著者
松木 拓弥 鈴木 秀男
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.117-125, 2018-09-01 (Released:2018-09-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究では,メジャーリーグ(MLB)の2015 年シーズンの投球の質に関するトラッキングデータとセイバーメトリクス指標を用いて投手の能力を評価する.そのために,共変量シフトに対応した転移学習を導入し,トラッキングデータからセイバーメトリクス指標を予測するモデルを構築する.更に,そのモデルに基づく予測値と実測値の差から投手の能力を検討する.
著者
山神 真紀子 鈴木 秀男 長谷川 就一 中島 寛則 平生 進吾 若松 伸司
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.273-283, 2008-09-01
参考文献数
31
被引用文献数
6

名古屋市における国道23号沿道において,PM_<2.5>およびoptical black carbon (OBC)の測定を2003年9月30日から10月10日まで行った。その結果,PM_<2.5>の平均濃度は76.5μg/m^3 (n=234),OBCの平均濃度は15.5μg/m^3 (n=241)であった。OBCがPM_<2.5>に占める割合は平均22.3%であった。OBC濃度と大型車交通量との間には正の相関があり,特に道路に対して風下,風速3m/s以上の条件では強い相関関係が見られた。また,同時にelemental carbon (EC)も測定し,OBCとECとの間には直線関係が見られた。これらの関係とNO_x濃度を用いてECの排出係数を推定したところ大型車に対して368mg/km・台という値が得られた。また,拡散計算を用いてECの排出係数を推定した結果は大型車に対して261mg/km・台であった。また,一般環境中における一日ごとのPM_<2.5>とECの測定を2005年1月から2006年12月まで行った。その結果,PM_<2.5>の2005年の平均濃度は23.1μg/m^3 (n=193),2006年は24.6μg/m^3 (n=182)であった。ECは2005年,2006年ともに平均濃度が3.2μg/m^3となり,ECがPM_<2.5>に占める割合は,2005年が15%,2006年は14%であった。また,EC濃度は月曜日から金曜日までの平日は濃度が高く3.5μg/m^3であるのに対し,日曜日には2.0μg/m^3となり,平日よりも約40%濃度が低下していた。求めた排出係数を用いてADMER(産総研一曝露・リスク評価大気拡散モデル)を用いて2005年の大気中濃度を,月別に推計したところ,計算値のEC濃度変動は実測直の変動と類似したものとなった。
著者
高橋 大地 鈴木 秀男
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.139-145, 2005-01-15

国民的人気を得たプロ野球も,現在その球団経営は大きな岐路に立たされている.プロ野球チームは現在まで親会社の広告塔としての役割が強かった.しかしながら,近年の不況の中,親会社に頼って赤字経営を続けることは難しい立場となり,自立を迫られるようになってきている.このような状況の下,プロ野球界はファンと球団の距離を縮めるためにマーケティングとプロモーションをもっと有効に活用すべきであり,顧客であるファンの要望を把握することが重要であると考えられる.本研究では,従来のサービス品質,顧客満足度,ロイヤルティの研究を踏まえて,プロ野球チームに対するロイヤルティと満足度に関する調査研究を行う.具体的には,ファンの意識や要望を把握するために,特定のプロ野球チームを応援しているファンを対象にアンケート調査を行い,プロ野球チームに対する愛着心(チーム・ロイヤルティ)や満足度にどのような要因がかかわっているのか,また,ファンが球団に対して何を望んでいるのかを,因子分析,共分散構造分析,そしてテキストマイニング手法を用いた解析によって検証する.
著者
鈴木 秀男 宮田 知明
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.71-79, 2002-04-15
被引用文献数
2

世界の経済活動におけるサービス産業の役割はますます増加し, サービスをどのように顧客に提供し, 満足してもらうかというサービス・マーケティングの問題が重要となっている.また, 成熟市場において, 既存顧客をどのように維持していくか, すなわち顧客ロイヤルティの向上に重点が置かれている.本研究では, ファーストフード業におけるサービス・クオリティ評価の構造化とサービス・クオリティ, 顧客満足度とロイヤルティとの関係を調べるための構造モデルの構築を行う.適用例として, マクドナルドとモスバーガーの2つのファーストフードチェーンを取り上げる.
著者
岩本 大輝 鈴木 秀男
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.245-258, 2022-03-22 (Released:2022-03-23)
参考文献数
42

