著者
齋藤 利則 米田 千恵 飯島 久美子 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.63-66, 2005-01-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
9

Seasoned tuna meat dzuke in Japanese, was prepared from bigeye tuna meat by using a contact dehydration sheet (CDS), and the effect of CDS on the permeation of seasoning into the tuna meat was examined. The tuna meat decreased in weight by 0.71% during a CDS treatment at 2°C for 1h. After soaking in soy sauce seasoning at 2°C for 2h, the CDS-treated and-untreated samples had respectively decreased in weight by 0.64% and 1.39%. Both the color difference (ΔE*ab) and sodium chloride concentration in the inner parts of the CDS-treated samples were significantly higher than those of the untreated samples after soaking in the seasoning for 1h, suggesting that the CDS treatment was effective for permeating seasoning into the tuna meat. A sensory evaluation also revealed that the CDS-treated samples were significantly higher in saltiness, soy sauce color, and overall preference as dzuke than the untreated samples.
著者
飯島 久美子 小西 史子 綾部 園子 村上 知子 冨永 典子 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.154-162, 2006-04-20
参考文献数
20
被引用文献数
2

A questionnaire survey was conducted to identify the regional variety of Japanese New Year's dishes and how they are prepared. Questionnaires were sent out to students of universities and colleges throughout Japan in December 2001 and 2608 questionnaires were collected in January 2002. Japanese soba was eaten by 74.8% of Japanese on New Year's eve, while Okinawa soba was eaten by 58.8% in Okinawa. Osechi dishes were eaten by 79.6% during the New Year period, most being homemade although some were bought from shops. Kuromame was most commonly eaten, followed by boiled fish paste, cooked herring roe, cooked sweet-potato paste, cooked vegetables, cooked sardines, fried eggs, rolled kombu and vinegared dishes. The cooked vegetables and vinegared dishes were mostly homemade, while fried eggs and boiled fish paste were mostly purchased from shops. The popularity of Japanese New Year's dishes varied according to the region although it has decreased compared to that of 23 years ago.
著者
郡山 貴子 飯島 久美子 小西 史子 佐藤 瑶子 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.174-181, 2017 (Released:2017-10-20)
参考文献数
32
被引用文献数
5

多収穫を特徴とするムクナ属マメは,L-DOPAを乾燥種子中に3-9%と多く含有するため,食品としての利用は限られている。ムクナ豆の利用として味噌に着目し,種々の条件の組み合わせによる4種類:米麹辛口,米麹甘口,麦麹甘口,および米麹甘味噌を調製し,発酵中の外観及び成分変化を測定した。比較のため同じく4種類の大豆味噌を調製した。pH,酸度Ⅰ・Ⅱ,たんぱく質溶解度,および色測の値より,ムクナ豆味噌はいずれの種類においても大豆味噌と同様な熟成過程を経て味噌になった。ムクナ豆味噌のL-DOPA量は仕込み直後には味噌湿重量 100 g中 0.14-0.26 g残存していたが,発酵開始後は直線的に低下し,味噌完成時には検出されなくなった。官能評価の結果,ムクナ豆味噌の総合評価は大豆味噌に比べて高い傾向を示し,中でも米麹を用いた甘口味噌の評価が高い傾向がみられた。ムクナ豆米麹甘口味噌の抗酸化能は大豆米麹甘口味噌よりも有意に高く,DPPH法では1.7倍,ORAC法では4.5倍高値を示した。これらのことより,ムクナ豆を主原料とした味噌は発酵過程でL-DOPAが消失し,嗜好性が良好で,抗酸化能にも優れることが示された。
著者
飯島 久美子 小西 史子 綾部 園子 村上 知子 冨永 典子 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.154-162, 2006-04-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
20

