- 著者
-
藤巻 裕蔵
- 出版者
- 森林野生動物研究会
- 雑誌
- 森林野生動物研究会誌 (ISSN:09168265)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, pp.1-6, 2014
<p>1976~2013年の4月下旬~7月上旬(高標高地では~7月下旬)に北海道中部・南東部の887区画(4.5km×5km),調査路996か所でマミジロ<i>Zoothera sibirica</i>とトラツグミ<i>Zoothera dauma</i>の分布を調べた.これらが出現した区画数と調査路数は,マミジロで45区画(5%),48か所(5%),トラツグミで260区画(29%),279か所(28%)で,後者で有意に多かった.マミジロが山地だけに生息するのに対し,トラツグミは山地と一部平野にも生息する.生息環境別の出現率は,マミジロではハイマツ林で0%,常緑針葉樹林で7%,針広混交林で21%,落葉広葉樹林で6%,農耕地・林で1%,それ以外の環境では0%であった.トラツグミではハイマツ林で0%,常緑針葉樹林で60%,針広混交林で54%,落葉広葉樹林で46%,カラマツ人工林で44%,農耕地・林で22%,農耕地で11%,住宅地で2%であった.マミジロの標高別出現率は,200m以下で1%,201~400mで7%,401~600mで17%,601~800mで25%,801m以上で17%で,トラツグミの標高別出現率はそれぞれ25,42,30,10,17%で,マミジロの方が高標高に生息する.</p>