著者
嶋村 正樹 西山 智明 榊原 恵子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

コケ植物の系統基部に位置するナンジャモンジャゴケとコマチゴケを用いて陸上植物の初期進化を明らかにするための研究基盤整備を進めた。ナンジャモンジャゴケの葉緑体全ゲノム配列情報を公開した。ナンジャモンジャゴケの粘液毛内部のハルティヒネット様構造から単離された菌類は,ツツジ科植物から単離された子嚢菌と近縁であることが示された。これまでのところコマチゴケのゲノムサイズは約3.5Gbと推定している。多くの発生,形態形成関連遺伝子について,タイ類のモデル植物であるゼニゴケゲノムと同様,遺伝子重複が少ないことが明らかになった。
著者
長谷部 光泰 倉谷 滋 嶋田 透 藤原 晴彦 川口 正代司 深津 武馬 西山 智明 岡田 典弘 阿形 清和 河田 雅圭 郷 通子 豊田 敦 藤山 秋佐夫 望月 敦史 矢原 徹一
出版者
基礎生物学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本領域の目的である、多様な研究から「複合適応形質進化の共通メカニズム」を推定するという総合的研究を展開する、進化生物学とゲノム生物学を融合させる、を実現するため総括班を有機的に組織し、下記の活動を行い、効率的に連携できた。(1)領域会議を年2回、インフォマティクス情報交換会を5年で18回、ニュースレターを5年で63号発行し、領域内での情報共有、共通意識形成を行った。(2)ゲノム支援活動として実験方法のアドバイス、ゲノム配列決定支援、外部委託についてのアドバイス、各班のインフォマティクス担当者などに指導を行った。(3)形質転換実験技術支援を行った。(4)国内、国際シンポジウムをほぼ毎年開催した。
著者
西山 智明
出版者
金沢大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

ヒメツリガネゴケ、イヌカタヒバの全ゲノムショットガンシークエンスリード断片配列データから相同遺伝子の配列を探索、構造を予測し、データベースから探索した相同遺伝子の配列ととも遺伝子系統樹を再構築するシステムを作成した。系統解析については、基礎生物学研究所生物進化研究室と共同で進め、被子植物で発生に関わる遺伝子を含む460遺伝子ファミリーについて系統解析を行った。結果として、シロイヌナズの発生に関わる遺伝子の約80%についてヒメツリガネゴケでもオーソログ候補が見つかり陸上植物進化の初期から保存されていることがわかった。さらに、遺伝子ファミリーを構成する遺伝伝子が、系統の分岐後に系統毎に遺伝子数を増加させている例が転写因子などに多数見つかった。また、ほとんどの系統で数が少数に維持されている遺伝子群は、細胞周期、細胞骨格、クロマチン修飾、光シグナル伝達に関わる因子に多かった。こうした遺伝子は、植物の生命活動維持に本質的に関わる物であって、ヒメツリガネゴケでは少数しかないが、被子植物の系統では多数に増えているような遺伝子が2倍体の多細胞体制の進化、特に2倍体の複雑化に関与していると予想される。上記系統解析で浮かび上がって来た植物ホルモン、ジベレリン信号伝達系について、ヒメツリガネゴケでは、被子植物と同様のジベレリン信号伝達系は働いていない事を明らかにした。5'SAGEに加え、計画班「下等植物の進化・多様性に関するゲノム研究」と共同で2倍体1ライブラリー1倍体4ライブラリーについて454システムを用いた3'末端配列決定を行い、各ライブラリーについて約40万個のmRNAの3'末端配列を決定した。このデータと、国際コンソーシアムとJGIと共同で進めたヒメツリガネゴケ概要ゲノム上の遺伝子を対応づけることで2倍体特異的に発現している遺伝子の同定を進めつつある。