A questionnaire survey was conducted to identify the regional variety of Japanese New Year's dishes and how they are prepared.Questionnaires were sent out to students of universities and colleges throughout Japan in December 2001 and 2608 questionnaires were collected in January 2002.Japanese soba was eaten by 74.8% of Japanese on New Year's eve, while Okinawa soba was eaten by 58.8% in Okinawa. Osechi dishes were eaten by 79.6% during the New Year period, most being homemade although some were bought from shops. Kuromame was most commonly eaten, followed by boiled fish paste, cooked herring roe, cooked sweet-potato paste, cooked vegetables, cooked sardines, fried eggs, rolled kombu and vinegared dishes. The cooked vegetables and vinegared dishes were mostly homemade, while fried eggs and boiled fish paste were mostly purchased from shops. The popularity of Japanese New Year's dishes varied according to the region although it has decreased compared to that of 23 years ago.
著者
畑江 敬子 飯島 久美子 小西 史子 綾部 園子 村上 知子 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.234-242, 2003-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
19
被引用文献数
2

沖縄から北海道まで2,633家庭の雑煮の食べ方を調査し,次のような結果を得た.(1)2002年正月,雑煮の喫食率は,92.2%であった.元旦の喫食率が82.0%と最も高く,2日以降は減少した.(2)餅の形は東日本は角餅が多く,西日本は丸餅が多かった.しかし,山形に丸餅の飛地が,鹿児島,徳島に角餅の飛地があった.(3)だしは天然素材が60.4%を占め最も多かった.(4)雑煮の味付けは醤油が最も多かった.しかし,味囎には地域性がみられ,近畿を中心とする一帯に多かった.(5)具材は多い順にニンジン,ダイコン,鶏肉などがあげられたが,具材は多様であり,各家庭の自由な発想が伺えた.しかし,地域独特の具材も残っていた.(6)CHAIDによる解析から,全国の雑煮は鶏肉の有無で2分され,さらに餅の形で2分され,それらがさらに鰹削り節,干しシイタケ,ゴボウ,かまぼこの有無で2分されることがわかった.
著者
郡山 貴子 飯島 久美子 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.240-248, 2019-08-05 (Released:2019-08-21)
参考文献数
29

ムクナ豆の硬さ,L-DOPA含量,および組織変化に及ぼす貯蔵の影響について検討した。ムクナ豆は貯蔵の影響を受けやすく,高温高湿(30℃/75% RH),常温(20℃/60% RH)および低温低湿(4℃/35% RH)において硬化した。最も変化が小さかったのは冷蔵保存(4℃/80% RH)した豆であった。L-DOPA含有量は高温高湿で貯蔵してもほとんと変化はみられなかったが,煮豆にすることで生豆に対して約1/3に減少した。ムクナ豆の硬化の機構はAISの分析によりペクチンと二価のカチオンによる架橋形成が関与するよりもペクチン以外の細胞壁構成成分と金属イオンとの相互作用が関与している可能性が大きいことがわかった。また,DSCやSEMの結果より,でんぷん周囲のタンパク質の変性により加熱中のでんぷんの膨潤糊化が妨げられることも要因の一つであることも示唆された。
著者
飯島 久美子 郡山 貴子 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.280-288, 2020 (Released:2020-05-29)
参考文献数
31

本研究ではムクナ豆の歴史を調査し, 江戸時代の古文書である「新刊多識編」, 「本朝食艦」, 「大和本草」, 「本草綱目 啓蒙巻之二十」, 「和漢三才図会」にムクナ豆 (八升豆) に関する記載を確認した. 「和漢三才図会」に記載された調理法の「黒汁を取り去り」に着目し, 褐変について検討した. 未熟豆の切断の場合, ポリフェノールとポリフェノールオキシダーゼと酸素が同時に存在するために速やかな反応が見られた. 温熱水浸漬では, 空気中より穏やかな褐変反応であり, これは浸漬液中の溶存酸素の量や浸漬温度や溶出物質, ムクナ豆に含まれる酵素の至適温度などが関与すると考えられる. ムクナ豆の調理時に浸漬液や浸漬豆が黒くなった場合は, L-DOPA量が減少しているが, L-DOPAの一部であって全量ではないことが明らかになった.
著者
嶋田 淑子 飯島 久美子 小西 史子 香西 みどり 畑江 敬子 齋藤 利則
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成14年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.43, 2002 (Released:2003-04-02)

