著者
樋口 景介 千葉 雅俊 高橋 哲 越後 成志
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.98-102, 2013-02-20 (Released:2014-11-29)
参考文献数
14
被引用文献数
1

We report two cases of alveolar osteonecrosis and tooth loss caused by trigeminal herpes zoster infection.A 69-year-old man and a 73-year-old man were referred to our hospital after the onset of herpes zoster infection of the third ramus of the right trigeminal nerve. The first patient had alveolar osteonecrosis and spontaneous teeth exfoliation (5 4 3) 15 days after the onset of herpes zoster infection. He was given a diagnosis of mandibular carcinoma by his dentist. The second patient had teeth mobility (4 3) 4 days after the onset of herpes zoster infection. He was given a diagnosis of acute necrotizing ulcerative gingivitis by his dentist. In both patients antibiotic therapy and local irrigation were performed, and the separated necrotic bone was removed step by step. In the second patient the right lower canine, which had grade III tooth mobility, was extracted 55 days after treatment. After final removal of the necrotic bone, cure was obtained.Although both patients showed a typical clinical course of herpes zoster infection, their dentists could not make a correct diagnosis. Therefore it is necessary to be aware that alveolar osteonecrosis and tooth loss can be caused by trigeminal herpes zoster infection. Minimum surgical treatment may be effective for such complications.
著者
鎌倉 慎治 越後 成志 鈴木 治 松井 桂子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

種々のリン酸オクタカルシウム(OCP)・コラーゲン複合体(OCP/Col)を用いてその骨再生能について検討し、(1)OCP/Colは細胞の増殖や接着を促進し、(2)小型動物の埋入試験でOCPの含有量に依存して骨再生能が向上し、生じた新生骨の骨質は経時的に増強し、正常骨組織に匹敵する力学特性を示すこと、(3)大型動物での種々の埋入試験によってその十分な骨再生能を確認し、これら一連の成果によって世界初のOCP/Colを用いた臨床研究を実現するに到った。
著者
佐々木 元樹 越後 成志 松田 耕策 安藤 良晴 田原 孝之 斎藤 哲夫 森 士朗 飯塚 芳夫 山口 泰 手島 貞一
出版者
東北大学
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.123-129, 1985-12-31
被引用文献数
1

口腔外科領域の重篤な感染症は, 抗生物質の進歩により減少の傾向にあるが, 今回, 口腔底蜂?織炎より頸部にまで炎症の波及した重篤な1例を経験したので報告する。症例は, 25歳男性, 昭和58年9月15日頃より区部歯肉に落痛, 腫脹を自覚し, 9月21日某歯科にて厄を抜歯されたが, 嚥下障害強度なため, 処方された抗生物質を服用できず, また連休にかかったため, 歯科医を転々と受診した後, 9月25日当科を受診した。左側口腔底蜂軍織炎の診断のともに, 左側顎下部および口腔底に切開を加えたが排膿はなく, また, 抗生物質の点滴静注にもかかわらず, 炎症が右側まで拡大したため, 願下部並びに右側の顎下部, 口腔底にも切開を加えたが, 38〜39℃の弛張熱が続いたため, 敗血症を疑い血液培養を行なったが陰性だった。症状が改善しないため右側頸動脈三角への炎症の拡大を疑い, 胸鎖乳突筋前縁部に切開を加えたところ排膿および同部結合組織の壊死を認め, 切開後は次第に症状は緩解した。本例が重篤な症状を呈するに至った原因として, 炎症の急性期における抜歯と, 抜歯後, 処方された抗生物質を服用できなかったこと, 感受性試験で有効と思われた抗生物質が著効を示さなかったことなどが考えられるが, このような重篤な感染症では抗生物質にのみ頼ることなく, 適確な切開排膿の処置を施すことが重要と思われた。
著者
幸地 省子 松井 桂子 飯野 光喜 高橋 哲 玉木 祐介 森川 秀広 福田 雅幸 君塚 哲 熊谷 正浩 斎藤 哲夫 猪狩 俊郎 山口 泰 越後 成志 手島 貞一
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, pp.972-983, 1993
被引用文献数
29 2 2

The aim of this study was to clarify the factors which influenced the successful of bony bridging following bone grafts into the alveolar cleft with autogenous particulate cancellous bone harvested from iliac bone.<BR>The bone bridge build up in the alveolar cleft was assessed by periapical radiographs taken before and 18-23 months after the operation. Successful bony bridging defined as a bone bridge with a vertical height of greater than about 11mm, was observed in 123 of all 202 clefts. The frequency of successful bony bridging decreased with increasing severity of cleft type. Successful bony bridging was achieved in 81.8% of unilateral cleft lip and alveolus patients and in only 45.2% of bilateral cleft lip and palate patients. Moreover, the frequency of successful bony bridging was significantly negatively correlated with the width of the cleft. The present study has clearly shown at least two major determinants of successful bony bridging: 1) the cleft type, and 2) the width of the cleft.
著者
山田 和祐 角田 哲 篠木 邦彦 梅津 康生 遠藤 義隆 阿部 洋子 川村 仁 丸茂 一郎 藤田 靖 林 進武 猪狩 俊郎 飯塚 芳夫 越後 成志
出版者
東北大学
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.133-144, 1983-12-25
被引用文献数
1

