかい機能が実現可能であることが確認され,提案した機能の有効性が検証された.In this paper,we propose the functions of a flexible videoconference system based on the concept of flexible network and evaluate the proposed functions by implementing a prototype of the flexible videoconference system.The flexible videoconference system aims to reduce the burden of the users under the operational environment with insufficient computational resources such as an internet/LAN environment with the small-scale computers at home and offices. To do so,the flexible videoconference system has the following three functions.i,e.,1)autonomous system generation based on both the users' requirements and the resource conditions,2)autonomous control of the QoS,and 3)autonomous system reconfiguration.To evaluate the proposed functions,we design and implement a prototype of the flexible videoconference system based on an agent-based architecture.According to an experiment on this prototype,we show that the proposed fuctions can be realized by the cooperation of various agents of the prototype,and the proposed functions can help the users effectively.
著者
石橋 智幸 顧 優輝 脇屋 達 真部 雄介 菅原 研次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.211, pp.7-12, 2009-09-18

情報過多の問題を解決するために様々な推薦システムが研究,開発されてきたが,いずれも推薦対象を限定したものが多い.これは,個人の嗜好に関する情報の獲得の難しさや推薦対象であるWebページの情報が膨大であることに起因する.その一方で,近年,SNSの1つであるソーシャルブックマークの情報を利用する事で,個人の嗜好や有益な情報源を抽出するという新しいアプローチが注目されている.そこで,本研究では推薦対象を限定しない個人化度合が高い推薦を行うために,ソーシャルブックマークからアイテムグループ生成・推定し,ユーザの嗜好推定を行い,類似ユーザを見つけ,そこから嗜好に近いWebページを推薦するシステムを開発する.
著者
山口 智 福島 学 浮貝 雅裕 菅原 研次
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.32-33, 1989-10-16

大学の情報工学科の学生に、ソフトウェア開発の理論と実際を効果的に習得させるためには、導入教育をも含め体系化された演習教育が有効であると考えられる。その導入教育においては、用語の理解も非常に重要な意味を持つ。しかし、情報工学に関する知識をあまり持たない新入生に対し、多人数ゆえに、講義だけでは十分に理解させることは困難である。今回は、Smalltalk-80の対話型プログラミング環境を利用し、情報工学おける基礎概念および用語を、体験的に理解させることを試みたソフトウェア教育支援システムの概要およびその運用結果について報告する。
著者
永井 弘之 藤田茂 菅原研次
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.53, pp.29-34, 2006-05-19

自然言語処理システムに広く用いられているキー検索法として,トライ法があり,トライを表現可能なデータ構造として,ダブル配列がある.ダブル配列は,検索の高速性と空間利用率の高さを兼ね備えた,優れたデータ構造である.しかし,ダブル配列ではキーの検索時間に比べ,動的追加時間が遅い欠点がある.ダブル配列に対して,キーの動的追加を行うと,衝突が発生し,その回避に多くの計算量を要している問題がある.本論文では,ダブル配列において,遷移可能な次状態が単一であるシングル状態の多数性,およびシングル状態からの遷移先であるシングル要素の機動性を利用し,キーの動的追加時に生じる衝突を,効率的に回避することで,動的追加処理を高速化する手法を提案する.評価実験では,それぞれ10万件のデータを使用し,WordNet英語単語辞書で1.9倍,IPADIC日本語単語辞書で8.7倍,郵便番号で32.5倍,森田らの手法よりも高速に追加できることを確認した.Trie is a well known key retrieve method for natural language processing systems and the Double-array is a fastand compact data structure for a trie.However,dynamic key insertion time is not as fast as key sarch time,because of resolving collisions take a lot of time.A double-array has many single states and its successor is singlee elements.Single elements have a property that easy to reallocate.In this paper,We propose a efficient key insertion method by reallocating single elements to resolve collisions.The experimental results for 100thousand keys,it turned out that the propose method is 1.9to32.5 times faster than Morita's method.
著者
白鳥 則郎 木下 哲男 菅原 研次
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.639-644, 2002-06-15
参考文献数
11
被引用文献数
12

著者らが推進している次・次世代ネットワークに関する研究プロジェクトの概要と現状を述べる.具体的には,本プロジェクトの基盤である「やわらかいネットワーク」のコンセプトや研究経緯などについて説明する.次に,やわらかいネットワークの実現法の1つとして,現在,日本学術振興会・未来開拓プロジェクトの一環として進めている「動的ネットワーキング」に関する研究開発の現状を紹介する.
著者
真部 雄介 松嵜 晃司 菅原 研次
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.711-722, 2015-10-15 (Released:2015-11-13)
参考文献数
17
被引用文献数
1

加速度センサやジャイロセンサが搭載されたスマートフォンなどの携帯端末が広く普及したことを受け,そのようなセンサから得られる情報を元に,歩行者の状態や携帯端末の所持状態,あるいは人物識別を実現しようという取り組みが行われている.本研究では,人物識別を目指した既存研究の多くが,平地での歩行状態のみを対象としているものが多い点に着目し,複数の歩行状態で人物識別を実現する方法を提案する.具体的には,平地歩行・階段昇行・階段降行の3種類の歩行状態を識別し,歩行状態別に定義した識別器を用いて人物識別を実現する.10人の被験者を対象とした実験の結果,最も高い精度が得られた線形判別分析において,歩行状態識別率95.7%,人物識別率85.0%(平地歩行),90.0%(階段昇行),77.0%(階段降行)が得られた.また,歩行状態識別と人物識別を段階的に行った場合の人物識別率の推定値は80.4%となった.さらに,提案手法と歩行状態の区別をせずに人物識別を行った場合との比較を行った結果,使用した5種類の識別器(k近傍法,決定木,単純ベイズ分類器,線形判別分析,サポートベクターマシン)のうち,k近傍法を除く4つの識別器で提案手法による人物識別率が高くなり,歩行状態別に人物識別を行うことによる識別精度改善効果が確認された.
著者
真部 雄介 齋藤 隆輝 嶋田 弦 菅原 研次
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.988-1001, 2012
被引用文献数
4