食品用脱水シートでから揚げの揚げだねを前処理することによる、揚げだねのおいしさと揚げ油の劣化に及ぼす影響について検討した。揚げだねとして鯖と鶏肉を用い、脱水シートで1.5時間包んだ後、180℃の油で3分間揚げて試料とした。対照として脱水シート処理をしないものを用い、それぞれ15回連続して揚げ作業を行った。試料と対照を組み合わせ、官能検査を行なった結果、脱水シートを使用したから揚げは対照より有意に好ましいとされた。揚げ油の劣化を、酸価(A.V.), アニシジン価(An.V.), 色差ΔEで評価した。さし油をして連続してから揚げをした場合, 脱水シート処理した揚げだねを揚げた油の方が、A.V., An.V., 色差ΔE, いずれも低く抑えられ脱水シート処理によって揚げ油の劣化が抑えられたといえる。
著者
笠松 千夏 高岡 素子 戸田 貞子 飯島 久美子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.188, 2006 (Released:2008-02-28)

目的 精進料理は動物性食品を一切使用しないことから、カロリー控えめでヘルシーであると思われている。精進料理メニューの実態調査を行い、精進料理の栄養と食味の特徴を明らかにすることを目的とした。方法 鎌倉に店舗を構える精進料理専門店で季節のメニューを注文し、食品ごとの重量を測定した。栄養価計算はエクセル栄養君にて行い、50-69歳女性、身体活動レベルIIの1日の推奨量を基準に、各専門店の1食分のメニューの栄養バランスを検討した。また、白和え、きんぴらごぼうを”炒め”および”ゆで”の2通りで調製し、官能評価により香り、塩味、甘味の強さ、食感の好ましさについて比較した。結果 調査した専門料理店メニュー1食分のエネルギーは、876-1222kcalであり、エネルギー比率ではたんぱく質の割合が少なかった。不足している栄養素はビタミンDとビタミンB12であった。野菜の使用量は150-360gと多かった。白和えは具材を油で炒めることにより塩味を強く感じ、食感が好まれた。きんぴらごぼうは油で炒めた方が、甘味を強く感じた。精進料理メニューは食味の点で単調にならないよう、野菜類のうまみを存分に引き出すためにだしと油を効果的に使用した調理であることが確認できた。
著者
原 夕紀子 飯島 久美子 香西 みどり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.76, 2011 (Released:2011-08-30)

目的緑色野菜に含まれるクロロフィル系の色素は、加熱により分解、変色しやすいため、調理過程を予測するには色と物性両方の定量的把握が必要である。本研究では、ゆで加熱・炒め加熱・揚げ加熱による野菜の色と硬さの変化を定量的に扱い、これらの単独加熱に炒め加熱を加えた組み合わせ加熱において、色と硬さの変化を予測し、最適条件の設定を行った。さらに「油通し」に代わる前処理法として「湯通し」の効果を検討した。 方法試料としてピーマンを用い、ゆで加熱では70~99.5℃、炒め加熱と揚げ加熱では100~190℃の各温度で加熱し、色(色差計,-a*/b*)と硬さ(テクスチャーアナライザー)を測定し、-a*/b*を緑色度とした。各温度における色の変化と軟化の速度定数を求め、試料の色と硬さの変化を予測し、実測値と比較した。ゆで加熱後に炒め加熱(湯通し)を、また揚げ加熱後に炒め加熱(油通し)を行い、単独加熱で算出した色の変化と軟化の速度定数から、組み合わせ加熱における試料の色と硬さの変化を予測し、実測値と比較した。 結果いずれの加熱操作も、加熱初期段階に緑色度の増加がみられ、その後に退色が起こるため、2段階で解析した。100℃における緑色度増加の速度定数はゆで>あげ>炒め、退色はあげ≧ゆで>炒め、軟化の速度定数は、あげ>ゆで>炒めの順に大きかった。単独加熱の結果を用いて、組み合わせ加熱における試料の色と硬さの変化を予測し、実測値と比較した結果、ほぼ一致した。また、「湯通し」は「油通し」より、炒め時の外観が良好で、簡便な前処理としての利用が期待でき、実際の調理における油通しや湯通しを用いた組み合わせ加熱への本法の応用可能性が示された。
著者
飯島 久美子 小西 史子 綾部 園子 村上 知子 冨永 典子 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.154-162, 2006

