著者
関 喜一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.58, pp.87-90, 2011-05-13

電子情報技術を活用した視覚障害者のための歩行支援技術の変遷を概説する.1960年代より,電子技術を活用した歩行補助装置なるものの開発が始まった.この時代の歩行補助装置は主に超音波センサを用いた障害物探知機であった.これらの機器は視覚障害リハビリテーションへの導入が試みられたが,やがて下火になった.その後,障害物探知機ではなく,視覚障害者のナビゲーションシステムがさかんに開発された.やがて,互換性のないナビゲーション技術が乱立する状態になった.現在,これらの技術の標準化が進められている.
著者
関 喜一
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.71-74, 2001-05-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

本稿では,視覚障害者のためのVR技術について,晴眼着用VRとの違いについて述べ,次に聴覚と触覚に情報を提示する形式にわけてその原理と応用例を紹介した.聴覚VRについては,頭部伝達関数を用いた音響VRの原理と,視覚障害児教育への応用例,及び視覚障害者歩行補助への応用例を紹介し,続いて視覚障害者の障害物知覚について説明し,その訓練を行うための音響VR技術の例を紹介した.また,過去に行われた歩行補助装置の研究についても概説した.触覚VRについては,数少ない研究事例の中から,ピンディスプレイを用いた視覚障害者用3次元触覚情報提示装置の研究を紹介した.
著者
関 喜一
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.71-74, 2001
被引用文献数
1 2

本稿では,視覚障害者のためのVR技術について,晴眼着用VRとの違いについて述べ,次に聴覚と触覚に情報を提示する形式にわけてその原理と応用例を紹介した.聴覚VRについては,頭部伝達関数を用いた音響VRの原理と,視覚障害児教育への応用例,及び視覚障害者歩行補助への応用例を紹介し,続いて視覚障害者の障害物知覚について説明し,その訓練を行うための音響VR技術の例を紹介した.また,過去に行われた歩行補助装置の研究についても概説した.触覚VRについては,数少ない研究事例の中から,ピンディスプレイを用いた視覚障害者用3次元触覚情報提示装置の研究を紹介した.
著者
大内 誠 菊地 拓也 尾崎 千尋 関 喜一 岩谷 幸雄
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.95, 2012

<B>【研究の背景と目的】</B><BR> 白杖を持って歩道を歩いているとき、視覚障害者が最も危険を感じるのは、近づいてくる自転車であると言われている。事実、視覚障害者が自転車と衝突したり、接触して白杖を折られたりする事故が多発している。このような事故から自分自身を守るためには、自転車などの移動障害物がどの方向からどれくらいのスピードでこちらに近づいてくるのかを認識し、とっさに回避する能力を身につける必要があるが、そのような訓練手段はほとんど存在しない。そこで、私たちは、仮想聴覚ディスプレイの技術を応用し、移動物体の位置や移動方向を音像だけで表現するゲームを開発した。これを用いて訓練することにより、移動障害物の回避能力を安全に効率的に向上させることが本研究の目的である。<BR><BR><B>【開発ゲーム概要】</B><BR> プレーヤはWiiリモコンを搭載したヘッドホンを装着し、手にもWiiリモコンを持つ。プレーヤは向かってくる移動物体の音像を聞き分け、自動車(今回は自転車ではなく認識し易い自動車の音を用いた)ならば回避行動を取り、アイテムならば腕を振ってそれを取得する。アイテムを取得できると得点が加算され、自動車に当たると減点される。移動速度は自動車もアイテムも時速25キロメートルである。<BR><BR><B>【訓練効果の検証と結果】</B><BR> 訓練効果を検証するため22名の晴眼者に対して実験を行った。この内半数の11名に対して7日間~10日間の訓練を実施した。訓練は1日当たり3ゲーム(1ゲーム当たり60秒のプレイ時間)連続で行った。また、22名全員に対して訓練の初日と最終日に、転がってくるボールを目隠しした状態で回避する実験を行った。その結果、訓練を行ったグループの衝突回避猶予時間が有意に短縮され、移動障害物が近づいて来た際にとっさに回避行動に移れるようになったことが証明された。なお、訓練を行っていない残りの11名のグループでは衝突回避猶予時間に変化はなかった。以上の点から、本ゲームは移動障害物を認知回避する能力を向上させるために有効であることが明らかとなった。
著者
布川 清彦 井野 秀一 関 喜一 酒向 慎司
出版者
東京国際大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

本研究の目的は,視覚障害者の環境認知における白杖を用いて能動的に作られた音の効果を実験的に検証することである.目的を達成するために次の4つの研究を計画した.研究1:白杖によって作られる音情報(反響音の物理的効果)の分析,研究2:白杖 によって作られる音情報における人の効果検証,研究3:白杖によって作られた音情報の効果検証,研究4:総合考察.本年度は,研究1と2を実施した.研究1と2の両方で,推定する対象を硬さにした.硬さを推定する対象としては,一辺の長さが300mmの正方形で,その厚さが12mmであるゴム板を用いた.また,使用する白杖には,視覚障害者に広く用いられているアルミニウムの主体とペンシルチップ(石突き)を用いた.研究1では,人を介在させずに機械的に一定の高さから白杖の先端を自動的に落とす装置を作成した.この装置を用いて,機械的に対象を打った時の音を録音した.ゴムの硬さは,20度から10度刻みで90度までの8種類を用意した.そして,周波数分析を行うプロトコルを作成して,周波数分析を行い,硬さに対する基本的な白杖の打撃音の特性を検証した.研究2では,白杖ユーザが利用する代表的な3種類の握り方を条件として,視覚障害白杖ユーザと晴眼大学生を実験参加者として,白杖で対象となるゴム板を叩き,触覚情報と音情報の両方を利用して主観的な「硬さ感覚」と「空間の広さ感覚」をマグニチュード推定法を用いて硬さを推定する実験を行った.研究1の一部について,国内学会で発表し,そのプロシーディングを出版した.