世界中で女性の労働参入が進んでいる.日本でも女性活躍は進んでいるが,女性管理的職業従事者割合は世界と比して極めて低い.この課題の要因としてワーク・ライフ・バランス(WLB)問題がある.企業はWLB支援施策を採用,もしくは採用を検討しているが,施策が階級別女性比率に与える影響や施策間の影響関係が不明瞭であり,検討困難な現状がある.本研究はWLB施策の組合せ効果や施策間関係が女性活躍に与える影響に注目し,日本企業604社のWLB支援施策情報にベイジアンネットワーク分析を行った.結果として,従業員女性比率には残業時間の削減策,管理職女性比率には在宅勤務,部長以上職女性比率には在宅勤務と保育設備・手当の採用が有効であるとともに,これらの施策の採用に影響を与える基礎的な施策(例えば,有給休暇取得の奨励策など)から順を追って採用し,労働環境を整えることが施策の有効化につながるという示唆をえた.
著者
池本 駿 鈴木 秀男
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1-9, 2019-04-15 (Released:2019-05-15)
参考文献数
29

文部科学省が2014年に実施した調査によると高等教育中退者は約8万人である.しかしながら,高等教育中退後の就職,転職等のキャリアパスに関して個人レベルでの分析は焦点があてられてきていないのが現状である.本研究では,個人レベルでの調査・分析を指向して,2018年1月にWebアンケートを行い,調査時点で就業している高等教育中退者と高卒労働者の323サンプルを集めた.質問項目には初職の就業形態・現職の就業形態・2017年度の年収に加え,高校時代・高等教育時代・家庭背景等を含んでいる.条件付確率を用いたベイジアンネットワークにより高卒労働者と比較することで高等教育中途退学が就業形態や賃金に与える影響の因果関係を明らかにした.
著者
鈴木 秀男 松尾 博文 アラウス リタ
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.28-39, 2009-04-15

近年,優良製造企業を中心に,日本の品質管理水準の低下を指摘,憂慮する声が頻繁に聞かれるようになった.経営環境の変化とそのスピード,価格競争の激化,商品サイクルの短期化などへの対応に企業活動の重点が移行し,経営トップの品質意識の低下,社内教育の縮小,現場管理者および従業員の数の縮小と品質改善意欲と能力の低下等を招いているとされる.一方で,品質はものづくりの中核的な概念であり,品質管理の基本に回帰し,この問題を再検討する必要があるとも認識されている.そのために,日本の品質管理の調査研究を実施することにより,現場による品質管理の現状と変化の認識を計量的に把握して,それらの水準の低下が生じているかどうかを実証し,どのような品質管理要素の向上を図るべきかを考察することは重要である.本論文では,2004年12月から2005年2月に東証1部上場企業の製造企業を対象にして品質管理に関するアンケート調査を実施し,品質管理基盤実践要素(例えば,経営トップのリーダーシップ,人的資源管理など),品質管理中核実践要素(例えば,製造プロセス管理)と品質成果の現状と中期的な変化について,現場認識の検証を行った.また,品質管理の基盤実践要素→中核実践要素→品質成果の因果関係の仮説モデルを仮定し,共分散構造分析に基づきモデル推定を行い,どのように品質管理実践要素が品質成果に影響を与えるかを検証した.さらに,品質成果に大きく影響を与える一方で,現状水準や変化の度合の低さが見られる品質管理実践要素を明確にした.これらの結果に基づき,品質管理のあるべき枠組みを再検討した.
著者
鈴木 秀男
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,Fornellら(1996)によって開発されたACSIにおけるモデルで採用している尺度変数、潜在変数を参考にしながら、サービス品質,顧客満足度,顧客ロイヤルティの関連性を示した構造モデルを示した.また,Schmitt(2000)により発展した経験価値の概念の導入を検討した.これらのモデルに基づき,サービス品質,顧客満足度,顧客ロイヤルティのスコアを算出した.調査対象としてプロ野球のサービスを取り上げ,インターネット調査を2009年,2010年および2011年の1月下旬に行った.モデルとして,サービス品質(チーム成績,チーム・選手,球場,ファンサービス・地域貢献,ユニホーム・ロゴ)→総合満足度→応援ロイヤルティ→観戦ロイヤルティの構造モデルを構築し,チームごとに構成概念スコアを算出した.また,経験価値に関するモデル構築およびスコアの算出を行った.最後に,算出された構成概念スコアの妥当性を検証するために,それらのスコアと平均観客数との関係性について調べた.