A questionnaire survey was conducted to identify the regional variety of Japanese New Year's dishes and how they are prepared.<br>Questionnaires were sent out to students of universities and colleges throughout Japan in December 2001 and 2608 questionnaires were collected in January 2002.<br>Japanese soba was eaten by 74.8% of Japanese on New Year's eve, while Okinawa soba was eaten by 58.8% in Okinawa. Osechi dishes were eaten by 79.6% during the New Year period, most being homemade although some were bought from shops. Kuromame was most commonly eaten, followed by boiled fish paste, cooked herring roe, cooked sweet-potato paste, cooked vegetables, cooked sardines, fried eggs, rolled kombu and vinegared dishes. The cooked vegetables and vinegared dishes were mostly homemade, while fried eggs and boiled fish paste were mostly purchased from shops. The popularity of Japanese New Year's dishes varied according to the region although it has decreased compared to that of 23 years ago.
著者
飯島 久美子 小西 史子 綾部 園子 村上 知子 香西 みどり 冨永 典子 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.179, 2005

<b>目的</b> 年越しから正月、七草、鏡開きと、新年を祝うための行事は日々の生活の節目として古来日本各地で大切に行なわれてきた。それに伴う行事食もハレの料理として受け継がれている。しかし近年、生活様式の変化による調理の外部化、簡素化の進行は、伝統的な食習慣に少なからぬ影響を与えていると考えられる。そこで現在の年越し・正月(年末年始)の食習慣の実態を調査し、地域性との関連から行事食の変化の有無を知ることを目的とした。<br><b>方法</b>調査は自記式調査票により行ない、日本全国の大学・短期大学の学生を調査対象とした。2001年12月に調査票を配付、2002年1月に回収し、2608名から有効回答を得た。<br><b>結果</b>年越し(大晦日)に決まって食べるものは日本そばが最も多く、全国での喫食率は74.8%であった。沖縄では沖縄そばが58.8%と多く、日本そばは31.4%で、沖縄そばを年越し料理としていることがわかった。正月に食べるおせち料理の喫食率は全国平均で72.7%であり、手作りのおせち料理と市販品を合わせて利用している家庭が非常に多かった。そのうち市販のおせち料理セットは一割近くが利用していた。おせち料理の中で、最も喫食率が高いのは「黒豆」で、続いて「かまぼこ」、「数の子」、「きんとん」、「煮物」、「田作り」、「伊達巻」、「昆布巻き」、「なます」の順であった。「煮物」「なます」は手作りされることが多く、「伊達巻き」「かまぼこ」は既製品の割合が多かった。また、地域別に喫食率を比較すると「きんとん」は関東・東海で、「田作り」は東海・甲信・近畿で、「伊達巻き」は関東・甲信で特に喫食率が高かった。
著者
土肥 沙有里 飯島 久美子 香西 みどり
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.165, 2012 (Released:2013-09-18)

目的 真空調理法は食品を調味液と一緒にフィルムに入れ、減圧状態で包装してから加熱する調理方法であり、煮崩れしにくく、味がしみこみやすいと一般的にいわれているが、基礎的な研究に関する報告は少ない。そこで本研究では、減圧処理が食品に及ぼす影響を明らかにするために、種々の検討を行った。方法 試料としてダイコンを用いた。真空包装機による真空包装試料、真空デシケーターによる減圧処理試料(0~0.8 atm)を調製し、対照を大気圧試料として、真空包装後に加熱した試料の硬さ、生試料中央部の切片における生細胞率、密度測定による空隙率、生および加熱試料における調味液(食塩水、しょうゆ溶液)浸漬後の食塩濃度の測定を行った。結果 真空包装し20℃で2または4時間放置後に沸騰水加熱をした試料でわずかな硬化傾向が見られた。各減圧処理および処理後1~5日間の4℃保存による生細胞率の明瞭な変化は確認されなかった。減圧処理による試料の空隙率の明瞭な低下は見られなかった。加熱後に食塩水中で0 atmの減圧処理した試料では、浸漬10分で外側において対照よりやや高い食塩濃度を示したが、適度な濃度となる30分以上では差がみられなかった。試料と同量のしょうゆ溶液と共に真空包装した試料および10倍量の同液中に浸漬した対照試料を95℃で加熱すると、少ない調味液量の真空包装試料は調味液が十分な対照試料より低い塩分濃度を示した。以上より、減圧処理による細胞膜の損傷はわずかであり、調味液中の食塩拡散の明らかな促進は認められなかった。真空調理法は成分の溶出と煮崩れが防止できるため、少量の濃い調味液で加熱することで、より効果的に利用できることが示された。
著者
吉田 里緒 佐藤 瑶子 飯島 久美子 辻 ひろみ 香西 みどり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.53, 2016 (Released:2016-08-28)