昭和50年11月1日から, 昭和58年8月31日までの最近8年間に, 本学第一口腔外科を受診した歯科治療時の偶発症患者460名について, 臨床的検討を行なった。偶発症の症例は, 口腔外科治療時の偶発症, 保存治療時の偶発症に分類し, さらに症例を細別して検討を行なった。偶発症患者460名のうち, 男性は207名で, 女性は253名であった。偶発症別で最も多いのは, 歯根破折による抜歯中断で, 偶発症患者総数の28.5%であった。年齢別では, 20代, 30代に集中してみられ, 両者あわせて266名で, 偶発症患者総数の57,8%であった。発症より当科来院までの期間別では, 当日より3日目までの来院が170名で, 偶発症患者総数の40.0%であった。
著者
越後 成志
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

当研究科で開発した骨再生材料であるoctacalcium phosphate(OCP)と豚皮膚由来のアテロコラーゲンとの複合体は自己修復不可能と言われる骨欠損へのインプラントで骨架橋を形成したが、組織学的所見で、僅かではあるが母床骨と異なっており、形成された骨が歯科矯正的な歯の移動に際し障害を与えることが考えられた。そこで、イヌに人工的な顎裂を形成し、顎裂部へ骨再生材OCP/Collagen埋入後、イヌ自身の骨髄穿刺液を播種した群と播種しない群とで骨形成を比較することを目的とし実験した。その結果、骨再生材料(OCP/Col)へ骨髄穿刺液を播種した群の骨形成がよりよい骨形成が得られた。
著者
高田 雄京 奥野 攻 越後 成志 菊地 聖史 高橋 正敏
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

静磁場による骨の成長誘導の可能性を調べるため、耐食性に極めて優れた無着磁および着磁白金鉄磁石合金(Pt-59.75at%Fe-0.75at%Nb)をウィスターラットの両側脛骨にそれぞれ1〜12週埋入し、骨親和性と静磁場刺激による骨誘導を光学顕微鏡とX線分析顕微鏡を用いて評価した。同時にコントロールとして、骨および生体親和性の高いチタンおよび生体用ステンレス鋼(SUS316L)においても同様の実験を行い、それぞれの骨成長を比較検討した。その結果、静磁場の有無に関わらず白金鉄磁石合金表面に形成する新生骨のCa/Pは、チタンや生体用ステンレス鋼と同等であり、皮質骨との有意差はなかった。また、4週以降では、いずれも埋入金属全域を新生骨が覆い、白金鉄磁石合金に形成した新生骨は、静磁場の有無に関わらず微細領域においても皮質骨と同等のCaとPの分布を示し、十分に成熟した骨であることが明らかとなった。これらのことから、白金鉄磁石合金に形成する新生骨の成熟度、形成形態、形成量は静磁場の有無に依存せず、いずれもチタンに準じ、生体用ステンレス鋼よりも優れていることが明らかとなった。特に、白金鉄磁石合金において、静磁場の有無に関わらず生体為害性が全く現れなかったことから、生体内で利用できる磁性材料としての可能性が非常に高いことが示唆された。しかし、白金鉄磁石合金の形状が小さく局所的で強力な静磁場が得にくいことや、ウィスターラットの骨代謝が速いことから、本研究課題の期間内では静磁場による骨の成長速度の相違を明瞭に見出すことができなかった。今後の課題として、局所的で強力な静磁場を付与できる磁石とラットよりも骨代謝の遅い動物を用い、静磁場刺激による骨の成長誘導を試みる必要があると考えられる。
著者
越後 成志 橋元 亘 森川 秀広
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

我々は、IL-18の抗腫瘍効果の詳しいエフェクター細胞に関してマウスの系を用いて解析を行い、その抗腫瘍効果のエフェクター細胞がNKT細胞ではなくNK細胞であること(論文投稿中)、またIL-18がNK細胞を活性化し腫瘍細胞をアポトーシスに陥らせる結果、樹状細胞を介して効率良く腫瘍特異的CTLを誘導すること(Tanaka et al. C. Res. 2000,60:4838-4844)などを明らかにしてきた。平成13年度は、ヒトでのIL-18の抗腫瘍効果、特にその詳しいエフェクター細胞の解析を行った。ヒト末梢血をHuIL-18で14日間刺激・培養し、リンパ球の表面マーカーの変化を解析したところ、CD3-D56+(NK)細胞が著明に増加することが分かった。また、その際の培養液中のIFN-γ産生量をELISA法にて測定したところ,IL-2単独で培養した場合と比較して、多量のIFN-γ産生がみられることを明らかにした。IL-18の添加培養でNK細胞が増加していること、またIFN-γの産生増強がみられたことより、IL-18がヒトにおいても抗腫瘍効果を発揮することが予想された。そこで次に、IL-18により活性化されたリンパ球が腫瘍細胞に対してアポトーシスを誘導するかどうかを検討した。HuIL-18を添加培養したヒト末梢血リンパ球とヒト腫瘍細胞株とを8時間共培養した後、腫瘍細胞をAnnexin-V, Phi-Phi-Lux, PI等で染色することによりアポトーシスの検出を試みた。その結果、IL-2単独で培養した場合と比べてIL-18+IL-2で培養したとき、腫瘍細胞のアポトーシスが増強された(論文準備中)。以上のことより、ヒトの系においてもIL-18が抗腫瘍効果を有することが明らかになり、ヒト悪性腫瘍治療への臨床応用の可能性が示唆された。