バイオメトリクス認証技術の中でも行動的特徴を用いた手法の開発は,様々な分野での応用が期待される重要な研究課題である.行動的特徴を用いる方法の中で最も代表的なものは歩行・歩容(gait)認証であるが,近年では,歩行動作を正面から観測して個人を特定することが可能となってきている.正面観測による歩行認証は,人間が個人を特定する方法との親和性や歩行対象者を観測する機器の設置条件などの点で応用上優れた利点を備えているとされており,このような利点を生かした技術の開発は,ロボットへの自然な個人認証機能の実装や実世界の状況や文脈に応じて妥当な処理結果を出力するような個人適応型のコンピュータシステムの開発にとっても重要な意義があると考えられる.そこで本論文では,正面方向から観測が可能な特徴量である歩行時の頭部動揺時系列に加え,顔画像および身体骨格から計量される寸法を用いた個人認証手法を提案する.頭部動揺時系列,顔面寸法,身体寸法のそれぞれの類似性を DP マッチングおよびユークリッド距離により独立に評価し,評価結果をAND/OR演算またはファジィ推論により融合することで個人認証精度の向上を実現する.利用するこれらの特徴量は,一定の個人性を含んではいるものの,それ単体では必ずしも個人を特定することができないと考えられる特徴であり,ソフトバイオメトリクスと呼ばれるものの一種と考えることができる.7人の被験者に対する個人認証実験の結果,提案する融合方法によって,本人棄却率0%の下で平均他人受理率0%を達成した.単一の特徴量のみを用いた個人認証の場合と比べ,利便性を維持したまま照合精度を改善できることを示す.
著者
藤田 茂 菅原 研次 木下 哲男 白鳥 則郎
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.840-852, 1996-05-15
被引用文献数
98

本論文では 最初に従来の分散処理システムのサービス機能を実現する種々の計算機プロセスをエージェント化して構成されるエージェント指向分散処理システムADIPS (Agent-based Distributed Information Processing System)の概念とそのアーキテクチャを提案する. 次に ADIPSの構築を支援する枠組み(ADIPSフレームワーク)を提案する. そして 目的とする機能をエージェントの協調によって自律的に構成するための拡張契約ネットプロトコルを提案する. ADIPSフレームワークの特徴は次の4つに集約される. (1)利用者要求駆動で自律的にシステムが構成される. (2)障害発生などのイベント駆動で自律的にシステムの再構成が行われる. (3)自律的なシステムの構成/再構成のために エージェントは設計者・運用技術者の知識を利用する. (4)エージェント化により既存プロセスの系統的再利用ができる. さらに 本論文では TCP/IPネットワーク環境で試作されたADIPSフレームワークを用いたエージェント指向テレビ会議システムの試作と実験により 提案した枠組みの有効性を確認した.In this paper, first, we propose a new concept of Agent-based Distributed Information Processing System (ADIPS) and its architecture, which is constructed by agentification technology of various kinds of computational processes which provide services of conventional distributed information processing systems. Second, an ADIPS Framework which provides facilities of constructing ADIPS is proposed. Third, Extended Contract Net Protocol (ECNP)is proposed to provide a protocol for cooperation to construct and reconstruct organizations of ADIPS agents. The advantages of ADIPS Framework are (1) Autonomous construction of systems driven by user's requirements, (2) Autonomous construction of systems driven by events such as system troubles, (3) Heuristics of designers and operators is used by agents to construct and reconstruct organizations of agents to deal with tasks, (4) agentification makes reusability of existing processes more efficient. Finally, a prototype of the ADIPS Framework is developed in the distributed environment of TCP/IP network protocol, and an experimental system of a TV conference system based on the ADIPS architecture is developed to validate the ADIPS Framework.
著者
荒谷 寛和 藤田 茂 菅原 研次
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.196-212, 2006 (Released:2007-04-20)
参考文献数
21
被引用文献数
3

これまで我々は, ウェブ検索エンジンのランキング手法として, ウェブページ間相互評価手法を提案してきた. 従来のウェブページ間相互評価手法は, 適用対象とするウェブページ集合の中に高適合および適合ページが15%以上含まれていない場合に, ランキング精度が改善されないという課題が残されていた. この課題に対し, 本稿では, 新たにテキスト要約技術と適合度の推定を用いる評価関数を組み合わせる事で, 手法のランキング精度の改善を行った. 提案手法を評価するために, 第3回NTCIRワークショップのウェブ検索タスクで用いられたテストコレクションによる評価を行った. この結果, 従来手法で課題であった状況に対する改善が見られ, 同一のテストコレクションを用いた, 他の検索システムとの検索結果の評価尺度であるDCGによる比較において, 本手法がより良い順位付けを行っている事を確認した.