【目的】スチームコンベクションオーブン(以下、スチコン)は、大量調理施設等で広く利用され、ゆでる、蒸す等の調理も可能である。加熱時には温度、時間、蒸気量の設定が必要であるが、これらを考慮した根菜類の加熱時間の設定に関する報告は見られない。そこで本研究では、スチコンでジャガイモを蒸し又はゆで加熱する際の中心温度及び硬さの予測から試料が適度な硬さになるまでの最適加熱時間を算出し、実験により検証した。【方法】スチコン(tanico,TSC-10GB)を用いて、設定温度100℃、設定蒸気量100%で試料を加熱した。試料は2cm角ジャガイモとし、加熱中の庫内温度、水温、試料中心温度を測定した。蒸し加熱は穴あきホテルパンを使用し、ゆで加熱はホテルパンに水と試料を合計3kg(重量比1:1)入れた。蒸し加熱では庫内温度、ゆで加熱では水温に基づき、試料中心温度及び硬さの変化をプログラム計算により予測し、適度な硬さになるまでの最適加熱時間を算出した。実際に試料を加熱し、硬さの測定(テクスチャーアナライザー)及び官能評価(5段階評点法)を行った。【結果】スチコンでの蒸し及びゆで加熱中の試料中心温度の実測値は予測値と概ね一致した。2cm角ジャガイモの最適加熱時間は、蒸し加熱で10.2分だった。ゆで加熱は16.2分であり、その内訳は水温上昇11.4分、沸騰継続4.8分だった。実際に加熱した試料は官能評価によりいずれも適度な硬さと評価された。ゆで加熱では、ホテルパンの枚数が多くなるほど水温上昇が緩慢になり、水温が99℃になるまでの時間はホテルパンの枚数と直線関係が認められた。そのため、最適加熱時間もホテルパンの枚数が増えるほど長くなり、ホテルパンを10枚使用したときは1枚使用したときよりも加熱時間を9.2分延長する必要があった。
著者
飯島 久美子 小西 史子 村上 知子 香西 みどり 畑江 敬子 小西 雅子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成15年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.107, 2003 (Released:2003-09-04)

【目的】寒い時期に家族あるいは仲間とともに鍋物を囲む光景は、日本の代表的な食卓風景の1つである。鍋物の歴史はそれほど古くはないが、冬の代表料理といってよいくらい浸透しているようである。そこで、本研究ではどのような鍋物がどのように食べられているのか、また地域的な特徴について、実態を知ることを目的とした。【方法】北海道から沖縄にいたる各地の大学、短大に所属する学生および職員1013名を対象とし、2002年12月にアンケート用紙を配布し、2003年1月に回収した。【結果】よく食べる鍋物の名前を尋ねたところ、63種類が挙げられた。そのなかでもっとも多くの人が挙げた鍋物はすき焼きであり、次いで寄せ鍋、キムチ鍋であった。地方別にみると東北ではキムチ鍋が、九州ではおでんがもっとも多く挙げられていた。鍋物に使われる食材は、豆腐類がもっとも多く、次いでハクサイ、ナガネギ、エノキ、白滝、シイタケ、シュンギク、ダイコンの順であった。豆腐類は74.9%の鍋物に使われ、おでんにも29.9%の割合で使われていた。またハクサイはおでんを除く70.7%の鍋物に使われていた。食べる頻度は月に1_から_2回がもっとも多く、次いで週に1_から_2回であった。誰とどこで食べるかという質問では、圧倒的に家庭で家族と一緒にという答えが多かった。鍋物とともにお酒を飲む割合は42.1%でその内訳はビールがもっとも多く、次いで焼酎・チューハイ、日本酒の順であった。年代別では、50代まではビールが多く、60代以降は日本酒が多かった。本調査から鍋物は、好きだから、暖まるからという主に2つの理由により3人以上集まって月に1から2回、主に家庭で食されており、もっともよく食されるのはすき焼きであるということが明らかになった。
著者
畑江 敬子 飯島 久美子 小西 史子 綾部 園子 村上 知子 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.234-242, 2003

