著者
藤原 祥裕 伊藤 洋 神立 延久 小松 徹
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.171-176, 2009-01-15 (Released:2009-04-11)
参考文献数
9

麻酔は手術などによる痛みから人類を救い, いわば人道主義のシンボルとして人類に大きく貢献したと評価されている. 近年, 有効かつ安全な鎮痛法として超音波ガイド下神経ブロックが大きな注目を集めているが, このような技術は, 従来の鎮痛法に比べ, 救急・集中治療領域でも応用可能であると考えられる. 今後世界的に, 正当な理由なく十分な鎮痛を施さないのは基本的人権の侵害であるとみなされる可能性がある. 麻酔科医は患者の痛みを取り除くため, 臨床・研究を通じて最大限の努力をする責務を負っているのみでなく, 他の専門分野の医療従事者にも有効な鎮痛手段について紹介していく必要がある.
著者
藤原 祥裕
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.844-851, 2017-11-15 (Released:2018-01-24)
参考文献数
1
被引用文献数
2

日本の周術期医療はマンパワー不足に悩んできたにもかかわらず,社会の医療に対する要求は高まるばかりである.こうした状況の中,周術期医療の質の向上と効率化を両立するためにはチーム医療による適材適所な人材配置が欠かせない.愛知医科大学病院では現在4名の周術期診療看護師が周術期医療に従事している.彼らは診療の補助として,麻酔科医の指示のもと術中麻酔管理,術後集中治療管理に当たっている.彼らは単に麻酔科医不足を解消するだけでなく,現場のコミュニケーションを円滑にし,当院周術期医療の質の向上と効率化に大きく貢献している.今後,周術期診療看護師は日本の周術期医療を大きく前進させる鍵になると考える.
著者
鈴木 敦夫 李 明哲 佐々木 美裕 鵜飼 孝盛 大山 達雄 三浦 英俊 栗田 治 田口 東 稲川 敬介 小市 俊悟 古田 壮宏 鳥海 重喜 藤原 祥裕 高松 瑞代 田中 健一 腰塚 武志 石崎 文雄 伏見 正則 腰塚 武志
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

都市内の災害時の人の流動に関する総合的な研究として,本研究ではテーマを3つ設定した.1)交通ネットワークシステムの頑健性と効率性の評価:道路,鉄道,航空網それぞれについて,GISデータ,時刻表,交通量データを用いて頑健性と効率性の評価を行った.2)緊急時の都市内・都市間流動に関するモデル:過大な交通量が流れているときの鉄道の遅延を記述する数理モデルを開発した.また,都市内で早急な避難が必要なほどの重大な事故が発生したときの都市内経路の解析について研究を進展させている.3)コンパクトな都市空間の設計原理:鉄道網の発達が平面を時間的に縮小させる効果について数理的に分析した.
著者
牛田 享宏 大迫 洋治 末冨 勝敏 小畑 浩一 石田 健司 藤原 祥裕 神谷 光広 石田 健司 藤原 祥裕 神谷 光広 小畑 浩一
出版者
愛知医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

四肢の不動化(ギプスやシーネの装着あるいは過度のベッド上安静)はしばしば不動化した部位の廃用とそれに伴う痛みが生じる。しかし、この痛みのメカニズムについてはまだ明らかにされていないのが現状である。そこで我々は独自に開発したギプス固定法による前肢拘縮モデルを作製し、痛みの発症のメカニズムに関与する脊髄後角における神経ペプチドであるCGRP、転写因子であるC-fosおよびアストロサイトの活性マーカーであるGFAP、ミクログリアの活性マーカーであるCD11 bについて調査した。また、後根神経節においてCGRP陽性細胞の大きさとその分布について調査を行った。更にこのような拘縮に対する運動療法の有用性を検証する目的での訓練の効果について調べた。その結果、ギプス除去後にギプス固定側の脊髄後角においてCGRP陽性線維の増加、C-fosタンパク陽性細胞の増加、GFAPおよびCD11bの染色性の亢進が観察された。これらのことはギプス固定により、脊髄後角においてミクログリアやアストロサイトの活性化亢進し、それを引き金として炎症性神経ペプチドの増加などが引き起こされていることが示唆された。同時に調べた後根神経節細胞レベルのCGRP分布パターンの変化は、同部位においても長期のギプス固定により、後根神経節細胞に感作や可塑的変化が引き起こされていることを疑わせるものと考えられた。今回のモデル動物では、ギプスから解放を行っても治療を行った患肢を使う傾向が乏しい。そこで、水中訓練や反対側のギプス固定などを行ったところ反対側のギプスによって、生活障害が引き起こされると患側を使うようになり自ら動かすようになることが判った。今後はタイミングや運動強度などについても検証を行っていく必要があるものと考えられた。