沖縄から北海道まで2,633家庭の雑煮の食べ方を調査し,次のような結果を得た.<BR>(1)2002年正月,雑煮の喫食率は,92.2%であった.元旦の喫食率が82.0%と最も高く,2日以降は減少した.<BR>(2)餅の形は東日本は角餅が多く,西日本は丸餅が多かった.しかし,山形に丸餅の飛地が,鹿児島,徳島に角餅の飛地があった.<BR>(3)だしは天然素材が60.4%を占め最も多かった.<BR>(4)雑煮の味付けは醤油が最も多かった.しかし,味囎には地域性がみられ,近畿を中心とする一帯に多かった.<BR>(5)具材は多い順にニンジン,ダイコン,鶏肉などがあげられたが,具材は多様であり,各家庭の自由な発想が伺えた.しかし,地域独特の具材も残っていた.<BR>(6)CHAIDによる解析から,全国の雑煮は鶏肉の有無で2分され,さらに餅の形で2分され,それらがさらに鰹削り節,干しシイタケ,ゴボウ,かまぼこの有無で2分されることがわかった.
著者
飯島 久美子 香西 みどり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.48, 2012 (Released:2012-09-24)

目的 ハッショウマメはムクナ属マメの一種であり、多収穫でL-DOPAを約4%含有するという特徴があるため、L-DOPAは通常は調理による除去がのぞましい。これまで煮物、餡やきな粉などを調製し、調理操作によりL-DOPA量を制御できることを明らかにした。本研究では発酵食品に着目し、ハッショウマメを用いた味噌を調製してL-DOPA量の変化や嗜好性を把握し、ハッショウマメの味噌への利用可能性を明らかにすることを目的とした。方法 試料はハッショウマメと大豆を用い、米麹辛口味噌(塩分濃度12%,豆10:麹7)、米麹甘口味噌(塩分濃度9%,豆10:麹15)と麦麹甘口味噌(塩分濃度9%,豆10:麹15)の3種類の味噌を調製した。味噌の一般分析法に準じ、味噌浸出液については食塩濃度、水溶性窒素、直接還元糖を、味噌そのものについては水分、測色(Y% x, y)、pH、酸度I・II、全窒素を経時的に0,1,2,4,8,12,16,21,26週目まで測定した。L-DOPAの測定はハッショウマメ味噌について行い、合わせて嗜好性について官能評価を行った。結果 ハッショウマメで調製した味噌のL-DOPA量は麹量により異なるが味噌仕込み直後には0.15~0.26 g /(100g味噌)残存していたが、熟成2~3か月後にL-DOPAは検出されなくなった。味噌の色は、熟成3か月後まではハッショウマメ味噌のほうが濃かったが、熟成5か月以降米麹辛口で大豆味噌のほうが濃くなった。これは辛口大豆味噌のタンパク質量が多いためアミノカルボニル反応により褐変が進んだものと考えられる。ハッショウマメ味噌は大豆味噌より、酸度I・IIが低く、緩衝能が低いことが分かった。官能評価によりハッショウマメ味噌は大豆味噌より香りが穏やかで塩味を感じやすい傾向があり、味噌として好ましいと評価された。